「仮面を使いこなせない人間に、勝利はない」
プロフィール
※井上氏死去に伴う後任。なお、後発の『ロストストーリーズ』は開発自体は早かったためか、井上氏による新規収録されたボイスが収録されている。ただし2022年11月のアップデート以降に追加される新規ボイスは山寺氏が担当している。
概要
神聖ブリタニア帝国の第2皇子にして帝国宰相。
ルルーシュの腹違いの兄で、彼が幼少期チェスで唯一勝てなかった相手であり、彼以上の政治的・軍事的策略と決断力を兼ね備える。その辣腕から、長男を差し置いて次期ブリタニア皇帝の筆頭として扱われている。また、兵器開発に力を入れており、特別派遣嚮導技術部を始め、複数の研究機関を直轄している。
人物像
穏やかな笑みを絶やさない紳士的な人物。
親族はもちろん部下に対しても人当たりがよく、変わり者のロイド博士やナンバーズの枢木スザクに対しても常に礼節を持って振る舞う好漢。臣下からの信頼も厚い。
その一方で戦いにおいては目的のためであれば時として犠牲を厭わず、非情な策略も辞さない苛烈さを見せる。かと思えば戦闘を避けて威嚇だけで勢力を伸ばす政治的な策を取る事もあるなど、ルールや立場に囚われない柔軟な発想を持つ。
彼の思考は徹底した合理主義に基づいており、普段の紳士的な振る舞いもあくまで外面的なものに過ぎない。彼からすればあくまで「仮面を使い分ける」ことで最適な対応をしているだけに過ぎず、他人に対して親愛や情と言った感情は一切持ちえない。
戦いにおいても目的を果たすことが第一であり、それが前述の苛烈な策略と狡猾で柔軟な政治戦術に結びついている。味方はおろか自分自身の命にさえ執着していないため、目的のためとなれば血を分けた親族ですら駒として扱う冷徹な本性を持つ。
こうした思想の背景には、欲望や執着心を持たない虚無的な性格が起因している。
生まれつき頭脳もずば抜けており、生まれも恵まれていたシュナイゼルは「なにかを欲する」ということも「欲におぼれる」ということもないまま育った。ゆえにシュナイゼルは自分がしたいことではなく「周囲の者が望むのならば」という考えで物事を進めるようになった。
そして一方で、自分が持たない強い情動や熱意を持つ者達へのあこがれがあり、彼らのそばにいれば自分もその熱を感じられるのではないかというのが唯一の願いとなっている。
ほとんどの人間は表の穏やかさにかどわかされてしまうが、一部の親しい人間からは「心が無い」とその本質を勘付かれている。後に側近となったディートハルトからは「混沌」の体現とされるゼロとは対照的に「虚無」と評された。
ゼロに見切りをつけて自身に乗り換えたディートハルトをどう見てたか、TV版・劇場版共に分からない。
そして漫画『コードギアス 反逆のルルーシュ Re;』では、シュナイゼル目線で「強い熱を持つ者へのあこがれ」という彼の本心が語られつつ、強い意志を持つ者達への彼なりの評価が明かされた。
シリーズを通して“ルルーシュ最大の敵”として登場しており、幾度となくルルーシュの野望の前に立ちはだかり、辛酸を舐めさせてきた。特に頭脳戦・騙し合いにおいては、ルルーシュのその上を行く柔軟さと周到さを見せており、父・シャルルを差し置いて実質的なラスボスとしての役割も果たしている。
ルルーシュを好敵手と見ているらしく、黒の騎士団相手に「私が最も愛し、恐れた男です」と評した。
双貌のオズO2においては、マリーベルは過大な力を有していると危惧するカノンに、幼き頃のルルーシュについて言及。
クロヴィスに泣き付かれて何度かチェスの代打ちをしたけど勝負事になると混沌とした炎が垣間見えて面白かった、自分にないものを持つルルーシュが愛おしくてたまらなかったと話し、同じ炎をシャルルに反逆した幼き頃のマリーベルからも一度見た、「また あの時の様なチェスがしたいものだ」と語っている。
『コードギアスGenesic_Re;CODE』での解説
(以下『ギアジェネ』)
キャラプロフィールより抜粋
- プロフィール4
紳士的な振る舞いには、常に冷静な判断を行うことができるシュナイゼルの内面が隠されている。冷静な判断の裏には、自身や親族の命をも駒とすることを厭わない冷酷な一面を孕んでいる。彼の本質は他人の望みを体現し続けるというものであり、欲望や執着を抱くことはない。
- プロフィール5
彼には自身にない情動への憧れがあり、人が抱く夢や希望などの強い感情に惹かれる。そうした思いを代弁することで、彼は沸き立つものがない自身の中にも熱い感情があるという錯覚を得ようとしている。ゆえに情動を隠すことがない異腹の妹コーネリアへは、特別な眼差しを向ける。
