概要
2009年12月12日に公開された『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのアニメ映画である。
後にディレクターズカット版が制作され、その完結内容は大きく異なる。
キャッチコピーは「戦士たちよ、ヤマトに乗れ。人類を救え!」「愛のために戦え!」、「必ず此所へ帰ってくる(ディレクターズカット版)」。
1994年及び2004年に製作発表されながら実現せず、2008年に3度目の製作発表が行われ、実現した。
題名はこれまでの『編』ではなく『宇宙戦艦ヤマト復活篇』である。
制作の経緯
1994年 1度目の制作発表~頓挫
『宇宙戦艦ヤマト完結編』の続編として、1994年に最初の製作発表がなされた。
大まかなストーリーや設定がメイキングビデオ『ヤマト・我が心の不滅の艦(ふね)-宇宙戦艦ヤマト胎動篇-』(『YAMATO2520』の項目を参照)や、後にプロデューサー西崎義展の不祥事による公判時に西崎の支援者などによって開設されたウェブサイトで公開されており、ストーリー原案として作家で政治家の石原慎太郎が製作に参加することが話題となった。
登場人物は古代進らの他、古代と森雪の娘をはじめとした新キャラクターも登場する予定だったという。
製作会社のウエストケープコーポレーションは、1995年よりOVA『YAMATO2520』をリリースしたものの、それ以前より資金難に陥っており、1996年に『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの著作権などを東北新社に譲渡した。譲渡契約においては、新作を製作する権利は西崎に留保されている。
1997年 2度目の制作発表~フェードアウト
債権者である三井ファイナンスサービスがウエストケープコーポレーション及び同社社長の西崎に対し破産を申し立てた。
これが認められたため同年9月に両者は破産し、本作の製作は中止となった。
2004年 2度目の制作発表~フェードアウト
その後、西崎と松本零士は民事訴訟を経て、2003年に西崎がこれまでの『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを利用した新作『復活編』(仮題)を、松本がこれまでのヤマトシリーズとは関係の無い新作『大銀河シリーズ 大ヤマト編』(仮題)を、各自が個別に製作すると相互に確認した。
しかし、松本が製作する新作作品についてはヤマトシリーズに登場した設定、キャラクターなどを使用することを含むヤマトシリーズに類似した作品を製作する場合は著作者人格権者である西崎の承諾が必要とされた。
西﨑は松本の作品を『宇宙戦艦ヤマト』の類似作品と断定し製作を許可しなかった。
なお、西崎から著作権を譲渡された東北新社はこの合意に参加しておらず、ニュースリリースで自社の独自の権利を主張した。前出の1996年の西崎と東北新社間における著作権譲渡契約において、新作続編を製作する権利は西崎に留保されているにもかかわらず東北新社の権利主張はそれを翻意した発表だった。
7月には、西崎から製作委託を受けた西崎の養子・西崎彰司が経営する「株式会社エナジオ」が、新作映画『新宇宙戦艦ヤマト 復活編』(仮題)を2006年に公開すると発表した。
同社サイトに公式ページも開設され、東北新社と協議に入ったとされたが、公開されることは無かった。
2008年 3度目の制作発表
7月31日、西崎は練馬区内での「ヤマトスタジオ」のスタジオ開き、2009年中の公開を目指した本作の製作を正式に発表し、その場で「宮崎駿の『崖の上のポニョ』を超える作品にしたい」と抱負を語った。
スタッフは総監督に舛田利雄、総作画監督に湖川友謙、メカニックデザインに小林誠と、かつてのヤマトスタッフが顔を揃えている。
製作会社は2004年の発表時と同じく、株式会社エナジオとなる。
2009年 正式公開へ
3月18日、東北新社が本作に関する情報を「東京国際アニメフェア2009」の自社出展ブースにて公開。
5月中旬には公式サイトが開設され、5月18日には東宝の正月作品として12月12日に公開されることが決定したと発表された。西崎はその中で、「地球が救われるか、破滅するか、2種類の結末を考えている」と述べている。
11月28日には、東京国際フォーラムで開催された完成披露試写会で2時間13分のバージョンを上映後に約15分のもうひとつの結末を上映し、観客4000人が携帯電話で投票した結果で公開版エンディングが決められた。
ちなみにWebで公開された1993年発表版の基本構成案では3部構成で、地球は助からず、第2部でヤマトが別宇宙に行き、第3部で地球と再会する予定だった。
制作期間には約1年半を費やし、携わった制作スタッフ約900名の内、CG制作スタッフは約130名。全1850カットのうち、CGカット数は750カットに及んでいる。
