概要
リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』の新作劇場映画『星巡る方舟』に登場した帝星ガトランティスの大型戦艦で、グタバ方面の艦隊旗艦として設定された。オリジナルにおけるメダルーザをリデザイン(もといパワーアップ)したものだが、あくまでもメダルーサ級の同型艦として『メガルーダ』が存在していると言う。つまり、凶悪極まりないこの戦艦には、何隻かの同型艦が存在していることになる。
当艦はゴラン・ダガームの乗艦でもあり、蛮族と呼ぶに相応しい戦いぶりを披露している。またオリジナルで明らかになっていた火力不足が解消された(どころか過剰搭載とも言える)ため、もはや別物ではないかと思える外見に仕上がっている。その為、ヤマトとの一騎打ちを演じるときは、ドメラーズⅢ世とは一風違った戦いを見せた。
また続編宇宙戦艦ヤマト2202でも、量産化された本級が登場しており、火焔直撃砲も健在。第1章ではゼルグート級一等航宙戦闘艦を盾ごと抹消すると言う威力を見せつけている。ただし、1隻のみでは盾を貫通することは出来なかった。
デザイン
なおそのデザインは、オリジナル版とはかけ離れたものとなった(ただし、二又型艦首や艦橋、二又型艦尾の形状等は雰囲気は残されているので、まったく違うとは言い難い)。どちらかと言うと、ゲーム版にさらに手を加えた感じになっている。
デザインを決定するうえで、様々な試行錯誤が行われている。まず、オリジナル版メダルーザは、大戦艦よりも小型の戦闘艦であると言うことから、ヤマトに立ちはだかる敵としては大型化させた方が良いと言う事になっている。
また大型化に伴って艦体後部の上甲板には、V字形滑走路を備え付けられ、航空戦艦としての機能を充実させた。一方で火焔直撃砲以外の戦闘能力において、最初は艦首側に回転速射砲塔を3基備え付ける予定だったと言う。
しかし、それでは全体的に収まり過ぎて迫力に欠けてしまう模様で、ヤマトの敵艦としては迫力不足ということになった。そこでまず「砲塔に砲身を付けよう」という提案が出された。それでも物足りなかったのか、小林誠氏が「でかい方がかっこいい」という理由で、砲塔を巨大化&五連装という途方もない巨大砲塔が搭載されることになった、という話である。
もはや魔改造のレベルの範疇を超えたものと言えるだろう・・・。
火焔直撃砲
決戦兵器『火焔直撃砲』(火炎ではなく火焔となった)は継承しているが、格納式となっており使用時に展開する仕組みになっている。この火焔直撃砲については、技術的ルートが明らかにされている。ガミラス帝国の亜空間戦闘部隊の実験隊の一部が、実験中に事故に遭って行方不明になったが、その矢先にガトランティス艦隊と遭遇し拿捕されてしまったとのこと。
その中のガミラス技術者が科学奴隷として日々の科学開発に従事させられ、その結果として瞬間物質移送機と似た『転送投擲機』が開発されたと言われている。また火焔直撃砲本体にしても、別惑星における技術を盗掘していた模様。つまり、他国の科学技術を繋ぎ合わせて完成したのが、本作の火焔直撃砲であると言える。
追加武装
また注目すべきは、艦には不吊り合いとも思える艦首の五連装大口径徹甲砲塔の存在である。これは火焔直撃砲のエネルギーを転用した主砲で、その破壊力はショックカノン並み(或いはそれ以上)といっても過言ではない。その証拠に、ヤマトの艦尾(カタパルト付近から)を深く抉っている。またクリピテラ級航宙駆逐艦の右舷側を深く抉って轟沈させている。
その他にも、ゲーム版の準えたような速射輪胴砲塔(回転砲塔の事)を3基備える他、連装速射砲塔を2基、対空用輪胴砲塔を16機、魚雷発射管を艦首に9門、量子魚雷墳進機を4門等、『殲滅型』と言われるに相応しい重火力を有している。
艦体後部には、格納とV字型滑走路を有しており、艦載機を12機備えるなど航空戦艦としての機能を兼ね備えた強力な戦闘艦として生まれ変わった。なおメガルーダに搭載されるデスバデータは、緑とオレンジのマーキングになっている。
同型艦について
因みに、同型艦が存在している事は、総監督である出渕裕氏本人も公言しているのだが、その同型艦自体の設定等は今のところは皆無である。もしも続編等が制作されると決まれば、メダルーサ級の同系艦が登場するかもしれない。
また、この時は全てのメダルーサ級が火焔直撃砲を装備しているか不明であった。元々はメガルーダの搭載する火焔直撃砲は、他文明の技術を盗掘によって得ており、メガルーダにのみ搭載された兵器である可能性も否定できないからだ。
