概要(オリジナル版)
劇場アニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』及びTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する架空の星間国家。地球では白色彗星帝国と呼ばれている。他にもガトランチス/ガトランティス(※ガトランチスは本編公開時に近い程多い表記で、ガトランティスは主に後年の表記。本記事内では旧シリーズをガトランチス、リメイク版をガトランティスと表記しておく)という呼び方もある。
移動しながら各宙域を支配していく強大な軍事国家であり、白色彗星帝国の本星は人工的に造りだされた移動都市そのものである。知名度はガミラスより劣るが、軍事力は作品中トップ。明確な戦力表現は無いが、アンドロメダ銀河の規模からして作中で最大の戦力を保有していると想像するに足る軍容であることには違いない。
国家元首はズォーダー大帝。作中での彼が語るところによると、宇宙を統一する旅は先祖の遺志であり、過去から未来永劫へと続く、彗星帝国ガトランチスの心であるという。「全宇宙は我が故郷」「この宇宙は、我がガトランチスの遠大な旅の為にある」というスローガンを掲げながら、進路上に存在する邪魔な星は破壊し、利用価値があると判断した惑星は占領・植民地化することで、全宇宙の覇権を握ることを目指している。
ガトランティス人は、肌の色が緑色で、眉毛と髪の毛が一体化しているのが大体の特徴である。
ちなみに白色彗星とは地球から観測した際中性子の渦が彗星のように見えたための呼称であり、実際の性質は彗星とは全く異なるのだが、なぜか当のガトランティス人ですらこの移動天体を「彗星」と認識している。科学的に誤って認識しているのか、その威容を誇るべく、あえて「彗星」を名乗っているのかは不明。
モデル
モデルが明確なガミラス帝国やボラー連邦などとは違い、明確に元ネタとなる国家は存在しないようであるが、人工国家・超高層ビルの集合による摩天楼などのイメージからアメリカがモデルであるという説も存在する。登場人物名はバルゼー(アメリカのハルゼー提督)、ゲーニッツ(ドイツのデーニッツ提督)、ゴーランド(イギリスのホーランド提督)、ナグモー ※(日本の南雲提督)など、多国籍の軍人の名前、もしくはズォーダー(ソード)、サーベラー(サーベル)など武器の名前からもじられている。
※ナグモー提督は名前のみ登場で実質没設定キャラである。
勢力圏
地球に侵攻した時点では、すでにアンドロメダ銀河を制覇したことが判明している。
彗星都市
白色彗星帝国の本星は、高速中性子と高圧ガスが形成する純白の巨大彗星の形態をしている。ただし、彗星の尾が進行方向と常に逆向きに形成されている(『2』漫画版のみ地球からの観測の際近隣恒星の影響で尾が靡いて見える描写がある)など、本物の彗星とは異なる。
実はこの巨大彗星の姿は、一種の擬態であり、吹き荒れる高速中性子と高圧ガスは、核となる人工要塞惑星(本体)を包み込むバリアーとしての役割と、対惑星級の破壊力を備えた攻撃兵器を兼ねているのである。彗星形態の時の大きさは、作中の説明によると直径6600km(地球の直径の約半分)ほどある。
軍事力
劇中で登場したのは本拠地である彗星都市と、そこに配備されていた艦隊のみ。それだけでも地球防衛軍の総戦力を上回る恐るべき規模の兵力である。更にアンドロメダ銀河は地球やボラー連邦のある銀河系の3倍ぐらいある巨大銀河であるので、国家全体の総戦力もガルマン・ガミラス帝国やボラー連邦を遥かに上回る可能性もある。
軍事技術では、敵勢力中でも珍しい回転速射砲塔と呼ばれるビーム兵器を通常兵器としている。これはマウントボールの様な形をしており、側面には多くのビーム発射口が一周するように並んでいる。これがガトリングの要領で回転して次々とビームを発射すると言う、威力よりも速射や乱射を主軸にしたタイプである。