エンディングクレジットでは最後に「第一部完」とテロップが出ており、続編の構想があることが示唆されている。
その後
BD/DVD/UMDは2010年7月23日に発売、レンタルは6月4日から開始。
なお、公開されなかったアナザーエンディングは、新作パートを追加したディレクターズカットとして2012年1月に東京と大阪の2館で1度だけ公開し、3月にBD/DVDで発売された。
あらすじ
西暦2220年、宇宙戦艦ヤマトが回遊惑星アクエリアスの水柱を自爆により断ち切り、その海の中に自沈して17年が経過していた。
移動性ブラックホールが発見され、これが太陽系に接近して地球を飲み込むことが明らかになった。
人類は、2万7000光年離れたサイラム恒星系惑星アマールの月への移民を計画。3億人ずつの移民を乗せた移民船団を第1次、第2次と出発させるが、それらはいずれも航海中に謎の敵から攻撃され、消息を絶ってしまった。
第1次移民船団には古代進の妻、雪も搭乗していた。
ヤマトは、アクエリアスの氷塊内に建設されたドックで修復・強化改装を受けて甦り、第3次移民船団の護衛艦隊旗艦となった。
宇宙の辺境で貨物船の船長に就いていた古代は地球の危機に際して帰還し、第3次移民船団の司令かつ新生ヤマトの艦長に着任する。
ディレクターズカット版
変更内容
効果音
後に制作されたディレクターズカット版では、ショックカノン、ワープ、被弾音等の効果音を旧来のものへと変更されている。
新規カットの追加・再編集
不自然な部分のカットを入れ替えたり(冒頭の第1次移民船団など)、元々は用意されつつもカットされてしまった絵コンテを復活させ、本編に組み込んでいる(古代と上条・小林・折原らとの会話等)。
結末
当所放映されたバージョンでは、最期に地球を救う事で終わったものの、ディレクターズカットでは地球を救えずに終わる内容に変更されている。
登場勢力
大ウルップ星間国家連合
銀河系中央部での長きに渡る戦乱の終結後、SUSを中心として誕生した星間国家連合。現在は、SUSによる力の支配が続いている。
同盟国のアマールの月に移住しようとする地球連邦を侵略国家と断定し、宇宙空間に張り巡らせたサーチネットに触れた地球移民船団を同盟国で攻撃する。
SUS
大ウルップ星間国家連合の中心国家。事実上、他の同盟国を支配している。
敵だけでなく味方の犠牲をもいとわない、残忍な戦法を執る。
民族外観は前髪を切り揃え、耳は尖り、肌は青白い。
終幕近くで意外な正体を覗かせる。
エトス
大ウルップ星間国家連合の構成国の1つ。
エトス人は誇り高き士道精神を有していたが、大ウルップ星間国家連合への加入でそれを封印するようになった。
外観は地球白色人種に酷似している。
アマール
大ウルップ星間国家連合の構成国の1つ。国家元首はイリヤ女王。自国にしかない資源をSUSに提供することで、偽りの平和を得ていた。そのため、国民は星間国家連合からの独立を願う。
アマールの月に地球人の移民を許したため、星間国家連合から武力制裁を受けることになる。
アマール人の外観は地球中近東系人種に酷似している。
フリーデ
大ウルップ星間国家連合の構成国の1つ。
外見は地球白色人種に近い。
ベルデル
大ウルップ星間国家連合の構成国の1つ。
肌の色は緑色で、ガトランチス人に近い。
登場天体
カスケードブラックホール
3年前の西暦2217年に初めて観測された、秒速29,000km(光速の1/10)の速度で地球に接近している移動性ブラックホール。
アマールの月
地球より2万7000光年離れた、サイラム恒星系惑星アマールの衛星。大気などの環境は地球と酷似している。
地球連邦はこの星への移民を行うが、星間国家連合のアマールの領地であるため、地球とアマールの大きな問題へと発展する。
アクエリアス
2203年に地球を水没の危機に陥れた回遊惑星。
現在は再び回遊して去り、地球軌道周辺にはかつてヤマトが自爆により断ち切った水柱の名残の巨大な氷塊のみが残り、それは地上からも目視することができる。
そこに沈んでいたヤマトを修復・強化改装するため、ドックが建設された。
BH199ブラックホール
第3次移民船団の航路上にあったもの。
護衛艦隊よりエンジン出力の劣る移民船は、星間国家連合のサーチネットから逃れるため、ブラックホール外周の流れによる加速を付けるフライ・バイによってロングワープを行った。
ヤマトが、星間国家連合軍と初めて交戦した地でもある。
登場人物
地球
宇宙戦艦ヤマト新艦長、そして第3次移民船団護衛艦隊司令。38歳。平和になった地球に馴染む事が出来ず、深宇宙貨物船「ゆき」の船長として、地球から1万7千光年離れた宇宙開拓辺境を3年間往来していた。
かつてヤマトの艦長をしていただけに、戦闘だけでなく、今は亡き元ヤマト航海長・島大介にも劣らぬ高い操艦技術を持っている。実際、襲ってきた3隻のSUS軍の戦艦を相手に、大破・漂流していたブルーノアを巧みに操り、背後をとって見事勝ってみせた。