しかし続編において、本級が量産化され、あまつさえ全て火焔直撃砲を搭載していることが確実となった。
スペック
メダルーサ級殲滅型重戦艦『メガルーダ』
- 全長:505m
- 全幅:不明
- 全高:不明
- 機関:2基
- 武装
- 火焔直撃砲×1門
- 転送投擲機×2基(二又艦首に1基づつ)
- 艦首大砲塔(五連装大口径徹甲砲塔)×1基
- 八連装速射輪胴砲塔×3基(後部上甲板)
- 二連装速射砲塔×2基
- 対空砲(八連装高射輪胴砲塔)×16機
- 艦首魚雷発射管×9門
- 量子魚雷噴進機×4基
- 艦載機:12機
- 艦長:ボドム・メイス(小説版ではゴラン・ダガーム)
- 主な搭乗者:ゴラン・ダガーム
性能
メダルーサ級殲滅型重戦艦の「性能」の項を参照
経歴
バンデベル艦隊との交戦
ダガーム率いるグタバ遠征軍は大マゼラン銀河外縁宙域において、宇宙を放浪していたバシブ・バンデベル准将とマイゼル・ドラム率いる反デスラー派の少数艦隊に遭遇した。先手を打ったのはメガルーダの方であり、序盤から火焔直撃砲を使用。1撃目で2~3隻のデストリア級航宙重巡洋艦やケルカピア級航宙高速巡洋艦を撃沈した。
バンデベル艦隊から反撃を受けるも、射程外で届くわけもなく、その後も2回追加射撃を実施。合計3回の射撃によって、数十隻強余りのバンデベル艦隊は95バーセル(%)を殲滅されてしまう。その破壊振りたるや凄まじいもので、直撃しなくとも掠めた程度で装甲が超高熱によって融解、発火、轟沈という末路を辿って行った艦も多い。
残った旗艦ゼルグートⅡ世にも砲撃。ヤマトのショックカノンすら弾いた艦首装甲に直撃させ文字通り艦首から艦尾にかけて貫通し撃沈、逃走した独立戦闘指揮艦も残さずに砲撃、バンデベルとドラムごと消し去った。
ヤマトと遭遇
イスラ・パラカス率いるキスカ遊撃隊が、航行中のヤマトを補足したとの報告を受ける。ダガームは、ガミラスを圧倒したヤマトを大帝に献上する為に鹵獲しようと、艦載機による戦闘を仕掛けるも迎撃され失敗。
近くの惑星カッパドギアに逃げ込もうとするヤマトを追撃すべく、ダガームは前衛部隊を前進させて攻撃。メガルーダはその場凌ぎの小細工をつづけ逃亡するヤマトを圧倒すべく、火焔直撃砲を発射させ、その際、追撃するあまりに火焔直撃砲の射線に入ってしまったラスコー級突撃型巡洋艦を巻き込んで砲撃するも巻き込んだせいで着弾座標が狂わされてしまう。その隙に惑星の地殻内部に逃げ込むヤマトに、さらなる追撃命令を出したものの、追撃部隊はヤマトの反撃と正体不明の宇宙生命体メデューラの大群によって壊滅。しかもヤマトが惑星表面で実施した強制ワープの影響で、巨大な重力振が発生して大爆発を引き起こした事によって多量の物質が散らばり、空間航跡を辿って追撃するのに時間を要する事となる。
シャンブロウに到達
ダガームは、帝星ガトランティスのシファル・サーベラー丞相に叱咤されつつも、空間航跡を辿ってワープ。彼女からはヤマトよりも、本来の目的である「静謐の星」を見つけるように厳命されてはいたものの、ヤマトを追う事に固執した事が、彼に幸運をもたらした。
ヤマトが目標とする「静謐の星」シャンブロウに先に到達して居た為、彼も必然的に目的の星に辿りついてしまったのである。そこでダガームは、この功績を自分のものとしつつ、惑星にいるガミラスとヤマトを炙り出すために火焔直撃砲を発射。大帝に献上する星であるにも拘らず破壊していった。
火焔直撃砲、無力化される
やがて惑星から出てきたヤマト・ガミラス連合艦隊に対して、ダガームはメガルーダの艦載機を差し向けた。しかし、艦載機群はヤマト艦載機隊による攻撃で壊滅的打撃を受けてしまった。その一方で再び火焔直撃砲を発射、ガミラス艦隊のニルバレス1隻、ケルカピア級航宙高速巡洋艦、クリピテラ級、合計3隻を先制して撃沈せしめた。
しかし、その後は長続きしなかった。早くもヤマトの真田志郎に対策を練られてしまい、火焔直撃砲発射時の重力振を逆手に取られて回避されてしまったのである。メガルーダは長距離砲撃の持ち味を生かすことが出来ず、そのまま艦隊決戦へと持ち込まれる事となった。
艦隊決戦
火焔直撃砲が無力化されたからと言って、メガルーダそのものが無力化されたわけではない。当艦には五連装大口径徹甲砲塔と呼ばれる、破格の大きさを誇る巨大砲塔が存在し、さらには他の武装も充実しているからである。しかもガトランティス艦隊は、ヤマト・ガミラス艦隊の倍以上の戦力を有していることもあり、圧倒的優位な体制にあることに変わりはない。
