概要
「アルティメットジャーニー」とはSF漫画「銀河鉄道999」の続編である。
なお、同じ「アルティメットジャーニー」を冠するが細部がかなり異なる小説版と漫画版がそれぞれ存在するため、本記事では小説版と漫画版についてそれぞれ解説する。
小説版
正式名はノベライズGALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY。上下全2巻。
著者は和智正喜氏、「999」シリーズの原作者である松本零士氏は「原作・総設定・デザイン・監修」としてクレジットされている。発行所はグライドメディア。2012~13年にかけて発売。
和智氏曰く、「本来製作予定だったエターナルファンタジー(映画第三作)の続編の構想・シナリオをもとに作成した作品」とのこと。間に何個か氏独自のシナリオを加えたらしいが、大筋は松本氏の筋書きにできるだけ忠実に制作された。なお、独自のプロットというのは「惑星ニュー・タイタン」と「漆黒のファンタズム」の二点らしい。
時系列的には「劇場版 銀河鉄道999」→「さよなら銀河鉄道999」→「エターナルファンタジー」の流れになっていて、鉄郎の一人称も「俺」なので、原作の派生とも旧劇場版二作品の派生とも読み取れる内容になっている。
内容
簡単にいうと、「消滅した地球を救うため終着駅アルティメータ星系エターナルに向かう鉄郎とメーテル」と「彼らがエターナルに至るまで妨害するメタノイド等侵攻軍を迎え撃つ銀河連合軍」の二つの視点を行き来する長編SF。なお、後者については下巻で侵攻軍と銀河連合軍の総力を上げた艦隊決戦が行われる関係上、下巻では連合軍側の描写が一気に増える。
また、特筆すべきは登場する松本零士作品のキャラクターの多さ。「銀河鉄道999」劇場版などでレギュラー出演しているエメラルダスやハーロックはもちろん、ガミラス(劇中ではネオガミラス帝国)からはガーノン・デスラー総統、さらには「新宇宙戦艦ヤマト」からGヤマト以下初代ヤマトの子孫のクルーたちに加え、各作品に登場する敵対勢力が総出で銀河防衛のため参加するほか、鉄郎護衛のため「惑星ロボダンガードA」や「SF西遊記スタージンガー」のキャラが投入される、ついには松本零士版「ニーベルングの指環」に登場するヴァルハラの神々が連合軍側に参戦するなど、とんでもない量のキャラクターが出てくる。実質松本作品スターシステムにおけるこれと言っても過言ではないだろう...
主な設定の変更点など
結構重要な設定などが独自にアレンジされている。以下列挙。
- 基本的にはエターナルファンタジーの続編なのだが、機械化帝国側のキャラクターにゲーム「松本零士999」のオリジナルキャラクターであるジェイド卿について言及する人物がいる。
- 機械化帝国はエメラルダスの宿命星であるエスメラルダにて存続している設定。その関係で機械化帝国の首脳陣などでオリジナルキャラクターがかなりの数生まれている。なお宿命星が自身と人格を共有する分身体という設定は無くなっている模様。
- Gヤマト(新宇宙戦艦ヤマトで登場した3199年の宇宙戦艦ヤマト)の乗組員は基本的に「(初代乗組員の名前)32世」という名前だったが、本作では古代将や森(古代)膤など初代の名前をもじった表記に改められている。
- デスラー総統にはガーノンというファーストネームが、また彼の副官であるタランにもベルトというファーストネームが与えられている。また、「大ヤマト零号」に登場した銀河の英傑である総統ガイラーはデスラーの従兄とされており、デスラーからも「兄者」と呼ばれている。
- 公開時さまざまな議論が交わされた「大ヤマト零号」だが、本作では連合軍総旗艦である超時空戦艦まほろばが別次元宇宙(?!)における秘密任務を遂行する際のカモフラージュ装備だったことが判明。これは、本作発売時には同まほろばを主役にした「CosmoSuperDreadnoughtsまほろば」というアニメの制作が予定されており、それに先行して登場する形を取ったと思われる。
- ...のだが、これ以降、「CSDまほろば」制作に関する音沙汰はふっつりと途絶えてしまった。無念。ちなみに「惑星ロボダンガードA」については本来「CSDまほろば」本編で登場する予定だったものが先行登場した形だった。加えて、同作に登場するアンドロメダの流れを汲む戦艦「凌駕」も先行登場しただけあって、「CSDまほろば」の制作中断はファンにとって悲しいものとなった。
- 「わが青春のアルカディア」および「無限軌道SSX」でハーロックたちと対立したイルミダス帝国の元首たるザルファス皇帝が登場。なお、その際に、「宇宙戦艦ヤマト」に登場した白色彗星帝国がイルミダスから追放された科学者であるズォーダーにより建国された、ある意味イルミダス帝国の分派であることが判明した。
- 最終盤でなぜプロメシュームがあれほどまでに強引に機械化を進めたのか?と言う疑問に対する答えがひとつ出されている。なお、その過程で種族単位で洗脳化され強制的に機械化されてしまうというとばっちりを受けた文明もあったということが判明した。それが巡り巡って地球を危機に陥れたと考えるとなんとも言えないものがある...。
- なお、プロメシュームが「闇の宇宙」の存在を知った原因と作中で語られている1000年前の異なる時空の銀河との交差とは、作中でそうだとは明言こそされていないが、十中八九この作品冒頭で起きたあの大事件のことだろうと考えられる。
- メーテルの本名(称号?)が語られている。メーテル・プロメシューム3世である。
- ちなみに母プロメシュームの本名はラー・アンドロメダ・プロメシューム2世。プロメシュームはファミリーネームというより称号に近いのだろか?
