「ガーレ ガミロン!」(ガミラス万歳!)
概要
『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場する異星国家ガミラスが使用している言語。
架空言語だが、てきとうな発音や日本語の逆さ読みなどを使うタイプのものではなく、言語学者の手によって単語や文法が設定されている。
有名どころの架空言語に比べてしっかりした解説が行われる機会があまりないが、考察を行う有志も多く、pixivユーザーにも本格的なガミラス語の考察と解説を行っている人がいる。
制作
制作を手掛けたのは言語学者であり、SFファン・アニメファンでもあるHoffnung(ハンドルネーム)。ヤマトへは旧友の脚本家に誘われて参加したとのこと。
主だった単語は製作スタッフ側が予め考えてあり、それを基にHoffnung氏が文法や細かい単語などを考えていった。なお、Hoffnung氏が渡されたガミラス語の単語帳は、兵器や天体の固有名詞や単位系まで載ったかなり分厚いものだったらしい。
なお、ガミラス語は雰囲気がドイツ語に似ているが、少なくともHoffnung氏は特定の言語をベースに制作していたわけではないようで、当人曰く単語は完全に創作なので無国籍、文法はSVO型言語のハイブリッドと述べている。
実際にHoffnung氏による解説では、ガミラス語の各特徴毎に似た性質を持つ様々な言語が例示されている。
ドイツ語っぽいと言われる所以は発音から来る印象かと思うとはHoffnung氏の弁。後述の通り、発音はドイツ語のような雰囲気を纏っている(若干スラブ風味もあるとされる)。
後はやはりガミラス自体が第二次大戦期のドイツをモチーフにした一面を持つ故の先入観もあるだろう。固有名詞にも(実際にどうかはともかく)それ関係が由来なのではないかという印象を受けるものが多いので猶更(人名は旧作から既にそんな感じだし、兵器でもシュヴァルベ→ツヴァルケやスツーカ→スヌーカなどがあり、「ザルツの名前はザルツブルクが元ネタなのでは?」とかも偶に言われている)。
実際のところ言語学などを学んだ人からするとドイツ語にはそこまで似てはいないらしい。
本編での使い方
海外ドラマの吹き替えを疑似的に再現しているような感じ。つまりキャラが話しているのはあくまでもガミラス語であり、それを視聴者にも分かるよう日本語に吹き替えしているだけという扱いである。そして吹き替えするほどでもないセリフや、異言語を話していることが強調される場面などは吹き替えされないため、ガミラス語パートが流れるという仕組み。
なので劇中では主に通信機越しのモブのセリフがガミラス語になっている。また、ガミラス人と直接相対した際、翻訳機起動直前までガミラス語を用いるという使われ方もしている(第10話のメルダと第25話のデスラー)。直接会話するわけでなくても、翻訳機なしで両者がほぼ同じ空間にいればガミラス語が使用されることもある(第20話のゲットー達など)。
日本語に吹き替えられているシーンにおいても、一部の固有名詞や慣用句などはガミラス語のままとなっている(冒頭の「ガーレ ガミロン」もその一つ)。
モニター上の表示もガミラス文字になっているのだが、台詞ほど厳格では無いようで、日本語のローマ字表記や英単語をそのままガミラス文字にしたと思しきものも割とあり(例えば第4話で森雪の識別が「teron female」となっていたり、第5話で小惑星が「hoshi」と表記されていたりする)、同じ表示が別の事物へ使い回しされたりもしている(「teron female」は第9話で男性保安部員や主砲塔入口コンソールの接続端子の識別にも使われている)。
諸設定
ガミラス語の基本形態は『2199』の公式設定資料集(ガミラス編)で詳しく解説されているため、より正確に知りたい人はそちらへ。
また、一部単語などは劇中のモニター類やAR台本、アニメスタッフのTwitterなどでも稀に確認できる。
特徴
広大な版図と多民族に普及するため、文法は単純化され、合理的な形式となっている(Hoffnung氏曰く「分析的」)。現実でも長い年月を経て単純化していっている言語はヨーロッパ系を始め数多い。
イレギュラー要素が少なく、例えば英語が苦手な人の多くが一度は躓いたことがあるだろう動詞の不規則変化は(解説されている範囲に限れば)見られない。
