「地球の戦艦よ、お見事な戦いぶりだった」
CV:中田浩二(新たなる旅立ち、ゲーム版)、黒田崇矢(2205)
概要
『宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち』に登場する敵で、同作のラスボス。
暗黒星団帝国マゼラン方面軍総司令。機動要塞である自動惑星ゴルバからマゼラン方面軍の指揮を執り、ガミラス星とイスカンダル星の地下資源の確保を目指す。
部下であるデーダーからガミラス星が消滅し、イスカンダル星が暴走を始めたと報告を受けると、速やかにイスカンダル星を追跡・確保するよう命じる。デーダー艦隊が壊滅した後は自らゴルバを以てヤマトとデスラーの前に立ちはだかる。
物腰は慇懃で、デーダーを破ったヤマトに対しては恨み節ではなく健闘を称える度量も持つ。
大局的にものを考える人物で、決して好戦的ではなく、邪魔さえしなければ敵でも見逃す(たとえそれ以前にいくら妨害されていようとも)。ヤマトらの前に現れた際も問答無用で強引に排除しようとするのではなくまず退去を勧告した。何気に『宇宙戦艦ヤマト完結編』以前でヤマトに対し「去れ」と言った敵は彼くらいである(まあ主目的が違うというのもあるだろうが)。
その際、あくまでも目的はイスカンダル星の地下資源であり、それさえ確保できればイスカンダルに用は無い=イスカンダルの2人には危害を加えないということをしっかり伝え、さらに抵抗するなら逆にイスカンダルの2人を攻撃するという脅しも交えるなど、アメとムチを両方使っている。また、有言実行の人でもあり、前述の勧告を無視したら宣言通りイスカンダルを攻撃し、逆に降伏したら一切の戦闘行為を中止した。
この落ち着いた物腰はゴルバの圧倒的戦闘力を背景にした余裕から来るものと思われ、その態度にはいくらか傲慢さも見え隠れするが、少なくともそれをあからさまに表に出すような人物ではない。
このようにヤマトシリーズでは数少ない“話ができそうなタイプ”の人間で、物腰の丁寧さや約束をきっちり守る姿から、一部界隈ではヤマトシリーズの敵キャラ随一の紳士とも言われる(というか他が好戦的すぎるとも…)。
デスラーが勧告を無視して戦闘を開始した際は、ゴルバの戦闘力を以て制圧。警告通りイスカンダルへの攻撃を開始するが、デスラーの乗るデスラー戦闘空母がゴルバの主砲口へ突入。楔のようにゴルバの主砲口をこじ開けて装甲に穴を空け、ヤマトに波動砲を撃たせようとする。この時がゴルバの最大の窮地だったが、メルダーズは映らないため彼が焦っていたかは分からない。
結局スターシャの呼びかけにより波動砲は撃たず、彼女から降伏を宣言されると、戦闘を中止し、ヤマトやデスラーのことは放置したまま、イスカンダル星へ降下する。しかし、スターシャが騙し討ちのような形で星を丸ごと自爆させたため、それに巻き込まれ、状況を理解できないまま消滅した。
ちなみに本作では数少ない松本零士がデザイン原案のキャラである。
脚本プロットだと「ガボーチン」という名前。また、松本の原案デザインには「エンデズ・デーダー」や「プロイスタール・フォン・ドライゼ」という名前がついていた。
ゲーム版
PlayStation2で発売された『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』に登場する。
なぜか名前が「メルダース」に。
原作通りマゼラン方面軍の総司令としてガミラス星とイスカンダル星の地下資源を狙い暗躍。デーダーが倒された後はゴルバでヤマトとデスラーの前に現れる。
……のだが、なんか態度がでかい。中の人は同じだし、話しているセリフもほぼ同じなのだが、物腰が全く異なる。どう違うかと言うと、例えばとあるセリフの一節では
アニメ版「それでもこのゴルバと戦うというのか? あと10分だけ猶予を与える。その間に立ち去れ!」
ゲーム版「それでも我々と戦おうというのかっ! この自動惑星ゴルバと! 10分間だけ猶予を与える。その間に立ち去れぃ!!」
文字だけだと分かりづらいが、落ち着いた口調で無機質な恐怖感を醸していた原作に対し、あからさまに相手を嘲笑する感じで大仰かつ情感たっぷりに叫んでくれる。
原作では内に秘めて隠していた傲慢さを、常に開けっ広げにして曝け出しているような感じ。悪役としては分かりやすくなったが、その分小物っぽくなったともいえる。
最終盤でシナリオが完全オリジナル展開に入るとさらに化けの皮が剥がれてしまう。
スターシャの降伏を引き出すことに成功するが、ヤマトとデスラーは最後の抵抗を試み、ゴルバを人工ブラックホールで釘付けにする。その状況にメルダースは怒り狂い、声を荒げる。
「おのれ、おのれぇっ!! どこまでも邪魔立てしようというのか!!」
「動けずとも、ここからそのまま彼奴等を蜂の巣にできるだけの力があることを思い知らせてやる!!」
もはや体面を取り繕う余裕もないようである。
最後はゴルバの敗北という現実を直視できぬまま、ゴルバの爆発に巻き込まれ戦死した。
彼のキャラ変はゲーム版の数少ない惜しい点と言う人もいなくはない。
宇宙戦艦ヤマト2205
「必要なのはイスカンダルのみ。ノイズは要らぬ」
マゼラン派遣軍総司令官。旧作同様自動惑星ゴルバに座乗している。
デザリアム千年の夢の為にイスカンダルの波動文明技術を欲しており、そのために一切の予告なくガミラス星を吹き飛ばし、イスカンダル星ごと強奪するという強硬かつ強引な回収作業の指揮を行っている。
ノイズと呼ばれる存在に対して嫌悪のような感情も見え隠れしており、自分たちの星デザリアムまで移送するのには時間がかかるために、その間にイスカンダルについてきたノイズ(ガミラスの避難民間人)を消去せよとデーダーに命じるなど、旧作では穏便に交渉で事態を処理しようとしていた姿勢は微塵も窺えないどころか、民間人を守るために戦っているガミラス軍に対し、
「なんという浪費、なんという徒労。我らが欲するのはイスカンダルのみ。ガミラス星はその妨げとなる故排除したに過ぎない。なぜ抵抗を続ける?」
心底不思議そうに問いかけるなど、自分たちの所業に無自覚。
さらには乱入してきたヤマトを筆頭にした地球の第65護衛隊に対しても
「なぜ他人の命を救おうとする?命を賭けてまで……」
強い疑問とともに思考している描写があるなど、ノイズと見ている存在を人間扱いしてない可能性すら濃厚であり、古代進からの交渉の呼びかけにも聞く耳をもたなかった
一方でノイズとは思っていないイスカンダルの王族に対してはかなり紳士的な対応をしており、スターシャがガミラスと地球の者たちを見逃すならおとなしく虜囚になることを申し出ると即座に戦闘行為を中止させているばかりか、
「遍く知的生命体を救おうとする、その慈悲深さに敬意を表したい」
と述べるなどしており、露骨にノイズとそうでない者に対する姿勢が異なり、ガミラスと地球がその後にまた戦闘行為を再開した際には、先にスターシャに対して約定を違えたのは向こう
だから文句はないなと伝えてから応戦しているなど、メルダーズ、ひいては彼の所属勢力であるデザリアムの価値観にはいまだ多くの謎が残されている。