概要
アニメ版ポケットモンスターシリーズにおいて、第1~第7シリーズの主人公を務めたマサラタウンの少年サトシがリーグで優勝するという展開もないまま、実力・年齢などがリセットされながら20年過ぎても主人公でありつづける状態。
特に新シリーズになると実力がリセットされ弱体化しているように見えると指摘されていた事が多く、肯定的な意味で使われることはほとんどない。
なお、こういったことがあるからといって、サトシのキャラクターそのものを中傷すること、実際の製作に携わっている脚本家などスタッフ陣や声優陣への非難は筋違いと言わざるを得ないだろう(後述の『理由』参照)。
とは言え、公式も反響は受け止めていたのか、『XY』編以降これらジンクスは次第に消滅しつつあり、現時点ではやや古い風評になっている点は留意されたし(詳細は下記「歴代作品」を参照とする)。
そして、第7シリーズ『ポケットモンスター』終了をもって、サトシが主人公を引退することが決定。26年間に渡るアニメシリーズに幕が下ろされる事になるため、サトシリセットの終焉もほぼ確定となった。
『リセット』について
実力
『XY』より以前は新シリーズ序盤になるとリセットされ、以前の経験が生かされずに新人トレーナー・素人に負けるのが当たり前だったと言っても過言では無かった。
それが繰り返されていたきっかけとしてサトシは、AG編に入る前のライバルシゲルの影響により、新しい地方に旅立つ際はピカチュウ以外のポケモンをオーキド博士の研究所に預け、初心に帰って冒険をしていた。
サトシが強くなったポケモン達であっさりジム戦を突破していくなどと言った展開を防いでいる他、メタ的な理由としては新しいゲームのポケモンの販促の為ではないかと言われている。
一方、サトシのトレーナーとしての実力そのものが落ちているのではないかと疑れたケースとしては『ダイヤモンド&パール』で徹底的に自身のバトルスタイルの欠点を突いてくるシンジとの度重なるバトルでの敗北を糧にリーグベスト4で終えるほどの実力を身につけたサトシが、直後の『ベストウイッシュ』で博士に貰ったばかりのシューティーのツタージャにピカチュウが負けた事が挙げられる。
記憶
記憶に関しても、今までのシリーズで会ったことがあるはずのポケモンも初対面のようにポケモン図鑑で調べることもある。
ただしこれは長期におけるキッズ・販促アニメの都合上、初見の視聴者への説明の為だろうとする評も有る。
サトシ自身も知ってこそいるが、確認を兼ねて調べるという風に描写されることもあるし図鑑を開いている余裕の無い状況(悪人や野生ポケモンに追いかけられ命の危険が有る)のときはすんなりとポケモンの名前を口に出している。
また一部のシリーズでは図鑑を見る人物が、サトシは新ポケモン、別キャラは既存ポケモンと分担分けされる場合もあるのでサトシやアニポケスタッフが忘れていると決めつけるのは早計である。
同様に劇場版ポケットモンスターでの出来事は、映画未視聴者・海外展開への配慮のためか、アニメ本編で触れられることはほぼない(例外は現時点ではアヤカやラティオスぐらいであり、しかも映画を見た人なら気づく程度のファンサービス)。
年齢
無印から続くサトシの設定年齢は10歳。
『キッズアニメ』の主人公であるためか、一話完結のアニメではないにもかかわらず、どれほど冒険を重ねても設定年齢は変化したことはない。
初代から携わってきた湯山邦彦総監督は、オリコンニュース2017年7月22日「ポケモン映画20周年記念作をより楽しむ7つのトリビア」や雑誌「オトメディア SPRING 2023」のインタビューなどにて「サトシは永遠の10歳」と形容している。
リーグ戦
約25年、6つのシリーズを終えているが、オレンジリーグでの「名誉トレーナー認定」を除くと、直前に会って親しくなったライバルに敗北し優勝どころか勝利すら逃すケースが多いので長らく批判されてきた。
このアニメはサトシを優勝させる気が無いのではと評された事も有ったが、初代から20年以上経過したS&Mのアローラリーグで優勝を果たしネット上で大きく取り上げられ話題になった。
ただし、他の地方のリーグのようにバッジを一定数所有するなど出場条件が設定されていなかったり四天王と対峙する等が無かったのでポケモンリーグ協会の公認大会であるかは不明(とは言え、四天王→チャンピオン戦→殿堂入りという原作に存在するやりとりがアニポケにおいては曖昧である)。
後述の最終作となる新無印ではポケモンワールドチャンピオンシップスという大きな大会で優勝。
こちらは各地方のチャンピオンも参戦するほどの大きな規模の物でありアニメ25周年目を飾るに相応しい戦績と言えよう。
現時点での成績
- 【無印】ポケモンリーグ・セキエイ大会:ベスト16
- 【無印:金銀編】ジョウトリーグ・シロガネ大会:ベスト8
- 【AG(アドバンスジェネレーション)】ホウエンリーグ・サイユウ大会:ベスト8
- 【DP(ダイヤモンド&パール)】シンオウリーグ・スズラン大会:ベスト4
- 【BW(ベストウイッシュ)】イッシュリーグ・ヒガキ大会:ベスト8
- 【XY】カロスリーグ・ミアレ大会:準優勝
- 【S&M】アローラリーグ・マナーロ大会:優勝(優勝後の事実上のチャンピオンとのエキシビションマッチにも勝利)
- 【新無印】ポケモンワールドチャンピオンシップス:マスターズトーナメント優勝(実質ランキング第1位)
問題はその内容。
リーグ戦では基本的に、サトシがそれまで競ってきたライバルとの最後の対決の場となるのだが、当然サトシのシリーズの総決算としてそのライバルとの対決に勝利する形で終わることがほとんど。
