概要
『宇宙戦艦ヤマト2202』に登場するガトランティス軍の陸戦兵器。文字通りの陸上戦艦であるが、艦艇に分類すればよいのかAFV扱いなのかは不明。
正式名は『メダルーサ級重戦艦改ヘルベスティア』と呼称されるが、旗艦のみを指すのか本級の総称なのか(シナリオ段階では後者だが、完成映像に残っている設定か)は不明。とある模型雑誌では、「メダルーサ戦車」との名称で記載されているが正式なものかは不明。
ザンツ・ザバイバル指揮下のテレザート星陸戦師団(ただし構成人員はザバイバル一人のみ)に配備された陸上艦艇で、支配区域を失い一時的にエネルギー不足に陥ったガトランティスが、造艦計画を変更して建造したものとされている。それ以前に陸戦部隊で使用されていた兵器に関してはまったく設定がない。
通常兵装や基本艦体構造などはメダルーサ級に準じており、艦橋に配備されたAIにより完全自動運用されている。艦載機等も一応配備されているようであるが劇中では使用されず代わりに多数の無人兵器ニードルスレイブを配備、展開している。
戦車ではないが、ポジションとしてはオリジナルにおける彗星帝国戦闘戦車及び指揮戦車に相当する。
形態
原型は名称からも分かる通りメダルーサ級殲滅型重戦艦である。ただし、火焔直撃砲と転送投擲機を未装備にした簡易型戦艦とされる。
足回りは履帯や装輪式でなく、地面から浮遊して超低空で惑星上を移動する形式となっている(浮遊式は本来地形適応力が弱く陸上兵器には適さない構造であるが)。
画面上では足回りをできるだけ写さないように砂煙等で隠して描かれていたが、設定資料で掲載されている通り、足回り含め原型から変化はなく浮遊航行のための設備なども(外観上)見当たらない。
原作におけるガトランティス戦車の没設定の再利用と思われるが後述のようにシナリオ段階では別の形態であり、履帯や歩行脚の作画が困難だった故の苦肉の策とも受け取れる。
劇中で観る限りかなりの高度まで浮遊可能に見えるが、航宙機能まで保持しているかについては不明のままである。
種類
旗艦型と通常型の2種類存在し、通常型は外部操縦の無人艦であり黒塗装に金色で装甲突入型ゼルグート級やノイ・デウスーラ同様の奇妙不可解な紋様が刻まれている。
旗艦型にはザバイバルが搭乗するが、その他は機械制御でありこっちも実質無人であった。塗装は砂漠系のブラウンとなっている。前甲板の五連装砲塔の、上段三連装の中央部分のみが「ヘルベスティア砲」なる兵器に代わっているのが特徴である。
シナリオ版
因みにシナリオ集に記載されていた段階では、ヘルベスティアは戦艦の改造型兵器ではなく脚の着いた歩行戦車として描かれていたが、恐らく制作に手間がかかるため(或いは暗黒星団帝国と丸被りになるためかもしれない)宇宙艦を少々の手直しのみで陸上で滑らせる妥協策が採られたと考えられる。
スペック
- 全長:505m
- 全幅:不明
- 全高:不明
- 機関:不明
- 武装
・ヘルベスティア砲×1門(旗艦型のみ)
・艦首大砲塔(五連装大口径徹甲砲塔)×1基(旗艦型のみ四連装)
・八連装速射輪胴砲塔×3基(後部上甲板)
・二連装速射砲塔×2基
・対空砲(八連装高射輪胴砲塔)×16機
・艦首兵器×9門
・量子魚雷噴進機×4門(劇中未使用)
- 搭載機
・艦載機×12機/ニードルスレイブ×(多数)
- 詳細
基本性能はメダルーサ級殲滅型重戦艦と同一だが転送投擲機と火焔直撃砲は撤去されている。旗艦型はヘルベスティア砲こと反射衛星砲を装備し、テレザート星周辺を射程内に収めている。ガミラス版の物とは違って艦艇搭載型なので、移動砲台として直接砲撃も可能。
しかしその巨体故か現実の戦車以上に近接戦に弱くなっており、持ち味であった射程差も生かすことなく懐に潜り込まれてしまっている。そして宇宙艦を無理に陸戦兵器にした弊害か(或いは無双を演出するためか)防御性能が原型から見る影もなく低下してしまっており、パワードスーツ「機動甲冑」のカノン砲やパルスレーザー砲によって、主要区画の筈の艦橋を狙い撃ちされ次々と撃破されている。
経歴(ネタバレ)
第4章
テレザート星守備部隊として多数が配備され、惑星軌道上にてゴーランド率いるミサイル艦隊が壊滅した後に地表に降下した空間騎兵隊を迎撃する。
しかしパワードスーツ「機動甲冑」に懐に潜り込まれてしまい、制御部のある艦橋を破壊されて次々に機能停止してしまい、さらなる増援を大量投入するものの(この時点で守備隊は戦力の逐次投入という大失策を犯す破目になってしまっていた)斉藤始の巨大な浮遊岩盤を空中から力尽くで叩きつけるという奇策の前に一瞬にして壊滅してしまう。
ザバイバルの旗艦はヘルベスティア砲によってテレザート星を覆う岩盤の破壊工作を行っていた古代進と真田志郎及びヤマトを狙うものの、コピー品であった上にそれまでの戦闘で中継衛星の一部が破壊されていた為に有効弾を出せずじまいであった。
さらには中継衛星の制御システムがガミラスの技術そのままであったためにクラウス・キーマンによって制御システムを奪われてしまい、陸戦師団の残存兵力に照準を向けられ同士討ちとなった。
その後、反射衛星を使わず直射に切り替え空間騎兵に死傷者を出させるも、斉藤に直接艦橋に乗り込まれ肉弾戦の末ザバイバルが戦死、機能を失った。
その後の明確な描写は描かれてはいないが、岩盤の爆破に巻き込まれたと思われる。