また所有艦艇も侮れないものが多い。まずショックカノンに負けず劣らずな衝撃砲を搭載した大戦艦、惑星さえ吹き飛ばせるミサイルを搭載したミサイル艦、回転速射砲塔を多量に搭載した彗星帝国駆逐艦、機動性を重視した高速中型空母、上下に飛行甲板を有する超大型空母、等々、ガミラス艦艇をも圧倒する一面もあるのは事実である。
帝国内部の事情
この様に強大な大国としてふさわしい軍事力や支配権を有しているガトランティスだが、内部の事となると、やや事情が異なってくる。ありがちと言えばそれまでであるが、帝国内部には権力闘争が著しい問題となっていた。
特にTV版では、サーベラーとゲーニッツの確執が浮き彫りになっており、互いの脚を引っ張り合おうとする始末である。時には客将デスラーを追い落とそうと手を組んだりしたが、大帝に露見し叱責を被ることになった。
一方で何の罪もないのに巻き添えを食らった高官が1人存在する。それがラーゼラーであり、彼は職務を全うし、時として大帝にヤマトの乗組員侵入の報告をすべきだと進言していた。なのに、サーベラーとゲーニッツの巻き添えを食い、連帯責任として崩れ去れる彗星都市に置き去りにされてしまった。なお、ゲーム板ではもっと冷酷な性格になっていたが、結局は死亡する。
この様に、TV版では大帝の尊大さや、デスラーとの友好関係が出ている反面、部下たちの失態が前面に出てしまい、それが結局は帝国の衰退を招く結果となったのは言うまでもない。
劇場とTV版の差異
TV版と劇場版で多少の差異はあるものの、土星圏決戦に参加した地球防衛軍の艦艇はほぼ全滅、月も主砲で火の海に、アフリカ大陸を始めとする地球上の各地域も超巨大戦艦の砲撃で壊滅させられている。
これらの結果、地球側はガミラス戦役を生き抜いたベテラン軍人の大半が死亡し、人材不足が極まる状態に陥った。このダメージは後の暗黒星団帝国やディンギル帝国との戦いまで影響しており、シリーズ全体を通して最も地球に被害をもたらした星間国家といえる。
主な人物
ズォーダー(ガトランティス大帝)
サーベラー(総参謀長・支配庁長官)
ラーゼラー(支配庁宣伝・軍事総議長)
ゲーニッツ(遊動機動艦隊司令長官)
バルゼー(第1機動艦隊総司令官)
ゲルン(空母機動部隊司令官)
ナスカ(前衛艦隊司令官)
ゴーランド(ミサイル艦隊司令官)
デスタール(前衛第2機動部隊隊長)
メーザー(一般兵士)
ミル(監視艦隊司令)
ザバイバル(格闘兵団指揮官)
所有艦艇
回転速射砲塔とインパクト大の艦橋が名物の戦艦。
その名の通りの巨体を誇る宇宙空母。主艦体の上下に航空甲板があり、艦体後部の艦橋及びエンジン部を軸に一回転させるギミックが特徴的。ギミックの意味?ガトランティス人に聞いてください。
量産された空母……だが数を生かした航空戦力こそ圧倒的だが個艦単位だとこれといって特色がない。
艦首に巨大なミサイルを2基装備した艦。そこを敵に攻撃されたら危ないのでは……
大量生産されている駆逐艦で、接近戦での火力は圧倒的。
映画「さらば」ではその能力を存分に発揮する…が「2」ではやられ役。
要するにステルス艦……だが実は艦体を黒く塗っただけだったりして後発の同種の艦艇に比べ微妙。
輸送艦
特にこれといって説明することもない揚陸艦。びっくりするくらいマイナー。
ガミラスより技術供与された瞬間物質移送機の技術を応用し、直撃すれば主力戦艦も一撃で爆散する威力の超巨大火炎を直接ワープさせて攻撃する「火炎直撃砲」が最大の目玉。地球防衛軍の拡散波動砲の射程を遥かに上回り、その特性上回避行動も困難な為、土方竜提督率いる防衛艦隊に大損害を与えた。反面それ以外の武装はお粗末で、艦正面の連装砲だけ。
彗星都市内部に搭載された超巨大戦艦。多大な犠牲を払いガス帯を取り払い、動力炉を破壊してやっと勝てた…と思いきや、内部からこれが登場し、ヤマト乗組員を絶望に叩き込んだ。
副砲だけでヤマトを穴だらけにし、主砲はアフリカ大陸を始め地上を壊滅させており、これ一隻で冗談抜きで地球を滅ぼせそうな程の破壊力を持つ。まさに最凶の戦艦である。
艦名は不詳だが、関連作品では「パラドックス」や「ガトランティス」等と名付けられた。
