概要
CV:渡部猛
地球連邦軍中将。58歳。
ガンダム開発計画総責任者であり、アルビオン隊にとって数少ない理解者。連邦軍の少数派に属し、エギーユ・デラーズの『星の屑作戦』にできる限りの対応を行った。
人格者であるためか、あるいは叩き上げの軍人であるためか、兵達からの求心力は高い人物とされており、このこともあってジーン・コリニーら保守派の人間との折り合いは悪かった。
結果、策略により騒動の全責任を被せられてしまい、少将に降格した。その後に失脚したあおりで、後ろ盾を無くしたアルビオン艦長のエイパー・シナプスは銃殺刑に処せられてしまう。
当時の地球連邦軍内における改革派最大勢力だった彼が失脚してしまったため、対抗相手のいなくなった保守派が勢いを増し、ジャミトフ・ハイマンらが台頭。一か月後にはティターンズが結成され、ジオン軍残党や反連邦勢力の武力弾圧を開始。後にグリプス戦役へと繋がることになる。その後、彼の名前が歴史上に上がることはほとんどなくなってしまった。
一年戦争時は少将として連邦軍最高幕僚会議の一角にあり、派閥を持つほど影響力は強かった。もっともバスク・オムのような危険人物を自派閥に置くなど、人を見る目や政治能力は微妙という評価もある。もっとも彼には裏切られてしまったのであるが。
ガンダム開発計画の責任者として
抑止力としてガンダム試作2号機を核弾頭搭載機として作らせたのは彼である。突っ込まれやすいが「あれは使ってはならん兵器」と称しているのもあくまで牽制を目的として用意したものだからで、お前が言うなと脊髄反射的に感じてしまうのはやむを得ないところがあるが抑止や牽制を意図したものであることを考えれば自然な台詞である。
この抑止力自体がいささか過剰という指摘も多いが、相手は人類の半数を死滅させた+一年戦争開始時は平気で核兵器で連邦に対抗していたジオンである。わざわざガンダムにしているのも同機がスペースノイドの畏怖の象徴的存在となっていることを利用しているからであり、二重の抑止力、あるいは強い牽制としての意図があるのは明白である。
ソーラー・システムを保有している連邦には無用と思うかもしれないが、劇中でも見ての通りソーラー・システムは展開に時間がかかるし、万が一残党が地球に潜伏していたら使うことができない。どこであろうと圧倒的武力で鎮圧する準備がある、ということを強く示すのは地球連邦軍目線からすれば過剰と一言で評価するのは早計である。実際、デラーズの南極条約という批判も同条約が戦時限定であることを考えれば詭弁に過ぎない。
では本当に適切だったかというとそう言い切れないのもまた事実である。しかし結局元レビルと後釜として継いだ人物とはいえ、彼の立場で核兵器搭載のMSを一人だけで強行した、あるいはできたとは考えにくいし、少なくとも他派閥の了承なくして、個人でこのような決定を下せる立場にはない。つまり地球連邦も圧倒的な抑止力の保有自体には必ずしも反対一辺倒ではなかったということである。
…ただし、そうは言っても開発責任者は彼である。よってこれだけ目的がはっきりとしておきながら、管理指示等には大きな問題がある。過剰とも言われる抑止力に批判の目が向きがちだが、最も突っ込むべきはトリントン基地の士気の低さを認識していなかったことで、そうでなくともマーネリに強い警戒と警備の徹底を指示するべきであった。普通に考えれば流石に基本的な忠告くらいはしていたのだろうが、危機意識の共有が不足していたのはあっさり強奪された点からも明らかである。核弾頭保有基地という重要拠点でありながらあの警備意識の低さはガンダムの試験関係なくどの道論外なことは間違いなく、これが強奪の原因となってしまった。ただし劇中のオービルの発言を鵜呑みにするのであれば、戦勝者である連邦の意識低下は、一般兵レベルであればどこも似たりよったりであった、ということは付け加えておく必要がある。(つまりコーウェン以外であっても似たことは起きていた可能性は高いし、それどころか仕事に厳しい彼ですらまとめあげられていないレベルの組織腐敗、として強調しすぎた結果でもある)
