概要
2021年9月より刊行されている宇宙戦艦ヤマトシリーズの小説。
「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズの展開の陰に隠れて長らく音沙汰が無かったオリジナルのヤマトシリーズの約十年振りとなる新作であり、またシリーズ初となるアニメのノベライズではない完全オリジナルストーリーの小説でもある。
元々は公式ファンクラブ「ヤマトクルー」の会報誌『ヤマトマガジン』で2019年から2020年にかけて連載されていた『アクエリアス・アルゴリズム 宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部』というタイトルの小説だったが、それに加筆修正が行って書籍化した。
2009年に公開した劇場アニメ『宇宙戦艦ヤマト復活篇』の前日談にあたり、『宇宙戦艦ヤマト完結編』と『復活篇』のミッシングリンクを繋ぐ物語となる。
著者は高島雄哉で、元々は彼の解釈に基づく小規模なサイドストーリー的なものが想定されていたが、最終的には将来的に作られるかもしれない『復活篇 第2部』へ向けた地ならし・呼び水としての役割を持つ壮大な物語となった。
本作の制作にあたり、世界観構築のため岡秀樹の音頭取りで「アステロイド6」という制作チームが結成されている。
- 高島雄哉(アステロイド6号、著者)
- 岡秀樹(アステロイド1号、制作推進担当)
- 梅野隆児(アステロイド7号、イラスト担当)
- 西川伸司(アステロイド5号、メカデザイン・美術設定担当)
- 我が家の地球防衛艦隊(アステロイド2号、兵器・戦略・戦術設定担当)
- さたびー(アステロイド3号、世界観・人物設定担当)
- 扶桑かつみ(アステロイド4号、地政学全般の設定考証担当)
後者の3名はアニメや小説は本業ではないが、ヤマトシリーズのファン活動を長らく続けており、シリーズに対する知見の深さに目を止めた岡氏がスカウトした。
2024年11月には、第1部「アクエリアス・アルゴリズム」に続く第2部「マリグナント・メモリー」が発売。先行して同年6月発行の『ヤマトマガジン』Vol.18にてプロローグが掲載された。引き続きアステロイド6の手により制作されるが、著者は高島氏に代わってさたびー改め塙龍之が担当する。
さらに第2部発表に際して本作が三部作構想とも明かされており、第3部も著者は別の人が担う予定とのこと。
第一作~『完結編』の出来事が随所で触れられているほか、北野哲などのアニメでは一作限りでフェードアウトしたキャラやアストロバイクなどの懐かしのメカの再登場など、往年のファンならニヤリとする要素も多い。
あらすじ
第1部「アクエリアス・アルゴリズム」
ヤマトが水惑星アクエリアスの水から地球を救うために自沈してから約12年。
アクエリアス氷球にヤマトらしき存在を確認したことを受け、古代進達は真田志郎の手引きで非公式にアクエリアス氷球へ向かう。しかしそこにはディンギルの残党軍がおり、絶体絶命に陥るが、同じくアクエリアス氷球に潜伏していた船〈氷華〉に救われる。そして、氷華に乗って古代達は氷球奥深くに眠るヤマトの残骸へ辿り着く。
一方、氷球で暗躍するディンギル残党軍は、ウルク岩盤と氷球を衝突させ、両者の構成物質の化学反応による大爆発で地球を破壊しようとしていた。古代達はディンギルの目論見を阻止するため行動する。
第2部「マリグナント・メモリー」
第1部の事件から2年後、古代進は志を同じくする仲間達と結成した「銀河難民救助隊」として、天の川銀河の人々への支援活動を続けていた。
