cv:永井一郎(オリジナルシリーズ)、千葉繁(リメイクシリーズ)
実写版「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の俳優は高島礼子(女性化され、さらに愛猫のミーくんもイスカンダルへの航海時点で同乗している)
解説
宇宙戦艦ヤマトの搭乗員の一人で、担当は軍医。
2152年生まれ。
眼鏡で禿頭に中年太り、デフォルメされた顔や見た目と、松本零士作品に欠かせない「デフォルメキャラ枠」に相当する人物。
艦内では白に赤十字のマークが入った制服を、腕まくりして着用している。
元は獣医として働いていたが、無断でガミラスの偵察機に対して出撃して負傷した古代進・島大介が地下都市の病院に搬送されてきた際に居合わせ、それがきっかけでヤマトの搭乗員として召集されることとなった。
家族は飼い猫のミーくんだけと、プライベートは寂しさを匂わせる。
名前通りの酒好きで、ヤマト内に自室として特別に和室を用意してもらい、そこでよく呑んだ暮れている。ときに治療中や戦闘中でも呑んでいるが、当人曰く「浴びるくらい酔ってはいても、目は曇ってはいない」とのこと。
好きな銘柄は「大酒」。
天衣無縫で掴みどころがないが、古代に対して「百里の道を行くときは、九十九里をもって半ばとせよ」と、芥川龍之介の『侏儒の言葉』から言葉を引用して気を引き締めさせるなど、徳川彦左衛門と共に年功者として、若手を見守り、牽引している。
自称「名医」だが、地下都市の病院に居合わせたアナライザーが「今日五つ目の仏さん」といって豚の手術に失敗して死なせたことを皮肉っていたため、(少なくとも獣医としては)あまり腕は芳しくはない様子。
なお、そのアナライザーとは、漫才コンビのような息の合った掛け合いをしあうなど、気の置けない相棒のような関係を気付いている。
船医になってからは沖田十三艦長の主治医として、彼の宇宙放射線病の治療と侵攻の抑止に努めており、地球帰還寸前で息を引き取った(実は生きていた。理由は後述)艦長への酒造の敬礼は、劇中屈指の名場面としてファンから称賛されている。
さらば宇宙戦艦ヤマトでは
終盤、彗星都市での最後の攻防戦で続出する怪我人の治療に当たり、忙しい佐渡のためにヤマトカクテルを作っていた斉藤の背後で医務室が被弾。振り向いた斉藤の目に映ったのは愛猫のミーくんと共に殉職した佐渡の姿だった。
多くのヤマトクルー達が死亡する本作では彼も例外ではなく、あまりにもあっけなく悲しい最期を迎えてしまった…。
重大な誤診
「わしの誤診でな」
法律上、人の死は医師にしか判断できず、次の3基準が揃うとき、初めて死んだと医師は決める…はずだった。
①心拍動の停止(心臓が停止したため、脈拍がない)
②自発呼吸の停止(息をしていない)
③瞳孔の光反射の消失(脳の機能が停止したため光に反応しない)
だが、沖田十三艦長が亡くなったとされたシーンでは…
艦長室に入るや否や、その場でキッと表情を引き締めて敬礼しただけ!
3基準の一つとして確認しておらず、部屋の入り口から見ただけだったのだ。
なんなんだこのヤブ医者は!
地球に帰還をなんとか果たした沖田艦長は、帰還後ただちに結成された特別医師団により、救命措置と同時に宇宙放射線病治療の手術も行われた。手術は成功し、その後、長い療養生活を送っていた。だが社会では亡くなったことにされ、英雄の丘に銅像まで建てられたりした。
その後、沖田艦長はさらっと完結編で復活している。
さすがにこれは無いと思われたのか、2019年から始まった小説の復活篇第0部で少しフォローが入った。これによると沖田艦長は帰還後にきっちり死亡判定を受けていたのだが、その確かな実力を失うことを恐れた政府の一部の者によって秘密裏に“遺体”が冷凍保存され、あらゆる最新技術と莫大な予算をつぎ込んで蘇生処置を何年も施され続けていたとされている。そしてガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の銀河系大戦激化の折、沖田の存在が必要であると判断され完全な蘇生が実行された。
後に事実を知らされた佐渡は「貴様ら、命をなんだと思っとる!」と激昂した。当たり前である。
そして、この事実を認めたくなかったのか、それとも若い者には告げたくなかったのかその心中は不明だが、佐渡はあえてふざけているようなふてぶてしい態度で「わしの誤診でな」と発言したのだった。
ちなみにこの設定は徳間書店発行の完結編小説版のものをベースにしている。
宇宙戦艦ヤマト2199での佐渡酒造
階級は二等宙佐待遇の軍医。前作よりも見た目が写実的になり、また獣医の設定もなくなった。
搭乗の経緯も土方竜から頼み込まれたことになっており、沖田艦長とは元から患者と主治医という関係にあるように改正されている。同時に、沖田艦長の病を搭乗員の中で唯一知っている人物ともなり、沖田艦長のブレーキ役としてより大きな役回りを与えられることになった。
酒好きで闊達な性格はそのままだが、破天荒な行動は控えめとなっている。
また、今回は原田真琴という助手が付いたこと、丁々発止の相方であるアナライザーが大人しくなったことなどもあって、沖田艦長からくる気苦労は増えたが、立ち位置は前作よりも概ね向上しているといえるだろう。
余談
松本零士が原作を務めた『惑星ロボダンガードA』でもほぼ同等の役回りで友情出演している。演者は八奈見乗児。