しかしどこかでサトシが負ける場面を描く以上、その後にリーグ前後に登場したぽっと出のゲストトレーナーがサトシを打ち負かすという形になることが多い。
しかも悲しいことにサトシを打ち負かした人間はその後出番がなく、文字通り「サトシを負けさせるためのキャラクター」に留まっているのである(新規層を考えれば旧キャラが出続ければいいというわけではないが)。
例
- ハヅキ…ジョウトにてサトシを打ち負かすも、次の試合で敗退。なんと新作ゲームのバシャーモを使うという販促勝ち。
- テツヤ…ホウエンにてサトシを打ち負かす。長靴をはいたニャースの使い手。リーグ優勝を果たす。そのため、この時点でサトシは準優勝クラスの実力があったともいえる。
- タクト…まさかのダークライの使い手。リーグ優勝を果たす。端的に言って、トレーナーとしてほぼ完成していたサトシを優勝させないためのキャラクターであり、タクトは伝説厨というあだ名をつけられた。
- コテツ…バトル内容がずさん。その後コテツはバージルとの対戦でやけになって敗北。
アドバンスジェネレーションでは、リーグで優勝できなかったものの、四天王クラスが集うバトルフロンティアを制覇するという逆転現象が起きている。
チャンピオンリーグの設定を出しながらタクトの登場で終わった『DP』やタイトル詐欺となった『XY』など、サトシがリーグを優勝することについて、上の方針で禁止にでもされてしまっているのか、実力はあるのに優勝はさせてもらえなかった。
リーグ戦での優勝やチャンピオンへの勝利自体は、最終的なポケモンマスターになることを意味しないと思われるにもかかわらず(後述の『ポケモンマスター』の項参照)、優勝できないことに対する疑問の声があがったりすることもある。
優勝させてもらえないのは、サトシがリーグ優勝すると、次のシリーズの作劇が難しくなるためなのかなどといった理由だからなのではとファンからは推測されていた。
理由
ピカチュウや魅力的な悪役ロケット団の人気が出すぎた結果、特に商業的な意味において主人公交代などの機会を失ってしまったことが主な理由と考えられている。
- 原作の性質上、世代交代の度に登場人物を一新させる前提で製作を始めた可能性もある。
ピカチュウは言わずもがな世界的に圧倒的な知名度を誇り、ロケット団もファーストシングル『ロケット団よ永遠に』(2001年)が約22万枚の売上を挙げたように、主役回も名作ぞろいで非常に人気が高かった。
総監督湯山邦彦氏は、放送開始当初の人気から、アニメポケモンを10年は続けたいと考えていた(その10周年は『DP』中に達成)。
また、「サトシは永遠の10歳」「サトシと同い年の子どもが観て、喜べるだろうか、楽しめるだろうか、というところに必ず軸足を置いて作ってきた」と述べており、結果としてサトシのキャラクターを大きく変えることが避けられてきた模様。
前述の人気と総監督の思惑もあってサトシとピカチュウ・ロケット団は『AG』『DP』と10年間ほど続投し続け、結果としてサトシ達は国民的アニメに準ずる知名度を得た主人公・キャラクターである。
そのため、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』等のように、世代が違っても「サトシとピカチュウとロケット団」という共通の話題をすることが出来る、「サトシだから」と再びアニメを見るようになるといった効果も狙えるほどになったとファンの反論もある。
キャラクターの人気が出すぎたために、ゲームのような登場人物達の世代交代の機会を失ってしまったのである。
初代を除いた多くのシリーズで「初心者ないし中級者扱いのトレーナー」といったポジションとなっている。
また、『XY』の矢嶋哲生監督は『アニメスタイル010』(2016年12月27日発売)のインタビューにて、「サトシは(この後のシリーズでも活躍し続ける予定のため、簡単に成長を描くわけにもいかず、)成長を描くのが難しかった」と語っている。
例え物語上無理があることではあったとしても主人公交代に失敗し人気の失墜していった作品はよくある話であり、商業的な面において交代をさせる必要性が失われた。
そのため、主人公交代をスタッフの上層部ないしスポンサーがリスキー・不安に感じていることが原因と思われる。
矢嶋監督の発言からも『XY』の時点で、サトシの主人公続投はすでにシリーズの既定路線であったことが窺える。
サトシがリーグ優勝を中々果たせなかった、年を取るといったことがないことも、上層部があくまでターゲット層は幼年層という理由から、サトシをそういった一般の少年のポジション(初期の主人公)から動かしたくないと考えているのかもしれない。
最初の構想
最初のシリーズ構成である首藤剛志氏は、1年半放送予定(長くて4年程度)の元、ストーリーを想定していた。
元々はバトルを極め『ポケモンマスターになる物語』ではなく、『自己存在とは何か』『共存は可能なのか』といったテーマの元に「ポケモンと人間の抗争」「ロケット団の3人組を見本とする人間とポケモンの共存」を描き、そして『子供が成長し、大人の世界を歩む』ような話にしたいという思いから「最後はポケモン達のいる夢の世界を卒業し、他者との共存を志し現実世界を歩みだすサトシ」という物語を構想していた。
アニメ無印の「ディグダ」回・ロケット団のニャースの過去回、劇場版の『ミュウツーの逆襲』など、いくつかの話はそれらの伏線の名残でもあり、最終回に深くつながるはずだったらしい。