そんな中、ボラー連邦の船団を攻撃するガルマン・ガミラス艦と遭遇する。
何者かの策略により、第二次銀河系大戦勃発の危機が迫っていた。
登場人物
原作からのキャラクター
元ヤマト戦闘班長(艦長代理や艦長も経験)。
惑星ベルライナでの紛争に介入するという事件を起こしてしまい、現在は責任を取る形で予備役になって一線から退いている。
第1部では平和を願う気持ちと軍人としての立場の板挟みで苦悩しており、そんな折にヤマトが見つかったという連絡を受け、アクエリアス氷球へ向かう。
第2部では新たに設立した「銀河難民救助隊」のリーダーとして活動する。
元ヤマト生活班長。『完結編』の後に古代進と結婚する。第1部で古代と共にアクエリアス氷球へ向かう。第2部では波動実験艦ムサシ艦長の任に就く。
古代夫婦の一人娘。11歳(第1部)→13歳(第2部)。『復活篇』時代の影のある性格と異なり、この頃は好奇心旺盛で結構な行動派。第1部時点では父親との仲はまだ拗れていない。
第1部ではアクエリアス氷球へ向かう古代達の船にパピライザーとともに密航する。第2部では地球で過ごしているが、終盤のとある出来事により父への強い不信を抱いてしまう。
アナライザーの直系の分析ロボット。語尾に「パピ」が付く。数か月前に古代家の4人目の家族として迎えられており、美雪と仲が良い。
アナライザーとは親子関係を結んでおり、彼の事の「パパ」と呼んでいる。第2部では銀河難民救助隊の一員として行動する。
古代達がアクエリアス氷球にて出会った男性。宇宙破氷船〈氷華〉に乗艦する。その正体は防衛軍の技術士官で、2年前にディンギル残党軍によって殲滅された惑星ボギーニャの生き残り。ディンギルへの復讐を願い、核融合兵器の原料となるトリチウムを集めるため、アクエリアス氷球に潜伏していた。
第2部では銀河難民救助隊の一員として行動する。
元ヤマト工作班長。現在は科学局の副長官を務める。
第1部ではアクエリアス氷球内にヤマトらしき存在を感知し、古代達に伝える。その後、アクエリアス氷球へ向かった古代達を地球からサポートする。
第2部では新たな脅威であるカスケード・ブラックホールに対応するため各所と協力して計画を進めていく。
『復活篇』でヤマト乗組員となる女性。本作第1部時点では14歳。
本作時点で既に高い能力を有しており、飛び級で大学院生になっているだけでなく、防衛軍専用ネットワークにある技術士官用の会員制ルーム「理論井戸」の管理人を務めている。
アクエリアス氷球へ降りる際に重力嵐に取り込まれた古代一行が解決策を見つけるために理論井戸に不正アクセスしたことにより古代達と接触。その後、通信が途絶した古代達の痕跡を辿っていったところ、偶然科学局にアクセスして真田と邂逅。その後「ホーマー」というコードネームで科学局に臨時雇用され、真田ともに地球に危機に立ち向かう。
第2部ではヤマト再建に携わっているほか、カスケード・ブラックホールの調査にも動向する。
かつてヤマト航海班長を務めた島大介の弟。第1部ではインターン生として科学局に勤めている。第2部では操艦の腕を買われ、ムサシの舵を任される。
『新たなる旅立ち』で登場した、元ヤマト航海班。第1部で古代達と共にアクエリアス氷球に向かう。
第1部エピローグにて森雪が艦長を務めるドレッドノート級主力戦艦の副長に就任し、第2部前半で雪から艦長職を引き継ぐ。
元ヤマト機関部。第1部では古代達と共にアクエリアス氷球に向かう。第2部では月面基地司令官に就任し、ヤマト再建に携わる。
また、本作で京塚ミヤコと結婚していたことが明らかとなり、第1部エピローグの式典では夫婦で参加している。
