「愚かなテロン人め。素直に降伏すれば、我らの様に生きる道もあったものを・・・・・・」
声優:島香裕
概要
- 所属:大ガミラス帝国軍 二等ガミラス空間機甲旅団・冥王星前線基地
- 階級:大佐
- 座乗艦:ガイデロール級航宙戦艦『シュバリエル』
純粋なガミラス人ではなく、併合されたザルツ星の出身(ガミラスでは二等臣民の扱い)で、そのザルツ人で構成された空間機甲旅団の旅団長を務めている。同時に冥王星前線基地(銀河辺境方面ゾル星系プラート基地)司令官でもある。また、ガミラス本国には妻のライザ・シュルツと、13歳の娘のヒルデ・シュルツがいる。
元はゲルフ・ガンツやヴォル・ヤレトラーらと共に、エルク・ドメルの部下でもあったことが、シュルツ自身の口から公言されている。また、ドメル本人もシュルツの事を記憶に留めているらしく、凱旋式の時にシュルツの死を口にしていた。
経歴等
冥王星海戦まで
地球とガミラスの開戦時から、彼が指揮を執っていたのかは不明である。ともなると、彼は8年間も地球攻略のために戦っていたことになるが、その可能性は低いかもしれない。寧ろ、途中で指揮官が入れ替わった、という考え方が普通ではないだろうか。
劇中の冥王星海戦では、乗艦『シュバリエル』が出撃していたことから、シュルツが直接に指揮を執っていたと思われる。この戦いでは、地球軍艦船がガミラス艦船に比して貧弱なため、苦戦する事はなかったものの、地球艦隊のショックカノンを警戒してか、後方から素早く忍び寄っての並行戦に持ち込んでくるあたり、軍人としての手腕は平均以上と見られる。
劇中でも漫画版でも戦闘前にシュルツが地球艦隊に降伏勧告をするシーンがあるが、漫画版では後にドメルがシュルツの墓を参った折の言葉で、その行為は傲慢さからくるものではなく、相手から反発を受けようと彼我の戦力差が著しく劣る相手に対して無駄な流血を避ける為に以前から必ず行っていたもので、彼の優しさからであったという事が述べられている。
メ二号作戦時
当初はヤマトを従来の地球の光速突破能力の無いものと予測し侮っていたが、ワープにより短時間で木星に出現したうえ、付近の浮遊惑星を基地・艦隊ごと消滅させたヤマトを前にその認識を改める。
ヤマトの冥王星攻略戦時には、反射衛星砲を対ヤマト兵器として転用する等、ドメルの『臨機応変』という教えを守っている。因みに漫画版では、ヤマトの未知の攻撃力を警戒して艦隊配置はリスクが大きい、等と戦術的な思考が見られる。また、反射衛星砲の転用のきっかけが、娘のヒルデが送ったビデオレターの『星を伝って・・・』という言葉にあるという描写がなされていた。
発想の転換でヤマトを冥王星の海に追い詰め、一度は海に沈めたまでは良かったが、ヤマトの撃沈を確実に確認しなかった故に、デスラーに誤報してしまう。そして、再度にわたって撃破をしようとしたものの、反射衛星砲による撃沈に固執しすぎてしまい、後に大惨事を招く要因となった。彼は焦りからか艦隊を出撃させず、反射衛星砲の再発射を命じる。しかし、反射衛星砲の攻撃方法などはこれまでの攻撃でヤマトに察知されてしまっており、最終中継衛星を特定されてミサイル攻撃で破壊されてしまったため、攻撃は失敗した。シュルツはこれに対し、ビームの角度を変更して射程圏外から攻撃することで対処しようとする。
だが、先の攻撃を確認した艦載機によって反射衛星砲本体の座標を掴んだヤマトも反撃を開始。座標を元にした水平線下からの弾着観測射撃を行った結果、三式弾が反射衛星砲を破壊し、爆破の熱で融解した氷と水の大津波が基地を襲う。ここにきて、彼は副官ガンツの撤退進言を受け入れた。もはや砲台を破壊されてしまっては、対抗する術が残されていないからだ。だが、そこに無情にもヤマトの艦砲射撃とミサイル攻撃が降り注ぐ。
そして、艦隊を基地内部に係留させたままだったこと、基地自体の構造上の欠陥(これは地球軍が辿りつけないだろう、という慢心があった故、このような構造になっていのかもしれない)が仇となった。離脱しようとしたガミラス艦に砲弾が直撃、はては操艦不能になった艦が、惑星間弾道弾に激突し派手に誘爆。