しかしこのプロットは元々これまでの首藤氏の経験からアニメの最悪の事態(打ち切り)も踏まえたものであり、ポケモンの人気が予想外の勢いで急上昇したために構想は実現することはなく、サトシとロケット団が長く続投する形となった。
その詳細についてはポケモンの没プロットを参照。
問題点
大人の事情
サトシが少年であり続けることに対して、「新しい世代がターゲットだから少年のままなのは当然」という擁護や作品ごとに挑戦していくスタイルは素晴らしいという評価もあったりするが、そういった挑戦自体はいいものとしても新しい世代・子供をターゲットとしているならば、尚更新しい主人公ではなくサトシで続ける理由もない。
リーグ優勝すらできないことに対して「負けても、続けていくことに意味がある」という擁護もあるが、『DP』等はそんな積み重ねを無視したご都合主義観が強い展開そのものだった。
結局の所、サトシの続投は、『ドラえもん』のような1話完結の作品でもないにもかかわらずキャラを固定しようとし続ける、商業的な大人の都合でしかなくなっていることは否めなかったのである。
終わりが見えない
20年以上続いているアニメ作品は『ドラえもん』の他にもあるが、そのほとんどが『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』『クレヨンしんちゃん』『忍たま乱太郎』『おじゃる丸』と、1話完結で時系列もはっきりしない。それ以前にゲームが原作だとここまで長続きしているアニメはないだろう。
- 漫画にして「ゴルゴ13」は一話完結で時系列ははっきりしない。他にも20年以上連載されている漫画もあるが、「スーパーマリオくん」「でんぢゃらすじーさん」「あさりちゃん」「こち亀」「パタリロ!」など、ギャグ漫画に偏っている。
1話完結ではなく、時系列があるストーリー作品においても、『名探偵コナン』『ONEPIECE』など、原作者の手により現在進行形で原作が描かれ、話が進んでいくことが普通である。
一話完結でない長期シリーズでも、『遊戯王(GX以降)』『デュエル・マスターズ(V以降)』『プリキュア』シリーズ等のように、定期的に登場人物(場合によっては世界観も)が改められる、というのが基本的な流れである。
しかし『アニメポケットモンスター』の場合、ストーリー作品であり、時系列もはっきりしているのにサトシは肉体面も含めて成長させてもらえていない。
ゲームでは一つのクライマックスであるリーグでの四天王との対決さえも、リーグで挑むどころかまともにバトルしたことがわずかであり、シリーズによっては四天王が登場しないことさえ普通にある。
- また、ゲーム通りにストーリーが進んだり、他の手持ちポケモンの進化状況を考えると明らかに進化レベルに達しているのに「なぜ進化しないのか」が説明されない事が多い。
その上、ゲーム原作であるため、原作者のいる上記の作品とも異なり、明確な話のゴールは存在しないことが、「終わりが見えない」という形になって出ており、ファンの不満に繋がることが多い。
そのためか、BWとSMは日常系の演出・ギャグ回を多くしたり、逆にXYでは年齢設定が(一時的に)無くなりサトシが仲間をリードする先輩ポジションに、第7期では1話完結型にする…と近年のシリーズではこの不自然さを和らげようと試みる作劇が取られるようにもなった。
アメコミなどはシリーズ毎にキャラクターや世界観を一新・リファインして新たな物語を描くことで解消しているのに対し、こちらはそういったこともなし・もしくは曖昧なまま続けているのも不自然さの一因といえるだろう。
劇場版シリーズでは『キミにきめた!』 以降の作品で、ようやく“世界観のリセット”が行われるようになった。
ポケモンマスター
サトシの夢のポケモンマスターとは具体的に何なのか、実はほとんど言及されたことがない。
サトシは無印1話にて「最高のポケモントレーナー、いや、ポケモンマスター!」と話しており、初代や『AG』では目指す人がそれなりにいるポピュラーな概念であり、首藤氏の小説版では「それぞれの国はポケモン使いの高位であるポケモンマスターの育成を目指した」旨が書かれている。
が、『DP』頃よりサトシ以外は言わなくなり、映画『フーパ』でもその内容には言及されず。メタ的なことを言えば、「最高のポケモントレーナー」以上には詳しく設定はされていないだろう。
映画『キミに決めた!』や新無印ではサトシの造語という扱いに再定義された。
作中での度々の発言から「最高のポケモントレーナー」であることは分かるが、『ONEPIECE』の「海賊王」や『NARUTO』の「火影」などのような、「○○をすればポケモンマスター」のような明確なゴールラインが存在しない(設定されていない)様子。
ちなみに最初のシリーズ構成首藤剛志氏自身は、前述の『最初の構想』の項の通り、ストーリーのゴールラインを「ポケモンマスター」に設定しておらず、「(前略)となれば、『ポケモン』のエピソードの中に、主人公の本来の目的である、ポケモンを戦わせるポケモン使い(?)の最高位であるポケモンマスターになるという事以外に、何か別の価値観を入れる事が必要となる。」と述べていた。
「サトシがポケモンマスターになり、最強のポケモンとなったピカチュウはポケモン達のリーダーとしてポケモンと人間の対立に巻き込まれる」構想をラストの物語に考えていたため首藤氏自身も、ポケモンマスターについて最高位のトレーナー・ポケモン“使い"程度の認識で、そこまで重点的に考えていなかった様子。
