概要
日本、特に戦国時代の合戦時において、武士が具足(鎧)の上に着用した袖無しの羽織。
「具足羽織(ぐそくばおり)」「陣胴服(じんどうぶく)」とも呼ばれる。
室町時代中頃から、戦術の変化を理由に具足の形式が機動力を重視したものに変わっていったことに伴い、防寒・防雨などの目的で流通したとされる。
実用性だけでなく威厳を示すためのファッションとしても発達し、特に一軍を預かる立場の武士は、背面に家紋や絵の刺繍を施したり、生地にも派手柄の織物を用いたりするなど、艶やかなものを好んで着用していた。
やがて江戸時代に入り、泰平の世を迎えると陣羽織も戦場における重厚な印象のものから、軽快にして華美なものが好まれるようになるなど、所有者の豊かさを示す儀礼的な性質のものへと変化していった。