ゴラン・ダガーム
ごらんだがーむ
「我がガトランティスの輝き、とくと見よ・・・・・・火焔直撃砲、発射ぁ!!」
- 声優:大友龍三郎
- 所属:帝星ガトランティス・グタバ(小マゼラン)方面
- 肩書:グタバ方面 大都督(小説版ではメガルーダ艦長を兼任)
- 階級:大都督(詳しい階級は不明)
- 乗艦:メダルーサ級殲滅型重戦艦『メガルーダ』
- 年齢:地球換算で42歳相当
- 異名:『雷鳴のゴラン・ダガーム』
劇場版『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』に登場した、ガトランティスの新規キャラクターの1人。オリジナルの白色彗星帝国ことガトランティス(又はガトランチス)は、アメリカをモデルとした雰囲気を纏っていたが、こちらは中世時代(モンゴル帝国辺り)をモデルとしている雰囲気である。
容貌は、ガトランティス人特有の緑色の肌に、いかにも戦闘民族らしい屈強な身体、顔の右半分は引っ掻き傷が数本残り、右目は義眼となっている。因みに、この顔のひっかき傷と義眼に関しては、オーディオコメンタリーにて、かつて凶暴な獣と対峙した際に出来た傷かもしれない、と話が出ている(確実な設定ではないので注意)。その獣が、彼の据わる座椅子の下に敷かれているカーペットであるとされている。
黒い頭髪から顎鬚まで一体化しており、若干長めなのか後頭部で髪を若干束ねている。服装にしても、中世ヨーロッパ風を想像させる鎧に、戦国武将を思わせる袖なし陣羽織を纏い、大剣バスターソードを手にしている(それとは別の小さい剣も所持している)。
メガルーダの艦橋で他の戦士と共に、巨大な動物の骨付き肉を頬張り酒を飲むなど、その野蛮性が表れているとも言える。さらに艦橋内では、艦橋に居る戦士たちに太鼓を叩かせるなど、一風変わった風景である。
因みに小説版では、食い散らかした骨などは、床に投げ捨てほったらかしであるという。そのため、放り投げた骨に付いている残りかすが腐り、如何ともしがたい腐臭を放っている為、常人では到底留まるのは耐えがたいと言う。ただし映画版も散らかす場面があったものの、後の場面では清掃されていることから一応は片づける模様。
因みに、彼の名前の由来はダガーナイフから。
豪快且つ非常に荒っぽいもので、彼の旗艦『メガルーダ』の艦長を務めるボドム・メイスは、彼の度重なる横暴に嫌気と不満を募らせている程。何かあると、尽くバスターソードの剣先を床に突き刺す、メイスの顔面を思い切り殴り飛ばす又は切り殺すなど暴力を振るう事さえもある。しかし意外にも、性格は荒いものの部下からの人望は高い模様(メイスなど一部は除く)。
小説版ではさらに気の短さが描写されており、空間航跡のトレースやレーダー索敵に手間取っていると、殺してやると言わんばかりに迫りってバスターソードに手を掛けてみせるなど、かなり凶暴性が増している。
戦士は戦ってこそ、をモットーとしており、戦は武人の誉れと考えている。その一方で、兵を退くは腑抜けの所業と考え、和睦という考えは頭にはない。小説版では、山本玲がメガルーダに艦載機で攻撃を与えた時、「テロンにも骨のある奴がおる」とその技量と勇気を評価するなど戦士としての一面もうかがえる。
また、権力を笠に着るような輩を嫌っている模様。そのため若い年齢ながらも宰相の地位にあるシファル・サーベラーを「ふん、小娘が」と言って吐き捨てている。その反面「大帝」に対しては絶大な忠誠を誓う様子。盗賊の頭目であり、非常に荒っぽいこのダガームが命令に従うからには、大帝とやらは圧倒的な指導力や力強さを持っているからではないか、というのが想像できる(あくまで編集者の意見である)。
『天佑神助』や『怒髪衝天』と、やたら四字熟語を使いたがる傾向がある。メガルーダに対して愛着と言うべきか、或いは絶対的な信用をしているのか、ヤマトとの一騎打ちでは「メガルーダに死角なし!」や「負けぬ、メガルーダは負けぬぅ!」と叫んでいる。
