概要
宇宙戦艦ヤマトシリーズのテレビスペシャル『宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち』と映画『ヤマトよ永遠に』に登場した、二重銀河という巨大銀河団を支配領域に持つ星間国家。
指導者は聖総統スカルダート(グレートエンペラー)。
今のところヤマトシリーズにおいて地球の制圧に成功した唯一の星間国家である(※)。
初登場となる『新たなる旅立ち』では、前日談ということもあってか詳細な設定は描かれておらず、ほとんどの設定は『永遠に』で追加されたものである。
また、アニメでは登場媒体がテレビスペシャルと映画という尺が短めの物のためか、ストーリーに関わる部分以外はあまり国柄を深掘りした設定が無かったのだが、PlayStation2ゲーム「暗黒星団帝国三部作」でさらに多くの設定が追加された。
※ ただし地球は白色彗星帝国との戦いで戦力が疲弊しきった状態で万全には程遠かったので、万全な状態の地球艦隊と暗黒星団帝国艦隊が戦った場合は普通にマルチ隊形からの拡散波動砲で終わってたのでは?という意見もある。
ただ、敵側は後述の重核子爆弾を使った奇襲によって瞬く間に各惑星基地を壊滅させており、残った艦隊戦力である無人艦隊も即応性の低さをついて翻弄したうえにコントロールタワーを破壊して自滅させるなど、そもそも地球側にまともな対応策を考える暇を与えない戦略を取っているので怪しいところ。例え万全の戦力を揃えていても重核子爆弾によって動かす人間がいなくなれば単なるガラクタの山である。この場合、重核子爆弾の奇襲を防げるか否かがターニングポイントだろう。
特徴
殆どの男性がスキンヘッドで、一部頭髪がある者もいるが、地毛なのかは不明。『新たなる旅立ち』だと肌の色が明るいグレーで、肌とほぼ同じ色をした無地のぴっちりスーツを着ているため、ぱっと見だと上半身裸マントの変態集団のように見える。『永遠に』では肌色が薄水色になったのに加え、服のデザインと色も大きく変わったのでそのようなことはなくなった。
目が特徴的で、強膜(白目)部分が青く(黒白目ならぬ青白目)、目の周りが黒く縁どられている。
最大の特徴は、頭部以外の身体をサイボーグ化している事である。彼等は機械文明が発達し過ぎた結果、人間の脳以外を全て機械に置き換えることに成功したが、生命力は逆に低下してしまい、種族としては滅亡寸前になっていた。地球に来た目的は新鮮な肉体を得る事であった(序盤に登場する地球の無人艦隊は「発達し過ぎた科学」の伏線である)。
暗黒星団帝国で使用している物質は、波動エネルギー(より詳しく言えばタキオン粒子)と反応すると大爆発する性質がある。その為に波動エンジン搭載艦であるヤマトを執拗に狙った(この時期の地球防衛軍は全て波動エンジン搭載艦なのだが何故かヤマトにしか注意が行ってない)。
主な人物
- 聖総統 スカルダート
- 聖総統側近 サーダ
- マゼラン方面軍総司令 メルダーズ
- マゼラン方面軍第1艦隊司令 デーダー
- 地球占領軍総司令長官 カザン
- 地球占領軍技術部情報将校 アルフォン少尉
- 浮遊要塞総司令 グロータス
- グレートエンペラー
ゲームオリジナル
主な登場兵器
艦艇や要塞はどちらかと言うと防御力に特化しており、巨大戦艦や空母にはヤマトの主砲にも耐える程のバリアが装備され、自動惑星ゴルバ等はデスラー砲(波動砲)の直撃にも耐え得る。
- 重核子爆弾
爆発すると特定の生物の脳だけを破壊するエネルギーをまき散らすというヤマトシリーズでも悪辣な兵器。宇宙船としても機能しており、周囲に展開したバリアでミサイルを弾くことが出来る。更に爆弾本体とデザリアム星にある起爆装置両方を解体しなくては止まらないという鬼畜仕様である。
また爆発しなくても内部から指向性のエネルギーを放射することが可能で、確認されているだけでも進路上に在った冥王星基地、海王星トリトン基地、天王星チタニア基地、土星タイタン基地、木星ガニメデ基地、火星基地、といった地球の重要拠点の基地要員及び迎撃に出た艦隊の乗組員たちは、何の抵抗もできずに皆殺しにされている。
