概要
王候補の主人公を一年間鍛えつつイベントを発生させ、選んだ選択肢によって結末が変化する。王になるのは目標の一つで、本作の主な目的は攻略対象と何らかの関係を築くことである。略称は『かもかて』。
このゲームは、キャラクターを攻略出来るゲームには一般的なキャラクターから主人公へ向けられる『好感度』とは別に、主人公の攻略対象への気持ちをプレイヤーが入力出来る主人公からキャラクターへの『印象度』システムを備えている。
例えばあるイベントで手作りの品を贈られた際、主人公が相手に好意的なら喜んで受け取れるが、相手を憎んでいると本人の目の前で贈り物を破壊することもできる。印象度と相手の好感度次第で、主人公は11人の攻略対象と友情を結ぶも、愛し合うも、憎み合うも、時には彼らを殺害することさえも自由である。
更にこのシステムには「反転ボタン」というものがある。これは「大嫌いなアイツの意外な一面にときめいてしまった」「百年の恋も冷めてしまった」などの心変わりを実装した機能であり、一人につき一度だけ使用可能。なお、主人公の言動によっては一部の攻略対象も心変わりを起こす。
また、本作の舞台となる国の人間は、成人の際に自らの意思で男女どちらになるかを選ぶまで「両方ついてない状態」であり、性別を持たない。そして主人公は成人を翌年に控えた未成年なので、男女どちらも恋愛対象になりうるし、男と女が主人公を巡って修羅場になることもある。彼(作中で未成年は「彼」と呼ばれる)は大抵ED前に自らの性別を決定するが、この時恋人がいても相手と同じ性別を選ぶことが可能であり、通常の愛情EDとは別の結末を迎える。
主人公の能力値や印象度、相手の好感度などによる、選択肢やイベントの分岐が非常に多い。ED数は120以上。選んだ性別や、王になったか否かなどで決まる細かい文章の変化を含めると160以上に及ぶ。
回想モードや好感度表示機能などが追加された、シェアウェアの攻略支援版(600円+消費税)も公開されている。
2024年、リメイク版の製作とクラウドファンディングの開始が告知され、約30分で目標金額を達成した。2025年秋にSteamで配信予定。
ストーリー
異世界『グラドネーラ』に存在する王国『リタント』の王位は、生まれながらに神(太陽神)である『アネキウス』による寵愛の証とされる選定印を額に宿す者にのみ譲られてきた。
ところが五代国王リリアノの治世に、辺境の村のとある母親を亡くした孤児が先例のない同じ時代における二人目の印持ちであると発覚する。
しかし王城には既に主人公と同じく選定印を持つ一人目の王候補として、現王リリアノの甥かつ主人公と同年齢であるヴァイルが存在していた。
リタントでは国王は次の王候補が十五歳を迎えると同時に王位を譲り、退位する。
主人公はもう一人の王候補が住まう王城へとほぼ強制的に迎え入れられ、国王の庇護の下で生きることとなった。
そしてそのままリリアノが退位する時、つまり王候補の二人が十五歳を迎えるまでの五ヶ月を王候補として様々な教育を受けながら過ごすこととなる。
ただし、幼い頃から王候補として教育を受けてきた現王の類縁であるヴァイルが相手。
ほとんどの人間はヴァイルが国王となることを疑っていないのが事実であった。
「神の手がどちらの頭に冠を下ろすか、決めようじゃないか」
登場人物
主人公(デフォルト名は「レハト」 / 名前変更可) 14歳 / 未分化 / 一人称を『僕or私or俺』から選択可能
田舎の農村で暮らす取り得も無い少年であり、史上初の同じ時代に存在する二人目の王候補。
たった一人の家族だった亡き母によって、額の選定印を「みっともないから隠していなさい」と単なる痣だと思い込まされていた。
リタント王国では次代の国王が額の選定印によって選ばれることは常識であるため、自らの子どもを政治的事情から守るために母親が意図的に誘導していた可能性が高い。
物語は彼の視点から語られるが、台詞や立ち絵が一切ないので二次創作では多種多様な主人公像が見られる。プレイヤーの選択次第で、運命の人だと思っていた相手を謀殺することも、宿敵だと思っていた相手への愛の告白も可能なことなどから、ゲーム中一番のツンデレにしてヤンデレとも呼ばれている。
刺殺・射殺・無理心中・衰弱死・餌など、死因が最も豊富。
攻略対象
※冠を持つ神の手の世界観の内では関係性としての女性を指す言葉はほとんど存在しない。
これは成人するまで性別が未分化であり、分化前を全員「彼」と呼ぶリタント人(三足族)の風習。
「娘」「妹」「叔母」は「息子」「弟」「叔父」になる。ただし「(性別を指しての)女」などの言葉はある。
しかし、記事として本文中では分かりやすくするために「叔母」などの単語を用いる。
ヴァイル・ニエッナ=リタント=ランテ 14歳 / 未分化 / 俺
王弟イルアノの子で、額に印を持つもう一人の王候補。現王リリアノの甥に当たる。
主人公とは同い年でまだ性別も未分化だが、十五歳になったら男を選んでムキムキになると公言している。
性格は基本的に分かりやすいやんちゃ坊主。