また、チーフパイロットである小林淳がコスモパルサーで出撃している場合は代わりにヤマトを操艦して操縦技術を実証した。
制帽、艦長のコートの下に、白地に赤矢印(戦闘班)のヤマト誕生時からの旧ユニフォームを再び着用している。
古代と雪の娘。16歳。
佐渡が務める佐渡フィールドパークの元で見習いとして動物の世話をしている。
3年間も宇宙にいた父親の進に対して、美雪は母の雪と自分よりもヤマトを選んだ、と進に心を閉ざしてしまっていた。だが、地球の危機を救うために戦う父の姿を目にしている内に、
進を信じるようになる。
コスモゼロ21で進に助けられてヤマトへ帰還途中の進に「命を粗末にするな」と諭される。
1994年の設定では「森美雪」であった。
古代の妻。38歳。
かつてヤマトでは第1艦橋メインレーダー係と、医療・炊事・分析部門の生活班長を兼任した。
宇宙貨物船の船長としてずっと3年間宇宙にいた夫の進とは別居状態になっていたが、進に手紙を送っていた。
そんな中に迫った地球の危機に、夫の進であればこうする筈だと、第1次移民船団の責任者(団長)を引き受けた。護衛艦隊のスーパーアンドロメダ級宇宙戦艦の1隻に艦長として乗艦していたが、SUS艦隊の襲撃を受け消息・行方不明となる。
宇宙戦艦ヤマト副艦長。45歳。
深宇宙貨物船「ゆき」の副長を務めていた。
独り身で身内はいない。古代とは3年来の長い付き合い。
ヤマトでは、テスト未了のため若い者には無理と、特殊攻撃艇信濃(シナノ)の操縦も一人買って出た。
白地に青矢印(技術班)の新ユニフォームを着用。
かつての宇宙戦艦ヤマト元初代機関長であった徳川彦左衛門の息子。36歳。
『新たなる旅立ち』の時から登場している。
西暦2220年においては地球防衛軍月面基地の司令官を務めていたが、今回は改めてヤマト新機関長を務めている。
白地に橙矢印(機関班)の新ユニフォームを着用。
宇宙戦艦ヤマト新戦闘班長。21歳。
元は第1次移民船団の護衛艦隊旗艦ブルーノアに乗艦していた。
SUS艦隊の攻撃でブルーノアが大破・漂流していたところを古代達が乗る貨物船「ゆき」に救出される。
好戦的な血気盛んな性格で、小林や古代から行き過ぎを咎められることがある。
白地に赤矢印の新ユニフォームを着用。
宇宙戦艦ヤマト新航海長兼コスモパルサーのチーフパイロット。19歳。
優秀な操艦・操縦技術を持つ一方軟派な性格で折原と佐々木にちょっかいを出したり、目上にも遠慮が無く言葉を選ぶことがない。
艦橋に於いては白地に緑矢印(航海班)の新ユニフォーム、艦載機操縦時はかつての防衛軍きってのエースであった旧・コスモタイガー隊隊長の加藤四郎から受け継いだ黒字に黄色矢印(戦闘班飛行科)の旧ユニフォームを着用している。
艦載機での戦闘から帰還後は、航海班の新ユニフォームに着替える事はなく、そのまま飛行科の旧ユニフォームを着ていた。
宇宙戦艦ヤマト第三艦橋・電算室新チーフナビゲーター。19歳。
天才的な計算能力があり、その名声は初対面の古代にも知られていた。ヤマトに乗艦以前は、地球連邦政府科学局に勤めていた。
第1艦橋では旧ヤマトでの森雪の位置に席があり、第3艦橋とはエレベーターで直結している。
ヤマトでは、かつて『完結編』で森雪が着ていた白地に黒模様の旧ユニフォームを着用。
彼女の部下の6人の電算室の女性専属オペレーターが真帆からの指示によりそれぞれデータ分析、その結果を最終的に真帆が統合・分析して、ヤマトの行動指針を決定していた。
宇宙商船学校出の、宇宙戦艦ヤマト第1艦橋新レーダーパネル担当。21歳。
第1艦橋では旧ヤマトでの太田の位置に席があり、真帆と同じく第3艦橋とはエレベーターで直結している。小林不在時には操舵も担当する。
貨物船「ゆき」でナビゲーターを務めていた。一度アマール星への訓練航海に出た事がある。
白地に緑矢印の新ユニフォームを着用。
宇宙戦艦ヤマト新通信班長。19歳。
「腹減った」が口癖。ヤマト発進の前に、その事で折原に、「中西君は口が開いたら、腹減ったぁ、腹減ったぁよね」と言われた。
黄色地に黒矢印(通信班)の新ユニフォームを着用。
宇宙戦艦ヤマト新技師長。21歳。
白地に青矢印の新ユニフォームを着用。
宇宙戦艦ヤマト第1艦橋新砲術担当。21歳。
白地に赤矢印の新ユニフォームを着用。
ヤマトの艦内医・兼・コスモパルサーのパイロット。26歳。
常にゴーグルを身に付けている。
本職は医師よりもパイロットであると話しており、コスモパルサーのパイロットとしては小林と連携した操縦を行う。「本当はこれが(コスモパルサー)好きでヤマトに乗ったんだ」と言っている。
艦内作業中は戦闘班の白地に赤矢印の新ユニフォームに白衣を着用しているが、コスモパルサー操縦時には黒字に黄色矢印(戦闘班飛行科)の新ユニフォームに着替えている。
宇宙戦艦ヤマト機関部制御担当の双子の兄弟で、逆立った髪型が印象的。共に19歳。
