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満州

まんしゅう

現在の中国東北部(内満州)とロシア連邦の一部(外満州)の伝統的地名、もしくはそこを本拠とする民族の名称。旧字体表記は「満洲」で、「州」にさんずいがつく。
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概要編集

旧漢字表記は「満洲」。

地名としての満州と、満洲人により樹立された帝国・満州国のどちらかを指して使われている。

【歴史的経緯】

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  • 古代満州族人が世襲的君主とされる高句麗の貴族の衣装。(なんとなくその後の満州族の衣装に似ているような気がする。)

 神代中国の時代から存在していると仮定されているが、中華(民族)の世界(中華思想)では北狄異民族(外人とされており『満州族』以前は粛真族(古代)・契丹(五胡十六国~)・女直/女真(明帝国)などと中国人(漢民族)からは渾名を付けられており言葉や特有の神話などの文明世界が異なっていた。

満州族自体は歴代の中国国家の版図に入ったり従属したりする事もあったようだが、国を何度か打ち立てており韓国では高句麗(B.C37-668)や金帝国(1115年 - 1234年)を建国しその統治者(君主・皇帝)になったりするほど強力な存在であった。

モンゴル帝国(1206-34)建国初期のチンギス・ハーンの副官(宰相)耶律楚材(ヤリツソザイ)の家系も満州族系出身だとされる。

唐代の少年

  • 漢族人の貴族の大体同じ衣装。(唐帝国~明帝国)

 しかし、満州族は神代・古代・中世の歴史の文献や様式を伝えるものが残っておらず※1一番有名な満州族の国家清帝国(1636-1911.23)において明らかに漢族とは異なる服装的特徴が残っているが、これも基本的に99%漢族にあわせた満州スタイルとされており、どうゆう文化だったのかを解明する事は不可能に近いのかもしれない。

海東青

  • 満州人の大体衣装。

満州族を名乗る民族は中国以外にも韓国(特に北朝鮮)やモンゴル人(蒙古人)に次いでアジア系諸民族(ツングース族)の影響を及ぼしていたので微妙な立ち位置に存在した。

 

 国の場合は「満州国」を参照。「満州」の範囲は定義が難しく、大抵は現在「中国東北部」(東北三省)と言われている遼寧省・吉林省・黒竜江省と内蒙古自治区の北東部を指すことが多い。満州国の領土がこの範囲であったのもこれによる。

しかし実際にはその北側(外興安嶺山脈以南)および東側(日本海沿岸)の、現在ロシア領になっている地域も、19世紀に戦争で奪われるまでは満州の一部であり、現在も「外満州」と呼ばれることがある(この場合中国領の部分は「内満州」と呼ばれる)。

※1 古代の文明の中には、後世に『なにかを』残す事を忌み嫌うような価値観を持った所あるらしい。




名前の由来編集

「満州」=「満洲」の名前をつけたのは、地元の部族・女真族の長であり、後に清となった王朝・後金の第二代皇帝であった愛新覚羅ホンタイジである。先代のヌルハチと違い、本格的に中国を獲ろうと弱体化した明を攻め立てた彼は、その討伐がかなうように五行思想を用いて一種の縁起担ぎを行った。


五行思想はこの世のものは木・火・土・金・水に分けられるとし、それらが互いに生じ合ったり(五行相生)、互いに牽制し合ったり(五行相剋)すると考えた。その思想は徹底しており、王朝までもその「徳」に属性がつけられていた。ホンタイジは、この五行思想による明朝の「徳」の属性が「火」であったことから、火を剋する「水」を持って来るため、王朝名を、部族名を満洲と改めたのである。特に「満洲」は字がよいばかりでなく、後金の元になった「マンジュ・グルン」(文殊国)と音が通じているのでちょうどよかったわけである(ただし「満洲」の元が「マンジュ・グルン」であるという説には異論もある)。


したがって、「満洲」「マンジュ」とは、本来は地名でなく民族名である。清朝は自分たちの故地を「東三省」と呼んだ。地名として使われるようになったのは、外国で「満洲族の地」→「満洲」として使用されたのを逆輸入して以降のことである。


歴史編集

満洲の地は満洲族の父祖の地であったが、そこに人がいなかった。

しかし一方で漢民族は、「封禁令」を破って侵入を繰り返していた。これは満州族王朝である清朝が現在の中国を支配していたためと言える。


西暦1912年に建国された中華民国は南方の14省のみで、内外満洲、南北モンゴルウイグルチベット、その他の軍閥の地域は中国の外であり、四分五裂の軍閥闘争が繰り返されていたのであって、統一されてはいなかった。


第二次世界大戦後に建国された中華人民共和国政府や台湾を実効支配する中華民国政府は、大日本帝国の傀儡国家であった「満州国」を想起させることから、「満洲」に関わる一切の呼称を忌避している。旧満州国について言及する際は「偽満州国」と称し、民族名を呼称する時も「満洲族」から「満族」と言い換えている。


日本側もそれに配慮して、仮に使用する場合でも「中国東北部(旧満州)」という鉤括弧で併記する表現を行っている。またこの場合、常用漢字に「洲」がないことから、さんずいの旧漢字表記(当時の正式表記)ではなく「満州」が用いられる。


このようなことから、「満州」という表現を使っているだけで特定の思想を持った人間として扱われる雰囲気が一部にある。特にさんずいつきで使用する者に対して、侵略戦争を思い起こさせ、冷たい眼を向ける者も少なくない。


この地名が公的な場でストレートに使われないのは戦争の歴史的理由によるものであり、伝統的地名であることは動かせない。また命名の経緯から言えば、歴史的な表記はさんずいのつく方である。「満州」「満洲」を用いているからといって、みだりにその人物を白眼視することは厳に慎むべきである。逆に「満州」や「満洲」を使用することで、侵略の過去を思い出す人々もいるので、TPOに留意して発言する必要がある。


なお余談であるが、埼玉県坂戸市に本社を持つチェーンの中華料理店「ぎょうざの満洲」は、商号にさんずいの「満洲」を用いている恐らく日本で唯一の会社である。


満州を舞台にした作品編集


関連タグ編集

高句麗  モンゴル帝国


満州国(or満洲国)・南満州鉄道満鉄 満洲

満州族 清朝 辮髪 チャイナドレス/チャイナ服 満州事変満洲事変

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