- この名前になったのはメーテルがプロメシューム女王の座を継いだことによる。長女のエメラルダスが継いでいたらクイーン・エメラルダス・プロメシューム3世が誕生していたと思われる。
- 2021年に発刊された復刻版は大人の事情かヤマト絡みが一切登場しないシナリオでリライトされている。
漫画版
正式名は『銀河鉄道999 ANOTHER STORY アルティメットジャーニー』。こちらは島崎譲氏が描いた漫画版。こちらでも松本氏は「原作・総設定・デザイン」としてクレジットされている。チャンピオンRED誌にて2018年5月号から連載中。2022年9月号掲載の第47話をもって作者体調不良のため休載に入り、そのまま原作者の松本零士が逝去したことにより再開目処が立たない状態となっていたが、2024年12月号より連載を再開。なお、和智氏による小説版のコミカライズというわけではないのでご注意を。「ANOTHER STORY」が付いているのは、本家のエターナル編が並行して連載中であったことから。
連載当初は「世界中から大反響!」のコピーが多用されており海外展開を見据えていたようだが、他言語版が出版されることはなかった模様。
- 電子版は色々あるようだが正規品なのか勝手翻訳なのかは不明。少なくとも韓国語版はAKコミュニケーションズから正式にリリースされている。
内容
大まかにいうと、松本零士本人が連載していた続編(いわゆる「エターナル編」)を劇場版第二作「さうなら銀河鉄道999」から続く形でリブートさせたもの。そのため、本作で描かれている鉄郎は劇場版の鉄郎(頭身の高い鉄郎)をベースに「エターナル編」の鉄郎(小柄な鉄郎)のワイルド感をブレンドさせたキャラととして描かれている。さよならの一年後なので年齢は18~19歳(服装は劇場版と同じ)。また「エターナル編」で描かれていた「地獄の聖母騎士ヘルマザリアとの決闘」や「太陽系消滅」などの重要イベントを再度扱っている。
なお、松本作品に登場するキャラ総出演という展開は小説版と似ている。
設定のアレンジなど
- 小説版は映画「エターナルファンタジー」の続編という設定だが、漫画版は「さよなら銀河鉄道999」のエンディング直後から始まる。そのため、第1巻冒頭で鉄郎は機械化人と生身の人間の争いが激化している地球に戻り、メーテルとエメラルダスはサイレンの魔女に飲まれて元の小惑星の姿に戻った惑星大アンドロメダに(そしてそこに眠る母プロメシュームにも)花を手向けている。
- ちなみにメーテルとエメラルダスが双子の姉妹という後付け設定については「メーテルは鉄郎がとっくに気付いていると思ってたから特に言わなかったんだろう」という、かなり強引な説明付けがなされている。
- 映画「エターナルファンタジー」、および松本零士直筆の本編(いわゆる「エターナル編」)では鉄郎は機械化人に代わって台頭した支配者に反抗し幽閉されることとなっていた。対して漫画版の鉄郎は機械化帝国の崩壊により弱者に成り下がった機械化人を救うべく機械化人専門の診療所で助手として働いている。
- その支配者は「ボルカザンダ3世」。「エターナル編」ではかつての英雄である鉄郎を処刑台に立たせるなど独裁者ぶりを存分に発揮していたが、漫画版では裕福層に媚びを売って支持を得るという小物の政治家みたいになってしまった。
- 再び999に乗る理由も異なっており、「エターナル編」ではメーテルの要望で999は地球に向かい、反逆罪で死刑になるところだった鉄郎をかっさらう形で再び乗車させたが、本作では消滅したメーテルを帰還させる使命をエメラルダスから託されたことで鉄郎自ら999に乗る決意をしている。つまり「エターナル編」は最初からメーテルがいるが、本作は一人旅で始まる。
- 向かう先も異なっており、漫画版では一気に銀河鉄道の始発駅である惑星「ディスティニー」へ向かっている。なお、最終目的地がアルティメート恒星系エターナルになるのはどの作品においても同じ。同じように、どの作品でもヘルマザリアとの対決を経ている。なお、漫画版のヘルマザリアとの邂逅は惑星「ディスティニー」出発直後である。
- 松本零士版漫画「エターナル編」では冥王星や「輝ける蛍の輪の星」、「大テクノロジア」などを経由し、「ホエギョの星」で太陽系消滅の一報を受けるという筋書きになっている。なお、ヘルマザリアに初接触するのは「ホエギョの星」出発直後。
- 映画「エターナルファンタジー」では、地球を出発した後止まったのは「輝ける蛍の輪の星」だけであり、その次の「大テクノロジア」の直前で太陽系消滅の一報を聞く。小説版もこの設定に準拠している。なお、ヘルマザリアと初邂逅するのは「輝ける蛍の輪の星」停車中で、テクノロジア手前でもう決着をつけている。
- なお、惑星「ディスティニー」についても「エターナル編」で描かれた光に包まれ脈動するような神秘的な惑星ではなく、スピンオフ作品「銀河鉄道物語」で描かれている地球型の惑星として描かれている。
- ちなみに漫画版は始発駅のディスティニーに向かっている途中で想定外の出来事として太陽系が消滅しているので、太陽系が消滅していなければ、元々何の用事でレイラが鉄郎を呼びつけたのかは不明である。一応その後「惑星エスメラルダで不穏な動きがあり、それにメーテルが絡んでいるらしい」という件の調査が有紀学に振られているので、もしかしたらそれを鉄郎にやらせる話だったのかもしれない。
- 漫画版はメタノイドが進軍してきた発端がメーテルがやらかしてしまったため、更に言えば鉄郎への愛を貫くのに大暴走した結果、暗黒宇宙に繋がる宇宙の穴を空けてしまったのが発端になっている。つまり本作の鉄郎は自分絡みでメーテルがやらかしてしまったことの尻拭いをしていることになる。