息の合ったチームワークで仕事をこなすが、調子に乗りやすく、上官の徳川に叱られることがある。
また、出力の安定しない波動エンジンを機関室の制御スクリーンだけで調整していた為に、直接エンジンを整備してきた徳川に「お前ら訓練学校で何を習ってきた!? スパナーの扱い方も知らんのか!?」と叱られた。
白地に橙矢印の新ユニフォームを着用。
ヤマト第3艦橋・電算室の女性専属オペレーター達。
いずれも雪が『III』以前で着ていた旧ヤマト生活班と同じ黄色地に黒ストライプの制服を着用。
担当はルマ、ミュージが右舷・左舷近接航法分析、カズミナ、チロが右舷・左舷遠距離航法分析、カエデ、ミサトが右舷・左舷空間探査分析である。
旧ヤマトでは技師長であったが、今作では地球連邦科学局長官になっている。48歳。
アクエリアスに沈んでいたヤマトの再建計画を実施し修復を行い、古代に乗艦するよう促す。
物語後半で地球を脱出しようとはせず、科学者として地球の最期を見届けようとする。
地球連邦移民船団本部長。27歳。
前作『完結編』で戦死した島大介の弟。
かつてのヤマトの船医。現在は地球で獣医を勤め、佐渡フィールドパークを運営し、古代と雪の娘美雪が見習いとして勤めている。
地球を脱出しようとはせず、アナライザーと飼い猫のミーくんと共に残る。
酒好きは相変わらずである。
分析用ロボット。
かつてのヤマトの乗組員として、主に真田志郎、森雪、佐渡酒造らの下で、さまざまな局面で活躍した。
佐渡と共に地球に残る。佐渡とは良い飲み友達である。
第1次移民船団護衛艦隊旗艦ブルーノアの艦長。
移民船団を護衛中にSUS艦隊の襲撃を受け、応戦するもブルーノア被弾時に戦死する。
SUSの攻撃を逃れてアマールにたどり着く事のできた船団の生き残りをまとめていた。
本来ならば自分の仕事は雪の仕事だったと言っている為、第一次移民船団の責任者の一人と思われる。
大ウルップ星間国家連合
SUS軍第7艦隊司令長官。
大ウルップ星間国家連合でのSUS代表または議長として指導権を握っている。
地球を侵略者だと、巧みな情報操作で各国に地球艦隊の攻撃を進言する。
SUS軍総司令官。
冷酷非道な性格で、目的のためなら手段を選ばない。SUS超巨大要塞で指揮をとる。
画像左上の人物
アマール星女王。
アマールの月への地球人の移民を受け入れた。国民のことを想っており、星間国家連合と地球の関係に苦悩するが、真の平和のために立ちあがる決意をする。
SUSの提供する「平和」の見返りに、アマール星の資源物資を提供していた。
アマール軍司令官。
大ウルップ星間国家連合における自国の立場を考えて、アマールの月への地球人の移民に反対していた。国民のためなら自分の命を捨てる覚悟を持っている。
エトス星艦隊司令長官。
星間国家連合軍の一員として第2次移民船団を攻撃する傍ら、徹底した虐殺を行うSUS国のやり方に疑問を感じている。
引き続き、第3次移民船団の攻撃にも参加するが、自らを犠牲にしても移民船団を護るヤマトに敬意を表するようになる。
武人の心を持ち、優秀な敵、味方に対しては敬意を表するという文化を持ち続ける。
ゴルイ艦隊旗艦シーガル艦長。
金髪の青年で、ゴルイの意志を汲み取る優秀な軍人であり、ヤマトに対しても敬意を払う。
登場メカニック
ほとんどの艦船と機体は、OVA『YAMATO2520』への橋渡しを意識したデザインとなっている。
地球連邦/地球防衛軍
真田志郎により最新の技術で強化され、第3次移民船団護衛艦隊旗艦として再就役した伝説の宇宙戦艦。
アクエリアス氷塊ドックより発進する。艦長は古代進。
艦体の外観はほぼ従来通りだが、今までよりも艦幅は広く、艦底部の第3艦橋(「電算室」が新設されている)は大型に描かれている。詳しくは語られてないが主砲と副砲も強化された模様。艦首、艦尾、及び両舷側ミサイル発射管には新たにバリアミサイルが搭載された。
波動エンジンの炉心が6連大炉心1基に増設されたため、切り札の艦首収束型波動砲も6連発発射が可能になった。その反面、発射前のエネルギー充填及び発射後の再充填に時間を要する為、6連射すると波動エネルギーがゼロになってしまう。
特務艇(特殊攻撃艦・重攻撃艇)信濃(シナノ)
ヤマト艦首下部に格納される重攻撃艇。劇中では副艦長の大村耕作が操縦した。
波動エネルギー弾道弾ミサイル(初期設定では核だったが、後に波動エネルギーに変更になった)を24発装備し、ブースターロケットで敵の中核に迫り攻撃を行う。
3名乗りだが、1名でも操縦可能。
コスモパルサー
コスモタイガーIIの後継機となる新型艦載機。
単座型機であり、機首前方上下に機関砲6門を装備し、左右両翼の上下にミサイルパイロンがあり、ミサイルを大量に搭載できることが特徴。
翼は折り畳み機構になっており、下部の安定翼は引き込み式になっている。
コスモゼロ21
古代進が使用する宇宙戦闘機。