もともとは盗賊として宙域一帯を荒れ周っていた人物であっただけに、その戦法は力押しといった正面決戦を多用しているように見受けられる。また、強大な新兵器に頼る傾向も強く、火焔直撃砲を搭載したメガルーダにあって、遠距離から一方的に攻撃する事を好んでいることからもうかがえる。最終決戦時では二方向から挟撃しようとするが、苦戦する焦りから自ら指揮を放棄して単艦で行動してしまうなど、艦隊指揮官としては凡庸とも思える描写にあった。
小説版では、艦隊指揮能力を示す指揮ぶりが描写されている。シャンブロウの決戦では、火焔直撃砲の利を生かすために自らは最後方に位置し、最前面に前衛部隊、後衛に空母部隊を配置し、前衛艦隊とのデータリンクを生かして火焔直撃砲を撃ちこむなど、優位性を生かしている。
冒頭
元々は周辺を荒らし駆けまわる一族の頭目で、卑しい出自の身分であったらしい。ある時、大帝の眼に留まって、直参の戦士として異例の抜擢を受けるという経歴を持つ。その為に大帝への忠誠は厚いものの、そのことをシファル・サーベラー丞相は嫌って見下している模様。
大帝よりグタバ(小マゼラン)方面の大都督を拝命し、とある星の探索を命じられていた。エルク・ドメル中将が小マゼラン防衛司令官だった時に配属されていたのかは不明である。なおグタバ方面軍における戦力数は未知数であるが、レーダー反応の規模から概算で50隻前後ではないかと推定される。
大マゼラン銀河外縁において、星の探索の途中にバシブ・バンデベル准将率いる反デスラー派の艦隊と遭遇。これ見よがしに新兵器『火焔直撃砲』で奇襲し、あっという間に撃滅してしまった。ゼルグートⅡ世の円盤部分で離脱しようとしたバンデベルも容赦なく攻撃するという徹底ぶり。撃滅した後に「ヴィルグザーハン ガミラーゼククリットゥドゥ……!(思い知ったか、ガミロンの青虫め!)」と吐き捨てていた。
ヤマト捕獲戦
帰還途中のヤマトを、イスラ・パラカス率いる前衛打撃郡が補足した事を受けて即座に追撃をし開始した。パラカスに足止めをさせておきつつも、自身率いる本隊はヤマト後方よりワープアウト。
そのまま通信回線を開き、ヤマトの明け渡しを要求した。ヤマトの存在は、撃沈されたガミラス艦のデータ(ブラックボックスと思われる)から情報を抜き出したと考えられる。これに関しては、先のバンデベル艦隊から得たデータの可能性が高い。バンデベル艦隊はバラン星でヤマトを目撃しており、さらにヤマトがバラン星で使用した波動砲の記録が残っている可能性も十分にあり得るため、整合性はある。
ダガームは古代進の平和的解決を頭から否定。一方的に軍門に下るよう言いつけた。しかし、地球への帰還を第一する古代も、これを断固拒否した。それを待ち望んでいたかのように、ダガームは「なれば・・・死を与えるのみ」と呟いて攻撃にでる。
惑星カッパドギアの攻防
ダガームは前衛打撃郡の艦載機攻撃と同時に、前衛部隊(ラスコー級突撃型巡洋艦とククルカン級襲撃型駆逐艦)に追撃させた。しかし、艦載機隊はヤマトの爆雷攻撃で壊滅、同時に前衛部隊もショックカノンによって駆逐艦1隻が撃沈される。
そこで火焔直撃砲の発射を命じる。しかし、ヤマトの後方には追撃中の巡洋艦「グリアデ」がおり、巻き込んでしまう可能性があった。ボドム・メイス艦長は転送座標に誤差が生じる事を危惧したが、ダガームは構わず発射。火焔直撃砲はグリアデを轟沈させたが、ヤマトの右舷を擦り抜けてしまい外してしまった。
惑星に逃げるヤマトに対して、前衛部隊にそのまま追撃させる。ダガームは前衛部隊に対して、推進器を狙って軟着陸させるよう指示した。しかし、ヤマトの抵抗によって駆逐艦1隻と巡洋艦1隻が撃沈。さらに正体不明の宇宙生物メデューラにより、駆逐艦2隻がエネルギーを吸い取られ沈黙し墜落、爆沈してしまう。
肝心のヤマトも宇宙生物の被害にあっていたが、逃げ切る為に重力干渉の危険性も顧みずに強制ワープを開始。そのために重力振動が膨大な衝撃波を発生させ、同時に宇宙生物のエネルギーが暴発(だと思われる)し大爆発を引き起こした。
