概要
和室とは、日本家屋に特有の、障子やふすまで囲まれ畳を敷き詰めた(板敷きの場合もある)部屋のことである。
壁は真壁(柱が壁の外に露出する方式)で、部屋の中に柱、鴨居といった構造材が表れる。このため和室の建材は構造材でありながら化粧材でもあり、割高になる(もっとも、柱を露出させない大壁の和室もあるし、現代では集成材の表面に薄く化粧材を貼り付けた安価な材が一般的)。
また真壁の和室は壁が薄くなるため、壁内部の補強材の断面積が細くなる。そのため大壁よりも壁倍率は小さくなる。なお現在の在来工法では真壁であっても内部に筋違と間柱を入れるが、伝統工法では貫と間柱を入れる。貫は横揺れに対して弱いと言われているが、歴史的な木造建築物は貫を使う伝統工法で現在までその姿をとどめており、優秀性が実証されている。
規模単位の地域差
なお間取には地域差が存在し――
【京間 > 中京間 > 江戸間 > 団地間】
の順で畳が小さくなる傾向にある。
- 京間:縦 191.0cm× 横 95.5cm
- 中京間:縦 182.0cm× 横 91.0cm
- 江戸間: 176.0cm× 横 87.8cm
- 団地間: 170.0cm× 横 85.0cm
※畳1帖の面積比
京都府周辺を含む関西圏は京間、愛知県周辺の中京は中京間、東京都近辺の関東一帯は江戸間である場合が多い。
さらに近現代で一棟建ての集団住宅が普及したことで、よりコンパクトな団地間が登場した。
名前通りの団地で、江戸間がコンクリート造の構造体の分だけさらに小さくなってしまったものである。
中京間と江戸間は3尺×6尺(≒182.0cm× 91.0cm)のモジュール自体は共通だが、畳ベース(中京間)で考えるか、柱など構造体ベース(江戸間)で考えるかで違ってしまったもの。
江戸の市街地では建材はすべて他所から移入となるため、資材節約型として柱割りが標準になった。
もっともこれらは、あくまで地域による傾向であり、他の地域圏では江戸間と京間の物件が混在する事例は珍しいものではない。