航空機・宇宙艇
艦上戦闘機イーターⅡ
ガトランティスの主力戦闘機。デスバテーターが万能すぎるせいでいまいち影が薄い。
艦上攻撃機デスバテーター
カブトガニ型の大型航空機。ガトランチスの主力機で巨体のわりに空戦までこなす万能機。
大型長距離艦上戦略偵察機
デスバテーターのバリエーション。機体上下にレーダーを搭載し黒塗りのステルス塗装を施している ……が「2」でそれが仇になり背後にワープアウトしたヤマトに気付いてもらえずそのまま蹴飛ばされた。
T2陸上迎撃機
「さらば」にのみ登場する機体。ゲーム版では艦爆に設定変更された。
迎撃戦闘機パラノイア
都市帝国防空用の機体。コクピット内の構造がかなりパイロットに負担を強いる。
小型艇
「2」に登場した……謎のメカ。正直用途が謎。ホント何なんだろう、コレ。
概要(2199シリーズ)
2199
『宇宙戦艦ヤマト2199』にも「ガトランティス」という名で登場した。当初はガミラスから『蛮族』と呼ばれ忌み嫌われており、小マゼランで度々侵攻してきていた模様。ガル・ディッツが予断を許さないと言うあたり、やはり侮れない存在であることが窺える。
その存在が明らかになったのは第11話の冒頭、辺境星域に展開していたガトランティス前哨艦隊とドメル率いる第6空間機甲師団と交戦時である。14話、21話でもガミラスの捕虜となったガトランティス人が登場。劇場版『星巡る方舟』でも、帰路の途中であるヤマトに立ちはだかってくる。
因みに発音のイントネーションの違いから、ヤマトの事をヤマッテと呼んでいる。またグタバ方面のゴラン・ダガームは敵国であるガミラスのことをガミロンの青虫と呼んで侮蔑している模様(ガトランティス全体でそう言っているとは限らないので注意)。
2202
続編の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』にも引き続き登場する。第1話冒頭からガミラス・地球連合艦隊と戦闘を繰り広げた。国家元首はオリジナル版と同様にズォーダー大帝。多数の機動艦隊を用いて、ズォーダー大帝指揮の下、「全宇宙から根こそぎ苦痛を取り除く」という理念の元、テレザートを攻略する。
また2202において、2199では明らかにできなかった部分が次々と明らかにされている。同時に、ガトランティスの全貌はオリジナル版とは大きく違っている。
なお、国家名は白色彗星帝国とも呼ばれている模様。(オリジナル版での外から見れば彗星に見えるとはいえ全然彗星ではない点に関しては無視された模様)
2199と2202では、制度・方針・戦術などが大きく変わったが、理由は不明。憶測だが、3年の間に何かあって大幅な転換期を迎えたのか、2199の人たちはガトランに従っていた別の宇宙人なのかと思われる。
帝星ガトランティス
2199
本星や政治体系が明らかにされていないものの、ガミラスからはガトランティスという国家名である事は把握されていた。視聴者に対しては帝星ガトランティスと紹介されており、これが移動性の都市の事かは不明のままであった。支配者は大帝と呼ばれる人物(『大帝』という単語を、ガトランティス語で『ズォーダー』と呼ぶ模様)である。
2202
オリジナル同様に本拠地を彗星に擬態しており、移動する国家である事が明らかになっている。たさし、その内部における本体はオリジナルの比ではなく、土星(直径12万キロ、地球の直径の約9倍)を軽く蹴飛ばす巨大さを誇るものとなっていた。
モデル
本作におけるガトランティスは、オリジナルのものとはかなり形態の異なった勢力として描かれており、より野蛮さや傲慢さ、力強さと勇ましさと正に『蛮族』に相応しい姿になっている。これに関して出渕裕総監督は、「別々の星に生きているのだから、根本的に社会進化形態も考え方も違うだろう」という解釈のもと、オリジナルとは違う雰囲気を構築した。