- 鉄郎の護衛として「銀河鉄道物語」の主人公である有紀学が999に添乗し、彼の所属する空間鉄道警備隊シリウス小隊の専用車両「001ビッグワン」ならびに同ケフェウス小隊所属の「002飛龍」が護衛にあたっている……のだが、彼らはここで初対面とされている。
- 「銀河鉄道物語」のOVA「忘れられた時の惑星」では、エターナルに向かう鉄郎とメーテルがトラブルに見舞われ、シリウス小隊に救出されるのだが、この作品を時系列的にいうと「物語」TVアニメ1期と2期の間である(新入りのキリアンの存在などから推定)。OVAではもちろん学と鉄郎はここで初対面とされたが、漫画版「アルティメットジャーニー」においては設定が刷新された模様。ちなみにこのOVAの鉄郎は原作と劇場版の中間みたいな中途半端な容姿である。
- キリアンも登場するが、あの人がキリアンの育ての親という設定は本作には適用されていない模様。
- 小説版では「ダンガードA」をモチーフにした人型兵器パンツァーデミゴッド「ディーガード」の開発者かつ歴戦の剣豪のような外見と設定され、なおかつ地球連邦の提督に就任していた一文字タクマだったが、漫画版では20代程度と若い姿で描かれ、役職も「移民惑星『大地球』代表」に変わっている。漫画版でもディーガードと関わりがあるかは不明。
- 小説版ではアスガルドの神々はヴォーダンの弟神であるトールの建白で出撃を決意するが、漫画版ではトールは登場せず、アスガルドを訪れた鉄郎の影響を受けて参戦を決意したという流れに変更されている。加えて参戦戦力も8巻時点ではワルキューレ9姉妹のみとかなり限定的である。(小説版では最終兵器であるノアトゥングまでトール自らの指揮で出撃している)
- 小説版でデスラーが担っていた役回りがドップラー総統に差し替えられている。漫画版も第1巻のGヤマトは普通に描かれていたことから、小説版改訂のタイミングでヤマトNGになった煽りを受けたものと思われる。
- 小説版はエターナルファンタジーで登場していたミーくんが全く登場しなくなってしまっている。漫画版では健在で鉄郎が地球に置いていこうとしたのをカタパルトレールを爆走して999に強行乗車してしまう奮闘ぶりである。
- 漫画版のメーテルは「太陽系再生そっちのけで、鉄郎とゴールインすることしか頭にないんじゃねーのか?」とツッコミたくなるくらい恋愛成就に精力的である。
- 物語冒頭にて「新女王の責務を全うする決意を鈍らせないために、鉄郎とは二度と会わない」と宣言したのにもかかわらず、鉄郎と再会すると「鉄郎と一緒ならどんなことにも耐えられる!」に主張を変え、新女王の役目を臣下に丸投げして鉄郎にくっ付いていく。ちなみに鉄郎がメーテルを探す旅に出なければならなくなったもの、メーテルを探し出した後も鉄郎の旅が続くことになったのも、元は全部メーテルのやらかしである。
- 自爆して素粒子レベルに分解した身体が宇宙空間に散乱し、双子の姉のエメラルダスでもどうしようもなくなったのが鉄郎の呼びかけであっさり再生。「なんで再構成できたんだ!」とツッコまれると「だって鉄郎の呼ぶ声が聞こえたから」。どんだけ鉄郎特別だよ。さらには自爆の理由も鉄郎への愛を貫くためという徹底ぶり。
- 「大テクノロジア」では、ホテルに着いて鉄郎と二人っきりになるなり満面の笑みで「お風呂に入りましょうか」「大きなバスタブもあるわ。お湯を溜めて一緒に入りましょうか」と誘うが逃げられて玉砕。さすがに以後は直接的なアタックはなくなったが、仮に逃げなかったら子供として扱わなかった模様。
- 「アスガルド」でグータラな楽園生活を送る住民を見た鉄郎が「俺もここで生まれてたら、こんなグータラになってたかな?」と言うと、すかさず「鉄郎はそんな風にならないわ」「どこかで泣いている人がいたら、そこがどんな地獄でも楽園生活を捨てて駆けつける男よ!」と全力で否定。
- アルカディア号と別れて寂しがっているいる鉄郎に「このまま乗っていきたかった?」とあえて聞き「俺の道はメーテルとの旅にあるんだよ!」と言わせてデレる。
- 鉄郎が車掌と口論の末に999を停車させただけなのに「そう、鉄郎はそういう男。人の命を助けるためなら自分から憎まれ役を買って出る、全ての人類を敵に回すことも厭わない鋼鉄の信念を持っている。鉄郎はそういう男!」と壮大に持ち上げる。
- ミーくんを「私たちの大切な家族」として、しれっと自分と鉄郎とミーくんを家族に仕立ててメタノイドに語る。
- 「大地球」では「住み込みアルバイト急募」のラーメン屋の張り紙を見つけるなり鉄郎を銭湯に強制連行して、入浴中に服と荷物を隠して盗まれた体にして「盗まれた物が見つかるまで二人で住み込みで働かせてくれ」とラーメン屋に直談判。
- 「ヘビーメルダーII」では「遊園地なんかで遊んでられるか!」と太陽系再生に逸る鉄郎を「999は60時間動かない。ならば…遊んでいても悪くはないわよね」と懐柔して、どうしても鉄郎と一緒にアトラクションで遊ぶ方向に持っていく。
- そして本作最大の見せ場、鉄郎のマントの襟に指輪状になったラインの黄金の破片が付いているのを見つけると、おもむろに左手を差し出して「鉄郎、着けて」「ど、どの…?」「……くすり指」。
- このように漫画版のメーテルは「鉄郎を見守る頼もしい女性」から「鉄郎に守られたい恋する乙女」に豹変しており、顔立ちまで乙女チックに矯正されてしまっている。池田さんの声のイメージは吹き飛んだ。
- しかし鉄郎が一緒じゃないと素のメーテルに戻るので、やはり鉄郎の前でだけ作為的に乙女ぶっているようである。お前、そこまでして……
- その鉄郎はというと「メーテル、俺の永遠の恋人……恋人!? うわっ、うわぁぁぁ~~~」で身悶えるレベル。まだまだ先は長い、というか永遠の恋人? なら夫婦になるつもりはないということか??