上記プロフィールの、好き/苦手は『ギアジェネ』で公開されたものである。
(「もしプロフィールなどにどこかで出ていた情報と齟齬があった場合、『ギアジェネ』で出ている情報のほうが正しいと考えていただいて大丈夫です。と関係者が述べ、コードギアスシリーズ企画プロデューサー及び、コミカライズ(「反逆のルルーシュ Re;」、「復活のルルーシュ」等)のシナリオを手掛けている谷口廣次朗氏も上記の発言に続いて、過去に誤った情報が広まってしまったことがあったのですが、この機会に、谷口監督や大河内さんと話し合った上で、公式設定をしっかり固めています。ファンの皆さんの中で親しまれている設定を否定するわけではないのですが、「キャラクターのことを考えるとこうなる」というものを原作者の立場として改めて示している形です」と、インタビューにて明言されている)。
活躍
反逆のルルーシュ
前期OPで大物感と存在感を放ち、初期から名や姿は出ていたが、第18話から本格的に登場。枢木スザクに対してゼロの足止めを命じ、諸共にミサイルおよびハドロン砲で殺そうとした。
結局スザクにギアスが掛けられた事でその場から逃走したため、仕留められなかったものの、形式上一度捕縛しただけでスザクに罰は与えていない。
またゼロにガウェインを強奪されたが、「所詮は実験機、それより二人(ユーフェミア、スザク)の無事を祝おう」と気にしなかった。
その後、ユーフェミアが発案した「行政特区日本」に賛同。
これでエリア11のテロ組織は民衆の支持を失い、治安は安定すると目論んだが予想外の形で崩壊する事になる。
反逆のルルーシュR2
ブラックリベリオン後、ニーナの才を見抜き直轄する研究機関「インヴォーグ」チーフに抜擢。後にフレイヤを手に入れる。
第9話から本格登場。
予てから中華連邦に対して持ちかけていた、第一皇子オデュッセウスと天子の婚姻を実行に移そうとしたが、黎星刻ら反大宦官派と黒の騎士団の介入により、当初は静観していたが大宦官からの要請により同盟国になる国際的観点から大宦官に加勢する。が、ゼロの策略で大宦官が民衆の支持を失くすとこれ以上は無意味と判断して撤退する。
立場もあってゼロ=ルルーシュという仮説に行き着いていた彼は、スザクを尾行させる事でその証拠を掴み、黒の騎士団にゼロの素性とギアスについての情報を開示、巧みな話術によりゼロの追放を決意させた。ところが黒の騎士団によるルルーシュへの銃撃をロロが庇い逃走され、カノンがアーニャに追わせるも見失ってしまう。
その後にスザクから皇帝になることを求められた彼は、戦争を俗事と言い、この世界に興味がないシャルルに王たる資格はないと自身が皇帝になると決断した。スザクの望み通りシャルル暗殺を命じたが、ビスマルクからシャルルがルルーシュによって殺されたと報告を受けてカンボジアへ。
ルルーシュの皇帝即位後に帝都ペンドラゴンにフレイヤを投下、ルルーシュにナナリーを皇帝に推薦すると宣戦布告。ペンドラゴンの人々の安否を尋ねたナナリーに、あらかじめ避難誘導は済ませたと説明。その言葉に不信感を抱いたコーネリアに真偽を問いただされ、全世界をフレイヤの射程圏内に置き、人々を躾けることで平和という幻想を現実にする計画を明かした。計画を容認できず刀を向けたコーネリアを仕掛けていた銃で撃ち放逐。恒久的な世界平和の妨げとなるルルーシュを討つための戦力として、黒の騎士団と、記憶を戻すとアーニャを活用する。
だが、ルルーシュたちにフレイヤを無効化されてダモクレス内部へ突入されてしまい、ダモクレスをフレイヤでルルーシュごと消し去る最後の策へ移行。ナナリーを見捨て、(長年の友人でもあるカノンはその判断に驚愕。新参者のディートハルトは当然のことだと同意)カノン、ディートハルトと共に脱出艇へ。
されどその保守的すぎる人格故のその思考の裏を突かれ、「シュナイゼルの思考を完全に読んだ上で制作した録画映像との問答で時間稼ぎをしている間に侵入する」という相当な賭けとも言える作戦でその場を本物のルルーシュ本人に制圧されて敗北。
「ゼロに仕えよ」というギアスをかけられゼロの配下にされてしまうという結末を迎えてしまった。
ゼロレクイエム後は、ギアスの効力によりゼロに付き従っている。
双貌のオズ
グリンダ騎士団のパトロンを務めており、彼の後ろ盾の甲斐もあって、武装・人員共にかなり充実している。