劇中でさっさと爆破しなかった理由は、地球人を一箇所に集めてから爆破しないと、肉体を全部回収する前に死んでしまうからという見解が多い。
なお、ゲームでは真田さんやトチローも「作ろうと思えば作れる」らしい。
(ちなみに『宇宙戦艦ヤマト2199』漫画版では何とコミックス未刊行部にて地球製の同種兵器が登場。イズモ計画の最終段階にて地球本土へ攻めてきたガミラス軍を道連れに地球人類を安楽死させる予定で配備されていた。)
艦艇
基本的に戦闘艦艇の類は、円盤型の船体に高く聳える艦橋構造物という共通した特徴がある。
- 巨大戦艦プレアデス
『新たなる旅立ち』での中ボス的存在。3連装主砲2基、同副砲1基と他の暗黒星団帝国艦同様に砲門数は少ないが威力でカバーしている模様。防御力もヤマトのショックカノンを物ともしないほど優れたており、そして艦載機も多数搭載しているという結構優れた艦。
マゼラン方面軍第一艦隊旗艦としてガミラス艦隊を圧倒し、さらには駆け付けたヤマトに対しても個艦性能の高さに加え、艦隊司令のデーダーによるイスカンダルを背にした波動砲封じの戦術によって苦戦させる。しかし、イスカンダルが再び暴走を開始したことで一瞬の隙が生じてしまい、そこを突いたヤマトの波動砲攻撃で撃沈されてしまった。
- 巨大戦艦ガリアデス
『永遠に』に登場するプレアデスの同型艦。地球制圧艦隊の旗艦だが、暗黒銀河に向けて旅立ったヤマトを追って地球から戻ってきて追撃してきたものの……
……決着がつかないまま映画が終わっちゃったけど、どうなったんだろう。
(※漫画版やシナリオ段階ではゴルバ型浮遊要塞群の誘爆に巻き込まれ消滅している。完成版ではカットされてるので宇宙のどっかで迷子のままと考えても自由だが。)
- 巨大宙母
中間補給基地に係留されていた宇宙母艦。白色彗星帝国の高速中型空母同様に艦中央部が滑走路になっている。何気に相当でかい艦種だが、戦闘シーンがないままヤマトの艦載機で撃沈されてしまったのでなんか影が薄い艦。
- 護衛艦
暗黒星団帝国で最も多くを占める比較的小型の艦艇。ぶっちゃけ有り体に言えば雑魚。
十把一絡げに主砲やミサイル(ひどい時にはパルスレーザー機銃)で薙ぎ払われるのが役目。
艦種が役割で分類されている「ヤマト」シリーズの敵艦艇としては珍しい種。
- 巡洋艦
……そんなの居たんだ。
配備数が少ないのと劇中出番が少ないのと少ない出番中クローズアップされることがなかった3コンボではっきり言って存在感は薄い(というかたぶん予備知識無しだといることに誰も気付かない)。だからあんまり紹介文に書くこともない。
要塞
侵攻用の移動要塞。原案では小惑星サイズだったのでこの名前だが、劇中では結局700メートルに落ち着いた。おかげで自動惑星の名が誇大広告になってるぞ、JAROを呼べ。JAROを。
豊富な火力に加えて表面に展開する特殊なフィールドでデスラー砲も無力化してしまう。ゲーム版では実体弾には弱いという設定が追加された。
しかし「永遠に」の描写と照らし合わせて考えると装甲は堅牢ではあるが本来波動エネルギーに弱く、フィールドコーティングの内側に波動エネルギーが届いていればひとたまりもなかったという可能性が……
- ゴルバ型浮遊要塞
黒色星雲内に罠を張ってヤマトを迎撃した「ゴルバ」の量産品。一応前作ラスボスなのにこの降格か……
「ゴルバ」から約1.5倍程大型化したうえに、7基も登場、インフレ感がすごいことに。
しかし、真田さんが用意していた波動カートリッジ弾が開口中の空間重魚雷発射口にまさかのナイスイン、内部から大爆発を起こして爆散。さらにもう1基(直前にヤマトが盾にしたやつ)も同じように喰らい爆散(喰らったのが発射口でなければ…という希望も打ち砕くようにこっちは普通に装甲を破っている)。あげくの果てこの2基からの誘爆で7基全てに被害が及びすべて爆散、消滅してしまった(コーティングはどうした?してなかったのか?)。かくてかませ犬感もすごいことに。
- 中間補給基地
※右はゲーム版
黒色艦隊が地球攻略のためデザリアム本星との中間点に配備していた移動要塞。白基調の塗装が特徴的だが、おかげですごく目立つ。もしかして色のせいで見つかったのでは?