- 漫画版に至っては、あの地獄の聖母騎士ヘルマザリアも鉄郎の男気にデレデレに惚れて、最後は鉄郎を想いながら別の百人隊長に特攻してしまっている。容姿も姫カットの金髪ロングヘアに切れ長の目に長身スレンダーというメーテルに負けず劣らずの美貌で、種族の壁を超えればメーテルの最大級の恋のライバルになったであろう。ハーレム主義もいいところである。
- このように小説版とは違う展開が目立つが、じゃあ小説版とは全く違うのかというとそうとも言い切れない。小説版に登場した機械化帝国の貴族であるファルカンやパーセル、偉丈夫であるガイゼル、そして亡きプロメシュームを狂信的に崇拝するダークナスなどのキャラクターは漫画版にも登場する。しかし、小説版ではエターナルでの最終決戦で武闘派なところを見せたファルカンやパーセルは野心家ダークナスの小心な腰巾着に成り下がり、小説版ではラスボス感を醸していたダークナスも漫画版ではエスメラルダにハーロックが到着するとあっさり逃げてしまったなどかなり性格が変更されている。
- とはいえ、これらの機械化人は没になった続編映画のシナリオからとられたものと考えられるので、松本零士自身は当初からこのような名前の人物を出すつもりであった可能性もある。
- 漫画版は残念ながら終盤に差し掛かったところで作者の体調不良により休載に入り、そのまま一年以上放置されている状態となってしまっている。このまま未完で終わってしまうのか。
- 展開としてはメタノイドとの停戦が成立し、終点のエターナルを目前にしてメーテルとダークナス、鉄郎とガイゼルとの最終決戦、というところで連載が止まっている。全てが片付いた後に鉄郎とメーテルが結婚するのかも気になるところ(エンゲージリングは受領済み)。まだ再開の望みが絶たれたわけではないが…
- なんと2年3ヶ月ぶりに連載再開が決定! 作者にどれだけモチベーションが残っているかが気になるところだが…
小ネタ
リブート版なだけあって、ファンをニヤリとさせる小ネタが満載になっている。
- 999の食堂車のビフテキの知名度がかなり上がっている。シリウス小隊の面々と今後の方針についてミーティングする際にも、小隊メンバー全員がビフテキを注文し舌鼓を打っていた。かなりの大昇進と言えるだろう。
- 本作の鉄郎が肉食を好むのは、自身が宇宙戦士であることの自覚からいつでも戦えるようにスタミナをつけておくためであろう。なお大王星のレストランで「ラーメンとかビフテキとかないの?」と言っているので、ビフテキの次に好むのはラーメンらしい。
- 原作版では鉄郎の大好物がラーメンなのは周知の事実だが、999の食堂車で食べるのは専らビフテキである。ラーメンはどちらかというと停車地の惑星のラーメン屋まで出向いて食べることが多いが、これについては食堂車で出されるラーメンは合成ラーメンで美味しくないからが理由らしい。ちなみに劇場版でクレアと初めて出会った際にメーテルが(メニューがちんぷんかんぷんの鉄郎に気を遣って)注文してくれたのもビフテキである。
- ただし999の食堂車がラーメンを出せないというわけではなく、原作アンドロメダ編で何度か描かれている。また劇場版1作目公開時に発刊された『銀河鉄道大時刻表』には、食堂車のおすすめメニューとして「大ラーメンライス」が紹介されている。同じくおすすめメニューとして載っていた「999コース」のメインディッシュは、一辺がが15cmくらいある巨大なサイコロステーキである。
- ちなみに本シリーズで鉄郎がラーメンを食べるシーンは劇場版旧2作では全くなく、本作第34話にて住み込みで働いていたラーメン屋で出された賄いのラーメンを食べるのが初である。無論しっかりとタマゴ入りである。
- 原作エターナル編ではメタノイドもラーメンを食している。針金の麺にオイルのスープという代物で「まったくうまい!」と言いながら針金をボリボリ食っていた。
- 本作のメーテルの嗜好については単純で「鉄郎と同じもの」である。鉄郎と同じものを食べて「おいしいわね」、鉄郎が私服に着替えると自分も着替えて「私も」アピール。とにもかくにも「鉄郎と一緒」がいいのである。
- 鉄郎が働いていた機械化人専門診療所の院長と看護師がそれぞれ夜森院長とミライで、しれっと1000年女王の主要な部下の名前が引用されている。もっとも夜森院長はミニチェア版の沖田十三のような風貌、ミライもロングヘアではなくて元ネタとは似ても似つかぬ容姿であるが。
- ウェイトレスと医療担当を兼任することになったクレアが自分を労ってくれた鉄郎に対し、 男ばかりの戦艦で船内環境維持、乗組員の健康管理、レーダー手までやっていた伝説のスーパーウーマンの話をしている。
- かくいうこのクレアさんも華奢なイメージと裏腹に、鉄郎の乗る999を追っかけてカタパルトレールを爆走するミーくんを捕獲するのに、縄で結んだマンガ肉をぶん投げて釣り上げるというスーパーウーマンぶりを発揮していたりしているのだが。
- ちなみに劇場版第1作でのクレアの中の人はその伝説のスーパーウーマンと同じ方だったりする。ついでながら、銀河鉄道株式会社の総司令とも中の人が同じだったりする。
- その伝説のスーパーウーマンの遠い子孫は、本作では「移民船団を護衛している古代将の到着をビッグアースで首を長くして待っている」設定になっている。コーヒーを淹れるとやっぱり不味くなるらしい。
