宇宙戦艦ヤマト2
うちゅうせんかんやまとつー
1978年10月から半年間アカデミー製作・読売テレビ発日本テレビ系で全26話が放送されたテレビアニメ第2作目である。シリーズ全体では通算4作目だが、内半分はパラレルなので、時系列上は2つ目の物語である。
劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト』をリメイクしたものであり、劇場版との差異を見比べるのも一興と言える。前作は日曜日夜7時半の放送だったが、本作と次作は土曜日夜7時からの放送となった。
大筋のストーリーは『さらば』と同じ。しかし、『さらば』からのキャラクターに関してはそのほとんどが設定を大なり小なり変更されており、一部キャラクターに至ってはデザインも変わってる。エピソードの増加はもちろんだが、『さらば』と同じエピソードについても大きく改変されている。作画面でも『さらば』から映像を流用した箇所はほとんどなく、ほぼ新規作画(流用した箇所は色味が違うのですぐわかる)。
細かい点で見るとむしろ『さらば』との共通点の方が少ないので、同じ原案を基にした全くの別作品と捉えた方が腑に落ちやすいかもしれない。
『さらば』にも増して松本零士の色が強く出ており(理由は余談参照)、機械化・自動化への懸念が描かれている。
諸々の事情でスタジオぬえがメカデザインから降板し、松本のアシスタントの板橋克己が新たに参加。地球空母やメダルーザのほか、新規に登場する小物メカをいくつか手掛けた(ただしメダルーザは松本原案)。
本作以降は板橋を主体に、中村光毅、辻忠直、サブマリンなど作品ごとに異なるデザイナーが参加していく形になる。
ぬえのデザインと板橋のデザインは一見で分かるほど方向性が違うのでしばしば比較される。アニメーター殺しとも言える複雑な造形とディテール盛り盛りなデザインのぬえメカに対し、板橋メカは描きやすさを重視してか直線的なシルエットで線も少なめのデザインとなっている(他者が原案を手掛けていないメカは特に)。作画現場の都合など関係ない視聴者の立場からすると、板橋メカは良く言えばシンプル、悪く言えば単調で面白味が無いデザインのため、ファンの間でも賛否が分かれている(ちなみに形状はともかくディテールに関しては内部図解などで描き込み量のすごい絵を出しているので、能力が足りず描けなかったというわけでは決してない)。
イスカンダルのコスモクリーナーにより地球が浄化されてから1年、地球は昔日以上の繁栄を取り戻した。しかし、その裏では嘗て以上の軍備増強が行われており、古代達はそれに疑問を抱く。そして、その不安が的中するかの様に新たな敵・ガトランティスが地球侵略の為に現れる!
ヤマト
- 地球連邦
第一作でヤマトによって滅亡の危機から救われ、復興が進んでいるが、軍事力への慢心から平和ボケになっていたり、機械への依存が強くなりつつあったりなど、暗い面もある。
- テレザート
地球に救いを求めて来た惑星。現在はガトランティスに占拠されている。
文明は既に滅びており、テレサ1人しかいない。
- ガトランティス
別名「白色彗星帝国」。
全宇宙の支配を目論む軍事国家で、次の目標として地球に狙いを定める。
- ガミラス
第一作で地球と戦い滅亡した国家。
デスラー総統率いる残党軍がガトランティスと同盟を結び、ヤマトに襲い掛かる。
実は本作は『さらば』と製作時期が被っている。つまり『さらば』が好評だったから『ヤマト2』を作ったのではなく、『さらば』の公開される前から『ヤマト2』を作ることが決まっていたということである(「さらば」とは……)。
ただ、最初から違う結末にするつもりだったかは不明。結末が変更された理由にはスタッフの証言から2つの説があり(あるいは両方とも正しいのかもしれないが)、
というもの。
後者は西崎自身の弁で「『さらば』は2時間半という限られた尺なので、主人公が消えるくらいのことをしないとテーマを描ききれない。だが、『ヤマト2』は全26話(OP・ED除いて9時間くらい)で尺に余裕があるので、違う表現の仕方もあるだろうと思った」とも述べている。
松本は「若者はたとえ泥を啜りながらでも生き延びて未来を作るべき」という大前提に立っているのだが、それに対して西崎は「それは“ヤマトの”テーマではない」という感想を述べている。
西崎にとっての「ヤマトのテーマ」はあまりはっきりしていないのだが、第一作に関しては「たとえ何が起きるかわからない不安に満ちた社会でも、人間は明日のために今日を生きる権利があるのだから精いっぱい生きてゆこう」というものであったと述べている。
一見すると松本との違いが分からないが、第一作第1話で例えるなら「明日のために、敗北という今日の屈辱に耐えて逃げるべき」という沖田十三が松本で、「今この瞬間を戦い抜いて一つでも多く敵を減らすべき」という古代守が西崎なのかもしれない。
そういう点で見ると、『さらば』は「宇宙の愛を守るために命さえ投げ出すほど懸命に戦い続けた人々の生き様」という点で、西崎テーマに合った内容と言える。
ちなみに本人曰く「私とて若者を殺すのが趣味なわけじゃない」とのことで、別に人の生死は必須ではなかったらしい(だからこそ『ヤマト2』を松本に委ねた)。だが、その後の作品の有様を見るに、結局「人を死なせる以外でのヤマトのテーマを描く方法」は思いつけなかったのだろう。
そんなこんなで作られた『ヤマト2』だったが、やはり2人のヤマト観の根本的なずれはどうしようもなかったようで、西崎は『ヤマト2』の出来にはあまり納得していなかった。その証左として、西崎が『宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち』を企画した理由の一つは「『ヤマト2』はヤマトのテーマが薄れていると感じたから」である。
ただの推測になるが、上記の西崎テーマに即して考えると、見方によってはテレサに丸投げしたとも言えるオチはいまいちだったのかもしれない。もしも『ヤマト2』のオチが『さらば』と同じだったら、西崎は続編など作らなかったのだろうか?
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