『新たなる旅立ち』で登場した、元ヤマトのコスモタイガー隊。第1部の3年前は古代の部下だったが、ベルライナ事件によって現在は左遷同然にステーション・シラサギに責任者として配属されている。
第1部では古代一行から連絡を受け、地球へ迫るウルク岩盤の迎撃のため出撃する。第2部では銀河難民救助隊の一員として行動する。
- 水谷英司
『完結編』で駆逐艦「冬月」の艦長だった人物。本作では戦艦「山城」の艦長で、同艦が所属する第一空間機動艦隊の次席指揮官も務める。下の名前は本作で新たに付けられた。
第1部にて開拓惑星オーダーに出現したディンギル艦隊の迎撃に出撃する。
元ヤマト航海班。現在は防衛軍参謀次長。ヤマトマガジン連載時はエピローグのみの登場だったが、書籍で出番が増加し、佐々木理雨とともに真田を補佐する。第2部では名前のみ登場。
元ヤマト戦闘班。現在は南部重工業の社長を継いでおり、第1部では最新鋭艦ブルーノアの公試航行にオブザーバーとして参加している。第2部では南部重工業がヤマト再建に協力していることが語られるが、本人は未登場。
元ヤマトのコスモタイガー隊隊長。現在はブルーノアの航空隊を仕切っている。過去作で口にしていた「まあ見ていてください」という自信あふれる台詞は本作でも健在。
元ヤマト通信班長。旧姓相原。現在は晶子と結婚して婿入りし、外務省に勤めている。
第1部では義父や妻ともどもエピローグの式典シーンにのみ登場。第2部では第二次銀河系大戦を阻止するため行動する。
元地球防衛軍司令長官。現在は隠居の身だが、いまだに各方面への強い影響力を持つ。
『ヤマトⅢ』で登場した藤堂平九郎の孫娘。現在は義一と2人で外務省に勤めている。第2部にて第二次銀河系大戦の危機を父と真田に緊急連絡する。
『ヤマトⅢ』序盤に登場した、太陽の核融合異常増進(本作では「太陽クライシス」と呼称)に最初に気付いた教授。
第2部にて登場し、地球に接近するブラックホール(後の「カスケード・ブラックホール」)の存在を観測し、真田に相談する。「カスケード・ブラックホール」という呼び名は彼が提案したものであったことが明かされる。
- 黒田博士
『ヤマトⅢ』序盤にて、サイモン教授の説を否定し、教授職からの追放にまで追い込んだ人物。
第2部にて登場。『ヤマトⅢ』での太陽制御の失敗によって失脚し、一介の研究者に戻っていたことが明かされた。それでも腐ることなく論文を作り続けており、藤堂平九郎の推薦でカスケード・ブラックホールの調査に参加する。本作でサイモンと和解し、ともにカスケード・ブラックホールの究明を行う。
元ヤマト艦医。『復活篇』同様、佐渡フィールドパークを経営している。
元ヤマト所属の分析ロボット。現在は佐渡のところで暮らしているが、第2部ではヤマト再建に携わる。
『ヤマトⅢ』『完結編』で登場した元ヤマトの主砲塔要員。第1部ではエピローグの式典にのみ登場。第2部では新生ヤマトの乗組員選定を行っており、上条に厳しい評価を下す。
『ヤマトⅢ』『完結編』で登場した元ヤマト乗組員。第1部ではエピローグの式典にのみ登場。第2部ではヤマト再建に携わっている。
後に『復活篇』で新生ヤマトの戦闘班長になる人物。
第1部ではエピローグの式典にのみ登場。第2部では宇宙戦士訓練学校の二号生で、新生ヤマトの乗組員選定にそうとは知らされずに参加するが、頭に血が上りやすい欠点によって不合格となる。
また、本作で母親と妹が登場する(なお、『復活篇』DC版にて壊滅した第一次移民船団に乗っていたことが語られており、生死不明となっている)。
後に『復活篇』で新生ヤマトの乗組員になる人物達。