旧ヤマトに搭載されていたコスモ・ゼロに似たフォルムを持つが、主翼の折り畳み機構が加えられている。
深宇宙貨物船「ゆき」
古代が船長、大村が副長、桜井がナビゲーターを務めて乗り込んでいた宇宙貨物船。地球から1万7千光年離れた宇宙開拓辺境を往来していた。
宇宙海賊対策のために、艦前部に3連主砲1基、艦橋基回りに単装砲3基を装備している。
艦底部には、エアロックを備えたドッキングアームが1基取り付けられている。
ワープ機能がある。
地球防衛軍最新鋭の大型空母だが、空母というよりは戦闘空母の色が強い。第1次移民船団護衛艦隊旗艦で、上条了が乗っていた。
艦首に収束型波動砲1門(艦首側面の艦名表記部にホーミング波動砲も装備、劇中では不使用)、3連装主砲を艦前部に6基および艦後部に2基、3連装副砲を前部・後部に2基ずつ、2連装副砲を艦橋左右に2基。
主砲と副砲はいずれも、左右対称の並列配置となっている。
その他、艦中央部に水平発射型の大型ミサイル発射管や格納式対空連装パルスレーザー機銃を多数装備。
両翼部は左右に展開し、その両翼の内部から艦載機であるコスモパルサーを一度に発進させる。
艦底部には第3艦橋らしき構造物がある。
第1次移民船団を護衛中にSUS艦隊の襲撃を受けて大破し、漂流する。その後、修理・改修して300年間運用される。
- 1979年放映のTVシリーズ『宇宙空母ブルーノア』の主役艦を元に、『YAMATO2520』制作時にデザインされた艦である。第三巻「戦闘」で、地球連邦軍第7艦隊旗艦として数シーンのみ登場していたが、艦の色や主砲の形状などを変えた以外はほぼそのままのデザインで、本作でも使用。『2520』制作時に、すでに「修理・改修して300年間運用された」という設定。
白色彗星帝国が来襲した時(『さらば』/『2』)に登場したアンドロメダ級戦艦の流れを組んだ、後継型戦艦。同型艦が多数建造されている。
艦橋や艦体部、主砲数などに変化が見られるが、艦首の連装波動砲2門は健在。
武装は連装波動砲の他、3連装主砲を艦前部に2基および艦後部に1基、8連装対空ミサイルポッドを艦橋基前部に1基、2連装副砲を艦橋左右に2基、格納式対空連装パルスレーザー機銃を艦両舷に24基など。
艦底部に取り付けられている増槽らしきタンクは、今回の設定では艦載機格納庫とされている。
第1次移民船団護衛艦隊の1隻には古代雪が艦長として乗っていたが、SUS艦隊の襲撃を受けて大破し、かろうじてアマール星に辿り着くも、自動操縦でワープした為艦内は無人で雪の姿も無かった。
フォルムがどこか『YAMATO2520』の18代ヤマトに似ている。
地球防衛軍の主戦力を担う宇宙戦艦で、艦隊のほとんどがこのタイプで構成されている。
武装は艦首に拡散波動砲を1門装備する他、3連装主砲を艦前部に2基および艦後部に1基、格納式対空連装パルスレーザー機銃を多数装備。
デザインは白色彗星帝国来襲時に活躍した主力戦艦に似ており、艦首波動砲発射口の上下には仕切りのようなものがある。艦体形状は長方体に近く、量産性を考慮している。また、艦底部にはブルーノアと同じく第3艦橋らしき構造物がある。
移民船
地球人類を他の惑星へ移住させるため、1隻当たり約10万人を乗せて長距離航行を行う、超大型の宇宙移民船。全長2800m。
船の大部分は居住区で構成され、船首の上下に操船部、船尾にエンジンを4基設置した推進部がある。ワープ機能を持つ。
およそ数千隻が建造されているが、全てが非武装であるため、護衛艦は必須。
なお、移民船団のことを「AMARE EXPRESS(アマールエクスプレス)」と呼び、全ての移民船に「AMARE EXPRESS 〇(数字が入る)」と書かれている。
ディレクターズカット版のみに登場するメカ
ブリッジ周辺が大きく異なる、ヤマトの準同型艦。
ヤマト再建計画に先駆け各種実験を行っていた。
ブルーノア級の非武装艦。
アンドロメダA12
アンドロメダ級戦艦の12番艦。
『Ⅲ』に登場したアリゾナ級戦艦の同型艦。
ゆきかぜ級駆逐艦
ゆきかぜの同型艦、武装解除のうえ輸送艦に改造されている。
パトロール艦
『さらば』『Ⅱ』『Ⅲ』に登場した巡洋艦。武装解除のうえ輸送用カーゴを牽引している。
大ウルップ星間国家連合軍
SUS軍
SUS戦艦
SUS軍の主力戦艦で、楔型(船形に近い)の艦体をしており、その艦体上下に長方体を繋げた様な姿をしている。
4連装主砲を艦体上部に並列配置する形で4基、下部に固定式縦列5連装大口径ビーム砲を2基という重装備で、正面攻撃力は高い。
配色や艦橋のデザインなどは、『YAMATO2520』に登場するセイレーン連邦軍の戦闘艦に似ている。
旗艦マヤ
SUS軍第7艦隊旗艦。メッツラー総督が座乗する。
戦艦というよりも中型要塞といった外観であり、正面からは十字架に見える。
全て埋め込み式の主砲で、左右の翼に副砲、縦に主砲、艦載機を多数装備している。