少なくとも短めの基本的な構文であれば英語よりも規則的・画一的なので、外国語が苦手な人でも直訳の片言ガミラス語なら書くことも可能かもしれない。……単語さえ知っていれば(その単語が少々ややこしいのだが)。
一方、劇中でも頻繁に使われる「ザー ベルク」(イエッサー)や「ガーレ デスラー」(デスラー万歳)など、文法に囚われない慣用句や定型表現は普通に存在する。
文法
- 語順
語順は英語などと同じSVO型(主語 - 動詞 - 目的語)で、これが崩れることは基本的に無い模様。
例えば疑問文に関してだと、英語の場合は一部の単語の順序が逆転する(「You are」が「Are you」になったりするアレ)が、ガミラスでは助詞で対応しており、文末に「ジ」あるいは「ニ」を付け加える(日本語で文末を「~か?」とするようなものだろうか?)。
名詞の修飾(形容詞や関係節など)に関しては種別に依る。例えば形容詞は若干自由度があり、基本的に名詞の後に付くが、情報量に応じて前に付くこともある(ラテン語などに見られる性質らしい)。
- 語形変化
言語によっては状況に合わせて単語が変化することがあるが、ガミラス語ではそれはない(中国語に代表される孤立語に近い性質)。
例えば過去形の場合、英語では動詞が変化する(have→had、come→cameなど)が、ガミラス語では動詞の前に「ケス」という助動詞を付け加える。それ以外でも受動態での変化(英語でいうと過去分詞)や名詞・形容詞の格変化(名詞でも形容詞でもない例えになってしまうが、いわゆる英語のI、my、me、mine)も無い。なので単語の細かい変化を覚えたり使い分けたりといった難しさはない。
ただし、語形変化のみでなく、日本語にあるような格助詞(これは、これを、など)すら無いため、文中の名詞が主語なのか目的語なのかの判別は、単語単体ではなく文章内の語順なども見て(つまり広い範囲を俯瞰して)行う必要がある。
単語
- 合体による造語
語形変化こそないが、一方で複数の単語を連結しておまけに短縮した造語(いわゆる複合語やかばん語の類)が得意らしい。
例えば「ガミラス語」を意味する「ガミラジーボ(garmillazibo)」は、「ガミラス」(Garmillas)と「言う」(ジーボ、ziebo)の複合語とのこと。
こういった造語能力の高さはドイツ語っぽいし、日本語っぽくもある。
- 三人称代名詞
三人称がかなり細かく区分されており、なんと10通りもある。英語ではhe(男性)、she(女性)、it(もの)の3つ(+複数形のthey)くらいしかないが、ガミラス語では特にitにあたるものがかなり細分化されている。
全10種のうち劇中と関連書籍で判明しているのは半分程。
発音
発音には濁音が多く、ドイツ語的な固い響きを持っている。
発音ルールもドイツ語寄りなようで、英語読みやローマ字読みで通じない単語も偶にある。例えば劇中だと「ruha」は「ルーア」、「delsjave」は「デルスヤーヴェ」と発音されている(どちらもドイツ語に存在するルール。後者はむしろこっちが元々のjの発音だが)。
単語の例
劇中で頻繁に用いられている単語や印象深い単語を列挙(一部は耳コピなので注意)。代名詞などはやはり使用回数が多く、例えば近称の「カルマ」は割とよく聞こえてくる。
ぜひとも単語帳が欲しいところだが、公式では販売等はしていないので、資料集などを読み込むか、劇中から解析していくしかない(ちなみに製作委員会にはもう資料がほとんど残っていないらしい……)。なお、劇中でのセリフに関しては第8話のデスラーの演説以外はAR台本において片仮名で併記されている。
ストーリーとガミラス語の使いどころの関係上、戦闘・軍事関連が多く、日常会話に使えるものは少ない(というか挨拶の言葉すら登場していない)。
太字は日本語のシーンでも使われている単語。
ガミラス語 | 綴り | 日本語 | 本編での使用回 |
---|---|---|---|
ヤマッテ | Yamato | ヤマト | 第20話 |
ゾル(※1) | (不明) | 太陽 | 第6話(日本語シーン) |
テローア(※2) | (不明) | 地球 | 未使用 |
テロン | Teron | 地球人、地球の | 多数 |
ガミラス | Garmillas | ガミラス | 多数 |
ガミロン | Garmillon | ガミラス人、ガミラス臣民 | 第8話、第22話など |
