概要
『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』に登場する国家ガトランティスが保有する宇宙戦闘艦の1つである。オリジナル版『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する大戦艦のリメイクであり、細部にわたりディテールアップを施され、全長の再設定なども行われた。
正式名称は『ガイゼンガン兵器群・カラクルム級戦闘艦』となる。
本級は他艦艇とは違った運用思想を想定した戦闘艦艇として建造され、主力兵装である速射輪胴砲塔(本作では回転砲塔となっている)や、旋回式艦橋砲の他に雷撃旋回砲と呼ばれる特殊砲撃システムを有している。
また第三章『純愛編』では、第八機動艦隊旗艦並びに司令官メーザー提督の乗艦として白と銀の模様に染まったカラクルム級が1隻確認できる(艦名は不明)。
かなりの巨大艦であるにもかかわらず、ガトランティス艦では最も数多く登場し、大量の当級を惜しげもなく使い捨てにしている。
実は、カラクルム級を始めとしたガイゼンガン兵器群は、ある方法で大量に造られており、まさに無尽蔵の生産力を誇るのであった。当級は、その巨大さとは裏腹に、大量生産・大量消費の思想で運用される消耗品なのである。上記の「従来の艦艇とは違った運用思想」とは、そういった点を示している様子である。
ガイゼンガン兵器群の詳細はリンク先を参照。
戦闘艦として活躍するのは『2202』のみだが、続編では、後述の第十一番惑星の残骸が登場する。
スペック
- 全長:520m (※劇中では迫力を出す為としてそれより大きく描かれる場面もある)
- 兵装
- 雷撃旋回砲
- 回転大砲塔×3基
- 大型回転砲塔×2基(艦橋基両舷側)
- 艦橋砲塔×3基
- 艦橋大砲塔×1基
- 回転砲塔×4基(前部両舷側)
他のガトランティス艦艇とは一線を画越すほどの打撃・破壊力を有する。
通常武装の配置はいくつか砲塔が追加された点を除けば旧作と同じである。
回転砲塔(『星巡る方舟』では速射輪胴砲塔という名称だったが、本作ではデザイン稿記載の名称をそのまま使っている)は、ラスコー級などの主砲になっていたサイズのものが副砲クラスとなり、その上にさらに大型のものが装備されている(最大口径の物を回転大砲塔、ラスコー級主砲と同等のものを大型回転砲塔と呼称している)。
旧作では衝撃砲と命名された艦橋砲は固定式だったが、本作では通常ビーム兵装となった代わりに砲塔が金剛型宇宙戦艦の艦橋砲と同じく旋回可能となっている。
これによって、高威力ながら正面のみの射角に限定されていたオリジナル版に比して、威力は通常兵器の範疇を出なくは成ったがより広い射角(それも相当広い)への砲撃が可能となり取り回しは良くなったのが特徴である。
また速射性が高いと思わせる描写もある。
さらに後述の雷撃旋回砲と呼ばれる特殊武装により、対多数の戦闘力も兼ね備えている。
ただ劇中では、雷撃旋回砲のみで戦うことが多く、他の武装に関しては第17~19話でのみ使用されている。
防御性能はオリジナル版大戦艦を遥かに上回る強固さを持っており、アンドロメダの拡散波動砲の余波(あくまでも余波であり、直撃すれば流石に耐えられない)を耐え抜き、至近距離からの『ゆうなぎ』の36cm主砲で一切傷がつかない頑強さを誇る。
第一章ではアンドロメダの40.6cm三連装収束圧縮型衝撃波砲塔では有効打とならず地球圏への侵入を許している。
しかしこの際、高速で離脱するカラクルム級に発射したため威力は減衰していたと思われ、アンドロメダ級より小口径のドレッドノート級の30.5㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔が第18話での土星沖海戦で有効打を与えていることから、正面からアンドロメダ級のショックカノンを喰らえば耐えることはできない。
航行性能は巨体に合わず優れ、加速力も只ならぬもの。
雷撃旋回砲
本作オリジナルの装備。艦の周囲に数十個浮遊する、全長2mの小型ビーム砲ユニット「雷撃ビット」で構成される。規模によっていくつかの形態が存在する。
