概要
「「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズ」に登場する大ガミラス帝星の巨大戦闘艦。原作のドメラーズ3世をリデザインしたもの。
本作では記事タイトルの通り「ゼルグート級」という艦級名が設定され、ドメラーズ以外の同型艦も存在するとされており、『宇宙戦艦ヤマト2199』ではドメラーズ含めて3隻、『宇宙戦艦ヤマト2202』ではさらに多くの同型艦が登場する。
国家元帥ヘルム・ゼーリックの主導の下で建造され、大艦巨砲主義思想を色濃く反映させた艦級でもある。それ故にガミラス艦艇で最大級の巨体を誇り、それに見合うだけの火力と防御力を備えている。
ちなみに「ゼルグート級」という名称は、メタ的にはドメルのドメラーズやデスラーのデウスーラと同様に「ゼーリック」を捩ったものなのだろうが、劇中世界的には「ゼルグーデン」という地名が元である模様。このゼルグーデンが貴族時代のゼーリック家が治めていた土地かは不明。
宇宙戦艦ヤマト2199
本作では同型艦は3隻とされ、それぞれゼーリック専用艦たる1番艦『ゼルグートⅡ世』、アベルト・デスラー総統御座艦である2番艦『デウスーラⅠ世』、そして名将エルク・ドメルの運用する3番艦『ドメラーズⅢ世』となる。
(一見すると、Ⅰ世、Ⅱ世、Ⅲ世の順に並べたくなるが、ゼルグートⅡ世がネームシップである。ややこしい感じはするが)
宇宙戦艦ヤマト2202
『2199』の3隻とは別のゼルグート級が登場する。
設定上では4隻存在しており、第一章にて3隻、第三章にて1隻登場している。さらに終盤では(時間断層で追加建造されたと思しき)20隻以上の本級が登場する。
なお、序盤に登場した4隻の出自については各メディアで扱いが異なる(余談を参照)。
宇宙戦艦ヤマト2205
第1話の冒頭においてボラー連邦から奪取後のガルマン星の守備艦隊の旗艦として、司令官ガル・ディッツ提督を乗せた茶色の同型艦が登場。艦名は不明。
スペック
- 艦型:ゼルグート級一等航宙戦闘艦
- 全長:730m
- 武装
- 490mm四連装陽電子ビーム砲×7基
- 330mm三連装陽電子ビーム砲×4基
- 艦首空間魚雷発射管×6門
- 艦尾空間魚雷発射管×7門
- 艦底空間魚雷発射管×15門
- 艦橋空間魚雷発射管×6門
- 特殊装備
- 物質転送機(ドメラーズⅢ世のみ)
- ガミラス臣民の壁(2202のみ)
- 主な同型艦
- ゼルグートⅡ世
- デウスーラⅠ世
- ドメラーズⅢ世
- 艦長
- 座乗
主砲はガミラス艦艇の中で最大口径砲である490ミリビーム砲塔7基28門を搭載。さらに副砲にガミラスで広く使われている330ミリ陽電子ビーム砲塔を4基搭載し、合計40門と『2199』におけるガミラス艦艇でも特一等航宙戦闘艦『デウスーラⅡ世』とゲルバデス級戦闘航宙母艦『ダロルド』の同率一位、54門に次ぐ砲門数を誇る。
防御性能は本級の白眉で、ガミラス艦の中でも一二を争う強固さを持っており、艦首部の正面装甲は通常の艦艇なら一撃で仕留められてしまう威力のヤマトの48サンチショックカノンをいとも容易く弾いている。側面装甲は艦首ほどには厚くないが、それでも上部甲板砲塔部を接射同然の至近距離で撃っても、ビーム砲と表面装甲しか破壊できない。さらには、舷側に集中砲火を浴びせても致命的な損傷には至らなかった。
航行性能において、このような重武装・重装甲を追及した分、その巨大さも相俟ってガミラス艦の中では珍しく機動性が犠牲になっているのが欠点と言えよう。だが艦隊旗艦という立場を考えた場合、そこまで機動性は求められないのかもしれない。
また特殊機能として、艦橋を切り離し独立戦闘指揮艦として運用する事が可能であり、こちらはかなり高い機動性を発揮し本体の劣悪な機動性をある程度だがカバーできる。最も劇中の独立戦闘指揮艦は、ドメラーズⅢ世にしてもゼルグートⅡ世にしても本体が撃沈に追い込まれる程の緊急事態に脱出艇としてしか使う局面がなかったが。
『2202』では使いどころと思われる場面がいくつもあったが、結局どの艦も一切使用しなかった。一応小説版では、油断して分離するタイミングを逃した、分離したが追撃で即沈んだ、被弾して分離機構が故障したといった理由付けがされている。
