「死して、大帝にお詫びを・・・・・・!」
声優
『愛の戦士たち』&『宇宙戦艦ヤマト2』:大塚周夫
『2202』:西村知道
愛の戦士たち
概要
劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に登場した白色彗星帝国軍人の1人。
容貌はボブカット状にした茶色の髪と眉間まで伸び生えた特徴的な髪型で中肉中背の体躯。ガトランティス特有の戦闘服の上から、黒いロングコート状の指揮官コートを纏っている。
機動部隊指揮官として超大型空母から指揮を執り、白色彗星帝国軍機動部隊(※劇中テロップでは第6機動部隊だが、台詞上は第7機動部隊となっている)を率いて太陽系へ突入し、地球防衛軍艦隊と真っ向から衝突する。
自軍の戦力に絶対の自信を持っている様子で、地球艦隊に対し侮りを持っていた節が垣間見える。結果として、拡散波動砲の一撃で戦闘艦隊を失い、大帝に叱責を受けてしまうこととなった。
ただし、これは地球艦隊の拡散波動砲の能力による面が大きく、戦闘は終始バルゼーの戦略通りに展開していた。先手は艦載機による攻撃、次に潜宙艦による奇襲攻撃、最後は陣形の乱れたところを物量にものを言わせた半包囲攻撃(ひおあきら氏の漫画版では包囲の際高速水雷戦隊による突撃があるが、戦艦部隊ごと拡散波動砲により壊滅させられている)……と、それなりの手順で殲滅しようとしていた。(※余談も参照)
故に、拡散波動砲さえなければ、地球艦隊を物量で壊滅させ勝利していた可能性は高い。
その後、地球艦隊が白色彗星によって消滅させられた後に地球へ降下し、地球連邦政府に降伏を迫った。しかし、それ以降物語からフェードアウトしてしまい、白色彗星がヤマトに攻撃を受けた際にも何故か援護さえすることがなく、以降の末路も不明のままとなってしまった。
※余談
この時バルゼーがとった攻撃手順は、旧日本海軍が敵艦隊が本土近海へ来襲することを想定し、迎撃戦法として構想していた「漸減作戦」と(攻撃側がとるか防御側がとるかという違いはあるものの)ほぼ(漫画版の流れが完成映像で省略されたが本来の脚本にはあったシーンと仮定すればより近付く)同一であり、製作スタッフが戦闘シーン考案の際にこの「漸減作戦」を参考にした可能性は高い。
また現実では様々な問題点(外部リンクも参照)から机上の空論に終わった漸減作戦を侵攻側からやることで、見事に問題点を潰しているのは見事と言えよう。つまるところ相手が悪かったとしか言いようがない。
小説
朝日ソノラマの小説版では地球防衛軍に波動砲を搭載した艦が多数あることも知っており、ヤマト一隻に梃子摺っている現状から、宇宙最強と言われる第7機動部隊をもっても厳しい戦いになると覚悟していた。またこの作品ではガトランティスも波動砲を持っているが、バルゼーは今後の地球攻略を考えて土星会戦では温存して使用する事はなかった。
土星会戦でバルゼーは第7機動部隊の艦載機による空襲をかけ、地球艦隊より迎撃してきた艦載機にそれを撃退されるや、次に潜宙艦による攻撃、それが突破されると小艦隊を繰り出し、それに対処する為に地球艦隊の戦艦部隊から巡洋艦・駆逐艦などの護衛を引き離すように仕向け、最後に止めとして主力部隊で突出してきた丸裸の地球艦隊の戦艦部隊を叩く寸前まで彼の作戦は順調に進んでいた。
しかし、バルゼーの漸減策に嵌ったと見せたのは地球防衛軍艦隊司令長官の罠であり、戦艦部隊はすでに機関を停止して波動砲へのチャージを行っており、慣性の法則であたかも機関を動かし前進してくるかのような地球艦隊の偽装を見抜けなかったバルゼーは地球艦隊の波動砲の先制射撃で主力が壊滅し敗退する事となる。
ヤマト2
概要
(上記画像右側)
テレビ版『宇宙戦艦ヤマト2』でも登場。ただし肩書は複数の艦隊から構成される第1機動連合艦隊司令官に変更されており、容貌も劇場版に比べ見た目の年齢が上がり、顔の輪郭が細くなり目線も鋭くなる等、より切れ者らしい雰囲気になっている。服装も変更され、黒主体だった劇場版と違い青主体の制服になり、同色のマント(裏地は黄色)を羽織っている。
また座上する旗艦は、劇場版の超大型空母から新登場の戦艦メダルーザに変更されている。
前衛にコズモダート・ナスカ提督率いる強行偵察艦隊を有し、先行させて破壊活動等を行わせていた。