単艦使用
雷撃ビットで艦を覆う巨大なリングを形成し、ビットからビームをシャワー状に拡散放射する射撃を行なうことにより、前方方向に多大なる大打撃を与えうるものとされる。
単艦で使用する場合において、恐らく一発当たりの破壊力はそう大きくないような描写だが、この雷撃旋回砲の真の脅威は、切れ間無い高密度の弾幕が辺り一面の広い範囲に向けて、絶え間なく降り注ぐ圧倒的な制圧能力にある。
第1話における艦隊戦において、百隻規模と推定されるガミラス艦隊の先行部隊(その中には防御力に特に優れたゼルグート級一等航宙戦闘艦を含む)をたった一隻で一瞬にして全滅せしめている。
インフェルノ・カノーネ
複数の同型艦から大量の雷撃ビットを供給しあい、威力を重ね合わせ、さらに増大させることもできる。第6話で6隻編成のカラクルム級の単縦陣による雷撃旋回砲が披露された。これをインフェルノ・カノーネと呼称し、その発射隊形をインフェルノ・カノーネの陣と呼称する(第5章にて呼び方が確認される)。
インフェルノ・カノーネの威力は、第十一番惑星の地表を深く抉りとる程の破壊力を生み出す。その代わり、艦隊そのものが大型の砲身の代わりを務める為、雷撃ビット群の中心部にいる艦体もまたビームの破壊力をもろに受ける事となる。つまり、使用した場合は大破し艦体も鉄屑へと成り果ててしまうのである。
艦隊ごと使い捨てにするという、非常にコストパフォーマンスの悪い戦法に思われるかもしれないが、上記のようにガイゼンガン兵器群は大量生産・大量消費を前提として運用されており、ガトランティスは失った分はまた造れば良いと考えている様子で、ズォーダーらガトランティス上層部は動じることは無かった。
レギオネル・カノーネ
推定250万隻以上のカラクルム級が巨大な砲身状に陣形を組むことで雷撃旋回砲を長大化した戦法。その発射隊形或いは陣形をレギオネル・カノーネの陣と呼称する。
その威力は、地球サイズの惑星を破壊するに十分なものである様子。また、発射するエネルギーの規模によっては、第十一番惑星軌道から、遥か内惑星軌道の地球を狙うことも可能である。ただし、超長距離射程を実現するには、艦隊以外にエネルギー供給源が必要らしく、劇中ではガミラス製人工太陽のエネルギーを転用しようとしていた。また、いかに無尽蔵なカラクルム級といえど、これだけの規模の艦を消費する戦法の実施には国家元首のズォーダーの許可が必要とされる。
また、あまりの超射程故第三章のような場合は発射から着弾までかなり長い期間がかかるという面がある(とはいえいくら時間があっても惑星は回避などできないため標的はじわじわ死の恐怖を味わいながら死の瞬間を待つ羽目になる、嫌らしい戦法という面も)。
余談だが単に敵惑星(地球)を破壊するのならばレギオネル・カノーネで数万~数十万単位の本級(250万隻はあくまで推定値。少なくとも1万5千隻は確認されている)を全て消費するよりも、レギオネル・カノーネに使う一万隻をまとめて、第一章のように標的となる惑星に加速しつつ突っ込ませた方がより手っ取り早く確実ではとの声もある。
(第一章で地球の防衛能力では一隻でも始末しきれなかった上、その後艦隊も第二~三章時点でも練度が追いつかず防衛網を確立できていない地球にとっては前述の重装甲も相まって完全な迎撃は困難)
また、「ガトランティスのメンタリティや価値観が我々地球人のそれらと著しく乖離しているが故に、地球人にとっては非合理的に映っているだけ」、「ただ単に敵を滅ぼすための戦いではなく、別の目的があるからこそ敢えて遠回しな方法を採っているだけ」と考えられる事にも留意が必要である。
経歴
第一章
ガミラスの浮遊大陸を占拠するガトランティス艦隊に配属されていた。ただし、当初はなぜか戦闘に全く参加せず、メダルーサ級の撃沈をきっかけにガトランティス艦隊に対する戦況が不利になり始めてから、本級の三倍はあろうかという十字架型の巨大な岩塊に艤装する形で縦に包まれていた状態で現れ、その際周辺には3つのリング状に展開されたビットが浮遊していた。岩塊が砕けると中から本艦が現れ、姿勢を縦から通常の姿勢へ向けた。