劇中では終始正攻法で追い詰めようとするが、シナプスもそうだが、彼もまた連邦高官の中では数少ない常識人であったからこそ、逆に腐敗していく連邦との現状認識に差が生まれてしまい、それらが裏目に出てしまった人物と言えよう。
だが核弾頭を奪われて大被害をこうむったことは確かであり、運用責任者としていずれ何かしらの責任取ることになることは避けられなかっただろう。本人もそれを意識してか否か、終始自身の保身よりも核弾頭による被害が出ることを避ける動きを見せており、発射後もコロニー落としの遂行阻止に尽力しており、彼なりに挽回を意図せず、単に責任を取るために奮戦していたことが見て取れる。
派生作品
「機動戦士ガンダム戦記」
ゲームでは技術少将という立場だった。何故か知らないが周りに美女が集まっていたらしく、マット・ヒーリィに羨ましかったら生き残れとアドバイスしたらしい。
スーパーロボット大戦シリーズ
主人公部隊やブレックス・フォーラの上司として登場することがある。ただ登場回数は少なく、第4次スーパーロボット大戦では物語途中で消息不明になるなど扱いは悪く、戦闘に参加するわけでもないので音声もない。
エゥーゴのリーダーであるブレックスの上司なのでそのままロンド・ベルの総指揮官として登場する事も(実際、エゥーゴから人員がそのまま来るするはずなので総指揮官がそのままでも問題はない)。
ギレンの野望シリーズ
初代から皆勤賞。そして、コーウェンが最も活躍するゲームといっても過言ではない。
レビル本編ではどのシナリオでも最初から使用可能。そして忠誠度が設けられているジオン独立戦争記を除いてレビルがどのような進め方をしても離脱しない。
能力値はというと戦闘方面は射撃を中心にそれなりにまとまっている艦長キャラといったところだが、指揮と魅力がSクラスで双方ともに15以上を超えるという方面司令官として申し分ない。
階級がより高いキャラがいると低めのキャラの指揮や魅力補正を上書きしてしまうというこのゲームのシステムでも、コーウェンほどの逸材なら上書きされて補正が下がるのは第二部アリのシナリオのブライト・ノアとクワトロ・バジーナとパプテマス・シロッコぐらいしかいないのでほとんど問題にならないであろう。ブライトとクワトロは合流が遅れるし、更にクワトロはアクシズの脅威以降は逆襲するし。
無論、ブライトが未熟で階級が低いしシャアが味方にならない第一部の一年戦争編では、そういった心配なしに方面司令官として辣腕ぶりを発揮してくれる。本作はペガサス級強襲揚陸艦及びその発展型のホワイトベースが一年戦争記には無双レベルの強さを誇るのでそれなりに戦闘能力のあるコーウェンのランク上げも割と容易い。
また、原作では部下のシナプスと違い明確に抹殺された描写がないためか『アクシズの脅威』シリーズではブレックス・フォーラ率いるエゥーゴシナリオでLAW寄りにゲームを進めることで加勢してくれる(「そもそもジャミトフからしたら政敵なのでエゥーゴの発足時にいても違和感はないだろ」とは言ってはいけない)。
ブレックスシナリオはベストエンドを目指すと原作キャラほぼ全員が任務で長期間使用不可になるため、アライメント条件で加入するキャラへの比重が大きくなる。
その中でもコーウェンは階級も指揮能力も申し分ないため即戦力級の方面司令官として非常に頼りになるだろう。あえて気になる点をあげるなら、総大将のブレックスと階級が同じになりやすくその場合は名前が早いほうの指揮能力を参照するため、近すぎるとブレックスの指揮範囲を食ってしまうことぐらいだが、そもそも指揮官としての総合力はブレックスよりもコーウェンのほうが高く、総大将の存在感を食ってしまうことぐらいしかない。
LAWプレイはベストエンドに向かうための最低条件なので、そういった点でも非常に頼りになる。
やはりエゥーゴの真の総指揮官は伊達ではなかった…。