これの攻略場面は『永遠に』におけるコスモタイガーの貴重な見せ場。BGMも金田伊功氏の動画も相まって名シーンとの呼び声も高い。(逆に言うと、この映画ここ以外碌に評価点が…)
- 浮遊隕石
本星の防衛用に巨大砲を付けた隕石(もしくは隕石自体人工物か?)…しかし劇中では「だから何だ」という程度の存在感。
特殊艦艇(仮)
- 黒色戦艦グロデーズ
デザリアム本星を防衛する聖総統直属艦隊の旗艦(配下に同型艦多数)。他の艦艇とは明らかに違うフォルムが目を引く。図体はでかいが通常兵装は高威力だが固定エネルギー砲だけで数が少ない……が、必殺兵器・無限ベータ砲を持つので戦力は十分、いや十二分以上。ちなみに専用BGM持ちで、名曲ぞろいのヤマトBGMとしても何気に神曲との声も高い。
……しかし無限ベータ砲は聖総統の自信満々ぶりも空しく艦隊で斉射しておきながらヤマト一隻の新波動砲に押し負けて壊滅(あと∞β砲を装甲内格納式にしたのも失敗だった。開けた砲格納部から波動エネルギーが完全に艦内に入り込む結果になってしまっている)……こけおどしやんけ。そしてデザリアムの陣取る地球を巻き込む大惨事に至る……
ゲームでは汚名を雪ぐレベルに強化されたが、やっぱり最後は波動砲に負けた(一応こっちの場合は1隻だけなうえに競り合って負けているが)。
- 作業母艦 ほか
『新たなる旅立ち』序盤でガミラシウム採掘に使用されていた艦。本艦含めエネルギー採掘用艦艇はオレンジ基調の塗装。
- 巨大輸送艦
『永遠に』冒頭で地球に降下部隊を投下した揚陸艦。航空機も搭載し充実の装備。
艦艇(ゲームのみ登場)
- 戦艦
地球防衛軍で言うところの主力戦艦に相当する艦艇。各種ステージで艦隊旗艦として配備されている。
- 駆逐艦
- 狙撃戦艦
超長射程を誇る主砲を搭載した特殊な戦艦。その主砲は「狙撃戦艦」の名の通りやたら射程が長く、レーダーの索敵範囲外から一方的に攻撃が可能。移動能力は劣るようだがバリエーション艦として高機動タイプも存在する。
- 大型主力空母
- 戦闘空母
- α砲艦
ゲームにおけるゴルバの主砲「α砲」を搭載した特殊艦。必要最低限の機能だけのドラスチックなデザインだが、これは実験艦という設定のため。
- 輸送戦艦
資源を詰めるタンクを艦後部に担いでいる輸送艦。やたら硬い。ガミラス星に墜落して星を爆発させた。
航空機
- 円盤型戦闘機
暗黒星団にしては派手な塗装の戦闘機。「永遠に」では後継機が登場…予定だったが登場せず。
- イモ虫型戦闘機
主翼がないのが特徴的。どんなテクノロジーで飛んでいるのだろう。迎撃機らしいが劇中描写はどちらかというと対艦攻撃機。
- 新イモ虫型戦闘機
イモ虫型戦闘機の後継機だが設計思想が全く異なる。機体上部の単装砲が目を引く。
- 戦闘ヘリ
ゴルバに搭載される大型の戦闘艇。どの辺が「ヘリ」なのかはよくわからないが……
ゲーム版では「テンタクルズ」という無人戦闘艇に置き換えられている。
- 戦闘爆撃機
『永遠に』で地球を猛爆した爆撃機。何と戦闘ヘリより更に大きい。デカさで有名な白色彗星帝国のデスバテーターよりもでかい。暗黒星団帝国の航空機はかなり極端な二極化が進んでいる模様。
陸戦部隊/兵器
- 掃討三脚戦車
地球攻略に投入された兵器の一つで、名前の通りの多脚戦車。ひょろひょろした見た目だが意外と頑丈で、コックピット部に地球戦車の攻撃にビクともしなかった(なんでいかにも脆そうな脚の付け根を狙わない……)。
なぜか他のメカを差し置いて商品化された。
- パトロール戦車
地球の都市制圧に使われた戦車で履帯ではなく巨大なチューブレス特殊タイヤで行動する。
掃討三脚戦車と同じく他のメカを差し置いて商品化された。当時のバンダイは何を考えていたのか……
- 降下兵
地球の制圧に降りてきた歩兵部隊。ストームトルーパーみたいな見た目の連中。