『2202』登場時には「ガミラス臣民の壁」と呼ばれる、対火焔直撃砲防御兵器を装備した艦が登場。この装備を備えたゼルグート級は「装甲突入型」と称されている。
ガミラス臣民の壁
ガトランティスが保有する高火力兵器「火焔直撃砲」に対抗するために造られた防御兵器で、装甲突入型の前面に配置されている。『2202』で登場するゼルグート級は、反乱軍旗艦を除いて全てこれを装備している。
構造
構造は非常にシンプルで、巨大な長方形の一枚板を三層に重ねた様なものである。壁前面にはガミラスの国家シンボルが大きく描かれているのも特徴である。
巨大な壁の裏側には、『壁』自身が進むための推進機関が設けられており、ゼルグート級とは物理的に接続されている訳ではなく、無線等による遠隔操作によって動いている模様(因みに設定画だと「自力で航行可能な有人の戦艦」と書かれている)。また、第六章でバレル大使の座乗艦の盾のコントロールをケルカピア級に移していることから、ゼルグート級でなければこのガミラス臣民の壁を運用出来ないという訳でもないようである。
性能
本装備には2つの機能が備わっている。
1つはシンプルに盾としての機能。ゼルグート級を最も頑丈な正面から貫くほどの威力を持つ火焔直撃砲を防ぐだけの防御力を持つ。2発同時に受けると防ぎきれないが、1発ずつなら問題なく防げるうえ、焦げたり溶けたりといった消耗は外観上は見られない。なお、公式設定として明言されたわけではないが、この盾をデザインした副監督の小林誠氏曰く波動防壁を装備しているという。
もう1つはワープ阻害機能。周辺空間にワープ阻害フィールドを形成し、敵味方問わずワープできなくする。
この機能は木星に匹敵するサイズを持つ白色彗星にも有効であり、終盤で登場した際には防御力よりもこちらの機能の方が重要視されている。総集編映画の『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』での設定では、太陽系の内惑星系に満遍なく配備しており、土星宙域からワープした白色彗星が火星宙域へワープアウトするよう誘導していたという設定が追加されている。
初登場時は火焔直撃砲に対応するための防御兵器である以外、詳しい性能については言及はされていなかったが、副監督のツイッター上にて「ワープ航法を阻害する機能もある」と語られていた(同氏は本編内で描かれていない内容を補完するような設定をツイッターで語ることが割と多いので、最初から考えてたのかツッコミに対する後付け設定なのかは判断に迷う部分があるが)。なお、それが劇中で明確に示唆されたのは第六章からである。
メリットとデメリット
エネルギー弾を敵至近へワープさせる火焔直撃砲への対抗策としては、出現地点を探知して回避するというものが『星巡る方舟』で考案されたが、タイミングがかなりシビアであるため機動力の低いゼルグート級などでは対応できない。
そんな艦にとって火焔直撃砲を真正面から防げるこの装備は有力な防御手段と言える(ただし、上記の通り相手が2隻以上だとあまり意味が無いが)。
さらにワープ阻害機能によってそもそも火焔直撃砲の転送自体を不可能としている(画面では転送投擲機が作動しているが実際には直射でぶち当てているらしい。劇中描写上はっきりわかりにくくなってしまっているが)。
一方で、直接運用するゼルグート級の真正面に展開配置されている為、敵の砲撃を防ぐと同時にゼルグート級自身の砲撃も阻まれて、側面と後方にしか砲撃できなくなる事は、重火力艦であるゼルグート級自身にとっては大きなデメリットとなる。
ワープ機能を妨害されること自体も、敵だけではなく味方にとってもデメリットとなり得る。第1話で地球艦隊がわざわざ戦闘宙域から遠く離れてワープを行っているのはこの影響とされる(副監督の小林誠のTwitter参照)。
また「壁」はあくまでも正面に対する防御なので、側面や上下方向からの攻撃には当然の事ながら対応できない(事実劇中でも側方や上方からの砲撃で装甲を破られている)。ゼルグート級は機動性が悪いため攻撃位置を変えられるだけで対応できなくなるのである。