そして接近してくるガミラス艦隊を雷撃旋回砲の攻撃によって瞬時に壊滅せしめ、地球艦隊も被害を受けた。
しかし直後に現れた新造戦艦アンドロメダの放った拡散波動砲によって逆襲され、ガトランティス艦隊は消滅し本艦も波動砲の余波に消えていった……
ところが、直撃でないとはいえ、拡散波動砲の余波を受けてもなお原型を留めていた(流石に表面装甲は融解し、全体が黒焦げ状態だったが)ばかりか機関部も健在な状態で、戦線離脱を図った村雨改型宇宙巡洋艦『ディファイアンス』『サラトガ』の2隻を追って戦場から逃走を開始する。
尋常ではない急加速に加え、掃討戦のため間近に迫っていたアンドロメダは虚を突かれた形となり対応が遅れ、何発か砲撃を当てるも仕留めきることができず逃走を許してしまう。
ワープで月軌道に出現したカラクルム級は、そのまま地球の首都めがけて隕石の如き特攻を試みた。カラクルム級の大質量が高速で地球表面に落着すれば、遊星爆弾に勝るとも劣らない破壊をもたらすことになる。月軌道の戦闘衛星や追撃してきた『ゆうなぎ』の砲撃をものともせず、最終手段として行われたゆうなぎの体当たりも質量差で押し切り、そのまま地球へ墜落しようとしていた。
しかし、海底ドックで改修未完了のままであったヤマトが、改装の現場指揮をしていた真田志郎らにより起動され、固定砲台としてショックカノンを発射。急角度で落下中だったカラクルム級の艦首装甲を貫通、空中で爆発四散した。
しかしそれほどの爆発にもかかわらず生存した乗員が(一名のみだが)回収され、それが大変な事態をもたらすこととなる…
シナリオ集では
原案となるシナリオ集では、大戦艦ことカラクルム級は岩石で艤装されることは無く、浮遊大陸の陰から姿を現して追撃するガミラス艦隊旗艦部隊に逆撃を加えている。しかも複数隻が登場していた。しかもどれもが雷撃旋回砲で破壊の限りを尽くしていたものの、アンドロメダの拡散波動砲によって1隻を残して消滅。その1隻は、公開版通りに地球へ向けて突進する。
なお映像化されなかった艦橋内部の様子も書かれており、撤退した2隻の駆逐艦(公開版では巡洋艦)の空間航跡を辿って追跡ワープをしている。また、地球の首都(中央司令部)をピンポイントで狙えたのは、地球上をスキャンして通信量や熱量で特定した結果である。司令部での通信のやり取りが、カラクルム級の艦橋にジャックされており、慌てふためく司令部の様子に対して瀕死のガトランティス兵士が笑みを浮かべていたが、これらの内容に関しても映像化に際し時間の都合上で割合されている。
第二章
第6話では、第十一番惑星衛星軌道上周辺へ6隻のカラクルム級で構成された第八機動艦隊の一部となる6隻がワープで出現する。
そして単縦陣を組み、インフェルノ・カノーネを発射。ヤマトが逃走する渓谷を横切るように極太のビームで薙ぎ払い、第十一番惑星の地形に最狭部でも400メートル近い溝を作り出す威力を見せた。
第三章
続く第7話ではメーザー提督率いる第八機動艦隊本隊、推定250万隻を超える本級が出現。第十一番惑星の宙域にて、艦隊の陣形配置そのもので超巨大な砲身レギオネル・カノーネを形成し、人工太陽をエネルギー源として、史上最長規模の射程で直接地球を狙おうとした。
ところが、波動砲を撃たないヤマトが何も出来る筈はないと踏んでいた為か、レギオネル・カノーネの発射体制に全力を注いで陣形を構築していたところへ完全なる不意打ちを受ける事となる。人工太陽を今まさに陣形内部に取り込み発射直前のところで波動砲が人工太陽のコアを直撃。人工太陽内部で臨界炉が破壊されて「波動共鳴」と呼ばれる干渉波が発生し、第八機動艦隊全ての艦の機関部へ(小説版によれば、制御装置への影響)致命的なダメージを与えた。
これにより発射直前にあった万単位ものカラクルム級は、旗艦含め完全に行動不能となってしまい、修理されることも撤退することも回収されることもなく第十一番惑星にただ浮遊するだけの状態となってしまった。
この様子に対して、真田志郎はガトランティス人が
「物を壊すことが出来ても、直すこと、生み出すことはできない」