そのモデルとしては、ガミラスが第2世界大戦のドイツをモデルにした為に、その差別化の意味も含めて中世の国家をイメージしていた模様。特にオリジナルでは、移動しながら地域を征服する様子からして、モンゴル帝国を一番近いイメージとしたと考えられる。
また役職名も丞相や都督といったものが出ており、顔つきや髪の毛の纏め方も、どこか中国的だったりする。さらに鎧は中世ヨーロッパ風、陣羽織は戦国時代の日本、と国は違えど世界時代は中世的であることが分かる。
政策・方針
2199
主な政策等は明確にされていないが、『星巡る方舟』において幾つかの情報が見えてきた。
まず科学知識を有する者のみを「科学奴隷」なる捕虜とし、戦士(兵士)は男女問わず殺してしまっている。これは、他国の科学知識をガトランティスの一部にしてしまうことで、自国の科学技術の向上の足しにしている為である。
その典型的例として、火焔直撃砲は他国の文明技術(ガミラス人による瞬間物質移送機技術も含まれていた)の融合によって誕生した兵器である。これは大帝の意向でもあるらしく、こういった他国技術の吸収によって自国の発展と存続にも繋げているようで、現在は惑星シャンブロウの遮蔽技術を欲している模様。
2202
帝星ガトランティス指導者のズォーダーが目指すのは、ガトランティスの手によって全宇宙から苦痛を根こそぎ取り除く『大いなる愛』を求めて、幾多の宇宙を駆け抜けては星々を席巻する。その対象としてテレザート星を攻略し、テレサの大いなる力を利用しようとしている模様。
また2202にて真田副長は物を造り出すことは出来ても修理するという概念は無いと推測しており、兵器や技術開発は科学奴隷に頼りきりであると思われる。
軍事力
2199
小マゼランにどれ程の艦隊戦力を派遣しているのかは不明である。ただし、各艦艇の性能はオリジナル譲りの重武装を施しており、圧勝しているイメージが強いガミラスの戦闘艦艇でさえ、油断するとハチの巣にされてしまいかねない。
2202
オリジナルシリーズを遥かに凌駕する、圧倒的物量を誇る軍事力を有していることが明らかにされている。最大で、〝機動艦隊”なる基幹艦隊らしき部隊は250万隻規模の艦艇を有しているようである(現段階で第八機動艦隊のみ判明し、第七機動艦隊の詳細な兵力数は明かされていないが)。
また、小説版で補足されたもので、1千万隻以上という膨大な艦艇が帝星内部に係留されているとされた。
技術力
- 速射輪胴砲塔
オリジナルでの回転速射砲塔は、速射輪胴砲塔という名称に改められている。基本構造はオリジナルとほぼ一緒であるが、砲門1つにつき小型ビーム砲が4門1セットになっているのが特徴的。これは速射輪胴砲塔だけでなく、メガルーダの大口径徹甲砲塔も4つのビーム砲口が束になっている。
これを主武装としており、対空火器としても強力な弾幕を張ることが可能で作中ヤマトのミサイルを迎撃できたのは、現在ではガトランティスだけである。
2202では、オリジナル版の名称を継承しているようで、回転砲塔と呼ばれている。その中でも大型戦闘艦が装備するものを回転大砲塔と呼称する。
- 艦橋砲塔
カラクルム級が有する独自装備であり、地球の金剛型らが備えている艦橋砲塔と同種の艦橋に多段式に連なり備えられている砲塔でオリジナル版で言う衝撃砲に相当するが、通常のビーム兵装との違いは特に描かれていない。ただしオリジナルでは固定式だったが、各段ごとに〝旋回可能”になっている。艦橋基部に備えられている大口径砲は〝艦橋大砲塔”と呼称される。
- 量子魚雷
本作特有兵器のとして、量子魚雷と呼ばれる特殊兵器も存在する。これは空間跳躍機関のエネルギーを利用した投擲兵器の一種である。弾着する瞬間に対消滅反応を起こしてその膨大な爆発エネルギーで、目標物を原子レベルで崩壊させる。(スタートレックの光子魚雷に見た目がよく似ている……というか原理的にはほぼ同じもの。ちなみにSTには同名の魚雷があるが原理は異なる)
- 雷撃旋回砲
