概要
『宇宙戦艦ヤマト2199』で初登場したガミラス軍の次元潜航艦。艦長は猟犬ことヴォルフ・フラーケン中佐、副長はゴル・ハイニ大尉。
『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場した次元潜航艇ガルマンウルフ号をリブートして先行登場させたもの。デザインは大幅に変更されており、第二次大戦時のUボートを思わせる艦形をしている。ガミラス艦特有の「目玉」状構造物は艦首亜空間魚雷発射管後方に存在している。
続編となる『宇宙戦艦ヤマト2202』『宇宙戦艦ヤマト2205』でも登場する。
初登場となる『2199』では総統直轄の特務艦として扱われ、同型艦は登場しなかったが、続編の『2202』では少数ながらも同型艦が建造・就役している。
スペック
- 全長:144メートル
- 機関:
- ゲシュ=タム機関(波動機関、通常空間航行時)
- ゲシュ=ヴァール機関(亜空間航行機関、次元潜航時)
- 武装:
- 艦首亜空間魚雷発射管×6
- 艦尾亜空間魚雷発射管×2
- 99ミリ単装陽電子ビーム砲×1
- 33ミリ単装レーザー機関砲×1
- ミサイル発射管×8
- 空間機雷敷設装置×5
通常空間のみならず、異次元空間への往来・航行も可能な特殊戦闘艦。通常空間を航行する際は他のガミラス艦同様ゲシュ=タム機関を、次元潜航時は亜空間推進「ゲシュ=ヴァール機関」をそれぞれ使用する。推進装置は艦尾の上下で分かれており、上部にゲシュ=タム機関の推進ノズル、下部にゲシュ=ヴァール機関のスクリューが存在している。
船体には異次元航行時のエネルギー消費を抑制するために「多次元バラストタンク」が備えられており、それを転用する形で艦体の通常空間への浮上・異次元空間への潜航を行う。
次元潜航時にはセイル部に備えられた次元潜望鏡や、その後部に超空間プロープを介して接続されている索敵プロープを通常空間に露出して索敵を行う。
主武装は異次元空間からの攻撃を可能とする亜空間魚雷。発射後に次元境界面を越えて通常空間へ飛び出し、敵を攻撃する。通常空間へ出た後にノズルに点火するその様はまるでSLBMかのようにも見える。
亜空間魚雷以外にもビーム砲や機雷敷設装置などを有するが、基本的には亜空間魚雷一本鎗であり、使用されることは無い。
開発初期の実験段階では多数の実験艦が異次元空間からの浮上が出来ずに行方不明になっており、その事情を知る者から「異次元の棺桶」と揶揄され、就役すら危ぶまれた。『2199』の劇中でも就役したのはUX-01のみで、高額な開発費が掛けられた貴重な試作兵器である都合上、総統直轄の特務艦として扱われている。
乗組員
元々棺桶と呼ばれるほどの危険な艦でありまともな人員が来ないことに加え、艦長のフラーケンにあぶれ者を拾う趣味があるためか、乗組員もアウトローな雰囲気が漂う者達となっている。
艦長。「猟犬」の異名を持ち、亜空間戦闘を行わせたらガミラスで右に出る者はいないと言われる実力者。
詳細はリンク先にて。
副長。フラーケンとは対照的に喜怒哀楽が激しく、ムードメーカー的に立ち回る。
詳細はリンク先にて。
- ヨルト・メッツェ
一等通信兵曹。
- ラウス・キール
二等通信兵曹。
- ボルト・グラン
航海長を務める白髪の男性。ヤーブに対して役に立つと評した。
- バンス・ボーヘン
宙雷長を務める男性。『2205』ではUX-02の艦長に転属した模様。
- ヤルン・ベルン
機関長を務める男性。機関室で働いているが、『2205』ではいなくなったボーヘンの代わりに発令所にいる。
- ヨーヘン・ガイスト
機関員。第25話で2カットのみ登場。
『2199』終盤で新たに加わった機関員。ザルツ人と思われているが……
詳細はリンク先にて。
劇中での登場
宇宙戦艦ヤマト2199
対ヤマトのため銀河方面軍作戦司令長官に任命されたドメル将軍が、ディッツ提督に直談判したことで銀河方面軍に派遣された(本来はデスラー総統の承認が必要だが、ディッツは航宙艦隊総司令としての権限を使い独断で派遣した)。
その後、銀河系外縁を航行中のヤマトを奇襲するが、近場の原始恒星系に逃げ込み身を潜められ、大量に漂う星間物質のせいで目視は元よりレーダーやセンサーでも追尾できず見失ってしまう。