経歴
ゼルグートⅡ世
ネームシップにして、真紅に染まった艦体が特徴的なゼーリック専用艦であり、バシブ・バンデベルを艦長としている。多数の護衛艦を引き連れてバラン星観艦式へ出発する場面で初登場。バラン星で観艦式(実際には観艦式を隠れ蓑としたガミラス政府へのクーデターの準備)を挙行中に、ヤマトの乱入を受け集結中の艦隊はゼーリックの酷い指揮振りと相まって大混乱に陥る。
さらに暗殺の手を逃れていたデスラーの生存という驚きの情報も飛び出して混乱に拍車が掛かる中ゼーリックはグレムト・ゲールにより射殺され、ゼルグートはゲールに掌握されつつその場の暫定的な総旗艦として一時的に機能していたが、ヤマトがバラン星のエネルギーコアを破壊した後はゲールが自分の乗艦ゲルガメッシュに移乗したため、当艦の指揮はバシブ・バンデベルに戻った。
しかし、クーデターに加担したバンデベルは本国への帰還を拒否し、隙を見てゼルグートⅡ世ごと艦隊から離脱。他の艦艇を引き連れて行方をくらましてしまった。
その後はTV本編では確認できずじまいであったが劇場版『星巡る方舟』で、ゼルグートⅡ世他数十隻の艦隊は本国へ帰還すれば極刑となるため帰還できず大マゼラン外縁にて彷徨い続けていた事が判明。そこにデスラー政権の崩壊という知らせが届き、混乱に乗じて帰国するまたとないチャンスと見たバンデベルだったが、そこにガトランティスのゴラン・ダガーム率いる艦隊が襲い掛かった。
重装甲かつ大火力を有するゼルグートⅡ世とはいえ、メガルーダの火焔直撃砲は射程圏外から攻撃してくる為に為す術もなく、艦隊は瞬時にゼルグートⅡ世以外の艦を撃沈されてしまった。そしてゼルグートⅡ世にもその牙が襲い掛かり、最も強固な筈の艦首装甲をも火焔直撃砲の前に容易く貫通されてしまう。それどころか艦尾まで一直線に大穴を空けられてしまい、各所がグズグズに溶かされた末に爆沈、宇宙の塵と化してしまったのである。残る独立指揮戦闘艦は爆沈寸前に分離し逃亡を図るも、火焔直撃砲の追撃を受けて消滅してしまった。
ちなみに実はとても意外なことだが、出番が少ない割に回想シーン等を含めれば『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』まで皆勤賞である(といっても『2202』以降のは映像が流用なうえ1カットしか映らないが)。
それだけバラン星のエピソードがヤマト世界内の歴史で重要だったということだろう。
デウスーラⅠ世
デスラー総統の御座艦であり、高貴なる青に塗装されている。
詳細はデスラー艦にて
ドメラーズⅢ世
名将エルク・ドメルが駆る艦で、白銀に塗装されている。
詳細はドメラーズⅢ世にて
ケルベロス
『2202』第1話にて登場する3隻のゼルグート級。「ケルベロス」というのは地球側が付けたコードネーム(それぞれ「ケルベロス:アイン、ツヴァイ、ドライ」)であり、正式な艦名は不明。
ガトランティスに占領されたガミラスの第8浮遊大陸基地を奪還する為に、残存していた(小説版では追加建造された)艦の内の3隻が第38辺境任務部隊に投入された。3隻全てが巨大な『盾』を艦首前方に展開しており、これを以てメダルーサ級の放つ火焔直撃砲の被害を抑え込んでいたが、2隻からの同時射撃によって許容範囲を超えた為に、1隻が盾もろとも蒸発してしまう。
その直後古代進の『ゆうなぎ』が敵味方双方の射線に飛び込み塞ぐ危険行為を犯しながらも単艦で敵陣深く突撃し、1隻のメダルーサ級を魚雷の集中射撃で轟沈せしめた為、同時射撃のできなくなったガトランティスに対して優位に事を進めつつあった。それでも側面から強襲してくるガトランティス艦隊の攻撃で、1隻が左舷に被弾するものの持ちこたえた。
その後、不自然なガトランティスの後退に乗じる形で突出し攻勢に出るが、そこで登場したカラクルム級戦闘艦の雷撃旋回砲による驚異的なビーム弾幕によって、1隻が艦体装甲を滅多打ちにされ爆沈の道を辿った。もう1隻は辛うじて持ちこたえ、アンドロメダの拡散波動砲による逆撃で事なきを得ている。