2202初登場となったカラクルム級戦闘艦(旧:大戦艦)の特殊武装で、これまでのヤマトシリーズを通しても見受けられない全く新しい思想の元で作られた兵器。無数の雷撃ビットと呼ばれる小型機が艦首前方にリングを形成し、エネルギーを増幅・集約して一斉に前方方向へ広範囲に放射する代物である(ガンダム作品で言う所のファンネルに相当するが、その規模が段違い)。一種のマップ兵器とも呼べる。
- インフェルノ・カノーネ
さらに艦数が集まれば集まるほどにエネルギーは増幅される。一例として6隻が直列に並び、その周囲を幾重もの雷撃ビットのリングが囲い、直列に並んだ艦列と雷撃ビットリングが巨大な砲身そのものとなり、その放射エネルギーは星の地表に巨大な谷を造ることも容易い。ただし、その破壊力はリング中心部に位置するカラクルム級をも呑み込む形で照射される故、発射すれば艦体そのものも崩壊する使い捨て戦法である。
- レギオネル・カノーネ
上記したカラクルム級を、推定で250万隻と言う途方もない規模を用いて運用される兵器。だが厳密には一個体の兵器ではなく、膨大なカラクルム級が集結し超巨大な円筒形を形成、艦隊全体を巨大砲身として発射される、一種の〝技”の様な代物である。射程距離もヤマトシリーズ中屈指のもので、辺境第11番惑星から地球を直接に射撃可能なほど。
ただし、その使用には莫大なエネルギーが必要とされる模様で、人工太陽(※)をエネルギー源に転用するとされる。またこれだけの規模の艦艇全てを使い捨てて発射するには、ズォーダーの許可を得なくてはならない模様。
※劇中では人工太陽を超新星爆発させるらしいことが示唆されているが、実際には人工太陽どころか太陽系の太陽程度の質量では超新星爆発は発生しない現象なので、エネルギー転用にあたって何らかの処置を行う様子である。
ガトランティス人独自の砲撃システムではなく、亜空間実験事故で行方不明になっていたガミラス人科学者に空間転送投擲機(物質転送システム)を開発させ、さらに異文明の超兵器を盗掘して得た火焔直撃砲本体を組み合わせた兵器。ガミラスの物質転送システム同様、転送投擲機の運用は2基1組でなければ転送座標が安定しない。
砲身から放たれる超高熱のエネルギー弾を、敵艦隊の射程距離よりもさらに外側からワープ空間を使って敵艦隊の真正面に直接ぶつけると言う発想の代物。
威力は1発でもゼルグート級を、2発あればガミラス臣民の盾をも正面から最後尾まで串刺しにする程であり、一度撃ち込まれれば事実上回避も防御も不可能と凶悪極まりない兵器であるが、仮に一度でも標的を仕留めきれず、そこからもし絡繰りがばれてしまえば転送座標位置を予想されることで命中率は格段に落ちてしまう。(通常ならば撃ち漏らすことも、ましてやそこから絡繰りに気付かることも稀なのだが、ヤマトに対してはさまざまな要因から破られる羽目になった。)
- ワープ機関
- 2199
科学力に劣る蛮族、と呼ばれているとはいえ莫大な支配圏を持つ星間国家である以上、ワープ航法能力(ガトランティスでは空間跳躍と呼称)は有している。しかしガミラスやイスカンダル、イスカンダルの技術を得た地球の波動機関と異なる原理を用いている模様で、量子魚雷の解説などから推察するに対消滅機関かそれに準ずるシステムを空間跳躍機関としている模様。(設定で明示されたわけではない)
また2199では空間跳躍の際、地球(イスカンダル)ともガミラスとも異なり、オリジナルの白色彗星を思わせる渦巻く水柱のようなエフェクトの中から、大回転しながら出現しスラスターで強引に押し付け水平に戻す独自の表現となっている。
- 2202
2202では、3年間の間に改装されたのか、波動機関(基本的構造は同じである事が小説で補足されている)を有しているとされ、エフェクトも三角リングが多重に回転して形成された空洞内部から、艦艇が静かに現れるものに変更されている。
所有兵器
艦艇
戦艦では、超兵器『火焔直撃砲』や五連装大口径徹甲砲塔を搭載した『メダルーサ級殲滅型重戦艦』、雷撃旋回砲という特殊砲撃システムと集団攻撃戦法を有した『カラクルム級戦闘艦』、全身をミサイルで固めた『前期ゴストーク級ミサイル戦艦』。