また、反皇帝派のブリタニア人テロリストグループ「タレイラン・チルドレン」による襲撃を予見しているような描写も見られる。
復活のルルーシュ
ゼロの右腕として、超合集国最高評議会首席補佐官を務める。
元々自分に願いがなかったシュナイゼルにとってルルーシュから「ゼロに仕えよ」という指向性を与えられたことは、結果的にやりがいが生まれた様子。
漫画版では、動乱の事態を見越して、ゼロ専用機であるランスロット・アルビオンゼロを製作させていた。
イラストドラマ
側近であるカノン・マルディーニとの過去が語られている。
これによれば、彼とは貴族学校の寄宿舎で同級生であり、当時のシュナイゼルは厳格さと温厚さを併せ持つ優等生であったらしく、監督生として寄宿舎を取り纏めるリーダーとして、恐らく素行不良だったカノンを見せしめに制裁するなど、寄宿舎内の秩序を完璧なものとしている。
『心が無い』と揶揄されたその独特の気質はこの当時から顕著であり、常に『寄宿舎の秩序を完璧なものとするため』という理由の下、温厚さで人望を集めて皆を統率し、カノンのようにそれらを乱す相手にはムチを振るうことも厭わないなど、決して私情で行動することはなかったという。
他作品において
漫画作品
原作アニメと違い、本作では完全なサブキャラ。
黒の騎士団に対しては、脅威には感じつつも、いざとなれば対処出来ない相手ではないと考えている。
それ以上に、父・シャルルが教皇を務めるエデンバイタル教団に対して警戒心を抱いており、彼のもとを訪れたロロ・ヴィ・ブリタニアに対して、不信の目を向けていた。
物語終盤、神聖ブリタニア帝国は聖エデンバイタル教国へ改名。
それを為したシャルルは【絶対皇帝】を名乗り、更なる世界制覇を目指す。
そんな父を「貴方は狂っている」と批難したシュナイゼルは、他のブリタニア皇族と共に捕らえられてしまった。
しかし、父の暴走を予期していたシュナイゼルは元老院に証書を作成させており、従妹のユーフェミアが第99代ブリタニア皇帝に即位する下地を作っている。
小説版
小説版におけるマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアは強烈なまでに「個としての望み」に執着し、それを達成するためならば手段を選ばない冷酷かつ狂的なエゴイストとしての内面を有したキャラクターとして描かれた(ただしこれらの設定はゲーム『ロストストーリーズ』などでは採用されていないため、現在は小説独自のキャラ付けとなっている)。
そのためかシュナイゼルとは真逆の性質を持つ両者の相性は最悪だったようで、マリアンヌから「政治家をやらすより、教会の懺悔室にでも放り込んでおけばいい」と、徹底的に嫌われている。C.C.は、マリアンヌがシュナイゼルを嫌いなように、シュナイゼルもマリアンヌが同じぐらい嫌いだろうと推測している。
余談
- シュナイゼルの誕生日は媒体によって二転三転(4月1日/2月14日)したが、最終的に1月12日に落ち着いた。これで同い年で異母妹なコーネリアのほうが誕生日が早い(1月13日)という矛盾は解消されたが1日違いって、いくらなんでもシャルル……。
- 谷口悟朗監督曰く、シュナイゼルはすべてをある種、将棋の駒というかチェスの駒というかそういう形のところに自分自身を含めて置いてる。担当声優の井上氏には「感情がどっか死んじゃってる人」とは話してたと『皇道』のビジュアルコメンタリーで語られた。
黒の騎士団の叛乱
ゼロの素性とギアスの情報で黒の騎士団を叛乱へ誘導したシュナイゼルだが、この時シュナイゼルはゼロの引き渡しという取引の不履行などを理由に、やろうと思えば『ゼロが組織の乗っ取りを企てた幹部達に裏切られた』とより都合の良い形で脚色して公表、或いは噂を流せばゼロの名声を最大限に利用することで超合集国と黒の騎士団の息の根を止めて勝つことができた。
実際のところシュナイゼルにとっても裏取引という実態は公表することもできないが、ゼロの名声を利用する形で小さな楔を打ち込むだけでも分裂を誘発でき、最小のリスクで勝つことができた。にもかかわらず、あくまでゼロと黒の騎士団の分裂に留めたのは後に追求された『勝とうという意志の欠落』つまりは『執着心の欠如』を示唆している。謂わば、ルルーシュが絶対に勝つために勝負をするをするのに対し、シュナイゼルは絶対に自分が負けないように勝負をするタイプである。中華連邦では大宦官を見限る形で自分自身は負けない形で手を引き、黒の騎士団の叛乱も最小のリスクで自分は絶対に被害を被らない形で勝っていることからもそれが窺える。