という性質を持っている為という推測を出している。(前作よりガトランティス人は兵器開発・製造に科学奴隷なる物を使っている描写があり、本作小説版でも「ガトランティス人そのものには大した科学力は無いが、支配した各惑星の科学者を集めて常に兵器開発などに従事させており、それら兵器をガトランティス人が使っているだけ」とクラウス・キーマンの口から語られ裏付けられている)
第四章
上記の真田の推測は半分当たりであり、半分ハズレであったと言える。
第八機動艦隊は、波動共鳴で機能停止した筈の機関を無理矢理再起動させた(と推測される)うえに、さらには大帝の命令を無視してまで、自己の感情でヤマト追撃を試みるという暴挙に出ていたのだ。
因みに、本編映像で再起動できた理由や説明は無かったが、小説版第3巻において補足されている。ガトランティス軍は、科学奴隷を各艦隊に合わせ乗せていた様で、第八機動艦隊も例外なく科学奴隷が分譲していた。ただし、全艦に乗せられていた訳ではなく、艦隊旗艦等の艦艇のみ乗せられており、流石に250万と言う途方もない数を復旧させる事はできなかった。そもそもメーザーに同調した者が少なかったというのもあり、ヤマト追撃に動いたのは数十隻程度とされている(それも突貫修理のため後述のように次々落伍していき、最終的に20隻未満にまで減っている)。なお、残りの艦は大帝の命令に従い、地球側に利用されないよう艦橋や機関部を爆破して自決した。
当然のことながら無茶をした影響と代償は大きく、途中で艦列から落伍する艦や、爆沈する艦さえ出していた始末。
しかし、そこに大帝の命を受けて現れたデスラーのノイ・デウスーラによって、デスラー砲を撃ちこまれてしまい、メーザー諸共に残存艦隊(規模は不明)は、一瞬のうちに完全に消滅してしまった。結局、第八機動艦隊という莫大な戦力は、地球攻撃に成功するどころか、ヤマトの追撃に成功することも、その強大な火力を何一つ役立てることすらなく、事実上全滅してしまったのである。
なお、余計な感情に汚染され大帝の命令に背いたとして、第八機動艦隊に対する評は、ゲーニッツからは「汚染艦隊」、ミルからは「汚染物質」など侮蔑されていた。
第五章
バルゼー指揮下の第七機動艦隊の戦力として、再び大戦力で登場している。その全体戦力数は不明であるが、最初にワープアウトした部隊だけでも百隻以上は存在する様子である(その後の戦闘シーンでは千隻以上が映っているカットもある)。
土星沖に先方として到着したカラクルム級群は、警備巡回中だったエンケラドゥス守備隊と接触。最初の砲火を交える事となった。圧倒的戦力比によって、守備隊を正面と左右から半包囲態勢を敷き、圧力で磨り潰そうとする。警備隊はパトロール艦や金剛改Ⅱ型宇宙戦艦を前衛にして、波動防壁を展開しつつ波動砲(収束波動砲)による応射を行った。この攻撃は百隻以上を撃沈するものの、第七機動艦隊の規模の前には損害は微々たるもので、穿たれた陣形を穴埋めするように後続艦がワープアウトする。
それと同タイミングでバルゼーが戦場に到着。勢い付いた第七機動艦隊は完全に守備隊を磨り潰そうとしたが、そこでアンドロメダ率いる地球艦隊が到着。予想外の物量を投入してきた地球艦隊による拡散波動砲の一斉射によって多数のカラクルム級が轟沈(数は算定不能)。その報復にインフェルノ・カノーネを見舞うが、それも重力子スプレッドによって防がれてしまった。直後、下方の土星リング内から拡散波動砲の奇襲を受け、ドレッドノート級前衛航宙艦らが襲い掛かる。
激しい砲火の応酬は、やがて両軍が入り乱れるほどにまで接近し、中には体当たりでドレッドノート級を沈める艦もいた。それでも地球艦隊の増援が次々と戦場に到着。戦局はますます膠着どころか不利に傾きつつあった。
その後、時間断層の存在を知ったズォーダーが白色彗星で土星圏へワープ。第七遊動機動艦隊は退いたが、拡散波動砲発射体制にある地球艦隊にめがけて残存艦隊の一部が攻撃を仕掛けるものの、波動砲集約の為に展開された重力子スプレッドに阻まれて無効(シナリオ集では被弾したドレッドノート級もいた)となり、結果として最大集約された波動砲の束により、一瞬にして蒸発した。
第六章