地球人を移住させようとした惑星アマールを攻撃していたが、それを見かねたエトス星艦隊と交戦。ゴルイ提督の旗艦シーガルの特攻を受けて撃沈した。
SUS爆撃機
本編未登場の爆撃機キャリアーで作戦区域に運ばれて、切り離された後爆撃を開始する。
側面のフォルムはSUS戦艦と似ている。
地球人の移民を許したアマール星の都市に、制裁として爆撃を加える。
SUS爆撃機キャリアー
SUS爆撃機を運ぶための機体。
船体からぶら下げる形で作戦区域まで運ぶ。本編未登場。
SUS戦車
SUS軍の主力戦車。
先端にビーム砲を2門装備。アマール星の都市に侵攻する。
SUS大型戦車
異様に高い建造物があるSUS軍の大型戦車。
アマール星の都市を進撃する。
SUS超巨大要塞
全長3Kmの要塞で、その外見は逆さにした四角錐を土台にして、その中央にピラミッド型の塔が建っている。
通常はバルスマン総司令官が指揮を執っているが、決戦時ではメッツラー総督が指揮を執り、地球艦隊とアマール艦隊を殲滅する。
艦隊を一瞬で殲滅可能な、決戦兵器ハイパーニュートロンビーム砲1門及びビーム砲・ミサイル等を多数搭載した防御盾船5基が要塞の周りに浮遊しており、その内1機の天辺部分から形成されるシールドにより、要塞全体が囲まれている。
潜宙艦
要塞内部に隠されていた巨大潜宙艦で、次元を自由に行き来する事が出来る。
菱形を重ね合わせたようなフォルムを持ち、艦首部分に強力な主砲を1門、艦体中に無数のビーム砲とミサイルを装備。
両舷部分は切り離しが可能で、それを使って2隻で敵艦を挟み、内部のミサイルで袋叩きにする。
太陽
SUSの全てのエネルギーを賄う、太陽に偽装したエネルギー供給源であり、要塞もこのエネルギーを吸収してシールドを張っていた。
ヤマトに波動砲を持って破壊されると、爆発し一種のブラックホール化(あるいは次元の裂け目)。それにともない、SUS艦は全て崩壊し吸い込まれ、証拠を残す事無く消え去った。
エトス軍
旗艦シーガル
エトス軍艦隊旗艦であり、ゴルイ将軍の座乗艦。
三角錐または三角柱を3つ組み合わせたような形状の大型三胴戦艦で、配色は白。
3つの艦首に大型主砲が各1門づつ、計3門あり、他に3連装砲塔を4基装備。
惑星アマールにて国民を虐殺するSUSに対して、今までの楔を断つため、遂に交戦。その最中、SUS艦隊旗艦マヤに向けて特攻。刺し違える形で撃沈した。妨害しようとしたSUS戦艦を体当たりで撃破するなど、頑丈さを見せつけている。
エトス戦艦
エトス軍の主力戦艦で、三角錐または三角柱を繋ぎ合わせたような形状の双胴戦艦。
旗艦シーガルに比べると艦首の大型主砲が2門、3連装主砲を3基へと簡略化されており、機動性を高めている。
フリーデ軍
フリーデ戦艦
フリーデ軍の主力戦艦。
ナイフを連想させる艦体に菱形のような長方体を横にして(寝かせて)連結させたような形状で、配色は赤、幾何学的な模様をしている。
対艦ビーム砲を上部の艦体左右に、12門、対艦ミサイル発射管を艦体上部の中央部に10門装備。
下部の尖った部分は衝角で、体当たり攻撃用である。
ベルデル軍
ベルデル戦艦
ベルデル軍の主力戦艦。艦体色は緑。
今回登場する星間国家連合の艦船のうち、唯一艦載機を搭載するため、航空戦艦とも表記される。単装主砲を7基装備。
楕円形に近い艦体下部には円錐を逆さに連結させたような形状で、その部分には多量の艦載機ベルデルファイターが格納されている。
ベルデルファイター
ベルデル戦艦の艦載機。海棲生物を連想させるフォルムをしている。機体は紫色。
機体中央部のエンジンポッド前にレーザー砲を1門持つ。細い翼は収納式で、戦艦から離脱後、宇宙空間で開く。
アマール
パスカル艦
アマール防衛隊の旗艦で、パスカル将軍の座乗艦。
水上艦(あるいは帆船)に近い設計となっており、艦首部には巨大な艦首マスト(光子帆)が付いており、シールドを張れるのが最大の特徴。
3連装主砲を艦前部に4基、並列配置で装備。舷側には、大航海時代にある海賊船の様に数多くの副砲が並んでいる。
アマール艦
アマールの主力戦艦で、パスカル艦とほぼ同型である。
しかし、パスカル艦とは違い、艦首マストを装備していない代わりに単装型(旋回可能)の大型主砲1門を艦前部に備える事で、攻撃力の強化を行っている。
パスカル艦同様、舷側に副砲群が並んでおり、対艦載機戦及び艦隊同士の乱戦時等には威力を発揮するものと思われる。
戦役
第1次移民船団殲滅
SUS艦隊と地球防衛艦隊の戦闘で、SUS艦隊は900隻(正面部隊はブルーノアのクルーの報告から明らかであるが、その直後に現れた艦隊の総数は不明であり総数は1000隻を越すものとされる)、地球艦隊は第1~第3艦隊(資料が無い為に推測に過ぎない)からなる推定200隻(劇中、ブルーノアの艦長席にある、パネルの艦隊数表記から推測)。
地球艦隊が移民船団を護衛中に、進路前方で正面と左右に展開してきたSUS艦隊によって待ち伏せされ、SUS国の存在を知らなかったため砲撃の先手を取られる。応戦を開始するもSUS艦隊に肉薄され、艦隊及び船団に被害が続出する。
