概要
ユーロ・ブリタニアは、神聖ブリタニア帝国に臣従する、その傍流の国家で、市民革命によりブリタニアに亡命した貴族の末裔。E.U.の主要な敵であり、劇中の時点で彼らと交戦状態にある。シリーズ後半、(ブリタニア本国の介入によって)E.U.の戦力の大部分を撃破したと思われ、第2期のE.U.崩壊までにその領土の大半を席巻している。
地理
神聖ブリタニア帝国の西ヨーロッパ干渉の成功に先立ち、ユーロ・ブリタニアはロシア本土とコーカサス諸国に布陣している。E.U.の崩壊後、フランス、オランダ、ベルギー、ポルトガル、スペイン、スイスがこのサブ帝国の一部になったと思われる。神聖ブリタニア帝国と同様、ユーロ・ブリタニアはその名前にもかかわらずブリテン諸島を掌握してはいない。しかし、神聖ブリタニア帝国と異なり、ユーロ・ブリタニアは、ブリタニア本国がその征服した領土に強制しているようなエリアやナンバーズ制度を布いていないように見える。
知られているユーロ・ブリタニアの領土は以下の通り。
四大騎士団の壊滅に伴う戦力低下によって第二次トウキョウ決戦までに、ユーロ・ブリタニアはロシア以外の領土を失ったように見える。上記の中には超合集国建国後もブリタニア領土となっている国はあるが、それらはE.U.に奪還されるか統治権を本国に奪われた可能性がある。
歴史
18世紀、ヨーロッパの老朽化した君主制システムに対する不満が爆発した。革命に必要なのは火花だけだった。フランス人民と政府の決裂後、その火花が現実のものになった。フランス革命は大陸を一掃し、ヨーロッパの主要な列強を革命が駆け抜け、ついにはブリタニアさえ脅かした。トラファルガーの敗北はブリテン諸島を初期のE.U.の構造に組み込み、ブリタニア政府を新世界へ追いやった。革命の迫害を逃れたヨーロッパの貴族層がそこに合流した。
ブリタニアの一員となった貴族たちの末裔が、現在のユーロ・ブリタニアの支配階層になっている。以前の故郷を奪還すべく、祖先の地を取り戻すという大義名分を掲げ、E.U.と敵対している。ユーロ・ブリタニアはE.U.が革命の「亡霊」であり、その支配者たちは保身にのみ関心を持ち、その民は自ら権力から遠ざかることを望んでいるも同然と考え、そのことによって戦争を正当化している。ユーロ・ブリタニアは恐らく、世界大戦が拡大する前半期、神聖ブリタニア帝国のロシア征服後に成立している。以後、ユーロ・ブリタニアはE.U.との交戦状態にあり、ヨーロッパ方面の敵に対する神聖ブリタニア帝国の東部戦線の役割を演じている。
皇暦2017年、シャルル・ジ・ブリタニアはジュリアス・キングスレイと枢木スザクをユーロ・ブリタニアの指揮を執るべく派遣する。ジュリアスの指揮の下、大公は幽閉され、E.U.市民を暴動に駆り立て、その地域に混乱を引き起こすことでユーロ・ブリタニア軍の大規模反攻の機会を作り出すべく、「方舟の船団」を含むプロパガンダ作戦が行われた。
戦略的成功にもかかわらず、ジュリアスがユーロ・ブリタニアの指揮官たちから事実上の指導者とみなされたことが、後で彼らの間に諍いを引き起こすことになる。最終的に、シン・ヒュウガ・シャイングはジュリアスの正体が悪名高い黒の騎士団のゼロであると見抜き、ジュリアスの身柄を守ろうとするスザクの努力も空しく、ジュリアスとスザクを拘禁する。シンは後にこの暴露を、大公の執政権と大貴族会議の全権を移譲するよう、大貴族会議を説き伏せるため利用する。これらの事件は、シン・ヒュウガ・シャイングのクーデターの試みと、神聖ブリタニア帝国に対する反乱の計画が発覚した時点で、本国の介入を許すことになった。
のちに本国の介入に伴う侵攻の際、いくつかのユーロ・ブリタニア戦力が神聖ブリタニア帝国に対し反乱を起こしている(『白の騎士 紅の夜叉』)。
ゼロレクイエム後は黒の騎士団及び超合集国と何らかの形で対立があった模様だが、『聖ラファエル騎士団』総帥のアンドレア・ファルネーゼが代表となって講和が成立している。
政府
神聖ブリタニア帝国の一部として、ユーロ・ブリタニア政府はブリタニア本国、ブリタニアに支配されるエリアで見られるものと同一の構造を有しているが、はるかに大きな自立性を有している。この貴族連合の宗主には「大公」が置かれ、劇中の時点ではオーガスタ・ヘンリ・ハイランドがその役目に就いている。母国から追われたヨーロッパ貴族の末裔である名家から成立する「大貴族会議(House of Lord)」に大公は輔弼される。大公はサンクトペテルブルク郊外にあるエカテリーナ宮殿に居住している。