第2部にてヤマト再建に携わっている。木下は徳川の副官を務める。小林と天馬兄弟は第1部でのエピローグの式典にも登場。
『復活篇』で貨物船ゆきの船員を経て、新生ヤマトの乗組員になる人物。
第1部のエピローグの式典にて登場。まだ商船学校生で、銀河難民救助隊への参加を希望したが、まだ地球で学ぶことがあるはずと諭され、商船学校に留まる道を選ぶ(その後アマールへの訓練航海に参加した模様)。
かつてヤマト艦長を務めた人物で、『完結編』においてヤマトと運命を共にした。本作では回想シーンに登場するほか……
ガルマン・ガミラス帝国の総統。第1部、第2部ともに若干出番がある。
デスラーの腹心。デスラー同様若干出番がある。
『ヤマトⅢ』にて登場したガルマン・ガミラス帝国東部方面軍総司令。ヤマトの拿捕に成功した数少ない人物。
第2部にて登場。本作では「マゼラン・エクソダス」によるマゼラン星雲への国家規模の疎開の後、天の川銀河への残留を選んだ同胞の保護を行う銀河系総督府の責任者を務めており、義一とともに第二次銀河系大戦を阻止するべく行動する。
『ヤマトⅢ』にて登場したガルマン・ガミラス帝国東部方面軍第18機甲師団艦隊の指揮官。ヤマトとの度重なる戦いの末、白鳥座のブラックホールに呑み込まれて戦死。本作では……
- ルーゲンス
『ヤマト2』『新たなる旅立ち』でモブとして登場したガミラスの将軍。
第2部でのガルマン星解放の回想シーンにて登場。
本作オリジナルキャラクター
- 佐々木理雨
科学局で真田の補佐官を務める女性。『復活篇』で新生ヤマトの艦医兼艦載機パイロットを務める佐々木美晴の姉。妹の美晴は第1部エピローグの式典シーンにのみ登場。
- 結城鋼次
- 邦枝慎吾
- 小野寺克己
宇宙破氷船〈氷華〉の乗組員で、大村と同じく惑星ボギーニャの生き残り。
第2部では銀河難民救助隊に所属する。
- 青柳倫吾
空間騎兵隊の隊長。第1部では真田の依頼を受けた太田の指令でアクエリアス氷球へ古代達の救助に向かう。第2部では銀河難民救助隊に所属する。
- 塙龍之介
第一空間機動艦隊の司令長官。勇猛果敢な性格だが、それゆえにディンギル艦隊の罠に嵌まってしまい、水谷に後を託して戦死。
- 牧敬志郎
ステーション・シラサギの航空隊副隊長。上官の坂本同様、古代の元部下。
第1部ではコスモタイガーⅢでウルク岩盤の迎撃のため出撃する。第2部では坂本と共に銀河難民救助隊に所属する。
- サルゴン
第1部にて登場する、ディンギル残党軍の首魁。かつてルガール大神官大総統の参謀を務めていた。地球への復讐を企てる。
- グティ
第1部にて登場する、サルゴンの息子。アクエリアス氷球で工作活動を行う。
- オリガ
第2部にて登場する、ボラー連邦領の惑星ブイヌイの開拓自治委員会の委員長を務めるボラー人女性。
- ヤーノシュ
第2部にて登場する、惑星ブイヌイに開拓人員として送り込まれた難民のリーダー。ガルマン・ガミラスに与せず、ボラー連邦に所属し続けたガルマン人の一人。
- キニスキー
第2部にて登場する、惑星ノヴァースの自治政府知事。かつてベムラーゼによって破壊された惑星バースの生き残りであり、バースの英雄たるラム艦長の恩人であるヤマトに好意的で、その艦長だった古代がトップを務める銀河難民救助隊の活動に協力している。
- ロジェストフ
第2部にて登場する、ボラー連邦軍の元帥。銀河系大戦時、ガイデルとは何度も矛を交え、宿敵ともいえる間柄だった。
- 〈重力思考体〉
本作の物語の裏で暗躍する黒幕(名前は第2部からで、地の文での仮称)。異次元にて誕生した、人類とは異なる生命体。
第1部ディンギル残党軍に戦力を与え、第2部ではとある男を駒にした。