イル / イルン / イルク | il / iln (ilun) / ilk | 私 / 私の / 私を、私に | 第6話、第8話など |
ミロン / ミロック / ミロー | milon / milok / miloh | 我々 / 我々の / 我々を、我々に | 第2話、第21話など |
ベー / ベルク | beh / berk | あなた / あなた(目上) | 第2話など |
ベク | bek | あなたの | 第18話など |
カルマ | kharma (karma) | 指示詞近称(これ、この、etc...) | 第8話、第20話など |
トルマ | torma | 指示詞遠称(あれ、あの、その、etc...) | 第8話など |
ザー | zah | はい | 多数 |
ダット | dat(datt) | いいえ | 第2話など |
レザ | reza | (依頼・要請を表す際に文章にくっつく小辞) | 第18話 |
プレザ ○○ | p'reza ○○ | ○○するな | 第18話(文字) |
ヤ | ya | (強調したい文章にくっつく小辞) | 第8話、第18話など |
フュゼロン | phuzeron | 総統 | 第6話、第12話など |
ガーレ! | ghale | 万歳! | 多数 |
デルス | dels | 戦闘 | 第10話など |
ヴェザー(※3) | (不明) | ビーム | 未使用 |
バム | vam | 砲 | 未使用 |
デト | (不明) | 敵 | 第11話、第20話 |
ゾール | zohl | 部隊 | 第11話、第18話 |
バルメス | (不明) | 攻撃する | 第2話 |
バルス(ヴァルス) | (不明) | 撃つ、撃て | 第14話 |
ボルメ | (不明) | 爆弾 | 第2話など |
ヴァル | (不明) | 航空、飛行 | 未使用 |
ガー | (不明) | 航空機 | 第20話 |
ミゴ(※3) | (不明) | 反射 | 第5話 |
ガドラ | gardola | 栄光 | 第8話 |
ダイ | deyn | 偉大 | 第8話 |
ルーア | ruha | 国家 | 第8話 |
リーア | rieha | 惑星 | 第8話 |
ヴィーア | (不明) | 衛星 | 第4話、第5話 |
ゼオ、アル、ベオ、ネル、ジー、ガル、ギグ、ゼク、パク、ピア、ケス | (一部除き不明) | 0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 | 多数 |
単語を組み合わせた用語
ガミラス語 | 意味 |
---|---|
デルスヴァルガー | 戦闘機 |
ボルメガー / ドッシュボルメガー | 爆撃機 / 重爆撃機 |
フィーゼヴァルガー | 雷撃機 |
デトガー | 敵機 |
ヴェザーバム / ドリッグバム | ビーム砲 / 機関砲 |
ボルメドンリーア | 惑星間弾道弾 |
ミゴヴィーア | 反射衛星 |
このほか、単位系としてガット(速度単位)、ゲック(時間単位、秒に相当と推測)、ベク(温度単位)、コルム(距離単位、光年やパーセクなどに相当すると推測)、バーセル(バーゼル)(割合の単位、パーセントに相当と推測)なども登場している。
ちなみにセリフでも設定でも頻繁に出てくる「ゲシュ=タム」の訳語は意外にも明かされておらず、この単語が含まれる各種用語(ゲシュ=タム機関やゲシュ=タム・ジャンプ、ゲシュ=ヴァール機関など)から推測するしかない。
(※1) 太陽系関連の固有名詞は地球の言葉から作ったという設定。おそらくゾル(太陽)やテローア(地球)はラテン語由来、ズピスト(木星)やゼダン(土星)などは英語由来と思われる。
(※2) 劇中では地球のことを「テロン」と呼んでいるが、公式資料によると「テローア」が正しいらしい(ただ、波動砲封印栓に貼付されたガミラス語の文章では「Teron」表記になっている。一方で近縁のイスカンダル語ではユリーシャが第24話で実際にテローアと呼んでいる)。なので「地球人」を表すときは、厳密には「テローア人」か「テロン」と言うべきなのだろうが、劇中ではテロン人と呼んでいる。
(※3) つまりガミラス艦に搭載されているミゴヴェザーコーティングは直訳するとビーム反射コーティングとなる。
文字