その反面、血筋的にはとても高貴であり、さらに次期王候補と言う立場にある。
その立場にふさわしく育てられて来たため、自負・冷徹・傲慢と言える一面も存在する。
まさかの二人目の王候補出現に周囲が騒然とする中、当のヴァイルは主人公を良きライバルと見なして人懐っこく接してくるので、彼の友情EDは最も簡単な部類に入る。
ただし、そんな気さくな彼にも言ってはいけない言葉(地雷)がある。
タナッセ・ランテ=ヨアマキス 17歳 / 男 / 私
現王リリアノの一人息子であり、ヴァイルの従兄。
選定印を持たず、「決して王様にはなれない王子様」。
現国王の息子であるため地位は高いが、次の王では絶対にないため、複雑な立ち位置となっている。
そのことが本人に大きなコンプレックスとなり、大変拗らせている。
城に着いた主人公に対して(既に王候補のヴァイルが存在する=主人公は王にはなれない=自分と同類、と同情してか)、なんだかんだとよく話しかけて来る。
彼の一部の個別EDには到達するための特殊な条件が存在し、攻略難度は高い方。
リリアノ・ランテ=リタント=ヨアマキス 36歳 / 女 / 我
リタントの五代国王にしてヴァイルの父方の伯母。タナッセの母親。
一言で言うと完璧超人で、王としての評判も高い。息子のタナッセが幼い頃に夫と離縁している。
突如見つかった二人目の王候補である主人公を邪険にすることはしない人格者でありながら、やはりヴァイルが王になるだろうと思ってもいる。
ローニカ・ベル=ハラド 52歳 / 男 / 私
城から主人公を村まで迎えに来た老侍従。そのまま彼の側付きになる。
攻略対象中最年長で、主人公とは38歳差である。もちろん彼との愛情EDも存在する。
田舎者の主人公にも恭しく接するが、年齢を重ねているぶん、彼の本心を窺い知るのは難しい。
サニャ・イニッテ=コノラ 16歳 / 女 / 私・サニャ
主人公の世話係に抜擢された召使い。つまりメイドさんである。
田舎の村出身で教養の無さから誤ったおかしな敬語を使うため、城の他の人間からは馬鹿にされて笑われている。
自分と同じく農村出身である主人公に対して親近感を覚えている。
彼女の憎悪ルートは、しんどい人と却って燃えてしまう人の大体二通りに分かれる。
グレオニー・サリダ=ルクエス 19歳 / 男 / 私・俺
王城を警備する衛士。ここでの衛士は城の一般兵士のこと。
高身長で筋肉質、とガタイの良い主人公の5個上の男性。
代々の地方貴族に仕える衛士の家系出身であり、男ばかりの五人兄弟の末っ子。
実直な性格だが、実はメンタルが弱い。同僚からは弄られキャラ。雨男。
主人公に対しては気の良い気さくなあんちゃんに見えるが、彼の本来の本質は末っ子気質である。分かりやすそうでいてコンプレックスの塊。いわゆる面倒くさい男。攻略難度は高め。
彼の殺害EDはドラマ性が高く、ゲーム公開当初からプレイヤーからの人気が高い。
モゼーラ・ゼネ=トカーキ 22歳 / 女 / 私
理想に燃える直情型の文官。仕事上のミスで今の部署に左遷されたらしい。
正義感の高い(高過ぎる)司書のお姉さん。
過去の恋愛も実を結ばず、未だに独身であることを気にしている模様。
彼女との交流は、友情と愛情のどちらを育むかで、受ける印象が大分変わってくる。
ティントア・シーア=ファダー 18歳 / 男 / 僕
寡黙で浮世離れした雰囲気を持つ神官。
異性からは追い回され、同性からは女性と勘違いされるほど中性的な美形。
とあるEDでゲームシステムをも捻じ曲げる必殺技を炸裂させる。
ルージョン・アーネ=フィアカント 18歳 / 女 / 私・僕
薄幸の魔術師。ある攻略対象と仲良くならないと登場しない。
ちなみにこの国で魔術師とは、御伽話の魔物のようなもの。いるはずがないし、もしいたら「退治」される。
そんな訳で彼女のルートは、ひときわ物騒なイベントが多い。
トッズ 男 / 俺
ヒゲと軽口と胡散臭さで出来ている、自称20歳の商人。でもどう見てもおっさん。
遅くなりすぎない時期に商人がいそうな場所に行って、人目につく行動を取れば現れる。
本作のいかがわしい台詞の多くが彼の口から生み出されている。
ユリリエ・ヨアマキス=サナン 17歳 / 女 / 私
愛の狩人にして生まれながらの貴族たるお嬢様。
タナッセは父方の従弟に当たるが、なぜか彼に避けられているようだ。
彼女に獲物認定されるには、ある程度の評判と最低限の身だしなみ、そして社交界デビューが必要。
上記の「主人公が恋人と同じ性別を選んだ場合のED」に定評がある。
この他に立ち絵ありのサブキャラクターが複数いる。
非常に無口で大柄で忠臣の護衛、なんとも掴めない性格の元夫、ちょい役と見せかけて実は……な医者、小動物系おかっぱショタ見習い神官、鬼畜外道なエリート(笑)魔術師など。
全員攻略対象外だが、四月馬鹿を馬鹿正直に信じれば彼らにもう少し近づけるかもしれない。草うまい。
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小麦畑(制作元)