『DP』より構成を引き継いだ冨岡淳広氏自身も度々サトシに「ポケモンマスター」を発言させていたが、具体的な内容は語っていなかった。
初代や『AG』ではサトシ以外にもポケモンマスターを目指す人物が登場していたが、映画『キミにきめた!』や第7期では、周囲の人物が聞いたこともない造語?として扱われている。
第7期では「ポケモンバトルで最強を目指す」ことを夢に掲げ、今まで曖昧だった「サトシの目指すポケモンマスターとはどのような存在か」に一定の方向性が与えられた。
シリーズ最終章となる『めざせポケモンマスター』では、「ポケモンマスター」という夢に一定の答えが出されると発表。
実際に最終回でサトシの考えるポケモンマスターの定義が明らかになった。
日常回のワンパターン化(〜『DP』)
『無印』において、シリーズ構成首藤剛志氏が考え出したロケット団の存在とその人気により、首藤氏にとっても予想外であった(首藤氏はロケット団を単なる三枚目にしたいとは考えていなかった)が日常回が完成された形になってしまった。
具体的には、
- サトシ達がゲストキャラと出会う
- ゲストキャラないしサトシ達が自分の問題と向き合う
- ロケット団が妄想したり貧乏生活に向き合いながら作戦を練る(AG・DPに多い)
- ロケット団が来襲。交戦し、苦戦しながらも自らを成長させて撃破する
この形が完成され過ぎたこと、放送が長期間であったこと、シリーズ構成が無印後半から『AG』まで不在であり話の軸が立てづらかったこと、登場人物のうちサトシ・ピカチュウ・ロケット団は固定されていたこともあってか、結果として『DP』まで日常回はワンパターン化しており、これが使われないのは時折あるバトル回かロケット団主役回、悪の組織対決回程度だった。
その反省を生かしてか『BW』ではロケット団がシリアス化してレギュラーから外れ日常回に幅が出るようになったり、『XY』ではスポットをキャラクターの成長に当ててロケット団の出番を若干減らしたり、『SM』では従来の旅からポケモンスクールを主軸にした学園ものに変えて日常回の幅をいっそう広げる、『新無印』は1話完結方針にする等、以降はワンパターン化しないように変更している。
主人公交代の試み
前述の「理由」の通り、長期化により続投となったサトシだが、今まで主人公交代の試みはなかったのかというとそれらしきものは過去に一度あった。
- またこれらでは「ピカチュウ」がその他大勢として扱われている。本来はその他大勢にする予定だった故かもしれないが。
2001年12月30日には『ポケットモンスタークリスタル ライコウ雷の伝説』というスペシャルが放送。
世界観はアニメ本編と共通ながらも、金・銀・クリスタルVerの主人公を元にしたケンタが主役。
ケンタはジョウト御三家の最終進化系のバクフーンを相棒として使う・ムコニャではないロケット団がシリアスな悪役として登場する等、アニメ本編とは趣を変えた試みがなされたものの、満足する結果にならなかったのか主人公を変えた大規模なスペシャルはスピンオフや世界観が違うものを除いて殆ど行っていない。
他にも、世界観はアニメ本編と共通しているスピンオフ企画には『ポケモンサイドストーリー』、映画『神速のゲノセクト_ミュウツー覚醒』の序章となるバージルが主役のスピンオフ『覚醒への序章』があるが、こちらは単なるゲストキャラ・レギュラーに焦点をあてた番外編か映画の宣伝を兼ねたもの。
『ポケットモンスターXY』では、アランを主人公として、時系列が同じの『最強メガシンカ』という特別篇が度々行われたが、こちらは本編で扱いづらいメガシンカについて重点的に取り上げたもの。
本編『ポケットモンスターXY&Z』での前日談ともなっており、アランは本編でサトシ達とバトルしたり共闘している。
世界観が異なる作品としては、ゲームのストーリーをアニメ化した『ポケットモンスターTHE_ORIGIN』『Pokémon Generations』が作られている。
第7期ではダブル主人公のゴウを新しく据え大きくスポットを当てられている。
上記のように、第7期終了をもってサトシは主人公を引退、2023年4月からの新シリーズ『ポケットモンスター』では新主人公としてリコとロイが起用され、放送27年目にして遂に主人公が交代することになった。
歴代作品
主人公が変わらずとも、いずれの作品も従来にはない様々な試みがなされてきた。
そのため、当然ではあるが作品開始当初は賛否両論であることも多い。
『DP』までは過去のシリーズとのつながりも強く、過去のレギュラー・ゲストの再登場なども普通にあったが、『BW』以降、過去のシリーズとのつながりは薄くなっていく傾向が強い(逆を言えば昔のシリーズを知らなくても独立して楽しめるようになっているという事もできる)。
…だったのだが、現行の第7期はリサーチフェローやポケモンワールドチャンピオンシップスといった要素のためか過去作シリーズからの再登場人物が多くSNSやまとめサイトの反応は当然ながら大きかった。
無印
サトシが初めて旅に出た作品。
当初のサトシの性格は、今における「バトル大好き人間」といった無邪気かつただ純粋な性格ではなく、シニカルな面やロケット団と共謀することなどもあった。
これはシリーズ構成の首藤剛志氏の趣向が強かったためといえ、首藤剛志氏の小説『ポケットモンスター The Animation』では「かつてはいじめられっ子」だったという設定であった。
高い実力を持つサトシのリザードンは、リザードに進化してから中々言うことを聞かないながらも、オレンジ諸島編にてサトシの献身により心を開いて指示に従うようになり、ジョウト編ではリザードンでナナコを圧倒するなどその強さを見せていた。
