概要
『さらば宇宙戦艦ヤマト』と『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する、地球防衛軍が建造した空間輸送船団護衛用のフリゲート。
同時期の駆逐艦と船体構造が同一であり、どちらかが派生形に当たると推測できる。
なお、メタ的な話で言えばデザインされたのは護衛艦が先。もっと言うと小型艦艇で最初にデザインされたのが本艦であり、ここから巡洋艦と駆逐艦、さらに巡洋艦からパトロール艦へと派生させた、とデザインを担当した宮武一貴がプレイステーションゲーム版の設定資料集のインタビューで述べている。
あくまで輸送船の護衛が主任務であるためか劇中での出番は少なく、『さらば』では古代進の乗艦として冒頭シーンにのみ、『ヤマト2』では第2話で都市が停電するシーンで1カットのみとなる。
プレイステーション版でも扱いはかなり悪く、『さらば』ではムービーシーンのみの登場で、操作ユニットにはならない。続編の暗黒星団三部作に至ってはそっくりさん達が味方ユニットとして登場する中、唯一全く登場しないという有様だった。
そんなだからか巡洋艦や駆逐艦と違って設定画も描き直されなかった。なお、宮武氏は本艦に思い入れがあったようで上記インタビュー時には少々残念がっていた。
スペック
作品が製作された時代が時代であるため設定面はやや曖昧で、資料によって記載にばらつきがある。
- 全長:112m
- 全幅:13.9m(同時期の駆逐艦とほぼ同寸と推定)
- 主機:波動エンジン
- 武装
リメイク版
『さらば』および『ヤマト2』のリメイク『宇宙戦艦ヤマト2202』で初登場。「3199」にも登場する。
ただし、物語冒頭で古代進の乗艦というポジションは金剛改型宇宙戦艦なる艦に置き換えられており、護衛艦が登場するのは第17話と後半に入ってから。しかも登場こそするが、特に活躍はしない(戦闘描写があるのは第17話のみで、他話ではただその場にいるだけ)。
本作では本来ほぼドレッドノート級のみで構成される予定だった波動砲艦隊を、想定以上のガトランティスの戦力へ対抗するため拡充する際、量産生の高い小型波動砲艦として開発された。
要するに数合わせのための艦である。その割に劇中に登場するのはドレッドノート級の方が圧倒的に多い(土星沖海戦ではドレッドノート級6隻に対して護衛艦2隻くらいという割合)。
デザインメモでは「駆逐艦と船体が共通」とされているので、駆逐艦をベースに開発されたのかもしれない(とは言ってもそもそも駆逐艦は劇中に登場していないが)。
因みに公式HPの解説だと「土星沖では高重力下において高機動性が仇となり苦戦を強いられた」とされているが、高機動ということは艦体サイズに対して推力に余裕があるということなので、むしろ有利なはずであり、「仇」という表現は違和感がある(艦自体も小さい=軽いので、風や波ならいざ知らず重力の影響は受けにくいはずだし)。おそらくは「高重力のせいで高機動性が想定より発揮できず、長所が失われたせいで単なるひ弱な艦に成り下がった」的なことが言いたかったのではないかと思われる(元の文に則するなら「高機動重視が仇となり」だろうか)。
スペック
- 全長:113.3m
- 主機:波動エンジン
- 武装
- 小型波動砲×1門(「波動噴霧砲」という砲という説あり)
- 主砲:MK.33・3インチ連装砲×3基
- 二連装対空パルスレーザー砲塔×4基
- 三連装魚雷発射管(MK.32・324ミリ)×4基
- 大型魚雷発射管×2基
- 四連装ミサイル発射機×2基
- 四連装対艦グレネード発射機×2基
主砲は連装の陽電子砲を3基。艦尾にはパルスレーザー砲塔を4基備える。それ以外は魚雷発射管などの実弾兵装で固めている。
さらに艦首には小型の波動砲を備えており、「2199」シリーズでは磯風型に次いで2番目に小さい艦でありながら、結構な重武装である。
公式サイトではパトロール艦共々艦級名が付かず不遇な扱いとなっている。しかし、パトロール艦に「パシフィック級」という名称が付いた今1人取り残された護衛艦はもっと不遇かもしれない...
また、MKという兵器名から、設計にアメリカの影響を窺わせる。
MK.33やMK.32という名前は現状アシェット発行の分冊百科にのみ記載されている。因みに現実にMK.33 3インチ連装速射砲やMK.32 短魚雷発射管(口径は324mm)という兵器は存在しており、元ネタと思われる。