2等ガミラス人
にとうがみらすじん
初代の『宇宙戦艦ヤマト』において、ガミラス人である筈のシュルツやガンツら冥王星前線基地の面々の肌の色が地球人と同じ肌色であるという矛盾があった(シュルツ達が死亡退場した後に肌の色の設定を変更したため)。劇場総集編になった際も、デスラーとヒスは青い肌に描き直されたが、シュルツ達は登場カットが多いせいかそのままだった。後年のPlayStation版『遥かなる星イスカンダル』やワンダースワン版『宇宙戦艦ヤマト』といったゲーム作品では、ガミラス人同様の青い肌に変更されている。
しかし、リメイク作品である「宇宙戦艦ヤマト2199」では、その矛盾した設定を逆用して、ガミラス帝国により支配・併合された惑星の住民(所謂、二等臣民)とすることによって、原作の矛盾を見事に解消した。
上記した通り、二等臣民とはガミラスによって併合または支配された惑星の住人達に与えられる身分制度のことである。なお、この制度を受け入れられるのは、ガミラスに服従した国家のみで、拒絶した場合は殲滅している。
またアニメでは語られなかったが、二等臣民としての制度を受けると同時に、その惑星には星を渡る為の機関技術『波動エンジン』の技術供与を行ったり、その他許される範囲での恩恵や繁栄を与えている、と小説版では解説されている。
基本的には母星で暮らしているようだが、ガミラス本星に居住している二等臣民もいる。居住環境への適応手段などについては今のところ明言されていないが、リメイクシリーズの場合、登場している各民族の生活環境に極端な差異は無いので、そこまで大きな問題ではないのだろう。
続編の『宇宙戦艦ヤマト2202』第15話での過去シーンによると、作中時代と同じ制度かは不明だが、アベルト・デスラー政権樹立前から二等ガミラス人は存在した模様(一応『2199』の時点でもザルツは併合されて久しいという設定はあった)。
限界点
当初こそ、この制度は成果を上げていたものの、やはり純血ガミラス人との差別化(与えうる技術供与等や権利の限界)が大きくなった結果、二等臣民たちの不満が燻り始めてしまったとされる。これに対して、宣伝情報相のミーゼラ・セレステラは、『ガミラスは一つである』という演説や宣伝を行い、統一しようと対策を練った。
また、これを受けたガミラス上層部は、二等臣民であっても一定の業績を残すことによって一等ガミラス臣民にも昇格できる、という制度も導入することでより統一感を高めようとした。これらは小説版にて説明されている。
デスラー政権が崩壊した後に樹立した暫定民主政権は、他惑星との融和政策を推し進める方針になったが、維持すらままならないほど広げ過ぎた版図に加え、デスラー政権時代の圧政への恨みつらみからここぞとばかりに反抗する者も多いため順調とは言い難く、抱えきれない惑星のいくつかは同盟国となった地球連邦に住民ごと割譲している(この住民たちが地球連邦においてどういう立ち位置になっているかは不明)。
また、融和政策へと舵は切ったものの、二等臣民制度自体は『宇宙戦艦ヤマト2205』時代でもまだ残っている模様。
2199版にて登場する二等ガミラス人は、確認できるものでザルツ人、オルタリア人、ジレル人の3種類である(ただし、ジレル人は後述するが少し特殊)。
なお、ヘルム・ゼーリックが侍らせていた女性に、黄緑の肌をした異星の女性がいるが、これは設定資料集によるとガトランティスの女性兵士の捕虜であるため、二等ガミラス人ではない。
ザルツ人
『2199』で最も多く登場するのが惑星ザルツの住民である。肌の色を含めて地球人と酷似しており、パッと見では同じ地球人だと勘違いされてもおかしくは無い。また、戦線に多く投入されている模様である。まず太陽系に派遣された、空間機甲旅団長のヴァルケ・シュルツ大佐を筆頭にした、副官ゲルフ・ガンツ少佐、ヴォル・ヤレトラー少佐、基地司令のサレルヤ・ラーレタ少佐がいる。
また、メルトリア級航宙巡洋戦艦「EX178」の艦長だったヴァルス・ラング中佐、第442特務小隊のゲルト・ベルガー少尉、バルシュ・メック曹長、ベリス・ライチェ軍曹、ノラン・オシェット伍長らもいる。
