概要
「この際、ヤマトをまず片付けてしまった方が。地球撃滅はそれからでも十分でしょう。」
『さらば宇宙戦艦ヤマト』『宇宙戦艦ヤマト2』およびそれらのゲーム化・リメイク化作品に登場する、ガトランティスの高官。
作劇上の位置づけとしてはサーベラー、ゲーニッツと並ぶ三幹部といった感じ。
次元大介みたいな感じにもみあげと繋がった顎髭が特徴。『さらば』と『ヤマト2』で服装が異なっており、前者はマント姿、後者はコート姿になっている。後年の作品でリデザインされた際は、他のキャラと同様に『さらば』版がベースとなっている。
劇中での動きからそれなりに有能そうにも見えるが、如何せん影が薄い。『さらば』では基本的に1シーンしか出番が無く(これは同じ高官のゲーニッツも同様だが)、『ヤマト2』ではデスラーを基点とした陰謀劇が繰り広げられるも蚊帳の外に置かれていた(後述)。
この影の薄さはゲーム版でもネタにされており、キャラデザイナーの落書きにてサーベラーから「ちょっとゲーニッツ!…とあとひとり…(だれだっけ…)」と言われてしまっている。
さらば
帝国支配庁 宣伝軍事総議長。
大帝の間で他の高官とともに並んで立っている。十数名いる高官の中で最も上座に立っており、高い地位にいることが窺える。
ヤマトが幽閉していたテレサを解放したことからヤマトを障害になり得る存在と判断し、先にヤマトを片付けてから地球を攻略してはどうかと進言するも、サーベラーから「ヤマトに怯えたのか」と一蹴される。
それ以降は特にこれといった出番はない。
ヤマト2
役職は『さらば』と同じ(他のキャラが程度に差はあれ肩書が変わっている中で数少ないそのままの人物)。本作ではサーベラーが支配庁長官と設定されたため、形式上彼女の部下という立場になっているが、あまりそれを意識できるような描写はない。
出番自体多くないのでそこまではっきり描写されているわけではないが、性格は実直そのもので、保身や権力欲にまみれたサーベラーやゲーニッツとは異なる。だがそれ故にサーベラーによるデスラーを陥れる計画では蚊帳の外に置かれた。
第12話でこそサーベラーらと一緒にデスラーを快く思わない発言をしているが、それ以降は第13話でサーベラーとゲーニッツが密会するシーンでも第14話で彼らがデスラーと相対するシーンでも姿はない。それどころか、デスラーがサーベラーの策略で撤退し、そのせいでヤマトがテレザート星を攻略しそうになった時には、戦況不利をズォーダーに報告する際に「デスラーならヤマトを倒せたはず(なのに逃げ帰った)」と述べており、彼の実力には一目置いていた様子。
ズォーダーに企みがバレて叱責された際も、バツの悪い顔をしているのはサーベラーとゲーニッツだけで、ラーゼラーの反応は映らなかった。
一応、どういう立ち位置か明言はされていないので、ひょっとしたら加担していたかもしれないし、上記の発言もデスラーの印象を下げるためにサーベラーと示し合わせた発言である可能性も無くはないが。とはいえ、ガトランティス側の物語の中心から外れてしまっていたという点は否めない。
終盤では地球への降伏勧告を行う(『さらば』ではバルゼーが行っている)。
最終決戦にてヤマト乗組員が都市帝国内部へ侵入してきた際には、ズォーダーへ報告しようとするも、この期に及んでも慢心するサーベラーに「それには及ばない」と制止されてしまう。しかし、サーベラーの予想に反して動力部を破壊される結果になり、身勝手さで多くの将兵を死なせた彼女はなんだかんだ寛容だったズォーダーの堪忍袋の緒をとうとう切ってしまい、崩壊する都市帝国からの脱出を許されず置き去りにされた。…が、この時ゲーニッツとラーゼラーも連帯責任で一緒に置き去りにされてしまった。