- なお、空間鉄道警備隊のシリウス小隊にはそのスーパーウーマンをモデルに作られた医療用セクサロイドがいたりする。「銀河鉄道物語」2期の幻の最終話「我が心のシリウス小隊」ではこの設定が明かされているほか、モデルとなった人物の記憶も有していることが判明し、しかもその人物の子孫らしき女性から「頑張って、私の遠いご先祖様!」とエールを送られている。
- ただし、これらの設定はいわゆる旧作版の「宇宙戦艦ヤマト」に準拠した設定であり、リメイク版とは全く異なる。リメイク版に登場した高次元宇宙の描写を見るに、旧作の時系列は2199のタイムラインにおけるあり得たかもしれない世界もしくは無数に存在する平行宇宙の一つという扱いらしい。まあここら辺は大人の事情もあるわけだが…… (と言っても、そもそも『999』自体もアンドロメダ編終了の時点で時間軸が3つ(現実に発表された時系列にすると劇場版旧2作→TVアニメ→原作)存在しているのだが)
- とは言うものの、本作ではグレートヤマトが「1000年前に地球人類滅亡を救ったとされる伝説の戦艦が転生した太陽系連邦旗艦」として描かれていることから、本作の世界では2199年のガミラス帝国の侵略攻撃による放射能汚染は史実であり、鉄郎の生きる世界は西暦3200年前後の地球ということになる。なおこの流れで「新竹取物語1000年女王」との整合性まで取れるのかは不明。
- 永世中立惑星「大テクノロジア」の管理者である真田がハーロックと親友であるという、わかるファンにとっては嬉しい描写がある。
- この設定の経緯はやや込み入っているのだが、ことの始まりは初代「宇宙戦艦ヤマト」まで遡る。「ヤマト」をアニメ化する際にヤマトに味方する宇宙海賊として「ハーロック」なる人物が検討されていたのだが、様々な経緯からこの設定は没になった。なお、このシナリオではハーロックの正体は主人公古代進の兄、古代守とされていたのだが、その守はヤマト技師長である真田志郎とは同期かつ親友という間柄だった(真田と守が親友だという設定は本編に生かされ、のちのリメイク版でも使用されている)。
- なお、アニメ版でこそ没になったこの設定だったが、松本零士自らの手による漫画版「宇宙戦艦ヤマト」ではこの名残からかハーロックという人物が登場し、古代守だったかもしれないとぼかされながらもその正体が描かれている。その点から言えば、本作での親友という設定は数十年ぶりのリベンジということになる。
- 本作作者の島崎は「業界でも大の宇宙戦艦ヤマト好き」を自負しており、ヤマト絡みの企画が入りかけるも流れたことから、そのリベンジを本作で果たしたのかもしれない。なおお蔵入りになったイメージ画が作者のブログで公開されている。
- この真田、長旅で疲れた鉄郎たちのためにホテルの部屋(しかも最上級のスイート)を用意しておいてくれていたが、さすがに「こんなこともあろうかと」とは言わなかった。言ったら言ったで非常に意味深だが……こんなことってどんなことだよ。
- メーテルが鉄郎と再会を果たした直後の宿泊先である「大テクノロジア」のホテルで、唐突に鉄郎に一緒にお風呂を誘って逃げられているが、原作エターナル編ではメーテルが鉄郎と再会を果たした直後の999の浴室で、伸び放題になっていた鉄郎の髪を切るのに一緒に風呂に入っている。
- メーテルにしてみれば「あっちの鉄郎が一緒に入ったんだから、当然こっちも❤︎」だったんだろうが、鉄郎は「あっちの鉄郎は子供だから一緒に入ったけど、俺は子供じゃない!」だったようである。
- 同じくメーテルの「子供扱いなんてしていないのに……」は、原作での意味深な会話「いやね鉄郎、こんなに毛深かったかしら」「いやそれは……」みたいな展開を妄想していたのであろう。この時の「毛深い物体」の正体はこっそり連れ込んだミーくんであった。
- ちなみに劇場版の鉄郎はメーテルの裸を見ると母親がフラッシュバックしてしまうようである。メーテル大変そうだなぁ。
- 「大地球」のエピソードは原作アンドロメダ編の「大四畳半惑星の幻想」エピソードのリブートである。違いは以下の通り。
- どちらも昭和の日本の街並みが舞台だが、原作は発展途上の惑星で銀河鉄道の存在が隠蔽されているのに対し、本作は地球の移民星で銀河鉄道の存在も公になっている。
- 原作は本当にパスを盗まれるが、本作はメーテルの自作自演。
- 原作は鉄郎のみ服を盗まれるが、本作は二人とも盗まれてメーテルも借り物の私服を着用する。この時の「長袖シャツとブルージーンズ」の組み合わせは、メーテルの母親が雪野弥生の名で地球のラーメン屋の娘になっていたときの格好と一緒である。
- 原作ではメーテルが鉄郎の姉になりすますのに「星野芽衣子」の偽名を名乗っている。本作も鉄郎の姉になりすましているが偽名は特に名乗っていない。
- 原作は鉄郎がラーメン屋でバイトをしてメーテルはパスを何とかするのに奔走するが、本作は二人とも住み込みでラーメン屋で仕事をしてメーテルは看板娘と化す。
- 原作は不動産屋で紹介して貰ったボロアパートを仮住まいとするが、本作はラーメン屋の住み込み部屋を仮住まいとする。どちらも和室一間。
- おいどんキャラが原作は「元祖大四畳半大物語」主人公の足立太だったのが、本作は「ワダチ」主人公の山本轍になっている。
- 原作ではパスを盗まれたメーテルが死にそうな顔で彷徨していたが、本作では鉄郎との住み込み生活を鼻歌まで歌って満喫していた。