その後134話「リザードンのたに!またあうひまで!!」(脚本:首藤剛志)にて鍛え直しのためにサトシの手持ちから離脱。
前述のようにその強さゆえに作劇におけるバランスブレイカーになることを危惧されたためと言われることも多いが、首藤氏は生前この件に触れたことがないため真相は不明。
以降リザードンは劇場版やジョウトリーグ戦等、いざという時のサトシの助っ人・切札として時折再登場した。
アドバンスジェネレーション(AG)
ヒロインがカスミからハルカに交代。
今では当たり前になった作品ごとにおけるサトシのヒロインの交代だが、当時はカスミのみがレギュラーから外れるということもあり、一部のファンの間ではカスミ派とハルカ派で過激な論争が繰り広げられた。
このシリーズから、サトシはピカチュウのみ連れて旅立つようになり、連れているポケモンは常に一から育て上げるようになっている。
ピカチュウも、序盤で新技『アイアンテール』、バトルフロンティア編では『ボルテッカー』を習得する(代わりに以前から使っていた『かみなり』等は忘れた)など成長し活躍していた。
リーグでは優勝しなかったが、逆に前述のとおりバトルフロンティア編では全ての施設を制覇した。
ダイヤモンド&パール(DP)
新しいヒロインヒカリがサトシとのダブル主人公という形で登場。
放送前の番宣ポスターにはヒカリのみでサトシは影も形もないなんていうある意味恒例の予告もあった。
前述のように約4年という長期の放送・ジム戦とリーグのみの展開ということもあり、日常回がワンパターン化した一面もあったが、シンジ達ライバルとの相克を通してのサトシ・ヒカリの成長物語としての全体的な作品の評価も高い。
ちなみにサトシが新たな地方に旅立つ際、ピカチュウのみ連れて行ってたが、エイパムが付いてきて二匹で最初に旅立つ事になる等、今までになかった試みがあった。
しかし、本筋への評価が高い今作であったが、前述のとおり、リーグではタクトに敗北。
試合内容自体は「サトシが幻のポケモン2体を打ち破る」というサトシの強さを裏付けるものではあったが、今までで一番成長したサトシへの期待も大きかっただけに「サトシを優勝させないためだけのキャラクター」が登場したことに対しての失望は大きかった。
しかも、今作ではアニメオリジナル要素として、リーグ優勝者同士による「チャンピオンリーグ」という設定が出ている。
わざわざ「リーグは頂点ではない」という設定を作ったにもかかわらず、サトシはタクトに敗北し、結局チャンピオンリーグは詳細不明な上に以降の作品でも触れられず、形骸化した設定となっている。
チャンピオンリーグの設定などからもタクトの登場は唐突に決めさせられたことが窺える。
また、映画『超克の時空へ』公開時のエンディングでは「ホウオウとルギアが対決する」という映像であった。
当時2体の登場するリメイク作『HGSS』があったとはいえ、サトシにとって意味深いホウオウの登場が検討されていた様子。
しかし、次回作はそのどちらも登場しない『幻影の覇者』。
サトシは結局、ここで続投されることが決められてしまったようである。
今作で、長年連れ添ったサトシの無印時代からの兄貴分だったタケシはポケモンドクターを目指す事になりレギュラーから外れた。
このシリーズ以降は、タケシポジションとなる、「ポケモンに詳しい」「料理が作れる」といったキャラが旅メンバーに入るようになった。
シリーズ構成に無印から参加していた冨岡淳広氏が着任し、全191話中62話担当するという気合の入れ具合であった。
ちなみにこのシリーズでアニポケは10周年を迎えた。
ベストウイッシュ(BW)
「サトシリセット」の代名詞として取り上げられることが多い作品。
ゲーム版の原点回帰にならってか、アニメにおいてもヒロイン、旅メンバーが一新される。
新ヒロインはアイリス、今までのタケシポジションはデントとなった。
一方で旅仲間がどちらも(ゲームでの)ジムリーダーであり、過去作でハルカやヒカリが担っていたポケモンシリーズの解説の為に必要な新人トレーナー役をサトシが担当する形になっている事から色々と無理が生じている。
放送前の番宣ポスターにはアイリス、デントのみでサトシとピカチュウは影も形もない形のものもあったため、主人公交代の噂も囁かれた。
キャラクターデザインが変わり、サトシの外見が、目が茶色で瞳が丸っこく、頭身は小さくなる等と大きく変更された。
ちなみに目が茶色と言う設定自体は無印から存在しており、劇場版やOPなどのアップで確認できる。
容姿の変更に加え、知識がリセットされた(例:直前のシリーズのシンオウリーグで受けたはずのくろいまなざしを初めて受けたかのような反応等)ような描かれ方をされたり、初回で起きた出来事が、ゼクロムから電撃を受けたせいでピカチュウが電気技を使えなくなり、それもあってやたら傲慢な新人トレーナーにボロ負けし馬鹿にされる、ポケモンを弱らせて捕まえることを忘れているといった有様であった。
ちなみにピカチュウも変更点があり、AGのバトルフロンティア編で覚えた『ボルテッカー』はストーリー途中で忘れ、代わりにBW編から新技『エレキボール』を取得した。
(通り魔的であるが)1話で伝説ポケモンゼクロムをサトシが目撃する・仲間がゲームのジムリーダーである・サトシのゲットするイッシュ御三家の来歴など、前述のことに加えて製作側は無印への原点回帰を狙ったようであるが、サトシのリセット感は否めず、判断ミスの結果対戦相手に敗れることが多く、アイリスもサトシを「子供ね~」と小馬鹿にするなど、サトシのベテランさを真っ向から否定するような内容はお世辞にも評判が良くなかった。