その正体は『復活篇』にて登場したある人物。
登場メカ
地球
かつて地球を何度となく救った伝説の艦。
『完結編』において、地球へ伸びる水柱を自爆によって断ち切り、そのまま水の中へ沈んだ。現在はアクエリアスの水が冷え固まってできた氷球の中に眠る。
- 宇宙破氷船〈氷華〉
アクエリアス氷球にて活動していた謎の船。特殊なフィールドを展開して周囲の氷を一時的に溶かすことで、氷内を自在に移動できる。
その正体は惑星ボギーニャで開拓のために使用予定だった作業船。ボギーニャがディンギル残党軍にて壊滅させられた後、大村達を乗せてアクエリアス氷球に潜伏していた。
- 特殊救難艦〈オリオン〉
第1部のエピローグから登場する、銀河難民救助隊の母船。軍からの払い下げのパトロール艦を改装したもので、両舷に飛行甲板が新たに設置され、その下部には単独行動可能な深宇宙貨物船を2隻接合している。この貨物船はそれぞれ「ゆき」「かぜ」という名前が付けられており、2つ合わせると「ゆきかぜ」になる。また、前者は後に『復活篇』冒頭で登場した「貨物船ゆき」になる。
『復活篇DC版』に登場したヤマトの準同型艦。本作では第2部にて登場し、カスケード・ブラックホールの調査に赴く。
- 高速連絡艇
『永遠に』でヤマト乗組員が暗黒星団帝国に占領された地球からの脱出に使ったものの同型艇。
古代達がアクエリアス氷球に向かう際に使用する。古代にとってはあまり良い思い出が無いので、本艇を見た際はしばらく動けなくなった。さらに美雪とパピライザーも「スチームアイロンみたい」「ダサいかも」という感想で、古代家の面々からの評価は散々である(一番ひどい目に遭った雪が大して気にしていないのが幸いか)。
- アストロバイク
第一作にてワンシーンだけ登場した「アストロバイク」の派生機。サイドカータイプ。アクエリアス氷球での移動に使われる。
- 強襲揚陸艦〈騎竜〉
空間騎兵隊の母艦。『さらば』『ヤマト2』時代の巡洋艦を改造したもの。
- 上陸用舟艇
『さらば』で初登場した惑星降下に用いられる宇宙艇。第1部では騎竜に搭載され、アクエリアス氷球への降下に使用される。第2部ではオリオンに4機搭載されている。
コスモタイガーⅡの後継機として開発されたが、玄人向け過ぎる性能から普及しておらず、後にコスモパルサーに次世代主力機の座を明け渡すことになる。
ステーション・シラサギに配備されている3機が地球に迫るウルク岩盤の迎撃に出撃する。第2部ではオリオンに搭載されている。
地球防衛軍の主力機。ステーション・シラサギに配備されている機体がコスモタイガーⅢの護衛のために出撃する。
第2部ではオリオンにも搭載されている。
オリオンに1機搭載されている艦載機。『完結編』でヤマトに搭載されていたものと同一で、ヤマト自沈の折に運び出されていた。
第一作にてガミラスのドメル将軍が用いた兵器。技術供与によって地球が開発したものが登場し、ウルク岩盤の迎撃のためにコスモタイガーⅢに搭載される。
『完結編』時代の戦艦。現在ではスーパーアンドロメダ級などの新型艦の登場によって旧式扱いとなってはいるが、現在でも一線に配備されている。第一空間機動艦隊の次席指揮官である水谷が艦長を務める「山城」などが登場、
『復活篇』時代の主力艦。第一空間機動艦隊の旗艦である「ベテルギウス」などが登場。
『復活篇』時代の主力艦。森雪が艦長を務める「ディアナ」などが登場。
- 戦略戦闘空母〈ブルーノア〉
地球防衛軍の次期総旗艦となる予定の最新鋭艦。第1部では公試航行中。
地球防衛軍の新型戦闘機。ブルーノアに試験飛行隊として搭載されている。
- 中型雷撃艇