こういったように、戦線に登用される多くはザルツ人であった。何故多用されるのかは触れられてはいないが、彼らの忠義心や軍人としての能力の高さがあるからかもしれない。事実、第442特務小隊などは全滅してしまったものの、それまでの苛烈な戦場では数々の武勲を挙げていた程だ。
小説版の描写だとガミラスの侵攻に対して当初は抵抗したらしく、その際のザルツ軍の優秀さを評価し、ザルツの降伏後にザルツ軍を丸ごとガミラス軍へ編入したとされている。また、ザルツ人に限らないが二等臣民は士官学校に入るのも難しく、若いうちは良くて少尉までが限界で、中尉以上に上がるには長く戦場で活躍して功績を多く積み重ねる必要があるらしい。
主な人物
ヴァルケ・シュルツ - 大佐。冥王星基地司令。空間機甲旅団・旅団長。
ゲルフ・ガンツ - 少佐。冥王星基地副司令。
ヴォル・ヤレトラー - 少佐。冥王星基地作戦参謀。
サレルヤ・ラーレタ - 少佐。木星浮遊大陸基地司令。
ヒルデ・シュルツ - 民間人。
ゲルト・ベルガー - 少尉。B特殊戦群・第442特殊小隊・隊長。
バルシュ・メック - 曹長。B特殊戦群・第442特殊小隊・隊員。
ベリス・ライチェ - 軍曹。B特殊戦群・第442特殊小隊・隊員。
ノラン・オシェット - 伍長。B特殊戦群・第442特殊小隊・隊員。
ヤーブ・スケルジ(※) - 一等機関兵曹。次元潜航艦UX-01機関士。
バルナ・スケルジ - 民間人。
オッド・スケルジ - 民間人。
リーザ・スケルジ - 民間人。
レーザ・スケルジ - 民間人。
※正確にはザルツ人ではないのだが、表向きはザルツ人という扱いになっている。
オルタリア人
ノルド大管区に位置する属州惑星の一つ。濃いオレンジ色の肌をしており、さらに独特の民族衣装を纏っている。顔にボディペイントをしている者が多いのも特徴。文化レベルは高いが、軍事力や科学力はガミラスに劣る。
表向きはオルタリア人による政権があり、自治権を認められているが、実態はガミラス本国から派遣された総督によって統治され、一等ガミラス人の入植者が大勢いる植民地。
やがてガミラスの支配体制に、民衆が不満を爆発させた結果、ガミラス総督府を包囲してしまった。そこまでは良かったものの、ハイドム・ギムレー率いる親衛隊は、移民していた一等ガミラス人諸共、オルタリア人(蜂起に加担しなかった者も含む)を虐殺するという暴挙を行った。
その行為は苛烈を極めており、惑星間弾道ミサイルを10発近く撃ち込み、さらにはポルメリア級による艦砲射撃、艦載機部隊による空爆や直接射撃と、ありとあらゆる殺戮をほしいままにした。鎮圧というレベルを超えた殲滅である。
母星は壊滅したが、これ以前に反体制派として捕縛されて惑星レプタポーダの収容所に収監された者達もおり、民族としてはまだ辛うじて滅びていない。
因みに、劇場版『星巡る方舟』のストーリー案の1つには、オルタリア人の生き残りがヤマトに保護を求めてくるというものも存在していた。
ジレル人
古代アケーリアス人の直系の末裔とされる民族で、薄い灰色の肌とエルフ耳を持ち、手足には特殊な模様が刻まれている。特筆すべき特徴として他人の思考を読んだり、他人の意識に潜り込んだりできる特異な能力(簡単に言えばテレパス能力)を備えている。ただ、その能力を忌み嫌う他民族が多かったらしく、弾圧行為が頻繁だったと考えられ、劇中時代では既に母星が滅亡しており、極めて希少な存在となっている。
厳密には民族単位で二等臣民になったわけではなく、故郷が滅びた後に生き残り2名がアベルト・デスラーに救われる形でガミラスに帰順したという経緯であり、二等臣民という扱いになっていたかは不明(言ってみればデスラーの子飼いのようなものであり、特に片方は政府高官の地位にある)。
かつて、ジレルの生き残りであるミーゼラ・セレステラとミレーネル・リンケの2人は、「ガミラス人ではない」という理由だけで監獄惑星レプタポーダに投獄されていた(二等臣民ですらなかった)が、若き頃のデスラーによって救出され、そのままガミラスに帰順する。しかし、リンケはヤマトの情報収集中に意識を消滅させられて死亡してしまい、残ったセレステラも後にデスラーの誤射を受けて死亡。これにより、ジレル人は完全に滅亡してしまった……と考えられていたが、その後、『星巡る方舟』にて、聖地:惑星シャンブロウに巡礼していたことが幸いして生き延びていたジレル人が大勢おり、滅亡していなかったことが判明した。