このために空間航跡の解析に多大な時間を要する事となってしまい、捕獲にしくじったダガームは、腹いせと言わんばかりにメイス艦長の顔面を思い切り殴り飛ばし「怒髪衝天!!」と雄たけびをあげて悔しがった。(メイスのストレスも溜まるわけである)
シャンブロウへ到達
ガトランティス丞相サーベラーから経過報告を聞かれたものの、目的の星発見はできていなかった。その代りにヤマトという強力な戦艦を手土産にどうかと報告するが「うつけ!」と叱責を受けてしまった。さらに失敗した時は死をもって償え、と言い渡され通信を切られてしまう。ダガームは、年下の生意気なサーベラーを「小娘」と吐き捨てた。
目的の星よりもヤマトの捕獲にこだわるダガームは命令を無視。ようやく空間航跡を解析すると、直ぐに後を追ったが、これが運よくも目的の星に辿りつくことになろうとは思いもよらぬことであった。
ダガームはシャンブロウを発見した事に歓喜し、手柄は自分のものであるとしてサーベラーへの報告を怠った。そのままシャンブロウへ接近し、ヤマトを炙り出すためにも再び火焔直撃砲でシャンブロウに攻撃を開始した。
やがてヤマトとガミラスの連合艦隊が浮上してくると、今度は連合艦隊に対して砲撃を開始した。初撃でゲルバデス級航宙戦闘母艦1隻と他2隻を撃沈するが、それ以降は回避されてしまい決定打を出せないままだった。
サーベラーからの通信
そこで突然、シャンブロウが真の姿を見せた。ダガームは、その姿に唖然としたが、直後にサーベラーからの通信が入る。メイスによってシャンブロウ発見を密かに密告されてしまったのである。さらに火焔直撃砲による惑星攻撃を中止させた。大帝に献上するための星であって、傷つけるのは如何ともしがたいという彼女の言葉はもっともであった。
その直後にサーベラーが「所詮、出自は賊の頭目」と見下すように言い放ち、続けざまに「火焔直撃砲を持たせる器ではなかったか」などと吐き捨てた事に激怒し、通信機ごとバスターソードを振り下ろして破壊した。因みに小説版では「だから言ったのじゃ、馬鹿には無理じゃとな」。そもそも、これは大帝の気まぐれでの任命であったらしい。
しかも、怒りおさまらぬダガームは、そのままメイスを叩き切って殺してしまった。踏んだり蹴ったりな生涯である。
シャンブロウ決戦
連合艦隊との決戦に突入したダガーム艦隊だったが、少数規模ながらも果敢な抵抗をする連合艦隊を前に苦戦。メガルーダも大口径五連装徹甲砲塔でクリピテラ級駆逐艦を撃沈させるが、直後にヤマトの砲撃が炸裂。左舷の転送機が破損して火焔直撃砲が使用不能となった。
業を煮やしたダガームは艦を反転させ、単独でシャンブロウ中枢を占拠しようと企んだ。それは他の艦隊に混乱させる要因を作ったも同然で、パラカスも思わず怒鳴り声をあげた。それを知ってか知らずか、メガルーダをシャンブロウに向けるが、後方からヤマトが単独で追撃してくる。
彼は「笑止!」とあくまで余裕を持って迎撃するが、被弾にも怯まず突っ込んでくるヤマトに対し驚くべき戦法を実施。火焔直撃砲本体を艦体から切り離したうえで、姿勢御スラスターをふかして縦に回転させた。「抹 殺 !!」と叫んで、そのままヤマトにぶつけようとしたのである。しかし、ヤマトの左舷に接触したのみで回避されてしまった。
一騎打ち
奥の手ともいえる強引な攻撃を回避したヤマトから、ロケットアンカーを右舷艦尾に撃ち込まれてしまい、そのまま強引に接近戦に持ちこまれた。しかも近接戦闘でパルスレーザーを浴びて穴だらけになるメガルーダであったが、「負けぬ、メガルーダは負けぬぅ!!」と自分に言い聞かせるように反撃。五連装砲塔が発砲するが、1門のみがヤマトのカタパルトと艦尾の一部を損傷させただけに終わった。