『ヤマト2』や『ヤマトⅢ』で登場した雷撃艇。本作では惑星ボギーニャに配備されている機体が登場。
- 多弾頭砲
『さらば』『ヤマト2』でテレザート星の地上戦で用いられた兵器。氷華に積まれているものが少し登場。
『永遠に』で初登場した波動エネルギーを封入した実体弾。本作ではヤマトの波動エンジンのスターター代わりに使われる。
第一作のラストでヤマトをデスラー砲から守った特殊装備。波動砲を反射できるというその性質を応用し、即席の波動砲身の作成に使用される。
また、過去作でロクに登場しなかった理由付けとして、製造工程が極めて繊細なため大量生産できず、現在でも最重要拠点にしか配備されていないと説明されている。
ディンギル残党軍
- ウルク岩盤
ディンギル帝国の拠点だった都市衛星ウルクの残骸で、ディンギル残党軍の拠点。
その構成物質はかつてアクエリアスの水との反応によって爆発したディンギル星のものと同じであり、残党軍はこれをアクエリアス氷球にぶつけて地球を爆破しようと目論む。
ディンギル残党軍の巨大戦艦。地球連邦の開拓惑星オーダーへ強襲する。
ブラックホール砲を装備した「ガルンボルスト改」も存在する。
- 中型戦艦
「カリグラ級」とも称されるディンギル残党軍の戦艦。地球連邦の開拓惑星オーダーへ強襲する。
ディンギル帝国の地上戦用馬型ロボット。アクエリアス氷球で残党軍が使用する。
- ディンギルチャリオット
2機の一人乗り攻撃型円盤に載せた小型化したニュートリノビーム砲を4機のロボットホースで牽引する、名前の通りチャリオットのような外見の兵器。アクエリアス氷球で使用される。
- 水雷艇
ディンギル帝国が保有したハイパー放射ミサイルを搭載した水雷艇。本作では残党軍が惑星ボギーニャでの大虐殺に使用した。
- 小型戦闘機
ディンギル帝国の主力戦闘機。ウルク岩盤の迎撃に出撃したコスモタイガーⅢを襲撃する。
また、ボギーニャの大虐殺では、狩りをするように人々を撃ち殺していった。
- 大型戦闘機
ディンギル帝国の主力戦闘機。ウルク岩盤の迎撃に出撃したコスモタイガーⅢを襲撃する。
- 岩石ロケット
かつてウルクの岩盤の一部を構成し、ウルク崩壊時の脱出に使われた小型艦。小惑星にウルク岩盤の迎撃に出撃したコスモタイガーⅢを待ち伏せ、強襲する。
ボラー連邦の決戦兵器だが、何故かディンギルがガルンボルストに装備して運用。
その性能はボラー謹製のものより遥かに強力であり、上記の小型化したニュートリノビーム砲ともども根無し草のディンギルが開発・製造など到底できるものではなく、彼らの裏にいる存在を窺わせた。
ガルマン・ガミラス帝国
- 銀河系総督府
『ヤマトⅢ』にてヤマトを拿捕した東部方面軍前線司令部が新たな役割を与えられたもの。
- 円盤形白色旗艦
『ヤマトⅢ』にてダゴンが最後に乗っていた艦の同型艦。
ボラー連邦
- ゼスパーゼ級機動要塞〈ゼスポール〉
『ヤマトⅢ』にて登場した機動要塞ゼスパーゼの同型要塞。
ガルマン・ガミラス廃棄兵器群
銀河交叉による混乱の折に廃棄されたガルマン・ガミラスの兵器。
- 大型戦闘艦
第2部にてボラー連邦を襲撃した艦。何故か本来よりも性能が低く、さらに艦内は人間が活動できる環境になっていないが、その理由は物語後半で明かされる。
- 惑星破壊プロトンミサイル
ガルマン・ガミラスの戦略兵器。
- ハイパーデスラー砲艦
本作オリジナルメカ。銀河系大戦当時にガルマン・ガミラスが対ゼスパーゼ級用として開発した新兵器。
登場勢力
- 地球連邦
銀河系の辺境にあったことから銀河交叉の影響をほぼ受けておらず、ディンギル残党軍によるテロは起こっているものの、かつてのような人類存亡レベルの危機に晒されることもなく、惑星開拓などで成長を続けている。