ちなみにアニメだとどれがどの艦名か判別できない(というかそもそも名前が出てこない)が、小説版だと最初に火焔直撃砲で沈んだのがツヴァイ、カラクルム級に沈められたのがドライ、生き残ったのがアインとなっている。
反乱軍旗艦
『2202』第8、9話の惑星シュトラバーゼのエピソードにて登場。表面の基本塗装は漆黒であり、ケルベロスと同様に不思議な模様が刻まれている。ガミラス現政権に対して従う意思を持たぬ政治犯等が中心となる反乱者で構成される「反ガミラス統治破壊解放軍」なる組織の旗艦(総旗艦かは明らかにされていない)。基本性能は他の同型艦と変わらないと見られるが、惑星間弾道弾のコントロール機能を有していた。
ガミラス艦が惑星シュトラバーゼに立ち寄っているとの情報(実際はカーゼットらが故意に流したもの)を得て、ヤマトとランデブー中だったガミラス艦隊に襲い掛かる。その際、僚艦にクリピテラ級航宙駆逐艦9隻を率い、並びに惑星間弾道弾を10発近く用意していたが、その場に鉢合わせる事となったヤマトと戦闘となる。
ドメラーズに続いて2隻目となるヤマトに直接対決を挑んだゼルグート級だったが、改装後のヤマトに対し能力にやや水をあけられている事が劇中垣間見えており、(恐らく反乱軍側の練度に問題があるのも相まって)互いに正面切って激しい砲撃を見舞い合っておきながら、ヤマトには波動防壁で防がれてしまい全く傷を負わせることもできず、逆に一番厚い筈の艦首装甲表面に傷を付けられてしまう。
無論、その程度で参る本艦ではなく突撃を敢行、文字通りに鼻先同士でヤマトと激突。ヤマトは押し切られる形となり反乱軍旗艦に対して右横腹を晒す形となった。だがヤマトは横向きになった故に全砲門を反乱軍旗艦に向ける事が出来るようになり、臨時指揮を執っていた土方の咄嗟の判断によって至近距離から全火力が艦橋や甲板上に徹底して叩き込まれることとなる。
一方で反乱軍旗艦は、文字通り目と鼻の先にいる筈のヤマトに対し直撃すらさせることが出来ず、一方的に滅多打ちにされ甲板上は文字通り火の海となり、沈没の場面こそ描かれなかったものの乗艦していた導師ら反乱軍兵士も軒並み戦死したと思われる。
結果としてヤマトへ大した傷を負わせることも無く退場した当艦だが(小説版では、すれ違った後に波動防壁の限界を超えて1発だけダメージを与えてはいる)、画面上で最低でも艦首に6発を始めとして、至近距離戦に移行してからは全砲門6斉射分(主、副砲の合計で90発)、さらに艦橋基部付近にも被弾痕を生じているなど計約100発ものショックカノンを受けているのが見て取れ、その耐久性能は相変わらず桁違いである事を改めて証明する形となった。
ただし演出のためにゼルグート級側の耐久に補正がかかっていた可能性も否めない。いわゆる逆・主人公補正である。事実、第一章でのケルベロスは、(装甲をハチの巣にされたとはいえ)威力では流石にショックカノンに及ばない筈の雷撃旋回砲により爆沈している。
また外部構造こそショックカノンの集中砲火に耐えた反乱軍旗艦ではあるが、その艦内は地獄絵図と化していた可能性は高い。
バレル艦(仮称)
『2202』第20話から登場するゼルグート級。在地球大使であるローレン・バレルの専用艦と思われる。基本色はドメラーズⅢ世に近い白銀色で、やはり特殊な紋様を散りばめている。
ガトランティスが太陽系に侵攻してきた際、(ガミラスを含む)全宇宙のヒューマノイドの命運をも左右する決戦だとして、バレル大使自身が陣頭指揮を執って出撃している。その際、『ガミラス臣民の壁』を両舷に5基づつ引き連れており、計10基を同時運用していた。
地球本土より、多数のガミラス艦隊を率いて出撃。中にはフォムト・バーガー率いる空母集団もいた。火星防衛戦でガトランティス艦隊相手に一戦交えるが、物量は覆しがたかったようで、多くの戦力を失う。
その最中、直上から襲い掛かるデスバデーターのミサイル飽和攻撃に曝されるも、すんでのところで地球防衛艦隊のドレッドノート級数隻が身代わりになって回避される。『アルデバラン』艦長谷鋼三から撤退を進言され、山南修率いるアンドロメダ艦隊が到着する事を知り、止む無く引き下がった。