空母では、自身にも砲撃能力を持たせた『ナスカ級打撃型航宙母艦』、最大規模の艦体を持つ巨大空母『アポカリクス級航宙母艦』。
中小艦艇では、多数の速射輪胴砲塔と量子魚雷を搭載した『ラスコー級突撃型巡洋艦』、『ククルカン級襲撃型駆逐艦』などとにかく重武装の傾向がある。
陸上兵器として、メダルーサ級をベースとした陸上戦艦『ヘルベスティア』も存在する。
所有艦艇種別からは殲滅型 打撃型 突撃型 襲撃型等、ガトランティス人の攻撃的思想が垣間見えるが、2202新登場のゴストーク級やカラクルム級にはこの命名傾向がなく、現状では自滅型という名を冠した特攻兵器が登場するのみである。
ちなみに艦級名はガトランティス神話等から採られているとされるが奇妙なことに地球の古代遺跡や先史文明と類似した名を持つ例が多い(除メダルーサ)……が、やはり2202の新登場艦からはこの傾向にない。
艦載機
艦載機では、『攻殻攻撃機デスバテーター』、『自滅型攻撃艦イーターⅠ』の2種類が登場。所属によってカラーリングが異なることもある。
無人機
ガミラスと同様、生身の兵士のみならず、機械化された兵士といえる『ニードルスレイブ』が配備され、杭のように長く太く鋭い針で生きている存在という存在を根絶やしにする。(そもそも「ニードルスレイブ」とは英語で「針の奴隷」という意味)
軍組織など
劇場でのガトランティスは、あくまで遠征軍である為に全体の姿は不透明のまま。また、オリジナルのガトランティス帝国と見比べると、本作における軍事的な組織内部は大分変化を見せているのが窺える。
階級(2199)
まず、オリジナルでは艦隊指揮官を『提督』と呼ぶのが一般的だった(ゴーランド提督、バルゼー提督、ゲルン提督、コズモダート・ナスカ提督)。中には『隊長』と呼称される部隊指揮官も存在するが、基本的には提督と呼ばれている(デスタール隊長)。地上部隊は『将軍』である(ザバイバル将軍)。
対して本作では、古代中国を模した様な『丞相』という地位が登場し、遠征軍指揮官の事を『大都督』と呼んでおり、現代的な『大将』や『中将』といった階級は一切なかった。ただし戦闘艦の指揮官については、他国と同様に『艦長』とされている。
加えて戦う軍人の事を『兵士』とは呼ばずに『戦士』と呼んでいることから、かなり違った考え方の民族である事も窺える。劇中でもサーベラーが「雷鳴の戦士ゴラン・ダガームよ」と発言していたり、ダガームも「戦士は殺せ!」と発言している。
階級(2202)
2202では、オリジナルの『愛の戦士たち』『ヤマト2』と同様に艦隊指揮官を司令長官や司令官、並びに提督と呼んでおり、細やかな階級の呼称は再びなくなった(この旧作回帰な作風は2202制作陣の方針の模様)。
集団組織(2199)
また小説版では、中級下級指揮官が存在していないことが明らかになった。これは育成に時間がかかることを理由に、ガトランティス軍が敢えてそうした指揮官の育成を省いて、小集団を率いる集団長及び、それを纏めて指揮官が指揮する方向に持っていった模様。
艦隊の編成も5~7隻で1部隊として、それを集団長が指揮し、こういった集団長が纏まってダガームに直接指揮されている。これも1つの軍事形態ではあるが、緻密な軍事行動を起こすのには向いていないとされる。ただし集団長達が独自に動く面で迅速な対応が可能な事から、決して間違った軍事組織とも言い難い。
集団組織(2202)
部隊単位等の説明は公式的に特にされておらず、ただ艦列を並べている様な風景である。
中級指揮官らしき人材はとくに見受けられず(しいて言うならナスカ)、その様はまるで各艦隊、各師団の司令官のみを頭脳とし、それにただ従うだけの『操り人形』を思わせる。
将兵
指揮官(2199)
『星巡る方舟』のみに登場したが、指揮官としてダガームが派遣されている。ただし、盗賊の頭目からの大抜擢、という形で決して正規軍からの任命ではない模様。また、部隊指揮官として空母部隊司令官パラカスなどがいる。
指揮官(2202)