ガルマン・ガミラス帝国とは友好関係が続いており、同国が後述の移民計画「マゼランエクソダス」を実行した際には、移民支援と残留希望者の保護を、資源星系の譲渡を対価に託される。
- 銀河難民救助隊(インターステラーレスキューネットワーク)
第1部の事件の後、古代が結成した非政府・非営利組織。星々を巡り、銀河交叉の影響で苦しむ人々を救援するために活動する。
- ディンギル残党軍
『完結編』において、母星を失ったことで地球への移住を目論み、「アクエリアス事変」を引き起こしたディンギル帝国の残党。地球とガルマン・ガミラスへの憎しみから、彼らの領域内でのテロ活動を続けている。
本作では過激派宗教テロ組織のような存在になっており、彼らの信じる神の御許へ行くため、地球を浄化と称して破壊しようと目論む。
『ヤマトⅢ』においてデスラーがガミラス人とガルマン人を合一させて建国した星間国家。
銀河交叉によって壊滅的被害を受けたため、ボラー連邦と休戦したうえで、2205年に国家中枢をマゼラン星雲へと移す大疎開計画「マゼランエクソダス」を立案・実行し、銀河系から事実上撤退しており、現在は残留希望者の保護を行う銀河系総督府を置いているのみ。
第1部では古代達が現状について語っている程度で出番はほぼ無いが、第2部ではより深く物語に関与してくる。
銀河系の一翼を支配する巨大星間国家。
銀河交叉の後でガルマン・ガミラスと休戦し、復興に注力しているが、全盛期ほどの国力は無くなっている。第2部では復興が進み、徐々に影響力を取り戻してきているが、政治体制は一枚岩ではなく、対ガルマン・ガミラスの姿勢一つとっても強硬派と融和派に分断されている。
地球連邦やガルマン・ガミラスとは正式に国交ができており、それぞれの駐ボラー大使も存在する。ただ、やはりガルマン・ガミラスとはあくまで「休戦」という状態のため関係はシビアであり、ガルマン・ガミラスの友好国である地球連邦ともお互い準敵性国家という立場になっている。
ちなみに第2部にてガルマン・ガミラスに与しなかったガルマン人もいることや、ボラー連邦で2番目に人口が多い民族であることが判明した。
大ウルップ星域に誕生した新興の国家連合。〈重力思考体〉に国家中枢を乗っ取られることで弱小国から軍事強国へ急成長したSUSが周辺国家を束ねることで結成された。第2部終盤でアマールが加入している。
第2部時点ではまだボラー連邦に対抗できるほどの力は持っておらず、そのことが第2部の事件の間接的原因になる。
用語
- 銀河交叉
『完結編』冒頭で起こった大規模災害。銀河系に異次元から出現した銀河が交差し、多くの星々が壊滅的被害を受けた。さらにこれによって発生した「多重衝撃波」は今後数十年かけて広がっていく見込みとなっており、現在進行形で続いている災害となっている。
銀河系大戦真っ只中のガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦も大打撃を受け、皮肉にも両国が休戦する理由になった。2215年でもまだ災害の混乱は続いており、大規模な国家間戦争こそ起きていないが、テロや民族紛争が多発している。
- アクエリアス事変
『完結編』にて起こった、水惑星アクエリアスの接近によって地球が水没の危機に陥った事件のこと。
ヤマトが自爆することで断ち切ったアクエリアスの水は、その後宇宙空間で球体の状態で凝固して「アクエリアス氷球」と呼ばれる地球第2の月となった。
- 銀河系大戦