ラーゼラーは劇中で目立った失態を犯していない(というか最終決戦に限ってはゲーニッツもまともな意見を出しており、ヘマしたのはサーベラーだけ)にもかかわらず、巻き込まれる形で死亡するというかなり不憫な最期となった。あるいはガミラスのゲール将軍のように上官の意に反してズォーダーへの報告を行っていれば、生き残れていたのかも知れない。
PlayStaion版
PlayStationにて発売されたゲーム版『さらば宇宙戦艦ヤマト』では、原作での影の薄さから一転、物語の裏で暗躍する狡猾な人物となっている(とはいえ出番自体はあんまり増えてはいないが……)。喋り方も陰険さが窺えるネットリした感じに。
初登場は物語中盤に差し掛かった辺り。ヤマトを撃沈するために独断で艦隊を動かしたゲーニッツのところへ現れ、彼を牽制する。その後、デスラーをヤマトの討伐に充てた。この際、反発するゲーニッツに対して「勝利に必要なのは情報。あの男(デスラー)はヤマトをよく知っている」と発言している。
このデスラーの出撃は実は上司であるサーベラーがデスラーを陥れるために仕組んだもの(彼を妨害して失態をでっちあげて更迭する)だったのだが、情報を重視するラーゼラーは彼女のことすらも監視対象としており、その策謀を察知した際には「私もこの後の進退を考えねばならない」と思考している。
その後、ズォーダーがサーベラーの企みを把握していたことから、あるいはラーゼラーが密告した可能性もある。
最終決戦では都市帝国崩壊時に瓦礫の下敷きとなり、通りかかったサーベラーとゲーニッツにも見捨てられ、最後は正気を失ったように大笑いながらフェードアウトする。
なお、『さらば』ルートではその後サーベラーから「あのような男はこのガトランティスには必要ありません」と言われている(まあそのサーベラーも『さらば』『ヤマト2』両方のルートでズォーダーから不要扱いされることになるのだが)。
宇宙戦艦ヤマト2202
支配庁軍務総議長となり、原作とは微妙に肩書が変わった(「宣伝」というのが本作のガトランティスにはそぐわないからだろうか?)。
大帝の傍に控える最高位幕僚の一人で、その中では最も官僚的な発言が目立つ狡猾な人物とされる。
劇中では常に大帝玉座の間におり、ズォーダーとともに大勢を見守っている。
第7話ではヤマトの波動砲を危険視し、戦場にいるメーザーに連絡しようとするが、ズォーダーに制止される。
第24話の都市帝国内部の戦闘では、白銀の巫女の複製体たる桂木透子がヤマト側に与して都市帝国内部の戦闘艦をハッキングした際に、ズォーダーの指示を受けて出撃。自滅型攻撃艦イーターⅠと一体化(公式資料で実際そう書かれている)して、ヤマトを強襲。ヤマトのアステロイドリングを粉砕し、コスモタイガーⅡを次々撃墜していくが、加藤三郎の奮闘によりコックピット部を集中攻撃され、加藤と相打ちになる形で戦死した。
セリフは2、3個程度しかなく、地球への降伏勧告の台詞さえゲーニッツに奪われてしまい、結局官僚的な部分も狡猾な部分もロクに見せないまま終わった。最後に少し目立ったものの、キャラ立ちという意味ではおそらくシリーズ中最も影が薄いラーゼラー。
彼は設定で「帝国が制圧した星系の占領支配を担当する」と説明されているが、本作のガトランティスは人間絶対殺すマンの集団であり、異文明を征服するという概念が無いため、ラーゼラーの仕事が何なのか不明。
桂木のシステムジャックを退けて多数の無人艦を操るなど、ただのガトランティス人には困難であろうこともやってのけているが、劇中だと理由は特に語られない。本編内での描写の少なさゆえに実は結構謎が多い人物である。
一応、本編では省略ないし改変された第24話脚本の描写から多少推測できる部分もあり、仕事に関しては都市帝国が内部に取り込んだ惑星の管理とも読み取れる。桂木に対抗できたのは、脚本だとヤマトを襲う部隊が全て「巨人機」という本編のラーゼラー機のように人と機械が一体化した非無人機で構成されているからであり、彼の能力というわけではなく使用した兵器の性質によるものとされている。