蘇生体で構成されているらしい兵士とは違い、指揮官に至ってはクローニングによって同一人物を代々渡り次いで生成していた。その為、ゴーランド艦隊であれば、ずっとゴーランドのクローンが艦隊を統率してきていた。その他の艦隊も、そういったクローニングの可能性が高く、小説版でもそれが示唆されている。
兵士
2199
ガトランティス兵士は揃って屈強な兵士が殆どであり、ガミラスの捕虜となっていたのも全て筋肉質な兵士ばかりであった。蛮族たる所以はそれにある模様で、アンドロイド兵士であるガミロイドを棍棒代わりに振り回したりする様は、まさに蛮族である。
2202
ただし2202に入って明らかになった情報では、ガトランティス兵士の兵士の殆どは肉体改造を施されており強靭な生命力を有しているが、一定の処置を施さないと自爆するよう設定されているという。
しかし2199に登場したガトランティス人にはこのような兆候は見られなかった。恐らくは2199制作時における設定を敢えて無視した、2202スタッフ陣による後付設定であろうと思われる。単に、上記の自爆防止処置を行っただけという可能性もあるが...と言うか、そうでもなければ矛盾なしに説明がつかない。(なお2199においてはガトランティス艦艇を手描きから3DCGに変える都合で設定を練り直した程度のことはあった。また、2199でガトランティス女性の捕虜がゼーリックによって奴隷にされているのは、上記の自爆防止処置を行ったためと解釈できる)
(もっとも、彼らがガトランに従っていた別の宇宙人なら矛盾はしないが。)
また自爆以外の情報として、ガトランティス兵は殆どがクローニングによって生成された兵士であることが明かされており、それはガミラスの親衛隊員と同じである(親衛隊は自爆しないが)。またガトランティスに課せられたある使命も相まって、生きて帰ろうという事は一切なく、隙あれば道連れも厭わない。
ガトランティスの正体と謎
正体
第4章で明かされた白色彗星という存在は、かのアケーリアス文明が残した破壊装置であるということだった。それは、宇宙のあらゆる文明が止めようもない混乱等に陥った時に、それを止める為の存在として生み出された存在であったが、当のアケーリアス文明は滅び去り残された彗星を使いガトランティスで独自に行動を始めている次第である。
劇中、ズォーダーが口にした「我らをガトランティスと呼び蔑んでいた文明は滅んだ」というのは、アケーリアス文明の事……ではなく「ゼムリア」なる種族を指して言っている模様。ただし、ゼムリアが滅びた原因はおろかゼムリアなる存在が如何なる文明であったのか、またアケーリアスやイスカンダルなど他の宇宙文明と如何なる関係性があるのかさえはっきりとしておらず、古代進は「(ゼムリアを)ガトランティスが滅ぼしたのか」と問うたが、ズォーダーはなんの反応もかえさなかった。戦闘用として生み出された彼らは地球とガミラスら人類とはかけ離れたメンタリティを有しているという事になる。
文明を破壊する為に人工的に生み出されていく人造人間ことガトランティス人であるが為に、通常の思考ではありえない様な戦術(大量な艦艇消失をともなるレギオネル・カノーネや兵士の自爆等)が取れるということになる。
ただし、その製造過程の秘密を明かされている訳ではないので、今後の情報待ちである。
また官僚クラス、指揮官クラスの人材に関してはクローニングで代々同じ役目を負う事となっている模様だが、他にも細かな職種に分かれてクローニングもされている模様(酒を注ぐだけの者、散髪するだけの者等)
謎
2202では死をただ当然のこととしか考えないガトランティス人に対し、2199のガトランティス人は明らかに死を恐れる描写がある事。
ゴラン・ダガームの一党は元々宇宙で暴れまわっていた盗賊の出身とされているが戦闘用生命体であるならば盗賊などという反社会的な存在が作られているのは不自然である事(『箱舟』小説版では貴族的な上流階級が存在することを示唆する発言もあるがこれも社会秩序すら存在しない2202の描写とは反する)。