機動連合艦隊のうち戦艦を主力とするバルゼー指揮する連合艦隊は、大帝の命令が下るまでは銀河外縁のシリウス方面に待機しており、地球侵攻の合図が下ると同時にプロキオン方面に展開していた機動連合艦隊のゲルン提督指揮下の空母を主力とする連合艦隊と合流、太陽系へ侵攻する。
土星空域での決戦では、空母艦隊によるアウトレンジ戦法をゲルンに命じて、多数の航空機の攻撃で地球連邦軍艦隊に痛打を与えた後での直卒の艦隊による攻撃で止めを刺し、一気に殲滅しようとしていたが、ヤマト率いる機動部隊に回り込まれて、空母艦隊は壊滅する。しかし、それでもバルゼー艦隊の戦力が優勢であることには変わりなく、そのまま前進。
これに対して地球艦隊はヒュペリオン艦隊による後方から攻撃でバルゼー艦隊を混乱させようとしたが、バルゼーは第二艦隊を分離してこれに対応させ、自身は残存兵力を率いて迷わず前進を続け、地球艦隊本隊と激突した際には、バルゼーにとって切り札である旗艦メダルーザの火炎直撃砲を使って一方的な損害を地球艦隊に与えていた。
しかし、火炎直撃砲の能力に頼り切った結果慢心を生み、ヒュペリオン艦隊を撃滅した第二艦隊とも合流し、後退する地球艦隊を撃滅せんと激しく追撃するも、土方竜の誘導に引っ掛かり火炎直撃砲を土星のリング内で発射してしまった。
その結果として乱気流が発生してしまい、逆に自艦隊が大混乱に陥ってしまう。その隙に反撃を受け、艦隊は壊滅。残されたメダルーザは損傷で頼りの火焔直撃法が使用不能の状態であったが、地球艦隊旗艦アンドロメダに向け突撃を敢行し集中砲火を浴び、一矢報いることもなく爆沈するメダルーザと運命を共にする。劇場版と違い、火炎直撃砲に頼り切りではあったものの、圧倒的な航空戦力によるアウトレンジ戦法を目論んでいたことや、要所要所での判断を見ると、劇場版と同様にそれなりの能力を持っていたと見れる。
宇宙戦艦ヤマト2202
概要
- 所属:帝星ガトランティス 第七機動艦隊
- 肩書:司令長官(又は提督)
- 乗艦:アポカリクス級航宙母艦〈バルゼー〉
リメイク版『2202』でも登場を果たす。肩書は第七機動艦隊司令長官。容姿、服装は劇場版基準であるものの、ロングコートが裾の長い陣羽織になっている。性格もかなり傲慢でガトランティスの覇道を絶対のものと信じている。ゲーニッツの腹心でもあり、最高幹部の集まりの場、大帝玉座の間に列席する。
地球侵攻軍として、カラクルム級戦闘艦で構成される第七機動艦隊を率いて、土星宙域で地球艦隊と激突する。ガトランティスらしい、物量にものを言わせた正面突破を行う。
経歴
第一章
冒頭にて、大帝のいる玉座の間で他の最高幕僚位等と共に立ち姿を見せている。
第三章
ヤマトの過去の記録映像を見て、波動砲がバラン星を崩壊させる様子を見て驚きを示している。
第五章
地球侵攻軍として第七機動艦隊を率いて土星へと進出した。そこでエンケラドゥス守備隊と交戦を開始する。
先鋒として到着していたカラクルム級群が、守備隊を正面と左右から半包囲して押し潰そうと猛攻をかける。
特に左右からは、カラクルム級の砲火力を最大限に利用できたものであり、守備隊は圧倒的な弾幕に晒される。
守備隊が反撃で放った波動砲で正面の部隊が被害を受けるも、全体からすればわずかな数でしかなく、さらに後から続々と後続が到着。戦力の穴を逐一埋めていた。
さらにここにきて、バルゼーと座上旗艦〈バルゼー〉もワープアウトした。
守備隊の艦載機隊による攻撃で、〈バルゼー〉に同行していたナスカ級打撃型航宙母艦4隻を沈められるものの痛打とはなっておらず、逆に〈バルゼー〉に搭載されていた自滅型攻撃艦イーターⅠ80機をエンケラドゥス守備隊へと差し向け、波動防壁を中和しての特攻によって、瞬く間に守備隊に大損害を与えていった。
残り15隻程度になった守備隊を押し潰すべく、上面から別働隊を宛がうが、そこへアンドロメダ他増援部隊が到着。早々の拡散波動砲で別働隊を殲滅される。それでもなお、第七機動艦隊からすれば地球艦隊は小さな戦力でしかない……と、バルゼーは動じず一気に殲滅しようとする。
ところが、地球艦隊後方より戦艦群が続々と増殖するが如く到着し、その数を瞬く間に増やしていった。これには思わず、少数に敵を見積もっていた(これは油断というよりも常識的に見た面もあるが)バルゼーも戸惑いの色を隠せていなかった模様である。
その時、ズォーダーから
「戦線に膠着は許されない」
と、叱責を受け、深々と頭を下げている。
