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概要編集

乾燥空気の78%を構成する気体


元素記号はN、原子番号は7。第2周期15族(旧2B族)の元素。常温の単体では、2原子が共有結合した気体窒素(N₂)の状態で存在する。


窒素の名は、酸素を抜いた空気中で動物が「窒息」することから。


地球と窒素編集

大気中の窒素は、酸素(乾燥大気の21%)とアルゴン(同1%)、水蒸気(状況により0~4%まで大きく変化する)を除いた空気の大半を占める。このほか、大気汚染物質として二酸化窒素(NO₂)などの窒素酸化物が少量存在する。


太陽系でこれほどの窒素が存在する惑星は地球だけである。太古の大気は二酸化炭素と水蒸気が主体であったと考えられているが、植物の光合成で二酸化炭素が消費され、酸素が供給されたことにより今のようになった。また、アルゴンも地球誕生後の長い時間の中でカリウムの同位体の崩壊によって供給されたと考えられているが、地球大気中の膨大な窒素がどこから供給されたのかは未だによくわかっていない


生物と窒素編集

窒素はタンパク質の元になるアミノ酸や、DNAの元になる核酸を構成する重要な元素であるが、動植物の多くは空気中の窒素を直接利用することができない。大気中の窒素は落雷や窒素固定細菌によってアンモニア、硝酸塩、二酸化窒素などとして固定され、植物に利用される。動物は植物体を摂取することで窒素を利用している。



人間と窒素編集

空気中の窒素の生理的な役割はほとんどなく、酸素というを希釈する役割のみを担っている(人間が高分圧、すなわち高気圧かつ高濃度の酸素を吸入すると酸素中毒を発症し、最悪死亡する)。しかし、スキューバダイビングなどで窒素分圧が4~5気圧程度に達すると窒素酔い(思考力の低下)という症状を発するため、深度約30mを超える潜水には空気中の窒素を他の反応性の低い気体(通常はアルゴン)に置き換えた気体を用いる。


20世紀初頭のドイツ帝国でハーバー・ボッシュ法 (ハーバー法)が開発され、人類は空気中の窒素を化学肥料として直接利用することが可能になった。これにより人類は飢餓から救われた...と言いたいが、それが「緑の革命」として現実化するのはかなり後の第二次世界大戦後の話で、発明された直後はむしろ第一次世界大戦が長引く原因を作ってしまった。それまでドイツは火薬爆薬原料の硝石を輸入に依存していたのだが、ハーバー法により石炭と水と空気から硝石を大量生産できるようになったからである(ハーバー法の実用化によりドイツが開戦を決断したという話もあるが、開戦時のドイツ軍部は短期決戦で終わらせるつもりだったので、弾薬の調達をどうするかという事はあまり考えられていない)。第一次世界大戦がなし崩しに長期戦に移行する中、ハーバー法により固定された窒素は弾薬原料にされ、農業用肥料にあてる余裕は全くなく、戦時下のドイツ人は飢餓に苦しんだ。


なおハーバー法を発明した化学者の1人であるフリッツ・ハーバーは第一次世界大戦においてドイツの愛国者として毒ガスの開発に積極的に取り組んだ結果"化学兵器の父(Father of Chemical warfare)"との汚名を浴びたが、ナチスの政権獲得後はユダヤ人であったことにより祖国を追われた。また同法を発明したもう1人の化学者カール・ボッシュは自らの発明が戦争を長引かせたことに苦悩し、ユダヤ人排斥に反対してナチスと対立、第二次世界大戦ではドイツの破滅を予見しながら悲劇的な最期を遂げることとなった。


なお、現在の地球では自然に固定される窒素よりも、ハーバー法により人為的に固定される窒素の方が遥かに多くなっており、農地から河川湖沼に窒素化合物が大量に流出して「富栄養化」や「酸性雨」などの環境問題をもたらしている。


関連タグ編集

化学 元素 アンモニア 液体窒素 肥料

窒素姉妹絹旗最愛黒夜海鳥)窒素を扱う能力を持つ

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