- 大地球も「ワダチ」に登場する日本民族の新天地となる惑星が元ネタである。こっちの大地球は地球の20倍の大きさだが、歩く樹木や巨大昆虫が先住民として生息しており、フロンティアとはほど遠い環境である。
- 「大地球」にてパスを盗まれた鉄郎とメーテルが急遽ラーメン屋に住み込みで働くことになった際、手際の良さを誉められたメーテルが「母がラーメン屋の娘だったので」と答えており、鉄郎は「(メーテルの母親って…?)」「(まさか…作り話だよな…)」と訝しみながらもスルーしていたが、設定的には本当だったりする。
- メーテルの過去を描いた「メーテルレジェンド」「宇宙交響曲メーテル」および一部設定が共通している「1000年女王」の三作を見ると、ラーメタルの女王であり1000年女王その人であるプロメシュームは「1000年女王」のヒロインである雪野弥生その人であることがわかるのだが、彼女は地球潜伏時にはラーメン屋の老夫婦に育てられており、ラーメン屋の看板娘でもあったという設定がある。娘であるメーテルが知ってるあたり、変貌する前のプロメシュームはラーメタルに帰還したあとも地球での思い出話を娘たちに語って聞かせていたのかもしれない。地球の思い出の味としてラーメンを自ら振る舞ったりしていたのだろうか? それを考えるとラーメン屋の店名が「やよい亭」なのも伏線なのであろう。
- と、訝しんでいる鉄郎だが実は(原作アンドロメダ編準拠なら)彼もラーメンを他人に振る舞ったことがある。『アンドロメダの雪女』(TVアニメ第90・91話)で、惑星スノーインカでその名を轟かせた名人と言われラーメン職人の味を、レシピと材料だけというぶっつけ本番で見事再現してみせている。ただ、本作の時系列の前にある劇場版2作には含まれていないエピソードなのだが…… (逆に言うと、それを成し遂げたのは10歳の鉄郎である)
- メーテルが食事(賄い飯)を出される毎に「美味しいわね」と言って食していたが、これももしかしたら1000年女王の「子供の頃からお前はいつもご飯を美味しそうに食べてくれたね」にかけられているのかもしれない。ちなみに鉄郎はよほど家庭の味に飢えていたのか「うっ…うまい~~~」と涙を流しながら食していた。
- 「大地球」で盗まれた物が戻ってきたときにメーテルが「泥棒さんの気が変わったのかもしれない」と言っているが、原作第1話の「出発のバラード」でも鉄郎のパスを盗んだ泥棒のことを「ドロボーさん」と言っている。
- 大銀河連合の首脳陣が集結した会議に向かうエメラルダスがある古地図を前に呟く「絶対秘密宝の地図……」というセリフは「クイーン・エメラルダス」単行本に収録されている短編冒頭での彼女のセリフである。
- なお、この短編では彼女は宇宙海賊ではなく飛行船海賊(空賊?)をやっている。なお、ライバル役を務めているのはなんか2.5枚目になっているキャプテンハーロックである。
- そしてその首脳陣の会議が『ヘビーメルダーII』でラフレシアを含めて酒場で開催されるというのは、漫画「宇宙海賊キャプテンハーロック」でハーロックがヘビーメルダーの酒場でラフレシアと会見するというネタに基づいたものである。しかし作者よく研究しているなあ。
- 「ヘビーメルダーII」で機械化人に捕まった鉄郎が「自慢のこの歯で噛み切る!」と言って縄を噛み切ろうとするが、この自慢の歯とは原作「サケザン大陸」でサケザンに捕まった鉄郎が自分の縛られている縄を噛み切った歯のことを指すと思われる。ただ本作の時系列である劇場版の流れではサケザン大陸のエピソードは発生しない。同じく原作だと宇宙僧ダイルーズにボロボロにされた歯を特殊カルシウム原石で再生させるくだりあったが、こちらもそのような展開は発生しない。
- 同じく「ヘビーメルダーII」にてゾルの乗るカブトガニ型の小型艇を目撃した鉄郎が「どこかで見た覚えがあるんだよなあ」と言っているが、『さよなら銀河鉄道999』のファウストが999を停止させるシーンで大型艦サイズになった同型メカが登場している。しかし作者ほんとによく研究しているな。
- 夢の世界にメーテル、鉄郎、車掌さんの3人が囚われた際にメーテルの肖像画を書き上げた「レオナルド」なる画家が登場したが、完成した肖像画を見て鉄郎が(どこかで見たような...?)と思い、なおかつレオナルド自身の「この絵は誰にも売らない!渡さない!」「私の傍で私の命が果てるまで大切に時間を掛けて描き上げるよ!!」という台詞、そして現実の彼と思われる姿が老人であったことから、この絵は歴史上に名高いかの芸術家の描いたあの名画であると思われる...のだが、おそらく彼は史実における「彼」ではなく、「天使の時空船」という松本零士の漫画由来のキャラクターだろう。
- 「天使の時空船」という漫画は地球が文明の危機に陥り、それを解決できる人材と目されるダ・ヴィンチを現在に蘇らせようとする科学者と、それに反発しダ・ヴィンチの代わりにその才能を身につけるためタイムトラベルする女性科学者という内容のお話である。そのため、作中には主人公の女性科学者に見守られ、多大な影響を受けるダ・ヴィンチその人が登場する。おそらく、それをオマージュして本作にダ・ヴィンチを登場させたのだろう。
- なお『さよなら銀河鉄道999』において、鉄郎がラーメタルの古城でメーテルがモデルと思われる巨大な肖像画を目撃しているので、もしかしたらこれのことを言っていた可能性もある。
