概要
『コミックDAYS』(講談社)にて2020年4月9日から2021年9月16日まで連載された。次いで『週刊ヤングマガジン』に移籍し、2021年43号(2021年9月18日発売)より連載再開した。
あらすじ
昭和12年、関東軍として満州国に移住してきた日方勇(ひがた いさむ)は察哈爾(チャハル)での軍事演習中、右目を失明する。戦力とならなくなった勇は、前線から強制的に撤退され、満蒙開拓義勇軍への転属となるが、彼の母親がペストに感染してしまう。母親の命を助けるために大金が必要になった勇は、偶然にも陣内が管理している阿片芥子の栽培場を発見し、商売目的で阿片を製造することを決める。その後、勇が精製した阿片を麗華(リーファ)が経営するアジトに持っていく、麗華は勇と共に阿片の製造をすることを決意する。
主な登場人物
日方勇(ひがた いさむ)
本作の主人公。日本人。元関東軍兵士。現在は満蒙開拓義勇軍に所属。体力は無いが植物や化学に詳しく、いつか米作りを行い、家族の誰も食べるのに困らないほどの米を作りだすことを夢見ていた。
察哈爾(チャハル)での軍事作戦中に片目の視力を失い前線から満蒙開拓義勇軍への転属となり、そこでペストに罹った母親の命を救うために阿片作りに手を出したことから激動の人生を歩むこととなる。失った視力の代わりに鋭い嗅覚を得ている。
麗華(リーファ)
本作のヒロイン。中国人。中華民国の秘密結社「青幇」(チンパン、せいほう)の首領の一人である杜月笙の娘。自身が根城とする青幇のアジトに阿片の取引のために尋ねて来た勇が提供した純度の高い阿片を「真阿片」と名付け、勇と手を組んで阿片の密造および販売網の形成を企図する。
リン
青幇が管理するアヘンの売人。いつもクマのぬいぐるみを抱えている日本人少女。父親の事業が失敗して借金まみれになり、食うために両親によって青幇に売り飛ばされる。
バータル
女好きのモンゴル人。満洲の大学を卒業しており、日本語・中国語・ロシア語・モンゴル語の四か国語を話す。勇らがモンゴル民族に熱河省の芥子畑の護衛を頼んだところ、モンゴル民族の長老が外の世界に惹かれているバータルの気持ちを尊重し、勇らと行動を共にさせる。
キリル・メドヴェージェフ
ロシア人。ロシア革命の混乱の最中、貧困ゆえに母親に捨てられる。現在は哈爾賓(ハルビン)で逃し屋として生活しており、キタイスカヤ三番街の電柱に依頼を貼れば何でもこなす。ソビエト連邦内務人民委員部(НКВД、エヌカーヴェーデー)の秘密警察として活動していたが、スターリンの大粛清の際に一目ぼれしていたナターシャを助けて二人で逃走、いつかナターシャとともにロシアに帰ることを目指して稼ぐ。
關志玲(くわん しーりん)
哈爾賓で負傷した麗華を連れ、勇とリンが訪れた吉林で探し出した酒場を営み、病院代わりにしている闇医者の女性。好きなものは酒と金。
李静(リー ジン)
メイビン貿易公司。口がうまい。密かに尾行していたつもりだったが麗華にバレてメイビン貿易公司として阿片貿易の仲介者の役を務め、密輸先として最大の港を有する上海を提案する。蒸気タービンを搭載した商船を用意し、継続的な密輸を約束する。