独自のガミラス文字も設定されている(メイン画像がそれ)。アルファベットとアラビア数字に対応している。
角ばった記号的な形が特徴。劇中でガミラス文字が出てくるのが基本的にモニター上だけなのであまり見る機会がないが、筆記用の細い線のフォントもある。
ちなみにアルファベットに直した際には発音区別符号の「¨」が付くこともある。
記号に関しては、「・」のようなものが句点、「,」のようなものが読点として用いられているのが確認できる。また、「 ̄」のようなものが単語同士を繋ぐハイフンに相当するものとして使われている。
ガミラス語族
劇中で使用されるガミラス語は標準ガミラス語と呼ばれるものだが、それ以外にも類似する言語が存在しているようで、ガミラス語族なるものを形成している。これは『星巡る方舟』劇中で少しだけ確認でき、
- 西半球高地ポルメリア語
- 西半球高地ゲルバデン地方語
- 西半球低地ケルカプフ地方語
- ゼルグーデン語
などがあることが分かる。高地とか低地とかついているのがこれまたドイツ語っぽい。
ちなみにこの地名はガミラス艦の艦級名の由来にもなっていると思われる(上からポルメリア級、ゲルバデス級、ケルカピア級、ゼルグート級)。
また、イスカンダル語とは共通点が多く、ガミラス語がイスカンダル語から派生した言語であることが窺える。イスカンダル語はガミラスでは「神聖ガミラス語」として扱われている。
例文
「ミロン レゲンス ヴェリボー カン ガシュゲール ヨーム ヴァレン ニ」
(バラン星のゲール司令に報告した方が良いのではありませんか?)
第2話でガンツが喋った劇中初のガミラス語。
「カン」が「~へ」を意味し、「カン ガシュゲール」で「ゲール司令へ」となる。また、ガンツから見てシュルツは上官なので、最後の疑問符は目上に使う「ニ」になっている(対してその後のシュルツからの問いかけでは「ジ」になっている)。
これ以降は推測になるが「レゲンス」は第4話でのガミロイドの台詞でも使われており、そこから意味は「必要」と思われる。なのでこの一文は直訳した場合「我々はバラン星のゲール司令へ報告する必要があるのではないですか?」になると推定される。
なお、劇中ではミロンとレゲンスが繋がって「ミレゲンス」という言い方になっている。
「ミロン ケス スパテック アル ガーデザーク」
(空母一隻を失ったのだぞ)
第2話のシュルツの台詞。文を分解すると、ミロン(我々)、ケス スパテック(失った)、アル ガーデザーク(1つの空母)となる。「失う」を意味する「スパテック」に「ケス」を付けることで過去形の「失った」になっている。
「ミロン ゼル ダット ドーク ベハラック」
(我々は失敗するわけにはいかないのだ)
同じく第2話のシュルツの台詞。ダットが否定、ベハラックが「失敗する」を意味する。
「カルマ ビス ゾロバック ネルケス・ナ。イル ゾバック ヤマッテ。エラ アルン…」
(こちら偵察13号。我ヤマトを発見せり。繰り返す…)
第20話冒頭の偵察機の台詞。類似の台詞として第18話での「カルマ ビス ケースト グルーサ」(こちら巡回パトロール)がある。
「ナ」は数字の後ろについて「No.○○」や「○○号」などになる単語。なお、ガミラス語でヤマト(ヤマッテ)が呼ばれるのは劇中この台詞のみ。
他の異星言語
『2199』『星巡る方舟』ではガミラス語以外の異星言語も登場している。ガミラス語に比べると使用された場面はかなり少ない。
また、下記の3つ以外にも、ザルツ人にガミラス語とは異なる母国語(ザルツ語)が存在することが『星巡る方舟』劇中のモニター映像で示唆されている。また、『ヤマトよ永遠に_REBEL3199』ではボラー連邦の艦船の名称にボラー語での意味が設定されている。
- イスカンダル語
「タット カルマ シェス モリユキ ヤレス テローア」(いえ こちらは…森雪…地球の方です)
解説によるとガミラス語と同系統の言語で、違いは地域差程度の範疇に収まるとされる。文字もガミラス文字が丸みを帯びたような形をしている。
発音に関してガミラス語で濁音のところが清音になっていることが多い。その響きはフランス語やウェールズ語に近い印象とのこと。
「ナグ ガミロン・オム ボラック ドゥジカ・ガ・パップ ドッパ・アン、ヴヴ・ダッパ ヴェ・ズォーダー・ヤン トラール・ツグ・オシュ!」(ガミロンを殲滅できるあの艦の大砲をこの手で奪い、偉大なる大帝陛下に献上するのだ!)