『ヤマトⅢ』にて繰り広げられていたガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の星間戦争。上記の銀河交叉の影響で2205年に休戦した。
- 惑星ベルライナの悲劇
2212年に起こった事件。別名「ベルライナ事件」。惑星ベルライナでガルマン系住民とボラー系住民の間に内戦が勃発。ガルマン人の移民支援のためにベルライナにやってきていた地球艦隊は、ガルマン・ガミラスとボラーの休戦協定に抵触することを避けるため手出しできないでいたが、指揮官であった古代が人命救助のため命令違反覚悟で惑星に降下。しかし、降下した時には既に犠牲者は膨大な数に上っており、住民を救うことができなかったばかりか、古代の行動が協定違反として国際問題になりかける。結果、古代は責任を取らされる形で予備役に回され、彼の部下達も左遷された。
- ボギーニャの大虐殺
2213年にディンギル残党軍によって起こされた事件。地球連邦の開拓惑星ボギーニャがディンギル残党軍に襲撃され、ハイパー放射ミサイルによって10万人いた住民のほぼ全てが虐殺された。
- 氷球事件(アクエリアスショック)
第1部の事件に対する第2部での呼称。
舞台
- アクエリアス氷球 / アクエリアス氷塊
アクエリアス事変によって誕生した地球第2の月。
当初は球体だったが、氷球事件の際に大きく形が崩れ、アクエリアス氷塊と呼ばれるようになる。
- 惑星ベルライナ
上述のベルライナ事件が起こった惑星。所属する国家は不明だが、ボラー連邦にガルマン人がいるという第2部の描写からするとおそらくボラー連邦領と思われる。
- 惑星ボギーニャ
地球連邦の開拓惑星。グラジウムと呼ばれる鉱物の採掘のために開拓されていた。上述のボギーニャの大虐殺が起こる。
- 惑星オーダー
銀河系最外縁に位置する地球連邦所属の開拓惑星。氷球事件の際にディンギル残党軍の艦隊が襲撃してきたため、地球艦隊とディンギル艦隊の戦闘が勃発する。
- 惑星ブイヌイ
第2部で登場する、ボラー連邦領の開拓惑星。地球から約6万光年の距離にあるスラプチ恒星系第8惑星。
鉱物資源のため開拓されていたが、労働力強化のため人道支援と称して大量のガルマン系難民が送り込まれ、さらに直後に人工太陽が故障したことで深刻な食糧不足に陥り、両民族が一触即発の状態になっている。
- 惑星ノヴァース
第2部で登場する、ボラー連邦領の惑星。ボラーの新首相が前任のベムラーゼに対する批判により支持率を得ようとして行った政策の一環として、母星を失ったバース人に与えられた新たな母星。
古代進とヤマトに対して好意的であり、銀河難民救助隊のボラー連邦領での活動拠点となっている。
- 惑星ホルツ
第2部で登場する、旧ガルマン・ガミラス領のザクト星系第7惑星。ガルマン・ガミラスの大規模な基地が存在したが、銀河交叉の際に主星が大爆発を起こしてしまう。
- ノルド三連星団
第2部で登場する、ボラー連邦領の星団。2つの恒星と1つのブラックホールで構成される。
ボラーの大規模根拠地が置かれている。
- UGR / カスケード・ブラックホール
『復活篇』で登場した移動性ブラックホール。本作では第2部で登場。当初は「UGR」と呼称されていたが、後にサイモン教授によって「カスケード・ブラックホール」と名付けられた。
1つの巨大なブラックホールの周囲に6つの小ブラックホールが公転しているという特異な構造をしており、中心のブラックホールの重力を周囲の小ブラックホールが歪曲させることで、重力が特定方向へ指向されるようになっている。そして、このように重力子が一定方向へ照射されることによってロケットのように移動している。