ヤマトが動けば探知できるため、亜空間魚雷で揺さぶりを掛けつつ、ヤマトがしびれを切らして動き出すのを待つ我慢比べとなる。とはいえ我慢比べ自体は本命ではなく、ある程度時間が経ったところでデコイを分かりやすく星系外へ送り出すことで、ヤマト側に自分達が諦めて撤退したと誤解させ、ヤマトの動きを誘った。
案の定ヤマトは反応を示し、確認のために亜空間ソナーを使ったため、それを逆探知してヤマトの位置を特定し、攻撃を仕掛ける。しかし、ヤマトを撃沈するより前に古代進がコスモシーガルで亜空間ソノブイをばら撒いて探知網を構築するという対策を行ったことで、魚雷を迎撃されるようになってしまう。さらに直後に同探知網で索敵プローブを発見・破壊されたことで、一時的に攻撃不能になり、通常空間へ浮上するも既にヤマトはワープで逃走した後だった。
フラーケンは深追いはせず次の機会を待つことにしたが、結局本艦がヤマトと直接戦闘を行ったのはこの時だけとなった。
数日後、UX-01はセレステラ宣伝情報相からの依頼で、ミレーネル中尉の精神感応攻撃に必要な特殊物質を指定宙域にサンプルするという任務を行う。ちなみに「戦争屋」を自負するハイニは「便利屋」として扱われることに不服だった。
セレステラの任務を終えると、そのままデスラーからの勅命のために銀河方面軍から総統直轄へと戻ることになる。ゼーリック国家元帥が進めている総統暗殺計画において、ゼーリックを追い詰めるためあえてデスラーの死を偽装している期間、デスラーが身を潜める場所として使われる。
ゼーリックが死亡して暗殺計画が失敗に終わった後はガミラス本星までデスラーを送り届ける。
その後、再びドメルの指揮下に入り、ヤマト艦内にいるイスカンダル人を救出(という名の拉致)するための部隊に組み込まれる。七色星団海戦の最中、潜入部隊となる第442特務小隊を次元潜航能力を駆使してヤマトに送り込み、小隊がイスカンダル人(と間違われた森雪)を回収してヤマトから脱出するとそれを回収して戦場から離脱した。
その後、収容所惑星レプタポーダを経て、雪をガミラス本星に移送する。
ガミラス本星での決戦では特に何も行動はせず、デスラー政権が崩壊した後はディッツ提督の指揮下に入る。
ディッツが各方面へ指示した本星への帰還命令を無視したゲールを処断するために派遣され、彼の乗艦を撃沈。ガミラス本星へと帰還した。
宇宙戦艦ヤマト2202
ガトランティスとの最終決戦となる第24話で登場(実は第22話でも航宙戦闘母艦CCCの艦橋上に載せられているのがわずかに確認できる)。
新たに就役したUX-02~04までの同型艦を率いて、4隻がかりでヤマトを次元潜航させ、都市帝国中枢まで送り届けた。
宇宙戦艦ヤマト2205
ヒス首相のガミラス民主政府とデスラーが和解し、ガミラス星の寿命問題に協力して取り組むことになったことで、航宙艦隊総司令部からバーガーのランベアなどとともに派遣され、デスラー艦隊の一翼を担う。
ガルマン星でのボラー艦隊との戦闘では、地上基地近くの水中に身を潜め、出撃準備中のところをミサイルで爆撃し壊滅状態に追いやった。
その後、ガミラス本星を破壊し、イスカンダル星を持ち去ろうとするデザリアム軍と交戦していく。
イスカンダル星からガミラス避難民を救出する作戦では、移民船を次元潜航させて脱出させる役割を担うが、即座に敵に感知され、UX-02がゴルバのキャプチャーフィールドに捕縛されてしまい、任務続行不能となる。
その後は特に目立った活躍は無いが、最終的に生き残り、デスラー艦隊や移民船団と共にガルマン星へ向かう。
余談だが、本作でも存在するのは4隻のみだが、最終話では作画ミス(CGミス)により大量の次元潜航艦が描かれているカットがある。
余談・pixiv上では
先述の通りUボートを思わせるような艦形だが、これは実際にUボートをベースにデザインされたため。
ヴォルフ・フラーケンを始めとした「気のいい乗組員たち」や、後に「とある新入り機関士」が乗り込んだ事もあって、潜航艦のイラストもさることながら、「ヴォルフ・フラーケンとその愉快な仲間たち」の投稿イラストに付加されるpixivタグともなっている。