またワンパターン化していたロケット団を、衣装の色の変更やシリアスで有能なキャラクターにするといった試みも行われたが、『AG』『DP』から長く連れ添った手持ちのソーナンスやハブネーク達をロケット団本部に預け(サカキの秘書によると「イッシュに生息していないポケモンは目立つ」という理由からその手持ちも送ってもらえず、イッシュ地方で現地のポケモンを捕まえている、以降『XY』で復帰したソーナンス以外は出番なし)、いつもの様に「やな感じ」と吹っ飛んでいかなくなった等、『DP』からの何の前触れもない唐突すぎる変化ゆえにファンの間では賛否両論だった。
この唐突なシリアス化はラジオ『ロケット団ひみつ帝国』でもネタにされた。
更に不幸は重なり、シリーズとしても初めて、(それまでのシリーズは扱いが小さかった)悪の組織との対決を初めて話の中核に持ってきた、スタッフの肝いりだったであろう23・24話(予定)『ロケット団VSプラズマ団!』が、東日本大震災により放送延期となり、その後の原発事故の影響を鑑みた結果、放送されることなくお蔵入りとなってしまった。
これまでも災害によりお蔵入りになった話はいくつかあったが、本筋に関わるものは今回が初めてであり、大幅な路線変更を迫られて本筋は迷走してしまい(ロケット団のシリアス状態が継続されるなど)、結局、『ベストウイッシュ2 エピソードN』までプラズマ団は登場しなかった。
作中でのサトシのポケモンについても、サトシが多くのポケモンをゲットする形で冒険の楽しさを描くことを試み、後のサン&ムーンのような日常系アニメを作る方向をとった。
ロケット団がシリアスな悪者になったことであまり登場しなくなり、サトシと野生ポケモンの触れ合いや、知り合ったポケモントレーナーと交流する話など日常回のワンパターン化の脱却が試みられた。
一方、手持ちのポケモンが多くなりすぎたためにその扱いに差があり、加えてサトシのイッシュ御三家をはじめ、進化している個体は少ないどころか、最終進化したポケモンはハハコモリ、ワルビアル、ケンホロウのみ。
なお、御三家がほぼ進化しなかったのは、グッズなど商業展開でアチャモ・ポッチャマといった可愛らしい進化前の方が人気が高いという事情もある可能性がある(近年の例として、2016年に発売した「ポケモンSM」のアローラ御三家のモクローグッズが人気を博したことなど)
ジム戦も、ジムリーダーの責務を自分の都合優先で放棄したフウロや、ガマガルだけで勝負を決めるつもりだったカミツレ戦のサトシの作戦のずさんさなど、お世辞にも評判がよくないものが多い。
リーグ戦だが、ツタージャはシューティーとの差別化の為かそのまま、ポカブはスワマとの決別の意味を込めてチャオブーに進化したにも拘らずベルとの差別化でそこ止まり、そしてミジュマルに至っては御三家の中で最初に仲間になって最も活躍し、他のライバルがそれ系統を所有していないにも拘らず、ダイケンキどころかフタチマルにさえ進化させてもらえないという極端なまでの不遇ぶり(ゼニガメやワニノコのような先例はあるが、前者はサトシのほかの手持ちの御三家が最終進化している)で、他のライバルに比べてサトシの実力が中途半端に見えてしまう感が否めなかった。
「ハイドロポンプ覚えたんだから進化できるレベルには到達している筈」などの意見もあるが、おそらく「ミジュマルが進化したらネタ枠がやりづらくなるから」と言ったような理由があるからと思われる。
挙句に最後のコテツ戦は低レベルな試合内容になっており、どう考えても実力が下としか思えないコテツ(ポケモンの能力だけは高いが、トレーナーとしての未熟さが目立ち、リーグに必要な手持ちを五体と勘違いしたまま出場する)にサトシは敗北を迎えてしまい、戦績はシンオウリーグよりも下の8位と、リセットが目立ったまま終わってしまう(さらに、以前に出会ったメロエッタと交わしたポケモンリーグを優勝する約束までも破ってしまうことに・・・)。
しかもそのコテツは次の試合で自暴自棄になる形で、チャンピオンに輝くバージルに完全敗北を喫している。「こんな奴に敗北したのか」と思われてしまうような投げやりな展開であった。
せめて優勝できなくてもバージルとの対戦まではサトシに勝ち残って欲しかったと思うファンは少なくないだろう。
前作の要素に加え色々と新しいことを行うも試行錯誤の連続であり、前作までのつながりがほとんどなかった『BW』とは対照的に、結局『ベストウイッシュ2』ではヒカリとシロナが10話近く再登場、サトシのリザードンが復帰するなど旧作ファンを呼び戻す方向をとったり、ポケットモンスターXYのパンジーの先行登場による新作の宣伝が行われた。
批判されることが多いシリーズだが、ロケット団のテンプレート展開を外し日常回の幅を広めたことは後の作品にもつながっている。
また、サトシの性格自体に関してはシューティーに馬鹿にされても怒らない、ニャースが作戦で自分達をだまし同行したことに対して「ニャースとの旅は楽しかった」とニャースに語るなど、後の『XY』にも繋がる落ち着いた面も見られた。
構成の冨岡淳広氏は前作とは打って変わって全142話中22話しか担当しなかったなど、リセット・震災による路線変更といった方針に対する影響が見られた。
XYシリーズ
前作への批判が多かったものの、新監督の意向で前作の要素を引き継ぎ、改善が加えられる展開となった。