旗艦ブルーノアも主砲で応戦するが、幾多も被弾し、艦載機発艦中に翼部分に砲撃を受けて翼が折れてしまい、戦闘不能に陥ってしまう。旗艦が機能を失う中、単艦で拡散波動砲で反撃する主力戦艦もいたが、戦力の差に敵わず全滅に近い被害を受ける。
結局、地球艦隊は僅かな戦艦が離脱したのみで、全滅してしまった。古代雪の乗るスーパーアンドロメダ級戦艦は自動操縦ワープで離脱。
第2次移民船団殲滅
SUS艦隊ではなく、ベルデル艦隊、フリーデ艦隊、エトス艦隊の三ヵ国軍が襲った。戦力数は不明。地球艦隊は第4~第6艦隊(これも推測)の凡そ200隻。
第1次移民船団同様、全滅してしまう。しかし後に第3次移民船団がアマールに到着した際、第一次・第二次共に少数の船団は
生き残っていたことが判明。
ブラックホール近宙会戦
ベルデル、フリーデ、エトス艦隊とヤマト以下の第3次移民船団護衛艦隊の戦闘。移民船団をアマールまでロングワープさせるために、ブラックホールを利用したワープを実行させている最中におきた戦い。
地球艦隊は第7~第9艦隊の凡そ200隻。
古代進は、左翼(ベルデル艦隊)と右翼(エトス艦隊)に地球艦隊を全て当てる一方、中央(フリーデ艦隊)に対してはヤマト単艦で挑むよう指示。数からして、地球艦隊と3ヵ国艦隊は3倍近い戦力差と見えるが、ヤマトの奮戦に触発されたかの様に、地球艦隊は粘り強い抵抗を見せる。これに気付いたエトス艦隊のゴルイ提督はヤマトへの攻撃を指示する。
フリーデ戦艦3隻がワープをしようとしている移民船にミサイル攻撃を仕掛けるも、ブラックホール中心付近にいるため、吸い込まれようとする小惑星群に阻まれ、さらに援護に来たヤマトの重爆機により失敗。
移民船団の88%近くがワープに成功した頃に、地球艦隊は後退を開始。移民船団と共にロングワープを行う。その間、ヤマトは地球艦隊の後退を援護し、さらにはまだワープをしていない移民船1隻を護るためにフリーデ、ベルデル艦隊の前に立ちふさがり、孤軍奮闘する。
その姿に感服したゴルイ提督は旗艦シーガルを僚軍とヤマトの中間に移動させて砲火を止めさせる。
結果として、ヤマトと移民船団は離脱に成功。地球艦隊は162隻(古代による、移民船護衛成功時の映像報告)全船が無事にアマールへ到着した。
惑星アマール上空戦
SUS第7艦隊とエトス艦隊の戦闘。戦力数は不明。
地球人を匿おうとするアマール国民を「処刑」するSUS艦隊に対して、ゴルイ提督は国家連合の離脱を決め、SUS艦隊と交戦を決意した。
両艦隊は正面から激突。
ゴルイ提督は、SUS戦艦を無視して旗艦マヤへの突撃を指示。メッツラー総督はゴルイ提督への攻撃を命じるが、シーガルは進路上のSUS戦艦を体当たりで薙ぎ払いつつも、旗艦マヤへの特攻に成功。しかしメッツラーは直前に脱出。ゴルイ提督は戦死し、戦闘は数分で終わる。
SUS要塞戦
SUS艦隊、ベルデル艦隊、フリーデ艦隊と地球艦隊、アマール艦隊の戦闘。
序盤戦、砲火の応酬で幕を開け、艦載機戦も加わる。
中盤戦、古代進は全艦隊による中央突破を指示する。
その最中、SUS巨大要塞では、バルスマン総司令官とメッツラーが指揮しており、メッツラーはハイパーニュートロンビームの攻撃を指示。味方が射線上にいるにも拘らず、砲撃する。
その直前に、アマール艦隊がヤマトと地球艦隊の前に立ちふさがり、旗艦のシールドにより攻撃を凌ぐが、アマール艦隊は全滅しパスカル将軍も旗艦と共に戦死する。
パスカル将軍の死と、味方をも巻き添えにしたSUS国を見たフリーデ、ベルデル艦隊は引き上げる。
ヤマトは弱点を探る中、間に合わずに第2次攻撃を受ける。回避に成功するも、地球艦隊は避けきれずに全滅し、SUS艦隊も再び巻き添えを受け損害を出す。
要塞を護るシールドであり、周りを囲む砲門にあるエネルギー供給源を、大村が特務艇信濃を使って破壊するが戦死する。6連波動砲5連射で要塞砲ハイパーニュートロンビームを5門共破壊、要塞もその余波を受けて崩壊する。
勝負は決したかに思えたが、要塞内部から巨大な潜宙艦が出現し、「次元の海」への潜行を繰り返しながらヤマトに砲火を浴びせる。
スタッフ
- 企画、原作、製作総指揮、監督:西崎義展
- エグゼクティブプロデューサー:西﨑彰司、西崎義展、中沢敬明
- 原案:石原慎太郎
- 脚本:石原武龍、冨岡淳広、西崎義展
- 絵コンテ、チーフディレクター:白土武
- 総作画監督:湖川友謙
- キャラクターデザイン:湖川友謙、国友やすゆき、高橋信也
- メカニックデザイン、副監督:小林誠
- 衣裳デザイン協力:MIHARA YASUHIRO
- 作画監督:宇田川一彦、高橋信也
- 総作画監督補佐:西田美弥子
- 演出:高山秀樹
- メカニック演出:羽原信義
- 総監修:舛田利雄
- 美術監督:竹田悠介
- 編集:坂本雅紀、西崎義展