基地は丸ごと消し飛び、辛うじて脱出したシュルツの『シュバリエル』他3隻だったが、ヤマトの追撃でクリピテラ級2隻は轟沈、参謀ヤレトラー少佐の『デストリヤ』は時間稼ぎのために盾となるも轟沈。シュルツは、まさかの敗北に撤退を余儀なくされた。
グリーゼ581の戦闘
冥王星で敗北以後、シュルツはヤマトの追跡に専念した。といよりも、如何な戦艦クラスのガイデロール級とはいえ、1隻でヤマトに勝つのは至難の業と言えるだろう。だが、デスラーに『戦って死ね』と命じられており、どの道は雌雄を決せねばならない。シュルツは娘のレターを眺めやりながらも、絶望に浸り、生きて帰れぬことを覚悟していた。
しかし、デスラーから名誉挽回の機会を与えられた。デスラー立案の作戦を遂行するというものであったが、実際はシュルツに渡された特殊魚雷『デスラー魚雷』のガス生命体が、ヤマトを食い尽くすか、恒星に飲み込まれるか、という二者択一の作戦だった。
つまり、シュルツは魚雷を発射しただけで、後はヤマト撃沈までの様子を映像で記録すると言う、ただの観察者の役目でしかなかった。これに関して、漫画版ではシュルツの不満が明確にされており、一方のガンツはいざと言うときの備えをすべきだと進言している。
結果としてガス生命体は恒星に呑み込まれて自滅、シュルツはグレムト・ゲールに傍観してただけの無能者と罵られてしまう。ガンツが機転を効かして通信を遮断、無言だったが最期の突撃の意志を確認しあう。
シュルツの最期
恒星の表面を、飛び上がるフレアを回避しながら進むヤマトに対して、シュルツはその後を追跡していく。自分達はヤマトの航跡を辿ればよいのであって、追跡するのは容易である。そして砲撃を加え、撃沈するか恒星に追い落とせばよい。
だが恒星の強力な熱等により、砲撃照準システムが定まらない。ガンツは砲手を落ち着かせ、命中させるよう専念させる。追跡劇を僅かばかり繰り広げた先に、回避不可能なほどに巨大なフレアが出現した。ヤマトはあろうことか、波動砲でフレアに空洞を穿ち、その中を強行突破すると言う荒業を見せた。
シュルツも急ぎ開口部を突破しようとするが、そこで運が尽きてしまう。『シュバリエル』の艦尾及び艦底部が融解してしまい、操舵不能となってしまったのである。そして、その真下からフレアが飛び上がる。
回避不可能なことを悟った彼は、最後に妻のライザと娘のヒルデが帰りを出迎えてくれた時の姿を脳裏に思い起こし、そのまま乗艦ごと爆沈してしまった。この妻子を思い浮かべながら戦死するシーンは、2199の中でも印象深い所であろう。
漫画版・小説版との差異
艦尾や艦底部が、少し融解していたアニメ版とは違い、漫画版ではフレアに艦尾が巻き込まれてしまっために、艦尾がごっそりと溶け落ちてしまっている。艦体の3分の1を失った『シュバリエル』に航行能力があるはずも無い。
だが、最後の最後まで副官ガンツは味方を励まし、ヤマトと戦おうと奮発したものの、艦橋内部の誘爆に巻き込まれて重傷を負う。そんなガンツを、シュルツは手を取って静かに制し、死ぬ直前にこう言ったのである。
『星を伝って帰ろう・・・』
その後、『シュバリエル』は爆沈して乗組員達と共に散って逝った。
小説版ではシュルツの姿は描かれてはいないが、恒星を突破してくるヤマトを待ち伏せる為に、プラズマフィラメントの中を強引に突破、真正面にワープして出てきた。その為、艦体は重度のダメージを負ってしまい攻撃も出来ず、沖田はそれを見越して停戦を申し入れたが、シュルツは蹴り飛ばして返答した。
『馬鹿め』
最期は体当たりを敢行。しかし、ヤマトのロケットアンカーで軌道を逸らされてしまい、その先で機関部が暴発、大爆発を起こして轟沈してしまったのである。
旧作『宇宙戦艦ヤマト』におけるシュルツで、『宇宙戦艦ヤマト2199』においてフルネームが付けられた。
また上記の小説版における最期は旧作における彼の最期のオマージュである(旧作では機関部の暴発ではなく小惑星の激突によって轟沈している)。
余談
なお、娘のヒルデが脇役で少しだけ登場しただけにもかかわらず、この娘が意外な人気ぶりとなっている。ヒルデのファンとなった面々は、彼女の父親であるヴァルケ・シュルツのことを『お義父さん』と呼ぶこともしばし散見される。