早々に地球艦隊全艦による拡散波動砲の一斉掃射で、正面に展開していた大多数のカラクルム級を纏めて殲滅される。その光景に目を引ん剝かんばかりのバルゼーは、インフェルノ・カノーネ(カラクルム級6隻で放たれるもの)を8発分同時に発射。これで、何かしらの打撃を与えると見たが、何と前衛武装宇宙艦の重力子スプレッドによって、これも無力化されてしまった。
さらに、下方の土星リング内からドレッドノート級群が現れ、襲撃を受けるだけでなく、前方からも新たにドレッドノート級群が「お行儀よく」隊列を組んでワープアウト。猛烈な砲撃を浴びせる。
バルゼーの表情を見ればまだ冷静であり、混乱することなく全力で地球艦隊と激突。ドレッドノート級とカラクルム級が衝突する場面すら見られるほど戦闘は激化し、双方出し惜しみなしの戦闘が続く……
かと思いきや、その後もドレッドノート級が無尽蔵に増援として到着し続ける。
さすがにおかしいと勘づき始めたバルゼーは帝星本部へ
「あり得ないことです!!!」
と連絡するが、ゲーニッツからは
「見苦しいぞ。大帝から賜った軍に撤退も転進も無い。ガトランティスなら、戦って死ね!」
等と叱責を受ける始末だった。
ただ、ズォーダーもその不可解さには気づいており、ガイレーンが瞑想の間で調査を行わせると、地球の時間断層の存在を知ることとなる。
ズォーダーは無限の戦力を吐き出せる時間断層に興味を持ち、地球を彗星に取り込む方針に転換。彗星を土星宙域にワープアウトさせ、バルゼーに対し退避するよう命令し、バルゼーは頭を下げて従う他なかった。
結局、バルゼーは己の力量で地球艦隊を打ち破るどころか、互角に持ち込むことさえ適う事はなかった。ただこれに関しては、やはり「相手が悪すぎた」以上に、「相手が異常すぎた」という側面も大いにある。
というのも、忘れてはならない要素が一つあり、それは
・地球はたった3年前まで滅びかけの星だった
というものである。
その前提がある以上、いくらヤマトや波動砲を認識していても、たった3年足らずで数万隻の波動砲艦隊を作れるとは誰も思わないし、戦力的には全く以て取るに足りない規模程度で落ち着くと思うのが普通の考えである。
というか、冷静に考えればエンケラドゥス守備隊も「3年前に滅びかけていた惑星」の戦力としては相当な規模ではあり、上記の常識的な考えも含めば、バルゼーをはじめガトランティスは守備隊を「主力かその一部」と誤認したと思われる。だからこそ貴重な地球艦隊メタである「イーターⅠ」を利用したと見れる。
また、自身がワープアウトしたタイミングは、守備隊が波動砲を発射しきって有効打がなくなった状況である。第三章にもあるように、バルゼーは波動砲の脅威性や性質を「ある程度」認識していたことから、発射後の隙を狙って一気に叩き潰そうという目論見があったと思われる。
ただ、事実は小説より奇なりという諺通り、結果として助太刀に来た地球艦隊の主戦力はバルゼーの想定を何十倍、何百倍も上回るものだった。
無論、
・自艦隊の戦力に慢心
・搭載兵器の情報がなかった故に切り札を無力化される。
・増え続ける戦艦群に対処しきれず。
など、油断が故の失敗こそ見受けられたものの、前述したようにバルゼーの落ち度というよりかは、相手が常識的に見れば異常すぎる戦力を持っていたのが原因の大半(バルゼーが「あり得ないことです!!!」等の発言をしたことがその証明)であり、つまるところオリジナル版と同じく『相手が悪かった』。これに尽きるだろう。
第六章
土星沖で地球艦隊に苦杯を舐めさせられたバルゼーだったが、火星沖海戦でも参戦しており、座乗艦『バルゼー』にはイーターⅠに代わって600機ものデスバテーターが積み込まれ、火星で防衛戦を張る地球・ガミラス連合艦隊に対して攻撃を加える。
カラクルム級と共に彗星内部から出陣したバルゼーは、大量のデスバテーターを発艦させて連合艦隊に攻撃を加えた。しかし、アンドロメダ級『アルデバラン』の重力子スプレッドで撃墜され、ガミラスの旗艦へのミサイル飽和攻撃も、地球艦隊の身を挺した防御で妨げられた。
ただ、やはり元から膨大な戦力を持っていたのもあって、連合艦隊相手に互角以上の戦闘をしており、連合艦隊の50%を削り取っている(バルゼーの指揮によるものかは不明だが)。
余談
土星沖海戦を視聴した面々からは、今回のバルゼーが、ひたすらズォーダーやゲーニッツに、さながら悲しき中間管理職の様に頭を下げっぱなしの様子から、『ちょっと同情した』という感想を持つ人もチラホラいる模様。
また、視聴者の間で気になるキャラクター陣でも、バルゼーの名前が上がっている。