都市帝国との決戦でもヤマトの応援に駆け付け、ヤマトが都市帝国に突入している間の地球の防衛を担う。自滅型攻撃艦イーターⅠ数隻に貫かれるも生還した。
その他(2202)
第19、20話では、20隻以上の本級が登場する。外観はケルベロスと全く同じで、ガミラス臣民の壁を1基ずつ装備している点も同じ。
土星圏でアンドロメダ艦隊が敗走した後、波動実験艦銀河とともに駆け付け、白色彗星のワープをしばらく阻害したが、イーターⅠによって盾を破壊され、白色彗星のワープを見逃してしまう。見る限り壊れたのは盾だけのようだが、ゼルグート級のその後は不明。
また、最終話ではデウスーラⅠ世と同じ青色塗装をした艦がデスラー艦隊の一員として数隻登場する。しかし、一緒に映っているゲルバデス級共々続編の『2205』では登場しなかった。
ディッツ艦(仮称)
『2205』に登場。ガル・ディッツの座乗艦で艦体色は茶色。
移住計画支援の為にガミラス星へ向かうデスラー艦隊に代わり、ボラー連邦から解放されたガルマン星防衛の任に就いた。
余談
扱い
オリジナル版のドメラーズ3世は、最新鋭艦として登場したもののいまいち影の薄い存在だった(PS2版では同型艦が扱われたが)。しかし、『2199』制作の上で、ヤマトとタイマンでシリーズ中で最も激しい砲撃戦を展開した戦艦として、逆にその名をファンや視聴者に強く印象付けるという真逆の結果を残した。
しかし、作中初戦闘となる第15話では、圧倒的な強力さを見せつけた本級であるが、『2199』から『2202』へとシリーズが進むにつれて、ただ装甲が固いだけのかませ犬状態に扱いが落ちてしまっている感は否めない。ただし、本級の為に誤解のないよう言っておくと、ガミラス軍艦艇でも屈指の強力な戦闘艦であることは事実である。
実は『2202』では脚本上には一切登場しない(第1話の3隻はもちろんその後に登場するゼルグート級も全て)。本作のゼルグート級はガミラス臣民の壁共々小林氏が発案して脚本決定稿以降のタイミングで追加された要素である。
第1話でガミラス臣民の壁について説明不足感が否めないのも、あまり活躍できずかませ犬になりがちなのも、元々脚本にいないものを後付けで追加したから(つまりストーリーの本筋にあまり影響を与えられないから)と推測される。
艦首形状について
その艦首の独特の形状から、視聴者などからはバリカンみたいと揶揄されることもある。が、そのネタ(と言ってもよいのか?)が『2202』小説版第2巻にて回収されたようで、斉藤始が
「バリカンみたいな艦首のくせに」
と悪態を付いている。
『2202』での模様
『2202』に登場するゼルグート級は漏れなくシダ類のような奇天烈な模様を施されている。
この模様は古代アケーリアス文明の遺跡によく見られるものと同一である。
デザインした小林氏が自身のツイッターで語っている内容を紐解いていくと、元々この模様はテレザートの位置を示す宇宙地図としてデザインされたものらしい。
『星巡る方舟』制作当時、出渕裕総監督は続編についても構想自体はしており、その続編用として用意したということである(つまりは作品を跨いだ伏線)。
結局続編は出渕氏が抜けて全く異なる構想から作られた『2202』になったが、この模様は紆余曲折ありながらも地図という設定も含めてそのまま使用することにしたとのこと。
ただ、『2202』設定でのテレザートはアケーリアスより後の時代の文明であるうえに、両者が深い関係性を持つように描かれているわけでもないので、アケーリアス遺跡の多くに描かれているこの模様がテレザートを示す地図というのは少々無理がある感じになっている。
出渕氏の考えていた続編というのがどんなものだったかは定かでないが、もしかするとその続編だったなら、テレザートはアケーリアスに関連する星で、模様がテレザートへの手掛かりとして重要な役割を持っていたのかもしれない。だが『2202』では劇中で特に地図であると言及されることもなく、単なる独特なデザインの一つとして終わった。
模様についての出自はそんな感じだが、そもそも「地図を兵器表面に描く」理由に関しては全然説明されていないため、現状では言わば「その彫刻は何の戦術的優位性も無い」というようなものとなってしまっている(本作は小林氏がメカの表面にエンブレムや紋様を多用しているため、この問題は本級に限った話ではないが)。