その直後、アンカーを巻き取っていくヤマトが円を描きながらも、メガルーダの真正面に踊りでると、一瞬の差で互いが砲撃した。しかし、ヤマトの三式弾は全弾ともに艦橋直下に命中したのに対し、メガルーダは外してしまい決着が着いた。
ダガームは「栄光を!!」と叫びながら爆死、メガルーダ諸共吹き飛んでしまった。
艦隊決戦(小説版)
小説版におけるシャンブロウの決戦では、やや事情が異なっている。ダガームは火焔直撃砲の優位性を生かすために、前衛艦隊30数隻余りを前方に配置。その後衛にキスカを始めとした機動部隊を置いて、さらに後方にメガルーダと2隻の直衛艦を配置していた。
最前列に置いた前衛艦隊のデータを基にして火焔直撃砲のアウトレンジと言う戦法を使用したが、その拍子にシャンブロウ周囲に存在する氷塊リングが飛び散ってしまい、その影響で正確な射撃が不可能になってしまうと言う悪影響を生じさせてしまった。
さらにヤマト連合艦隊が、凹形陣で後退しながらの一点集中砲火という、密集したガトランティス前衛艦隊に対して効率的な戦法を採ったため、前衛艦隊に多大な損害を被ることとなる。また連合艦隊が後退する影響で、火焔直撃砲の着弾座標が大幅にずれてしまい回避される事態が判明。それでも火焔直撃砲によってニルバレスを撃沈する戦果を挙げたが、そこでリング氷塊に紛れ接近した山本玲の乗るコスモゼロの襲撃を受け、転送機に被弾し無力化されてしまう。
前衛艦隊は単横陣でヤマト連合艦隊を包囲殲滅しようとしたが、逆に密集しての中央突破を許す形となってしまう。ここでガミラス艦隊が反転し前衛艦隊を食い止める間に、メガルーダにヤマトが突進してきた。ダガームは直衛艦2隻で迎撃させるが、いとも簡単に撃沈されてしまい、一騎打ちへと縺れ込む事となる。この後の展開は劇場版と同様である。
都督について
因みに、ダガームの役職名はグタバ方面軍の大都督とされており、後の続編である『宇宙戦艦ヤマト2202』では一切としてこの階級(又は役職)は登場していない。制作陣が入れ替わった影響(ミリタリー関連の簡略化)もあるとされるが、実は強ち不自然とも言い難い部分もある。
そもそも都督という名称は、古代中国史の三国志より設置されたもので、軍司令官を指し示す言葉でもある。後々に廃止されたものの、中には、周辺民族の王に対して「都督」という称号を授けたともされている。
つまりこれをヤマトに当てはめた場合、ダガームは周辺宙域を荒らしまわっていた盗賊の頭目であることから、ズォーダー大帝より「大都督」なる称号を与えられたとも考えられる。
なお、あくまで編集者の妄想でしかない事に、留意されたい。
わりとまとも?
『星巡る方舟』でガトランティスが先行登場した際には、そのふるまいと賊あがりという設定からガトランティスの中でも特に野蛮な人物として評価されていたが、続編の宇宙戦艦ヤマト2202が公開されるとほとんどのガトランティス軍人はダガームのようなあからさまな粗暴さはないものの、戦闘時においてフレンドリーファイアは当然として艦艇を犠牲にすることを前提にした戦術を平然と使っているばかりか、「降伏」の概念自体理解していない有様である事実が明らかになった。
おまけに戦闘に敗北してヤマト側から撤退するよう勧告されると、それを戦士に対する侮辱としか受け取らず、憎悪の命ずるまま自暴自棄の追撃をしてくる連中までいる始末である。
それを思えば、一応とはいえヤマトに降伏勧告を出し、和睦などありえないとまで説明してくれるダガームはガトランティスの中ではかなり話ができる側に属するのかもしれない。
ちなみに、2202の小説版において、サーベラーやバルゼーは、ダガームのことを「三級品のガトランティス人」と言っているため、『ダガームは、クローンニングに失敗して産まれた粗悪品だったから、棄てられて盗賊になった』という解釈をすれば、上記の粗暴さや、2199と2202の設定の矛盾を無くすことができるだろう。
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