概要
『宇宙戦艦ヤマト』に登場したシュルツ艦を、『宇宙戦艦ヤマト2199』の制作に合わせてリメイクした艦艇で、デザインはほぼオリジナルを踏襲しつつも、細かなディテールアップが図られている。全長も260mクラスから大幅に大型化されて350mへと引き上げられ、弩級戦艦らしい巨体になった。
各武装に関しては、概ね変わらないものの、口径の大きさが正式に設定または変更されている。オリジナルでは『大口径』『中口径』『小口径』といった大雑多なもので、大口径砲が2基6門、中口径砲が1基3門、小口径砲が4基12門、とされていた。それが2199では、主砲330㎜砲3基9門、副砲280㎜砲4基8門とされる。艦尾の副砲4基が、三連装から二連装へと減少してはいるものの、中口径砲で固められていることから火力は申し分ないと思われる。
ガイデロール級は、地球から超弩級戦艦として識別されている戦闘艦である。当艦艇は、ザルツ旅団部隊の旗艦であり、かつヴァルケ・シュルツ大佐の乗艦として『シュバリエル』が第1話に早くも登場した。他にもグレムト・ゲール少将の乗艦としてダズル迷彩型の『ゲルガメッシュ』も登場している。さらに無名ながらもガデル・タランが乗艦していた艦が登場する機会も有ったりと、ガイデロール級そのものは物語終盤近くまで姿を見せている。
このように、オリジナルのシュルツ艦よりも、遥かに出番は多い物と言え、迷彩塗装タイプが出てくるなど、リメイクならではの待遇とも言える。ただし残念ながら、ヤマトと砲火を交える事は遂に無かった(詳しくは、ヤマトからの応戦が無かった)。
スペック
ガイデロール級航宙戦艦(二等航宙戦闘艦)
- 全長:350m
- 全幅:42m
- 全高:70m
- 主機関:ゲシュタム・ドライブ
- 兵装
- 330mm三連装陽電子ビーム砲塔×3基(艦上に2基、艦底に1基)
- 280mm二連装陽電子ビーム砲塔×4基(艦尾)
- 近接防御火器(単装)×32基(艦橋側面)
- 近接防御火器(四連装)×6基(艦橋前方及び後方)
- 魚雷発射管×12門(艦首)
- 魚雷発射管×21門(艦底)
- 同型艦
- 『シュバリエル』
- 『ゲルガメッシュ』
- 『タラン艦(艦名不明)』
- 主な乗艦者
性能
ガミラス帝国軍の宇宙戦艦。ヤマトよりも大きな艦体を持ち、ビーム兵装と実弾兵装の双方を充実させた戦艦である。地球での識別はガ軍超弩級宇宙戦艦TYPE〈A〉。
攻撃性能において、陽電子ビーム砲を大小合わせて17門備えているが、これは重巡洋艦『デストリア級航宙重巡洋艦』級よりも少ない。ただし射界は非常に広く、特に艦尾の副砲4基は上下にも撃てる配置となっている。一方で魚雷発射管は33門を誇っており、総合的には戦艦として十分な火力を有しているだろう。
防御性能において、ミゴヴェザーコーティング技術による装甲を備えているものの、どれ程の性能か明確な描写が無いために不明確である。その為、ヤマトの48㎝ショックカノンに耐えうるかも分からないまま。別の例としてガトランティスの艦船相手ならば耐える事が予想され、例としてはケルカピア級航宙高速巡洋艦が被弾したものの爆沈していないので、本級なら十分に耐えられる可能性がある。また、近接防御火器を艦橋中心に38基も備え、乱戦状態や艦載機への対処が成されている。
航行性能において、高機動な運用はされていないものの、水準的な能力は有している。
経歴
2199
次回作と違って戦艦の安売りはしていないので、登場艦数は少ない。
1万隻が大集合したバラン星観艦式ではモブ艦も登場するが、それ以外では基本的に主要キャラクターの乗艦として登場する。
シュバリエル
TV版
シュバリエルは、シュルツの座乗艦として活躍した。冥王星海戦でもその姿を見せており、地球艦隊相手に戦った。しかし冥王星基地陥落時には、味方艦隊の殆どを失ってしまい、事実上の孤立を余儀なくされてしまう。
単艦でヤマトを撃破するしかない、とシュルツは死を覚悟していたものの、デスラーから名誉挽回の機会を授けられた。シュバリエルは試作魚雷(デスラー魚雷)を搭載して作戦を実行。ガス生命体がヤマトを片づける一部始終を撮るのみだったが、そのガス生命体が恒星に引き込まれて消失。
そこから最後の突撃を開始する。恒星表面を、フレアの間を縫う様にして突き進むヤマトを追撃し砲撃を加えたが、巨大なフレアを波動砲で穴を空けて脱出を図るヤマトを追い続けようとして失敗。艦尾が耐熱限界点を超えて融解を初めてしまい、操舵不能となってしまったのである。その直後、吹き上がるフレアに巻かれて融解、轟沈してしまった。
オリジナルとは違い、艦隊による特攻戦による撃沈ではなくなったものの、単艦ながらも一矢報いんとして一歩及ばずの所で散ったシュルツらの姿は、オリジナルとはまた違った印象を視聴者に植え付けたと言える。