これらに説明を付けるならばズォーダーらの原型となった、言わば純正たるガトランティス人、もしくはゼムリア人か、その系譜に当たる種族の文明が存在したがその文明が何らかの理由で滅び、ダガームらはそのゼムリア(純正ガトランティス)の生き残りであるとの仮定ができる。
もしくは、2202の小説版において、サーベラーやバルゼーがダガームのことを「三級品のガトランティス人」と言っているため、『ダガームは、クローンニングに失敗して産まれた感情をもってしまった粗悪品だったから、棄てられて盗賊になった』という解釈もできる。つまり、ダガーム一党は、棄てられた失敗作をダガームが束ねたものという解釈である。こうすれば上記のゼムリア人説よりも、蛮族のような粗暴さや、2199と2202の設定の矛盾に対する説明がつくだろう。
(単に2199の設定を無かったことにした可能性も一応ある。)
そしてもう一つ、サーベラーの存在という大きな謎がある。
ガトランティスが人工的な戦闘民族であり、死者からも生命体を再生させるクローン技術が発達している以上、必要とされるのは屈強な男性兵士のみであり、か弱い女性の個体は必要ではない。(酒を注いだりする者などの、非戦闘員は除く。また、ゼーリックが侍らせていた女性など、例外も僅かに存在する。)にもかかわらず、サーベラーはズォーダーに抜擢されて丞相という要職に就き、最高幹部のゲーニッツも彼女に礼節をもってあたっている。
そして彼女は、希少な純粋体のコピーとされており、ズォーダー曰く「人間を裁ける最後の人間」とされる。しかしコピーの際に封印されている愛の記憶が何らかの理由で目覚め、その度にズォーダーによって抹殺されている。
登場人物
ズォーダー/大帝 | シファル・サーベラー/丞相(最高位幕僚) | ゲーニッツ/遊動機動艦隊司令長官(最高位幕僚) |
ラーゼラー/支配庁軍務総議長(最高位幕僚) | ガイレーン/諜報記録長官(最高位幕僚) | ミル/将校 |
ゴーランド/ゴーランド艦隊司令官 | バルゼー/第七機動艦隊司令長官 | |
メーザー/第八機動艦隊司令官 | コズモダート/前衛艦隊艦隊司令官 | |
ザンツ・ザバイバル/ザバイバル陸戦師団長 | ||
ゴラン・ダガーム/グタバ方面大都督 | ボドム・メイス/『メガルーダ』艦長 | イスラ・パラカス/『キスカ』攻撃隊隊長 |
所有兵器
超大型艦
大型艦
中型艦
|
|
小型艦
艦載機
「艦」と言う文字が名前に入っているが、艦艇ではなく大型航空機。
その他
テーマ曲
ガトランティスのテーマBGMである、パイプオルガン演奏曲『白色彗星』はあまりにも有名。
ヤマトの劇伴を担当した宮川泰氏によるこの曲は、荘厳さと共にガトランティスの底知れぬスケールや、それがもたらす絶望・恐怖を想起させ、戦死者が続出する劇場版での展開も相まって、当時のファンに大きなインパクトとトラウマを植え付けた。多数のアレンジ曲が存在し、2202でも起用されている。
関連イラスト
pixivでは、主に主要メンバーが多く見られる。
pixivユーザーオリジナルキャラクター
主要メンバーの関連イラストが多い一方で、pixivユーザー(主にnekotaDX特務中尉様)のオリジナルキャラクターもかなり投稿されている。概要は関連記事を参照せよ。
関連タグ
前者はアメリカドラマ『スタートレック』、後者はアニメ『マクロス』に登場する戦闘民族。『星巡る方舟』のガトランティスは前者に、『2202』のガトランティスは後者に雰囲気が似ていると言われる(特に後者はともすればパクリと言われてしまうレベルで基礎設定が類似している)。そのため『星巡る方舟』→『2202』のガトランティスの設定変更は一部界隈では「クリンゴンもどきからゼントラーディもどきになった」とも揶揄されている。
因みに『星巡る方舟』公開当時はクリンゴン風味(というか蛮族風味)に賛否両論だったが、『2202』でまんまゼントラーディ(さらに言えばSF界隈では散々使い倒された設定)になったせいで「クリンゴンの方がまだ(個性があって)よかった」と再評価する人も見られる。