- 鉄郎とメーテルがアルカディア号に乗船した際、いきなり鉄郎が有紀螢と話が弾んで「積もる話は私の部屋でどうですか? ミーメとマスさんも呼んで」という流れになって、キャプテンハーロックであった「女だけの酒盛り」に鉄郎(とメーテル)がお呼ばれされることになる(ハーロックは「女子会」と呼んでいる)。これを知った乗組員たちは「えこひいきだ…」「付き合いの長い俺たちが一度も呼ばれてないのに…」と一斉にふてくされてしまい、ハーロックも一言「いじけるなお前たち、俺もないぞ!」
- この酒盛りは、アルカディア号の男どもが全員ヘビーメルダーに上陸して居残り組になった女性陣が呑み始めたのが始まりなのであるが、それが恒例行事になったようである。
- 鉄郎とロウェルが対決した小惑星で、地平線の彼方にモゾモゾ動く物体を見つけたメーテルが「ナニカいるわ!」と叫び、その後近くまで行くと猫のような小動物と判るが、この小動物は松本作品に度々登場するナニカという名前の謎の生き物である。よってメーテルは「何かいるわ!」とも「ナニカがいるわ!」とも叫んでいたのである。
- ミーくんとナニカが初対面にして気心が合うというのは、原作エターナル編の惑星「ワカラナイトコロ」同じ展開。この時のナニカは大山昇太が引き連れいていた。
- ローゲによってコスモクリスタルで固められたメーテルが脱出するのに、自身を素粒子レベルで分解してエネルギー解放しているが、原作でもドクターバンに「原子分解されたくなければ裏切ったりするな」と言われており、もしかしたらこの原子分解は死を与えるものではなく懲罰的なもので、メーテル自身は元々ナノレベルで分解したり再構築したりが効く存在だったのかもしれない。ちなみに原作エターナル編では、メーテルは冥王星に保存してある元の身体に戻らない限り不老不死の存在であることが語られている。
- 漫画版のメーテルを見てなんか顔立ちが童顔になったと感じるかもしれないが、実は劇場版の流れに限って言えば、一作目から二作目でだいぶ童顔に作画が変更されているので正しい進化形なのである。またニコニコ顔がらしくないと思うかもしれないが、これも『宇宙交響詩メーテル』で同じような表情をしているので(作画をパクったとも言える)ありえなくはないのである。「メーテルお前、今何歳だよ」とツッコミたくなるかもしれんが。
- メーテルの持ち歩いているトランクがスーツケースから革トランクに変わっているが、元のトランクはプロメシュームとのホットラインの役割を果たすアイテムだったので、プロメシューム亡き後はトランクが別物になっているのは正しい解釈であると言えよう。回想シーンではちゃんと元のトランクが描かれている。
- これは偶然と思われるが、本作の機械化人が人間に虐げられている地球の現状は、原作「メーテルの旅」で登場した遊星ファントムの、生身の人間による機械化人狩りが横行している社会と同じである。どちらも「機械化人も悪人ばかりではないが、思い込みで相手を見ている」という点は共通している。
- その他にもメーテルの「私はヘマはしないわ」、エメラルダスの「メーテルを守るのはあなたの義務です。あなたが男ならね」、ハーロックの「さあ乗れ、これはお前の艦だ!」など、出典を知っていればニヤッとできる台詞が随所にちりばめられている。
関連タグ
銀河鉄道999:原作
松本零士:原作者であり、小説版・漫画版ともに関わっている。
島崎譲:漫画版作者(漫画担当)。
ゲスト出演作品群
(※印は2022年6月時点で小説版のみ)
ニーベルングの指環(松本零士が描いた「松本スターシステム版」ともいうべき漫画の方)
超時空戦艦まほろば(※)(正確にはそれを元にした「CosmoSuperDreadnoughtまほろば」)
惑星ロボダンガードA(上記「CSDまほろば」を経由して参加、漫画版では大分設定が異なる)
児女英雄伝(※)(女剣士「十三妹」が登場)
ワダチ(漫画版のみ)
他多数!
おねショタ:松本零士版「エターナル編」から言えることなのだが、エターナルに向かうようになってからメーテルと鉄郎が互いに想いあっている描写が多くなっている。ただし漫画版の鉄郎は少なくても18歳以上に成長している計算なので、これでショタと言えるかは微妙なところ。
- 原作エターナル編はメーテルが「私は誓う、時の輪を巡る旅はこれで最後にしたいと」「儚く短い命でもいい、私は私に還る」「私のことを全部お話ししてあげる。鉄郎、あなたにはね!」などと明言しており、自身の最後の旅に鉄郎を同行させて、そのまま墓の中まで添い遂げようという魂胆が見え見えである。
- それを踏まえると、車掌がメーテルに999の行き先を変更して地球を降りた理由を聞いた際の答え「運命です」は「鉄郎と私がくっつくのが運命だから」ということになるのだろうか。
- 小説版ではメーテルが太陽系復活の時間軸にするため時空を彷徨うことになった際、鉄郎の存在を感じて元の時空へと戻っていった。
- 漫画版はお互いがお互いを「自分の大切な人」と明言して周りが気を遣うほどの純愛ぶり…どころではなく、メーテルが鉄郎とイチャつきたくて大暴走してしまっている。鉄郎と一緒だと幸せいっぱいオーラで人格はおろか顔つきまで乙女化する何でもあり状態である。