とはいえ、ヤマトの強力な砲撃と、ミランガルを筆頭とするガミラス艦隊の猛攻を前にしてガトランティス艦隊は次々と撃沈。だがガトランティス艦隊も殴られっぱなしではなく、数の多さと機動戦を生かして反撃し、ガミラス艦を撃沈していった。
メガルーダも五連装大口径徹甲砲塔で砲撃を開始、その初撃でクリピテラ級を串刺しにして撃沈させた。この猛攻に反応したヤマトが、すかさずメガルーダに標準を合わせて砲撃し、メガルーダの左舷艦首先端付近にショックカノンの直撃を許してしまう。
505mの巨体は伊達ではなく、左舷の転送機が破壊されたくらいで支障は出なかった。かのゼルグート級の正面装甲とは程遠いが、ショックカノンを受けても平然としている辺り、メガルーダは重戦艦としての装甲の厚さが窺える一面である。
だがダガームは焦りを覚えたのか、艦隊を離脱して単独で惑星中心部の制圧に乗り出してしまう。この影響で艦隊に混乱が生じ、前衛打撃郡のパラカスが暫定的に指揮を執ることとなった模様である。(そのパラカスも、旗艦キスカがミサイル攻撃を受けて大破している)
火焔直撃砲のトンデモ使用
全速でメガルーダはシャンブロウ制圧に向かう中、前方に金網状の地形に絡まって身動きのできないランベアを補足。目障りであるとして、再び砲塔で破壊しようとした時に、後方からヤマトが全力で追撃してきた。
それを知ったダガームは、一騎打ちなら負けない自信があったのか、「笑止!」と叫んで後部砲塔で迎撃させる。しかし損害に構わず突っ込んでくるヤマトに業を煮やしたのか、ダガームは視聴者の度肝を抜くような方法でヤマトを攻撃した。
まず彼は急接近するヤマトに向かって、「メガルーダに死角なぁし!!」と不敵な笑みを浮かべながら、火焔直撃砲を作動させる。転送機も使用できず、まして火焔直撃砲は後方へ砲撃できる筈もないのだが・・・・・・なんと、巨大な砲身部を切り離した挙句に、姿制御スラスターを最大限にふかすことで回転させ、砲身自体を棍棒の如く投げつけたのである。
砲身部だけでもヤマトと同等の大きさを誇るため、直撃すれば大破するのは間違いない。しかも追撃するために猛スピードで突っ走っている為に回避は不可能、かと思われたが、島大介の操艦術でこれを回避(左舷側に接触はしたものの)されてしまった。
ヤマトとの一騎打ち
砲身部による迎撃に失敗したメガルーダに、ヤマトのロケットアンカーが右舷後部に突き刺さった。錨に繋ぎとめられてしまったメガルーダは、つんのめるような形になると共に右舷後部から引っ張られる影響で、右方向へ進路を傾ける事となる。
そこからヤマトは、錨を巻き取りつつも急速にメガルーダとの距離を詰める。もはや避ける事も出来ない距離にあって、ヤマトは対空火器(パルスレーザー砲塔)を至近距離でメガルーダの右舷に叩き込んでいった。貫通力こそないが、ビーム弾幕による攻撃でメガルーダの表面装甲は蜂の巣にされてしまう。
それでもダガームはあきらめず、メガルーダの五連装主砲塔(内2門)をヤマトに向けて発射。艦尾のカタパルトを吹き飛ばし、艦尾の上部付近を抉ったものの致命的打撃には成り得なかった。さらに錨を巻き取るヤマトは、やがて自然とメガルーダの真正面に躍り出た。文字通り目と鼻の先である。
その瞬間、ヤマトの三式弾3発が発射され、同時にメガルーダも2門分のビームを発射した。しかし、南部康雄の正確無比な砲撃が功を奏し、メガルーダの艦橋直下に3発すべてが直撃。小説版では、ダガームは着弾した時の実弾特有の音を聞いて、「ほ、砲弾だと!?」と時代遅れと認識していた兵器を使っていたことに驚愕していた。
一方のメガルーダは外してしまった。三式弾によって艦橋が吹き飛ばされ、ダガームも艦橋諸共爆死する結果となったが、ヤマトはダメ押しと言わんばかりにさらに3発分の三式弾を発射。これも尽く命中、火焔直撃砲用のエネルギーに引火した影響か、大爆発を引き起こして轟沈してしまった。かのデウスーラⅡ世と同様に、実弾によって撃沈(厳密にはあちらは大破して自滅だったが)された。
この攻防で、メガルーダは性能的にヤマトに対抗しうる強力な戦闘艦である事が証明されたが、サーベラーの言うように『宝の持ち腐れ』となってしまった感も否めないかもしれない。もしもダガームが、もっと知的な戦士であった場合は、ヤマトは旅の途中で撃沈していた可能性もあるだろう。
因みに小説版では、ダガームが艦長として、メイスが副長として就任している。