「遠きアクエリアスの子らよ」(クイーン・オブ・アクエリアス)
概要
『宇宙戦艦ヤマト完結編』に登場する惑星。敵対勢力というわけではないが、同作(そして当時のヤマトシリーズ最終作)の実質的なラスボスである。
『宇宙戦艦ヤマト復活篇』でも回想シーンにて少しだけ登場。
特定の惑星系には属さず、長楕円軌道を描きながら宇宙を回遊する惑星であり、その特徴から回遊惑星とも呼ばれている。移動速度は光速の2分の1。
水惑星の名の通り星の構成要素の殆どが水。恒星ではないが淡く光っており、周囲に3本の氷の環が存在する。惑星地表も水で覆われ、その上に浮遊大陸が浮かんでいる。
近づいた惑星に引力の干渉で大量の水を降り注がせるという特徴を持つ。
その水には「生命の芽」が含まれており、アクエリアスの水が降り注いだ惑星には生命が満ち溢れることになる。地球にも創成期の頃に接近しており、地球の生命はアクエリアスの生命の芽から進化していったとされる。
一方で、文明の栄えた惑星にとって未曾有の大災害をもたらすことになる。地球の場合、数百兆トンの水が降り注ぐと計算されており、世界最高峰のヒマラヤ山脈でさえ完全に水没してしまうらしい。地球も何度か大洪水の被害を受けており、そのうち約1万年前に起きた洪水の際に異星人に救出され、その異星人の母星に移住した者達の末裔がディンギル人である。
水害への対策としては、惑星外へ一時的に避難し、水が引くのを待つという手段がある(惑星全体が水没しているのにどこへ水が引くのかは不明だが)。
ちなみに地下都市じゃ駄目なのかという点には劇中だと触れられないが、さすがに水深9000m近くの水圧ともなると浸水を防ぎきれないのかもしれない(地球全体が海溝の底に沈んでいるようなものである)。まして直前に太陽核融合異常増進という災害で酷使されたばかりだし。
かつては文明が栄えていたらしく、浮遊大陸にはその痕跡が残されているが、現在では滅びており、無人の惑星となっている。
クイーン・オブ・アクエリアスという思念体らしきものが存在しており、劇中では惑星を訪れたヤマトに前に姿を現している。正体に関しては謎で、スターシャのようにかつて生きていた女王の幽霊なのか、リメイク版テレサのような集合知なのか、はたまた惑星そのものの意思が具現化した存在なのか、一切不明。彼女自身は「アクエリアス」と名乗っている。
アクエリアスの水には生命の芽だけでなく、ディンギル兵器のエネルギー源となる「反波動粒子体」なるものが含まれているとのことで、ディンギルはアクエリアス海上にエネルギー収集プラントを建設してエネルギーを確保している。また、宇宙戦艦ヤマトはこのプラントからトリチウムを収集している。反波動粒子体=トリチウムなのか、反波動粒子体を生成する際の副産物がトリチウムなのか、それもまた不明。
また、『復活篇』の前日談となる小説『宇宙戦艦ヤマト黎明篇』によると、アクエリアスの水はただの水ではなく、意思を持つ水らしい。後述するヤマトの自爆において、ヤマトが消滅しなかったのも、アクエリアスの水の意思によるものかもしれないと劇中で想像されている。
この水が凍ってできた氷結晶を解析した結果、生物の細胞内液に近い性質を持っていると明らかになる。そして、細胞内液が物質のやり取りで栄養や情報を運ぶように、氷結晶は(物質と電気信号の流れによって形成される)人の想いを運んでいるのではないかと劇中で推察されている。実際に氷結晶に宿った人間の残留思念らしきものが古代美雪やロボットのパピライザーへ語り掛ける描写がある。
ひょっとするとクイーン・オブ・アクエリアスもアクエリアスの水に宿った意思なのかもしれない。
劇中での登場
本編内ではディンギル帝国本星を水没させ、地球を水没させかけている。
本来であれば地球はもとよりディンギル星もアクエリアスの被害を受けるはずではなかったのだが、『完結編』冒頭で起こった銀河同士の大衝突という大災害によって軌道が変わってしまった(当時のパンフレットに記載)。惑星をワープさせる技術を持つディンギルが対応できなかったのはそのためという考察もある。
それでも地球へは3000光年の距離があり、アクエリアスが到達するのは6000年後のはずだったが、母星を失ったディンギル人が地球を移住先とするため、アクエリアスによって地球を水没させて地球人を抹殺することを画策(先述の通り地球全体を深海の底に沈める行為なので、地球人どころか自然環境まで根こそぎ壊滅して不毛の星になりそうだが…)。自軍の科学力を駆使してアクエリアスを断続的にワープさせ、地球への到達をわずか20日後にまで縮めた。
ディンギル軍の地球人封じ込め作戦によって地球の宇宙戦力は壊滅してしまい、宇宙への避難ができなくなったため、アクエリアスのワープ自体を阻止するべく、宇宙戦艦ヤマトが出撃。しかし、奮戦空しくアクエリアスの最後のワープが完了し、地球の水没は確定的となる。
最後の手段として、ヤマトはアクエリアスに設置されたディンギルのエネルギープラントからトリチウムを収集。アクエリアスから地球へ水柱が伸びる瞬間に、波動砲を暴発させることで波動エネルギーとトリチウムを融合させて大爆発を引き起こし、水柱を断ち切った。
行き場を失った水柱はその場に広がって「宇宙の海」となり、ヤマトはその海へと沈没していった。
そしてアクエリアスは何事も無かったかのように地球から離れていき、引き続き宇宙を回遊していくのだった。
その後、水はゆっくりと球体になりながら冷え固まり、地球の新しい衛星となったが、『黎明篇』で起きた事件によって大きく形が崩れ、『復活篇』にて登場した第一作の浮遊大陸を思わせるような形状になる。
リメイク版
アケーリアスという古代文明の存在が語られている。詳細はリンク先を参照。