漫画版
漫画版でも辿る道は変わらないものの、グリーゼでの展開は微妙に内容を増している。作戦開始直前までは、付近の彗星の中に身を潜めて隠れていた。作戦実行後にガス生命体を消滅させられた後は、シュバリエルは単艦でヤマトの追撃を開始。恒星上でヤマトを砲撃で沈めようとする最中、恒星の強烈な熱波等の影響で、射撃が思うようにいかないといった理由付けがされている。
また最後のフレアを薙ぎ払ったヤマトの後を直ぐに追い、空洞化したフレアを突破寸前の所で空洞が元に戻ってしまい、艦尾が丸ごと溶け落ちてしまった。これにより行動不能になってしまったシュバリエルは恒星に引き込まれていき、姿勢御スラスターを使って脱出を試みるも間に合わず、最終的に轟沈してしまった。
小説版
小説版ではデスラー魚雷を発射した後は直ぐにワープし、ヤマトが出てくるであろうポイントまで先回りした。しかし、強引にプラズマフィラメントの中を突破したため、ヤマトの先回りをした頃には艦体が酷く損傷して戦闘不能になっていた。
沖田からの降伏勧告を受諾せず『馬鹿め』と返信した後、そのまま特攻しようとしてロケットアンカーを撃ち込まれて失敗。そのままオーバーロードして轟沈してしまう。この正面からの特攻及び、アンカーによる激突回避の下りは、オリジナルの特攻戦を基準としている。
ゲルガメッシュ
ゲルガメッシュはゲールの座乗艦で、白、深緑、緑の迷彩柄(ダズル迷彩)の戦艦である。次元断層を突破してきたヤマトを相手に初の戦闘を交えた。その際に友軍艦EX178を撃沈し、その勢いに乗って攻勢に出た。が、次元断層が元に戻ろうとする際の強力な引力が襲い、本艦を除いて12隻(漫画版において)の殆どが全滅した。
その後、バラン星の観艦式に姿を見せる。が、この時はゲール自身がヘルム・ゼーリックのゼルグートⅡ世に乗り移っていた。バラン星崩壊時にあわや巻き添えを食らったと思われたものの、無事に離脱していた。
デスラー政権崩壊後、デスラーのみを信じるゲールに付き従って招集命令を無視して、帰還する主力艦隊から離脱。その後は無事にデスラーと合流した。合流後はヤマトを亜空間ゲートに追い込む為にバラン星にて待ち伏せして指揮を執る。
帰還を急ぐヤマトを追い立てるように攻撃したが、そこで次元潜航艦UX-01が登場し邪魔をされてしまう。唖然とするゲールだったが、沈めてしまおうと目標を切り替える。しかし、一時は多少なりのダメージを与えたようだが、せっかくのチャンスを逃して亜空間に逃げ込まれてしまった。
その後、姿を見せない次元潜航艦に罵声を浴びせつつも、2発の亜空間魚雷を発射されてゲルガメッシュの後部付近(機関部と推測される)に命中。爆炎を挙げて大破(轟沈とも捉えられる)、戦闘不能となってしまった。
タラン艦(艦名不明)
ガデル・タランが乗っていたガイデロール級。塗装は通常カラーの緑色で、艦名は不明。解放運動に出回っていたガル・ディッツの帰還を出迎えるべく、タラン自身が乗り込んでいた。
因みにPS2版『イスカンダルの追憶』では、タラン専用の艦(オリジナルで言うシュルツ艦と同型)『カンプルード』が登場しており、砲火力と魚雷、さらに対空射撃も備えた優秀な戦艦として、プレイヤーから重宝された。
2202
第15話~第17話にてデスラー艦隊の構成艦として10隻前後登場。親衛隊仕様の青塗装となっている。
第24話ではバレル艦隊に所属する艦が登場し、ヤマトが都市帝国に突入する間の地球の防衛を担った。
2205
デスラー艦隊に3隻ほど確認できる(シーンによって数が不統一なので詳細は不明)。塗装はいずれも通常カラーである緑。
ガミラス星崩壊後に暴走を始めたイスカンダル星を追跡するも、その途中で襲撃してきたデザリアム艦隊の砲撃で1隻が轟沈。なんとかイスカンダル星に追いつくも、惑星上でのデザリアム軍との戦闘でさらに1隻が主砲塔を喪失するなど中破した状態で海に不時着水。その直後に2隻が海上にいるのが確認できるが、1隻は沈没寸前で完全に戦闘能力を失っている。その後、宇宙空間から放たれた敵の弾幕でデストリア級とともにまたもや1隻轟沈。
おそらくこの時点で無傷のガイデロール級はもう残っていないと思われる(後述する護衛艦がデスラー艦隊に合流していたとすれば別だが)。
移民船団の護衛艦としても登場する。ガミラス星へと帰還途中のデスラー艦隊とすれ違った第28移民船団の護衛艦は、デスラー艦隊に「ガーレデスラー」と発光信号を送った。
ガミラス星で待機していた船団にも姿が見えるが、一部はデザリアム・ハンマーによって轟沈してしまう。他の艦はガミラス星崩壊時にどうなったか、生き残ったとしてその後どうしたかは不明。
余談
旧作のシュルツ艦は艦首が灰色となっていたため、模型などでそのカラーリングを再現する人もいる。