- ナレーション:羽佐間道夫
- 音響監督:吉田知弘
- 音楽
- オリジナルスコア:宮川泰、羽田健太郎
- 交響曲ヤマトクラシック曲演奏:日本フィルハーモニー交響楽団
- 音楽監督、指揮:大友直人
- CG制作:オムニバス・ジャパン
- 制作スタジオ:ヤマトスタジオ(エナジオ)
- 製作:株式会社エナジオ、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』製作委員会
主題歌
『この愛を捧げて』
特番
『宇宙戦艦ヤマト復活篇 映画公開記念!その魅力のすべて』
2009年12月5日(TBS他、一部地域はTBS系を中心に遅れネット)に放映されたTV特番で、
映画公開記念として、アニメの簡単な歴史や、山寺宏一や高見沢俊彦、石破茂のインタビュー、
ヤマト1作と完結編の解説に、復活篇の見所などが紹介された。
ナレーションは坂口哲夫(お父さん役)と川名真知子(息子・ヒロシ役)。
成績
興行収入は米Box Office調べで4,319,940米ドル(公開当時のレートである1米ドル=90円で3億8879万4600円)。
観客動員数(興行通信社調べ)では一度もベスト10入りしなかった。公開当初のスクリーン数(233)を考えても、興行的に成功したとは言い難い結果で終わった。
この興行的失敗にはさまざまな要因が考える。
- 続編であるにもかかわらず、効果音が旧作と全く違う。(これを受けてDC版では旧作版と効果音を合わせている……のだが、こっちはこっちでヤマト以外の艦艇も一括で全部旧作効果音になってる)
- 何かとキャラを安易に死なせてしまう。劇中だけでも2名も特攻をしているうえに、1人に関しては死なせる必要あった?!というような扱いである。
- 残念なことに、このキャラを使い捨てる傾向は旧作から見られる傾向で、「ヤマトよ永遠に」では古代の最後の親族でもあるサーシャを死亡させてしまい、「宇宙戦艦ヤマトIII」ではシリーズを通して成長を見せていた土門竜介を最終話で戦死させてしまうなど、安易に感動を作り出すためにキャラの死亡描写を乱発していると思われても仕方ない状態が続いていた。そして、ついに「宇宙戦艦ヤマト完結編」では古代の親友である島大介も戦死させられてしまった。もっと言えば、この作品のためだけに設定を無視して生き返ることになったこの人もやっぱり終盤でヤマトと運命を共にすることになった。
- しかも復活篇で問題なのは、亡くなるキャラが基本的に背景を深掘りされず終いな本作初登場キャラばかりなのである。もちろん、古くからのキャラを死亡させたら大変な顰蹙を買うことは容易に予想されるが、それ以前にキャラの掘り下げがなければ感情移入なんかできるはずがないのである。というか映画作品であるため、全体的にキャラの掘り下げが少ない傾向がある。(上条了あたりはDC版で補完されてたりするが)
- 旧作から続投しているキャラクターが異様に少ない。主人公である古代進の他には真田志郎、徳川太助、島次郎、あとは一瞬だけだが古代雪の4名しかいない。しかも島次郎は旧作の少年時代とは全く造形が変わり、何を思ったか兄である大介の生写しになっている。しかもそれについて古代は何も触れていないなど、どうにも雑。
- 敵がいらんことを言ったせいで逆転というシリーズ史上でも類を見ない結末となっており、「なんでそこで言ったし」というツッコミが先に来てしまう。
- 先述の通り、本来は「地球消滅篇」「地球探索篇」「地球復活篇」ともいうべき三部作構想だったはずなので、この「地球生存エンド」は急拵えの感が否めず、なんとか生き残れる話の流れにしようとした苦肉の策感が強い。逆にDC版の「地球消滅エンド」は人によっては「こっちの方が綺麗に纏まっている」というような印象を受ける。
- この生存エンドは、先述の通り試写会に招かれた観客の投票により選ばれたわけなのだが、ちょっと待ってほしい。旧作においてヤマトは大体の作品において地球を救っている(唯一例外的なのはテレサがいなければ詰んでいた可能性が高い「ヤマト2」)。そのため、大半の観客が見たいのは「やっぱり今回もヤマトが地球を救った」という展開だというのは予想できるはずである。にもかかわらず、製作陣は今まで主流ではなかった「敗北」とも取れる地球消滅ルートで三部作構成を練りつつ、生存エンドをわざわざ作りファンに判断を仰いだ。どういうことなの……
続編
上記のように興行成績は満足のいくものではなかったが、2012年に第二作の製作が発表された。その後長く進展がなかったが、2019年11月にヤマト公式ファンクラブ「YAMATO CREW」の会報誌「ヤマトマガジン」Vol.5から、前日譚となる小説「宇宙戦艦ヤマト復活篇第0部 アクエリアス・アルゴリズム」(作者:高島雄哉 作画:梅野隆児 メカデザイン:西川伸司)の連載が開始され、今後のプロジェクトの展開を期待させる動きが出てきている。