まず、人物面はほぼ前作から引き継ぎながらより落ち着いており、キャラデザインの方は若干髪型が変更され、もみ上げがあるが目が茶色と前作のキャラデザインも引き継ぐことになった。
ポケモンバトルについても、相性だけでなくポケモンの特徴やフィールドを生かした戦術、直感・ひらめき、ポケモンと一体となって戦うスタイルに改善し、メガシンカをピカチュウで破るほどの潜在能力を見せている。
このように手持ちポケモンも巧みに使いこなしたり、初めて旅の一行のリーダー格であったり、さらに初の後輩型ライバルの登場によりこれまで「チャレンジャー」であったサトシが初めて追い抜かれる恐怖と焦りを経験してそれを乗り越えて最終的にメガシンカ相当のサトシゲッコウガをエースとするなど、歴代最強のサトシと言っても過言ではない。
実際、手持ちのポケモンはピカチュウと進化形のないルチャブルを除きリーグまでに最終進化を遂げている。
ジム戦の相手もねむりごなやらメガシンカやらいたずらごころやら強敵ぞろい。
しかも手持ちのポケモンが、対戦でよく使われるファイアローやファンから600族と呼ばれるポケモンもいることから「今作のサトシは結構ガチなんだ」と言われることも。
これらについて、雑誌『アニメスタイル010』での矢嶋監督へのインタビューでは、『XY』の裏テーマのひとつが「サトシをかっこよくみせる」事だったと語っている。
というのも、矢嶋監督が以前携わった『BW2』のPVに対するインターネットの反応で「サトシじゃなくてこっちの主人公で(アニメ)やれよ」というものが多く、それを残念に思った監督は『XY』でサトシをかっこよく描くことを決意したため。
最終的にカロスリーグでは、初の準優勝という結果に終わった。
しかし、度重なる優勝できない結果への不満の声も大きく、放送直後のテレビ東京YouTubeチャンネルで配信された次回予告(現在は非公開)に低評価が5万以上つく、公式ツイッターが炎上状態などの事態も発生することとなった(数回のバトルで一度も破ったことのない歴代ライバルはDPのヒカリのライバル・ノゾミが知られているが、サトシが数回のバトルで一度も破ったことのないライバルはアランが初であった)。
余談だが、公式サイトで公開されていたPVではサトシゲッコウガが巨大水手裏剣を投げるシーンで黒いオーラ染みたエフェクトが掛かっていたが、本放送時にはそのエフェクトが削除されていた。理由は不明。
なお、オレンジ色の巨大水手裏剣について、矢嶋監督は「膨大なエネルギーによって熱せられ、沸騰した水手裏剣をイメージしました。ショータ戦よりも強く、進化し続けるサトシとゲッコウガのパワーを表現したものでした。」と述べている。
主な批判は上記のカロスリーグ決勝等くらいで、ジムのシトロン戦とリーグ戦をはじめ、作画全体も非常にハイクオリティで評価は高い。
また、サトシゲッコウガは「今作のポケモン達で冒険させたい」「その上でポケモンの成長を表現したい」という監督の意向を受けたゲームフリーク側がメガシンカポケモンに代わるものとして提案した。
冨岡氏は全140+4話(+特別篇2話)中36話を担当。
そして初代から参加し『DP』以降シリーズ構成を務めてきた冨岡氏が、現時点でポケモンで構成を務めた最後の作品となった。
サン&ムーン
本シリーズでアニポケは20周年を迎えた。
作画方式の変化により、作品全体の動きが躍動感あるものになった一方、キャラクターデザインが大幅に変更。
サトシ自身も、目つきも従来のサトシと比べ小さくなり、頬のN(Z?)も大きめに描かれている、太眉等、外見が丸っこくなり、顔つきや外見が10歳前後の幼い雰囲気のものに戻った。
そして、今までのシリーズではグローブを着用していたが、今作では着用していない。
しかもズボンも今までの作品に比べてやや短くなっている。
放送前の番宣ポスターにはZワザと思われるポーズもピカチュウと共に披露。
サトシの容姿・性格の変更などは冨安大貴監督の意向であり、アニメージュ2016年12月号のインタビューによれば「10歳の少年らしさを押し出したい」とのこと。
松本梨香氏は、2016年10月26日ラゾーナ川崎で行われた松本梨香×佐香智久スペシャルコラボイベントにて、サン&ムーンのサトシについて「マサラタウンを旅立って数ヶ所の町に寄った後にアローラへ渡航して学校に通い始めたイメージで演じている」と語った。
放送終了後のアニメディア2019年12月号での松本梨香氏へのインタビューでは、「S&Mでは、XYのときよりもう少し年齢を下げたイメージで演じてほしいと演技指導があった」と松本氏が明かしている。
アニメディア2017年8月号にて、赤緑発売時からのファンでもあった冨安監督は「見た目こそ今までと少し違いますが、これまでの冒険があったからこその少年として描いているつもりです。そして僕らがポケモンを好きになったときのような経験を、今の子どもたちにしてもらいたいと思い、SMのアニメを作っています。」とのこと。
監督としては同一人物のつもりであるが、XYの「ポケモンと共に成長したサトシを描く」、S&Mの「ポケモンらしさを描く・かつて自分がポケモンを好きになったときの経験を伝えたい」というスタンスの違いが、『ベストウイッシュ』同様に上記のような違いとなって出ている様子。
しかし、『BW』以上に比較にならないレベルのあまりのサトシの変化にはやはり賛否両論で、当然デザインや記憶リセットの不安など反響はすさまじく、サトシ役の声優松本梨香氏がわざわざツイッターでこの変化をフォローするほどだった。