よほどステルス性が高いのか、レーダーよりも先に目視で発見された。
イナゴのごとく大量に現れ、自動小銃で戦車を破壊するなどかなりヤバイ戦力を持つ。地球上の拠点を尽く制圧していった。
劇中の活躍
存在が発覚した「新たなる旅立ち」の時点で、他の星間国家(どんな国かは不明)と戦争中であり、資源を求めてデザリアム本星から約57万光年も掛けて大マゼラン星雲まで遠征し、無人となっていたガミラス星のガミラシウムを狙った。
ガミラス星が爆発してしまったのでイスカンダルを狙い、これを守るべく立ちはだかったヤマトとガミラス艦隊を切り札である自動惑星ゴルバで窮地に陥れるが、イスカンダル星の自爆に巻き込まれて採掘船団は壊滅する。
イスカンダル戦で地球の存在を知ったのか、今度は地球人の新鮮な肉体を手に入れるべく侵攻を開始。手始めに送り込んだ重核子爆弾によって、太陽系内の地球防衛軍の基地要員を全滅させて、禄に抵抗が出来なくし、無人艦隊もあっさりと片付けて地球を占領する。
しかし、ヤマトを取り逃し(ゲーム版では演習に出ていた第7艦隊も)、更に地上では地球防衛軍残党や有志の集まったパルチザンによる抵抗に悩まされる。
最終的にデザリアム星は二重銀河ごとヤマトに破壊され指導者層は全滅。地球の侵攻部隊も撃退されて、国家は壊滅した(残党の有無は不明)。
リメイク版では
『新たなる旅立ち』のリメイクである『宇宙戦艦ヤマト2205』にて登場する。
「デザリアム」が勢力名としての正式名称になった。
詳細はデザリアムの記事にて。
余談
国名
ガトランティスという正式国名がある白色彗星帝国とは異なり、原典シリーズでは片仮名の国名が無い。
本星の名前がデザリアム星のため、「デザリアム帝国」と言う人も稀にいるが、勢力名として「デザリアム」が公式で用いられ始めたのはリメイク版である『宇宙戦艦ヤマト2205』以降なので注意。
ちなみに構想段階では「ウラリア」もしくは「ボルガッチェン」という名前があった。
モチーフ
ナチス・ドイツをモチーフにしたガミラス、アメリカをモチーフにしていると云われる白色彗星帝国、ソビエト連邦をモチーフにしたボラー連邦、メソポタミアの古代国家をモチーフにしたディンギル帝国と、モチーフ元の国家が(公式に明言されてるかは別として)割と分かりやすい他の敵勢力と違い、暗黒星団帝国のモチーフは明らかになっていないが、一説には帝政ロシア、即ちロシア帝国がモチーフとも言われている。
なにせ上記の通り『新たなる旅立ち』構成案での国名が「ウラリア」なうえ、キャラ名も「ガボーチン」とか「ガボフ」とか「フルチョン」とかどことなくロシアっぽい感じであり、極めつけは国家元首の名前が「スタリーノフ帝王」という結構ド直球なものである。
ただ、これはあくまで『新たなる旅立ち』の時の話。次作である『永遠に』ではスタッフのいざこざで前作の要素があまり引き継がれておらず、暗黒星団帝国もイメージ的には割と別物になっている(概要で書いた通り元々『新たなる旅立ち』の時は全容をぼかしていたというのもあって)。
『永遠に』の暗黒星団帝国のモチーフはどちらかというと『銀河鉄道999』などに代表される機械帝国の類と思われる。(※)
デザイン面に関しては、掃討三脚戦車のデザインや円盤形状の艦艇などを見るに、古典的な「宇宙人」そのもののイメージもモチーフと考えられる。
※2013年に出版された銀河鉄道999の続編に位置付けされている小説版「アルティメットジャーニー」では、エピローグで「『闇の宇宙』の存在に気づいた女王プロメシュームが、闇の侵攻にも対抗し得る肉体を得るために機械化政策を推し進め、その最中に時空遡行を行なってデザリアム文明を精神同化し機械化させた」というとんでもない経緯が明かされた。該当作の作者は和智正喜氏ではあるが、松本零士本人が監修しているため、確信犯だと考えられる。