波動実験艦銀河率いる艦隊と交戦。破滅ミサイルを装備したゴストーク級の部隊に対して前衛を張るが、銀河によって引き起こされた大規模な波動共鳴によって機能不全を起こしたところを破滅ミサイルの誘爆に巻き込まれ諸共に壊滅する。
第21話ではレギオネル・カノーネを使用し、ヤマトが不時着した惑星ゼムリアを破壊する。
第七章
白色彗星に随伴して地球へ接近するが、ヤマトのトランジット波動砲の余波を受けて溶けるように消滅。
ヤマトが都市帝国内部へ侵入した際には、未完成のカラクルム級が無数に登場。白銀の巫女のコピーである桂木透子の協力を得て行われたシステムジャックにより操作し、ヤマトに随伴させた。
未完成だからか特に砲撃等はせず、盾として扱われている。戦闘後半では敵の攻撃で破壊された残骸を使ってアステロイドリングを形成している。
最深部に侵入する頃には全艦轟沈した。
余談
- レギオネル・カノーネおよびインフェルノ・カノーネの名前の由来を推測すると、レギオネルは軍団を意味する英語の「レギオン(Legion)」(もしくはドイツ語の「レギオネン(Legionen)」)、あるいは地域の~や地方の~などを意味する「Regional」という英語のドイツ語読み、インフェルノは英語で地獄や大火を意味する「inferno」(もっというと元は地獄を意味するイタリア語)、カノーネはドイツ語で大砲を意味する「kanone」と思われる。ノイ・デウスーラの「ノイ」(ドイツ語の「新しい」で、ガミラス語でも同じ意味)もそうだが、異星言語を廃したためか否か、地球の言葉ほぼまんまな単語になってしまっている(複数の言語が混ざっているので訳語という解釈も難しい)。
- 「カノーネ」は一見「砲」と訳したくなるが、既に『星巡る方舟』で「大砲」を意味するガトランティス語が使用されている(絵コンテによると「ナグ ドゥジカ ガ パップ」で「あの艦の大砲」となる模様)。単に設定を無視したといえばそれまでかもしれないが、砲以外の意味を持つ、砲と銃のようにスケールによって単語が異なる、あるいはそもそもガトランティス語ではない(例えばアケーリアス語とか)などと脳内補完してみると面白いかもしれない。
- 『2202』終盤で登場する滅びの方舟の最終形態は、アイデア稿だと超巨大戦艦の主砲にあたる部分がカラクルム級で構成された巨大な砲身となっていた。その見た目はレギオネル・カノーネと全く同じであるため、第7話での登場は伏線だったと思われる。しかし実際には滅びの方舟は全く異なるデザインになったため、無意味となった。
- 前作のガミラスが大部分の艦艇を動員して1万隻強だったのに対して、第八機動艦隊の250万隻という数(しかも複数あるであろう艦隊の一つでこれ)は、まるで大戦艦のバーゲンセールが如き戦力のインフレ振りであり、しかも戦闘艦としてではなく単なる砲撃システムの一部という扱いだったため賛否両論。レギオネル・カノーネの陣を形成していく様は遠景だったこともありカラクルム級がやたら小さく見え、「イワシの群れに見えた」と揶揄する人も。
- 拡散波動砲と時間断層を持つ地球と相対するならこれくらいの物量でもおかしくないとする意見もある。ただ、実際その通りではあるのだろうが、実のところ物語後半の太陽系での戦闘では数の描写は曖昧になっており(数字が出てくるのは第17話の「100隻を超え、なお増大中」と第21話の「2万を超え、なお増大中」という2回のみで、しかもどちらも250万には遠く及ばない)、数百万隻という数を活かした描写は全く無かった(仮にガトランティス艦が総数10万隻だったとしても話としては全然成り立つ)。というのも250万隻という数字は脚本にはなく、後付け要素であった(福井氏も「自分ではない」と述べている)ためだろう。
- また、大量生産されているという設定のためか、土星沖海戦ではガトランティス艦がほぼ全てカラクルム級で構成されており、対する地球側も時間断層で大量生産したドレッドノート級が大半で、戦闘自体も大昔の歩兵のように真正面から突撃していくだけという単純なものだったため、ドレッドノート級とカラクルム級がただ撃ちながら前進しているだけという非常に単調な絵面となってしまっており、そこに対する批判も少なくない。