「ダガーム・ヤン・ゴルチャ・オム!エンディリ・エン・ウルゴ・オム!」(ダガームに勝利を!一族に栄光を!)
劇場版『星巡る方舟』で使用(『2199』でも一応登場するが、「ヴラー」「ズォーダー」「ガトラン」「ガトランティス」の4単語だけ)。
日本語と同じSOV型言語(劇中での解析モニターの表記だとVSOとされているが多分誤植。例文はSOVだし)であり、てにをはの対応も日本語に近いので、本格的に翻訳を目指すのでなければガミラス語よりいくらか分かりやすい。
文字は1本の棒を軸に色々装飾したような形状のものが多く、連続した文字は中央の棒が繋がって書かれる。また、文は基本的に縦書きで、横書きする場合は文字自体を横倒しにしている。
地球およびガミラス関係の固有名詞はガミラス語から借用しており、ヤマトを「ヤマッテ」、地球を「テロン」、ガミラスを「ガミロン」と呼ぶ。また、地球人は「テロネゼ」、ガミラス人は「ガミラーゼ」と表現しているため、「○○人」は「○○ゼ」とつけるルールなのだと思われる。
ちなみに『星巡る方舟』の限定版BD特典の絵コンテには一部セリフを除いてカタカナでのガトランティス語が併記されている。
『2202』における追加設定では、元々はガトランティスの主である「ゼムリア人」の言葉だったらしく、文字が共通している。「ガトランティス」という名もゼムリア語に由来しており、その意味は…
- ジレル語
「アントウ クラ テル・ス」(飢えは争いを呼びさます)
劇場版『星巡る方舟』で使用。
まともに使用されたのは上記の一言しかないので言語体系は不明。文字は音符のような形をしている。
ジレル人は古代アケーリアス人の末裔なので、アケーリアスの文字も共通であるようで、アケーリアスの遺跡に刻まれている(桐生美影がこれをジレル語の知識で読んでいるので、言語体系もほぼ変わっていない模様)。
続編では
宇宙戦艦ヤマト2202
他の言語もろとも廃止されてしまった。異星言語パートが無くなったとかいうレベルではなく、日本語パートで使われていた「テロン」や「ゲシュ=タム」などの単語までもがほぼ消されている。
脚本担当は「異星言語を使うと(視聴者が)混乱して印象が変わってしまうから」と述べている。例えば第2話でズォーダーが「地球か…」と貫禄をもって言うところで「テロンか…」とか言われても…とのこと。気持ちは分からないでもないが…
もっとも仮に使い続けようとしたとしても出渕総監督をはじめ異星言語を制作していたスタッフは軒並み離脱してしまったので使いこなせたかは怪しいが。
一応ガミラス語の存在自体が無かったことにされたわけではなく、第6話では翻訳機の存在に触れている。異星単語廃止に強いて理屈付けを行うとしたら「翻訳機がより発達したから」というところだろうが、そこら辺のフォローは劇中にも関連書籍にも一切無かった。
結果として異星言語はほぼ全て消滅したが、例外として「ガーレ」は存続している。流石にほぼ慣用句と化している「ガーレ・デスラー」を「デスラー総統万歳」に改変する判断はしなかった模様。それと何故か「ゾル星系」が残っている(第6・7話でガトランティスが使用)。
また、ガトランティス語で新規に「ヘブロン」という時間単位が登場した。
宇宙戦艦ヤマト2205
異星言語パートこそ無いものの、「ゲシュ=タム・ジャンプ」などの異星語単語が復活。冒頭でデスラーがガミラス語でカウントダウンを行ったときに嬉しかった視聴者もいるだろう。
なお、「テロン」は復活しなかったが、後章上映前に流れた前章までのダイジェスト映像の中でローレン・バレルが一旦「テロン」と言った後に「地球」と言い直すという演出がある。
後章では字幕でかなり長いガミラス語文章が登場した。
使える単語素材が不足しているため、新単語が作られ、なおかつ大幅に意訳されている。例えば冒頭では「Kliva dena Garmillon」(注意 / 全員 / ガミラス人)と書いて「ガミラスの同胞たちよ」と訳し、後半では「Iln askant」(我が友)を「同胞たちよ」と表現している。こういった意訳はまさに洋画の日本語字幕や吹き替えのよう。