実はこの模様のゼルグート級の初出は、模型雑誌「スケールアヴィエーション」で小林氏が連載していた「飛ぶ理由」の第17回に登場する「オルトロス」である(時期的には『星巡る方舟』公開より前)。曰く「総監督からゼルグート級のプラモデルがもっと売れるようなアピールを求められて作ったもの」とのこと。
『2202』でのゼルグート級はこれの再利用であり、身も蓋も無いことを言えば本作でゼルグート級がああなったのは小林氏の趣味であろう。十中八九設定よりデザインが先行しているタイプなので、公式に意味のある設定を求めるよりは視聴者各々がこの模様が活きるような想像を広げていった方が有意義かもしれない。
ちなみに本作での小林氏が手掛ける独特な模様にはもう1種類、菱形を重ねたような模様があり、こちらはガミラス関係の模様とされているため、混同しないように注意。
『2202』で登場する艦の出自設定
『グレートメカニックG』2017年春号での『2202』特集におけるゼルグート級の解説にて「敵地に着陸してそのまま要塞と化す旧式のゼルグート級巨大戦艦は、残存する4隻のうち3隻が辺境警備第38任務部隊に配備された。」という記述があり、『2199』では最新鋭艦とされていた筈の本級が3年後の『2202』では早くも旧式とされている点や、『2199』で3隻のみ(しかも全て轟沈)とされた筈の本級に残存艦が4隻もあるという点で読者を困惑させた。
これに関して、公式設定ではないが小林氏はツイッターにて「2199に登場したゼルグート級よりも、前に建造された型式である」という裏設定を語っている。
要するに上記の一文の「旧式」とはゼルグート級全体を指すものではなく、「要塞にする用途で使われていた頃のゼルグート級」を指すということらしい。
つまり本当の意味での初期型ゼルグート級と言える。とは言うものの『2199』に対して後付けの設定になるため、後から建造された(少なくとも5番艦以降の)ゼルグートⅡ世がネームシップであるという点が少々不自然であるし、さらに言えば用途からして特殊な揚陸艦のような立ち位置に過ぎないであろう艦が、名前そのままに国家元帥肝入りの最新鋭戦艦に化けるという点も中々にぶっ飛んだ設定であるが……(それだったら、ゼルグート級の設計ベースになった別種の艦を、戦後に魔改造してゼルグート級もどきに仕立て上げたとかの方がまだ少し筋が通りそうである)。
なお、小説版では設定が異なり、地球との戦後に追加建造されていたものとされた。ただし旧式扱いとなっているのは変わらぬ設定であり、小説では戦後完成した時点で旧式として扱われていたとの事である。
試作艦(コルサック艦)
なお『2202』にて、初期に建造された旧式ゼルグート級との設定が追加されているが、PS版『遥かなる星イスカンダル』でも似た設定が存在する。
ドメルの座乗艦ドメラーズⅢ世の前に、試作艦が建造されていたというゲームオリジナルの設定で、形状はほぼ同一。
ただし、グラフィックの都合上細部の差異は不明確だが、艦首の形状が異なっている。ドメラーズⅢ世のバリカン型艦首と違い、先端が尖った巨大な鏃型艦首になっている。その他、武装関係は全て取り外されている模様。強襲艦としての性格を色濃く出したものである。
ただし、この差異に付いては、試作艦として建造された時からの姿かは不明確である。その理由は、当艦が登場した時には、ゲームオリジナルキャラクターのコルサックが所持しており、試作艦をもらい受け、自身専用に改装を施したとされる。
敵を道連れにすることを前提に改装されており、強襲艦として強行接舷する為に、装甲は驚異的な硬さを誇る。
防御設定値は1000(大抵のガミラス艦の防御は30設定、ヤマトの主砲攻撃力は500代、という数値から見ても、無敵の強度を持つのが分かるであろう)と規格外に硬いもので、ヤマトの主砲は殆ど通じないという代物。
挙句には自爆装置もあり、まさに敵諸共運命を共にする為の艦艇である。
関連タグ
宇宙戦艦ヤマト2199 宇宙戦艦ヤマト2202 宇宙戦艦ヤマト2205