概要
水素の同位体の一つで1つの陽子に対して2つの中性子からなる同位体で、天然同位体の中では唯一放射能を有しており、半減期12.32年でベータ崩壊してヘリウム3になる。
トリチウムから放出されるベータ線はエネルギーが18.6keV以下(※)と低く皮膚を貫通できないため外部被曝による危険性は低いとされているが、内部被曝では死傷者を出す事故がある。
※・・・他の元素の原子核崩壊による放射線ではMeVオーダーのエネルギーで放出されるものが多い。
生成
自然界での生成、人為的な生成ともに中性子捕獲による生成が多く、自然界では宇宙空間からの陽子線や中性子線が大気中の酸素や窒素と核反応することにより生じ、人為的な生成では原子炉内の重水の中性子捕獲や、制御棒などに使われる硼素の中性子捕獲、またリチウムに中性子捕獲させることによっても生ずる。
用途
原子爆弾の出力増強剤や中性子爆弾の材料といった用途に用いられており、他にもダットサイトやアイアンサイト、ACOGなど光学照準器の光源、夜光時計の光源、光電変換方式の原子力電池、生体試験用のトレーサーなどに用いられている。
ちなみにグラム当たりの価格が約300万円と高価なため、湯水のように使う用途には使われない。