概要
ユーロピア共和国の市民へ告げる。我等は世界解放戦線『方舟の船団』だ。愚かしき為政者らの悪政に苦しむ市民達の真の解放を我等は目指す。我々は北海の洋上発電所を爆破した。これがその証拠だ。
愚かしき文明に浸り、堕落という平穏に暮らす者達に神々の審判が下される。もうすぐ、滅びの星がパリを襲う。悔い改めよ!それが、君達が生き延びるためのただ一つの手段だ!
ユーロピア共和国連合に対して北海の洋上発電所爆破とパリへの攻撃予告を行った正体不明のテロ組織。堕落したE.U.の革命政府による悪政に苦しむ市民達の真の解放を謳うが、その実態はE.U.そのものへの反政府活動であり、その対象は軍や市民を問わない。
「滅びの星」と称する高性能爆弾と「ブリタニア」のものによく似た浮遊航空艦で北海の洋上発電所を爆破、パリに大停電を引き起こした後にパリ自体への爆撃を予告する。
実態 作中のネタバレに付き注意
その実態はユーロ・ブリタニアによるE.U.への全軍進撃を目論むジュリアス・キングスレイが作り上げた架空のテロ組織。北海の洋上発電所は爆破されておらず、高性能爆弾も存在しない。
おそらく、ハッキングや工作員を使ってパリへの電力供給を止めたと思われる。同時にグリーンランドで建造させた方舟を敢えて人目にさらして発電所爆破の動画を公開することで、あたかも浮遊航空艦から投下された爆弾によって発電所が爆破されたという状況を演出した。同時にネットを通じてジュネーブ、ベルリン、ロンドンといった大都市でのテロ発生というデマや噂を流してE.U.全土で暴動を誘発することで政府と軍の機能を奪い、全軍を進撃させることが目的。
この目論見は見事に成功し、小説版によれば富裕層は戦時国債で利益を得ていたために一般層や貧困層が不満を募らせていた。それらの不満に加え、ネットを通じて資産家達の新大陸への脱出というデマを信じた市民が暴動を起こしたのである。それによってマルカル家の銀行や工場、クレマン・インダストリーといった財閥が被害を被っている。
これらの事態に際し、ワルシャワに駐屯する東部方面軍の前線部隊はテロを言い訳に無許可撤退をする上にパリの国防四十人委員会は臨時閣議の指示が出ているにも拘わらず、パリを逃げ出す始末であり、政府は市民の支持を完全に失う。テロを言い訳に前線を放棄した上に対策を練るべき政治家達も真っ先に逃げ出すこの腐敗しきった国家体制が招いた争乱は現状を憂うジィーン・スマイラス率いるスマイラス・ユーゲントによるクーデターの好機を与える結果となった。
ユーロ・ブリタニアでは市民を極力巻き込まないように進撃するこの作戦に大公らが異議を唱えるが、皇帝から全権を委ねられたジュリアスの命令によって大公は拘束され、本国との戦争に消極的な大貴族達にそんな気概もないために実権を奪われてしまう。同時にこの巧妙且つ大胆な作戦を見た協力者のシンはジュリアスの正体を見破った。
結末
しかし、この作戦の意図を見破ったレイラ・マルカルによって方舟は強襲を受けることになり、同時に『方舟の船団』という組織がユーロ・ブリタニアの謀略で作られた架空のテロ組織であることを公表、最終的に暴動の沈静化という形で作戦は失敗するが、これには『ハンニバルの亡霊』と呼ばれる『w-ZERO部隊』をおびき寄せる意図も含まれていた。