文章の半分くらいは『2199』で既出の単語で構成されているうえ、上記の通り文法自体は比較的単純なので、解読を試みる有志の姿も見られる。
余談
元ネタ
オリジナルである『宇宙戦艦ヤマト』でもガミラス語が出たことがある。第6話でガミラス兵ヤレタラが発した「ツバクカンサルマ」(みんな向こうの戦車に乗れ)などである。これを逆さ読みすると…
『2199』では「ツバック カン サルマー」(連行する / へ / 戦車 → 戦車へ連れて行け)という形になった。というより十中八九これがやりたかったからガミラス語を作ったのだろう。
なお、上記のは公式設定資料集に書かれた読みだが、AR台本だと「ルマック カン サルマー」になっており、さらに2013年出版の『ヤマト計画記録集』では「ルマックグラックカンサルマー」と書かれている。この台詞を担当した吉開清人のブログによると実際に喋っているのは「ルマック グラック カン サルマー」(行く / ~させる / ~へ / 戦車)らしい。
また、(同音異義語かもしれないが)「ツバック」は第5話だと「急げ」という意味で使われている。
リアルガミラス人
ライル・ゲットー役の吉開氏は台本のガミラス単語をまとめていくうちにガミラス語マニアになってしまい、アフレコ現場にガミラス語の単語帳を作って持ってくるほどだった。彼はゲットー以外にも小橋拓哉などの脇役のほか、名無しキャラを勢力問わず非常にたくさん(30キャラくらい)演じており、第1話を除けば必ず何かしらの形で出演しているため、台本を読む機会=ガミラス語に触れられる機会も多かったのだろうと思われる。
声優仲間はおろかそれ以外のスタッフの間でも「ガミラス語と言えば吉開清人」という扱いになっていたらしく、内田彩が「ガミラス語は吉開さんに聞いてくれ」と言われたとYRAラジオヤマト(第26回)で暴露している。ちなみにこの時、「(ガミラス語解説の)本を書けると思う」とも言われていたが、後に本当にガミラス語解析の同人誌を出した。
また、ヤマトファンによる非公式(であるが公式スタッフもよく参加している)トークイベントである「ヤマト講座」にて、ガミラス語を議題に登壇したこともある。
本人もブログにて「すっかりガミラス人」と認めているが、設定書を読んだわけではなくあくまでも台本から読み取ったものなので、覚えている単語は戦闘関連に偏っており、『2199』最終章の頃になっても「こんにちは」すら分からなかったと述べている。
『2205』ではその知識を買われて、なんと後章でガミラス語監修を担当した(しっかりクレジットもされている)。先述したガミラス語文章は彼の監修によるものである。
ちなみに声の出演は前章での佐野史彦役で一言だけだが、この一言こそがガミラス語文章登場のきっかけ。吉開氏のブログによると、この時のセリフがヤーブ・スケルジ(薮助治)に対する悪口だったため、あえてガミラス語でやってみたらどうかと提案。その提案自体は「さすがに佐野はそこまで嫌味な奴じゃないだろう」と不採用に終わったが、これがきっかけで後章で彼の監修によるガミラス語文章を登場させることになったとのこと(当人のブログより)。
ちなみに『星巡る方舟』の時もスタッフから資料を渡されてキャストのガトランティス語指導を頼まれたらしい。しかも大先輩方相手に(もちろん若手もいるが)。
偶然のタイミングの一致
『2199』がテレビ放送された2013年春アニメは『はたらく魔王さま!』『翠星のガルガンティア』『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』という架空の異言語が登場するアニメが他にいくつも存在していた。(『2199』は1年以上前から先行上映していたので厳密には違うが)同タイミングで何作品も架空言語が出てきたことは、ちょっとした話題になった。