本作では、歴代シリーズで初めて学校に通うことになり、冒険の旅をしないという大きな路線変更がなされている。作劇においても、メインキャラクターの数が大幅に増える一方でサトシのみに焦点を当てることも非常に多くなり、以前の歴代の最終回を除いてメインヒロインが登場しない回が製作されるなど、ストーリー展開の幅が広がった。
性格面においては、外見の変更を初めとして監督の考え通り、小学生としての10歳児相応のものとなっており、大きく表情が崩れたりすることも多い(考え事をしたり、早起きをするだけで周囲に驚かれるほど)。
一方で、詰めの甘いところが多いながらも、ポケモンに対する優しさの他、目上の人間にはある程度の礼儀は弁え、特訓の成果を発揮させてバトルし、負けた際は潔くそれを認めるのみならず次の手を考えるなど『BW』『XY』と同じ。
実力に関しては、発動にはポケモンとの強い絆が必要とされるZワザの発動をZクリスタルが砕けるも第2話で早くも成功させたうえにバトルの勝率は高めに描かれ上述のとおりリーグ初優勝を果たした。
シリーズ構成は、松井亜弥に交代。
参加脚本家も、冨岡淳広や面出明美などは残った一方で、XYまで脚本を支えてきた古参であった武上純希・大橋志吉・藤田伸三・園田英樹氏などは今作に参加せず、新たに関根アユミや藤咲淳一らが加わるなど、かなりの変化があった。
2019年9月に新シリーズの告知がされたため約3年の放送で終わる事になるが1回も映画化がされなかった初のシリーズとなった(これは原点回帰を狙う映画シリーズが新たに始まったためであり、テレビシリーズの視聴率の低下云々とは別段関係がないということに注意)。
ポケットモンスター(アニポケ第7シリーズ)
タイトルが、『ポケットモンスター』に原点回帰。
『ポケットモンスター ソード・シールド』の舞台となるガラル地方のほか、今までゲームに登場したすべての地方を舞台とすることが発表。
スタッフはそのまま多くが続投し、S&Mの冨安大貴監督は総監督に着任。
シリーズ構成は、無印から参加してきた米村正二が担当、赤尾でこや吉田玲子なども脚本に参加した。
DP以来となる、サトシと新キャラクター「ゴウ」のダブル主人公体制。
ゴウがクールな雰囲気を漂わせる容姿に対してサトシはS&Mより肌露出が増え更に幼い見た目になった。また、ゴウが「すべてのポケモンをゲットする」を夢にするのに対してサトシは「ポケモンバトルで最強を目指す」ことを夢にしているという住み分けがされていて、今まで曖昧だった「サトシの目指すポケモンマスターとはどのような存在か」に一定の方向性が与えられた。
序盤でこれまでのトロフィーが部屋に飾られているシーンが映るなど、スタッフ側は世界観のリセットなどではなく“続編”であることを明示。
サトシのバトルの実力については『サン&ムーン』に引き続き安定。
それどころか、今まで遠く及ばないと思われていた四天王やチャンピオン格にも真っ向勝負で勝利する程(流石に辛勝だが)となり、WCSのランキングバトル形式ではあるが世界レベルの戦歴を上げる等、今まで培った経歴に見合う描写が増えてきた(コルニも「どこまで強くなるのよ」と感動するシーンがある)。
また、マスターズエイトになったあたりから番組側や劇中の大会関係者からは「アローラリーグ初代チャンピオン」という肩書きで紹介されることが多くなり、アローラを代表してマスターズトーナメントに出場していること、他の地方のチャンピオンと遜色ない実力を持っている描写が強くなった(ちなみにその経歴はハイパークラスまではほとんど取り沙汰されていなかった)。
極め付けはハンデがあったとはいえ、WCSランキング第1位のダンデにまで勝利し実質世界最強の座を手に入れるまでとなってしまった。
マサラタウンを中心に全地方を舞台に於いているが、サトシのピカチュウ、バリヤード以外の過去の所持ポケモンやケンジといった過去キャラクターを出す予定は無いとされていた。しかし、シゲルやヒカリなど徐々に出てくるようになっており、最終的に『めざせポケモンマスター』を含めばサトシの旅仲間はほぼ全員が登場した。
アニメディア2019年12月号のインタビューによると、時勢の変化を受けて基本的に1話完結でいく方針とのこと。
放送枠が金曜日に移動してからも概ね方針は変わっていないが、連続ストーリーも時折盛り込まれるようになる。
本シリーズも『サン&ムーン』同様に劇場版作品は製作されていない。
映画
キミにきめた!
劇場版ポケットモンスター20周年記念作品。
アニメ1話をベースにしたリメイク作品。
ムック本などでの湯山監督曰く、企画当初には「例年通りサン&ムーンの映画」と「サトシの歴代の仲間集合のオールスター映画」という二つの案も浮上していたが、後者については「作品によって、サトシと仲間の立ち位置が弟分だったりリーダー格だったりと違う」といった事情があり、最終的に原点の再確認ということで今作に至ったとのこと。
関連イラスト
関連タグ
ポケットモンスターSPECIAL…ポケモンの公式派生作品の一つ。同じ長期作品だが、サトシリセットとは対照的に、エピソードが進むと共に主人公達の年齢やトレーナーとしての成長がしっかり反映されており、章を跨いでもリセットされないどころか後輩(次章以降の主人公等)にアドバイスをおくることもある。
バディファイト…小学生低学年向けのTCGアニメ。主人公は同じながら、新シリーズ毎に周囲のキャラが変わったり成長がリセットされる似たスタイルを取っていた。最終的に、4.5期のオールスターファイト編を最後に、主人公の息子の代へと世代交代することになった。