- メーテルがもう完全に恋する乙女と化していて、ワルハラの半神ローゲへの人身御供となったメーテルが求婚を断ったがために自身を赤色巨星の高圧力にも耐えられるコスモクリスタルで固められた際に「私には愛を誓った鉄郎がいる」と取れる台詞を残して素粒子レベルでエネルギー解放して宇宙に散り散りになるが、その宇宙に散り散りになったメーテルが鉄郎の呼びかけで再構成して、ローゲに「お前は魔女だ!」と指差されてヘコんでいると「俺にとってメーテルは、たとえ魔女でもたったひとりの大切な人に変わりないから」と鉄郎に言い切られてデレて、さらに真っ直ぐな瞳で見つめられながら「メーテルがどんな姿でも、たとえ生まれ変わって時の輪を何度渡り歩いても、俺は必ずメーテルを見つけてまた一緒に旅をする!」と宣言されて涙が零れるというなんか凄いことに。ここら辺でメーテルは完全にタガが外れて暴走娘と化すのだが……お前らもう太陽系再生したら結婚してしまえ! とか言っていたらメーテルが「鉄郎が命懸けで手に入れたラインの黄金の指輪を、自身の左手薬指に有無を言わさず捧げさせる」という暴挙に出て、まさかの逆プロポーズ成立である。
- メーテルが指輪要求に踏み切った経緯としては、ホテル備え付けのバスルームに一緒にお風呂を誘ったところ「できるわけないだろ!」と全力で拒否られたことで「婚前交渉は無理っぽい」と悟った疑惑が挙げられる。まぁ新婚さんの真似事みたいなことがしたかっただけだとは思うが。
- 漫画版は劇場版旧2作の続きで、その1作目で既に鉄郎がメーテルに「君さえよかったら一緒に暮らして欲しい」と告白しており、メーテルもドクターバンに「鉄郎、メーテルも君を愛してしまったのだよ」と胸の内をバラされているので元々相思相愛である。
- 第1話でいきなりエメラルダスがメーテルに「もう自由に生きて構わない、愛する人と幸せになりなさい!」と言っているので姉のエメラルダスも公認…というかメーテルが鉄郎とくっつくのを推しまくっている。これは「愛しい妹のメーテルに幸せになってほしい」という願いもあるが「星野鉄郎なら自分の義弟としても申し分ない」つきつめると「鉄郎以外にメーテルをくれてやりたくない」という心情があるのだろう。劇場版2作目のラストでは「あなたは鉄郎と一緒に行くことはできない」と言っていたのが、どういう経緯で手のひら返ししたのかは不明。さすがに鉄郎が青少年じゃなくなったので解禁したわけではないだろうが。
- 同じく第1話でメーテルがエメラルダスに「鉄郎に会うと三代目女王を全うする決心が鈍るので二度と会わない」と宣言しているが、その後鉄郎と再開した以降は「鉄郎と一緒ならどんなことでも耐えられる」に宣言をひっくり返して女王の仕事を家臣に丸投げして鉄郎にべったりなので、メーテルはかなり鉄郎依存を自覚していたと言える。エメラルダスはさぞかし「こんなことになるだろうと思った」ことであろう。もっとも鉄郎にのぼせたメーテルがここまで体たらくになるのは流石に想定外だったと思うが。
- エメラルダスから消失したメーテルを帰還させる使命を与えられた際「双子のエメラルダスにできないことが何で俺にできるの?」と不思議がる鉄郎にニヤッとしながら「メーテルは鉄郎が呼べば戻ってくる。私にできない事が鉄郎にできる。鉄郎は必ずメーテルと巡り会う、それは運命だから」とお前メーテルにどんだけ愛されてるんだよと言わんばかりの説明を。これで気付かない鉄郎もどうかしていると思うが。
- そうでなくても本作のメーテルは事ある毎に「鉄郎はそういう男」と鉄郎を上げまくるという、もはや鉄郎ならなんでもいいというネタレベルの徹底した鉄郎至上主義っぷり。ここまでくると「鉄郎と一緒になって幸せに」というよりは「鉄郎と一緒にしないメーテルヤバい」という話になるのでは。今回の騒動だって鉄郎との愛を貫くのに自爆して宇宙に大穴空けて別宇宙の変な敵呼び寄せて太陽系消失させて大騒ぎにした挙げ句、当の本人は宇宙に散り散りになって「鉄郎が呼びに来てくれるまで再構成しない」ってへそ曲げちゃう大暴走っぷりだったし。
- その鉄郎も「メーテルが唯一無二の大切な人。メーテルのためならできないことでもする」くらいメーテルを一途に想っているが、まだ「999で宇宙の隅々まで一緒に旅をしたい」という冒険心が優先してイチャラブは二の次っぽい。かくいう鉄郎も二十歳前にして機械伯爵を倒して、機械化帝国を壊滅させて、暗黒宇宙との停戦協定を導いて、おそらく消滅した太陽系も再生させることになって、ハーロックやエメラルダスとタメで話せてしかもとてつもなく優しいというとんでもなく素敵な男に成長しており、こうなると『宇宙一美しい魔女』『単一宇宙のエネルギーを内包している存在』のメーテルにしてメロメロに惚れて躍起になって死守しようとするのも頷ける話である。
- と、漫画版はいつまで経っても前進できない鉄郎にメーテルがやきもきしてサインを出しまくっているという年下彼氏あるあるの展開になっているわけだが、その他にもクレアが女王フォトンの力で再生されたときに「鉄郎に会いたい」という強い想いで鉄郎の夢の中に侵入したり、鉄郎を討ち取りに来た超クールビューティーのメタノイドである『地獄の聖母騎士』ヘルマザリアに思いっきりきゅーされて結局惚れられたり、初対面のカノンに「温かくて柔らかいでしょ」といきなり抱きつかれたり、初対面の有紀螢にいきなり自室にお呼ばれしたりと、鉄郎がその他の年上美女にもてまくるのもお約束な展開だったりする。
- ちなみにこの二人、メタノイド側からすると「光の宇宙侵攻計画で最大の障壁になる男」と「暗黒宇宙の女王に匹敵するパワーを持った女」という究極に混ぜるな危険の組み合わせだったりする。中でも最大の脅威になるのは「鉄郎絡みで何かあったらメーテルが何しでかすか判らない」ことであろう。