帝国の冊封国家として、ユーロ・ブリタニア政府は、ブリタニアのエリアにおける総督政府よりもはるかに大きな自治権を恣にし、中央ブリタニア政府の妨害なしに自身の政策を執行することを可能にしている。大公の立場は事実上皇帝にも等しく、より大きな権威を有するのは、全ブリタニアと植民地の支配者であるブリタニア皇帝ただ一人である。
最終的にはE.U.を制圧した後には三極の一つに取って代わるという最終目的がある事からも大公は自分達を「ユーロ・ブリタニア帝国」と称している。
軍事
ユーロ・ブリタニアの軍事は、神聖ブリタニア帝国軍の延長で、またサブ帝国に忠実な別個の軍でもある。したがって、その軍事は本国のブリタニア軍とほとんど同一で、本国と同じ兵器、設備、技術を用いている。彼らの軍の徽章さえ、ユーロ・ブリタニアの旗に見られる鎖の意匠を付け足した、ブリタニア本国の軍のクレストと同一のものである。
第一線の主流のナイトメアフレームにはRPI-13サザーランドが見受けられ、色の配列や徽章を除けば本国の部隊とほとんど同一である。しかしながら、ユーロ・ブリタニアはサザーランドのドローン・ユニットを多く有しており、パイロットの必要なしに遠隔操作されている。サブ帝国は、騎士のような装甲とマークを施された、RPI-209グロースター・ソードマン・モデルも戦列に加えている。これらのユニットは、四大騎士団とそのエース・パイロットたちのため準備されたように思われる。ユーロ・ブリタニアの実際の軍事的な手腕は、E.U.軍をシリーズの大半で退却に追い込んでいることから相当に強力であると思われ、最終的にはブリタニア本国の補助・介入でE.U.軍を撃破している。
また、皇族の管理下にない上にナイトオブラウンズと同格の実力と権限を誇る四大騎士団各総帥に加え、単純な軍事力の面でも本国に匹敵しているため、本国から警戒されている。
ユーロ・ブリタニアの騎士団
加えて、ユーロ・ブリタニアは四大騎士団の指揮権を持っている。これら騎士団はユーロ・ブリタニアの剣と盾の両方の役割を果たしており、彼らの第一の任務は帝国をあらゆる脅威から防衛することにある。それぞれの騎士団が選り抜きの騎士から構成され、戦闘中は三剣豪や三銃士、そして特別なナイトメアフレームを駆る総帥に指揮される。総帥たちはユーロ・ブリタニア政府内に大きな政治的影響力を持ち、それは最終的決定が下される前に貴族たちが騎士団たちの政治的立場を窺うことに現れている。
旗
ユーロ・ブリタニアの旗は神聖ブリタニア帝国の国旗に極めて似通っており、イングランドの旗にユニオン・ジャックを組み合わせて変形させたもので、主な違いは中心のコート・オブ・アームズ(紋章)にある。コート・オブ・アームズには、(ブリタニア帝国のものに見られるような)「死と再生」を表す蛇が描かれている。
架空の旗とコート・オブ・アームズとして、紋章学のルールからはいくつか外れた点がある。マントを構成する緑の葉はいずれも原色(colours)で、ティンクチャー(彩色)の法則に違反している。アチーヴメントに用いられている剣は、その柄がフィールド(楯の表面)の外側に、刃がその上にあって、それがクレスト(兜飾り)やチャージ(具象図形)の例外的な装飾なのか、芸術的表現なのか判別がつかない形にしている。最後に、ブリタニアのそれと同様、ユーロ・ブリタニアのコート・オブ・アームズは、二つのペナントがサポーターの役目を果たしており、極めて例外的な形になっている。
ユーロ・ブリタニアのコート・オブ・アームズのブレイゾン(紋章記述)の、もっとも近い試みは以下の通り。「十字の線で分割された(per)青と赤(真紅)、金のボーデュア(楯の縁取り)、チーフ(楯の上部)から発し、金の柄を持つ杭状の自然色の剣、ソールタイア(X字)を描く二つの金の鎖、剣と鎖に巻きついた自然色の蛇。赤の細帯がある銀のペナントに捧げ持たれた緑のマント」。
トリビア
同じ陣営にありながら、本国とユーロ・ブリタニアは相互に不信感を抱いていることが示されている。ユーロ・ブリタニアの大貴族会議と騎士団は、ジュリアス・キングスレイへの指揮権の譲渡に憤慨するが、彼の逮捕の後、ブリタニアが統制を強めることを恐れ、彼らはシン・ヒュウガ・シャイングに対し、傍流の帝国におけるすべての指揮権を認めている。また『双貌のオズ』におけるグリンダ騎士団の最初の任務は、サンクトペテルブルクに展開するE.U.侵攻部隊との合流だった。実際には、ユーロ・ブリタニアに対する監視を行うよう、マリーベル・メル・ブリタニアにはシュナイゼル・エル・ブリタニアから極秘任務が与えられていた。