概要
ブリタニア人でない者を名目上ブリタニア人として扱う、一種の人種差別制度。
エリア出身者など生粋のブリタニア人でない者は、神聖ブリタニア帝国の支配地域では様々な制約を課されるため、不便な生活を強いられてしまう。
しかし、名誉ブリタニア人となることでそれらの制約は緩和あるいは取っ払われ、正規のブリタニア人と同等の生活水準を享受することが可能となり、軍など公職にも就くことができる。
ただし、名誉ブリタニア人はテロやクーデターを防止するため携帯電話や護身用の銃器などを所持することは許されておらず、ナイトメアフレームの操縦者に必要な『騎士』の称号も貰えないなど、制約が全くないわけではない。
また、名誉ブリタニア人となることは祖国を捨て侵略者たる神聖ブリタニア帝国の支配を受け入れたことと同義であり、正規のブリタニア人と出身国の人間双方から『裏切り者』扱いされる恐れがあるなど、非常にやり辛い立場を強いられることがある。
『反逆のルルーシュ』では、神聖ブリタニア帝国の侵略を受け植民地『エリア11』となったかつての日本で『イレヴン』と呼ばれる元日本人の一部に名誉ブリタニア人となった者が居る。
枢木スザクが代表者として該当するが、彼は名誉ブリタニア人でありながらナイトメアフレーム操縦者に抜擢されており、更に皇族の騎士にも選ばれているなど、破格の待遇を受けている。
尤もスザクにはある意味ではブリタニア皇帝よりも強い、強力な後見人が居たからだが(ただしロイドにとっては自分が開発したナイトメアフレームの性能を上げる為の手段に過ぎない)。
なお、同じくイレヴンのシン・ヒュウガ・シャイングは名誉ブリタニア人ではなくブリタニア人の国籍を得ているが、彼の場合はエリア11成立前にユーロ・ブリタニアの名門貴族であるシャイング家の養子にして息女アリスと婚約し、将来的には名門貴族の当主が内定していた。これはシン本人の実力もさることながら彼を推挙したナイトオブラウンズの一人で『四大騎士団』総帥で保護者だったミケーレ・マンフレディの計らいというスザク以上に稀なケースである。
本国貴族ではジヴォン家に仕えるトト・トンプソンが名誉ブリタニア人ではあるが、下級ながら経済界に影響力を持ち、暗殺で皇族に仕えたジヴォン家のメイドという特例でブリタニア人と同等の待遇を得ている。
これらから、ナンバーズや名誉ブリタニア人も場合によっては法律上はブリタニア人と扱われる例外ケースになっている。
余談及び考察
彼らの志願理由はスザクのような高い理想を除けば家族や自身の生活という基本的且つ凡俗な最も分かりやすい動機が大半であり、黒の騎士団も所詮は素人集団なので『魂』や『誇り』以外に否定する方便を持っておらず、口を開けば『裏切り者』や『売国奴』しか言わない。
当然、志願した彼らにしてみれば無理ないと思う一方で理不尽極まりない気持ちもあるかも知れない。何故ならば、『民族の誇りや魂、イデオロギーなどで自分達の貧困は解決しないのだから。』コレばかりは現役軍人の組織である日本解放戦線や支援者のキョウトでも明確に否定し、彼らを納得させるだけの言葉など持ち合わせておらず、スザク一人取っても『首相の息子』しか言い訳にしていない。
もしも、
『民族の誇りや魂で自分達の貧困が解決するというのなら、どうすれば良いのか具体的に教えてくれ。そして、解決した人に会わせるなり、証拠を見せてくれ。』
などと言われたらその瞬間、黒の騎士団に限らず、全ての反ブリタニア勢力は戦わないで全ての名誉ブリタニア人に敗北したことになる。なぜなら、『そんな物キョウトや日本解放戦線だって持っているわけないし、そもそもイデオロギーや魂、誇りで貧困から救われた人間など、歴史上いるわけ無いのだから』。
かといって、ここで質問した名誉ブリタニア人を殺せばそれは不見識を否定するどころか逆に力ずくでしか否定できず、力で全てを押し通すブリタニアと同類である証明。かといって沈黙すれば不見識に反論する言葉を持っておらず、コレもまた彼らのイデオロギーを崩壊させる。
極論すれば、正解も不正解も答えられない意地の悪い質問ではある。
作中ではこうした事例は発生しなかったが、名誉ブリタニア人達はある意味で最も過酷な現実の渦中にいる一方でナンバーズの中では最も自分達の現実を正確に捉えているのかも知れない。たとえ、負け犬や奴隷とそしられても。
コレに対する反論はたとえゼロであっても名誉ブリタニア人達を論破するのは至難の業となっただろう。かといって、『自分だけが恵まれていれば良いのか?』と問い返しても、『だから一緒に不幸になれというのか?』と逆に切り替えされれば『いつか独立できる』、『それはいつだ?』という水掛け論になってしまう。
結局のところ、今日を生きるのもやっとな貧困層にとってはイデオロギーなどは二の次ということなのかもしれない。
関連項目
コードギアス反逆のルルーシュ 神聖ブリタニア帝国 枢木スザク
名誉白人:現実に存在した元ネタ的存在。