概要
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する強襲揚陸艦「ホワイトベース」、又は同型艦が属する艦種の総称。地球連邦軍が建造した中で初のMS運用能力を持つ艦であるのが特徴。
元々は連邦軍の宇宙戦闘機「セイバーフィッシュ」の運用空母となる予定だったが、ジオン公国軍のMSの圧倒的な性能を重くみた連邦軍上層部は新型MS開発プロジェクトである「V作戦」を極秘裏に発動。それに連動するように、本艦はそのV作戦で開発されたMSを運用するようにコンセプトが変更される。
特に2番艦の「ホワイトベース」は一年戦争で「ニュータイプ部隊」と噂される程の輝かしい戦績を挙げ、一躍伝説級の艦艇として有名になる。
一説では、2番艦であるホワイトベースが神憑り的な活躍をした事や、ホワイトベースが1番艦「ペガサス」より先に就役した事などから、これらの艦種名を「ホワイトベース級」と呼ぶ場合もある。
建造された同型艦
1番艦 ペガサス
模型企画『MSV』等に登場。
ペガサス級の最初期艦。外見上はほとんど2番艦のホワイトベースとは違いは無いが、ゲーム作品の『ギレンの野望』等では色や性能に変化がみられる場合もある。
性能はホワイトベースと比較すると低い傾向にあり、これは最初期艦という背景を反映しての事と思われる。
建造開始はホワイトベースよりも前だが、完成はホワイトベースより遅れている。一年戦争では戦線に投入された模様であるが、目立った戦果も無くその後の消息も不明。なお、後に艦名はアーガマ級2番艦「ペガサスⅢ」に受け継がれている。
2番艦 ホワイトベース
『機動戦士ガンダム』等に登場。
ペガサス級の代名詞ともいえる存在。一年戦争ではRXシリーズの運用艦として地球と宇宙の各戦線を転戦し劇的な戦果を挙げた。
ペガサス級特有の外見からジオン軍ではコードネームとして「木馬」と呼ばれていた。
本来の艦長はパオロ・カシアス中佐だがサイド7での戦闘で負傷(TV版ではその後死亡、劇場版では死亡せず、ルナツーで下艦)。後釜として士官候補生だったブライト・ノア少尉が艦長職に就く。サイド7遭遇戦の後は正規クルーの多くが戦死し、艦の運用を乗り合わせた民間人らが代行するという異例な状態でありながらルナツー、ニューヤーク、ジャブロー、ベルファスト、オデッサ、ソロモン、ア・バオア・クー等の重要な戦線へ参加し、大きな戦果を挙げる。
一年戦争末期、「星一号作戦」でア・バオア・クーへ侵攻するも戦闘のさなか(『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』ではシャア・アズナブルの駆るジオングによる集中砲火)でエンジンブロックに被弾しア・バオア・クー内部に座礁。クルーらは艦内に立て籠もり抵抗したが、アムロ・レイの「声」に導かれスペースランチで脱出。その直後、ホワイトベースはア・バオア・クー内部の弾薬庫の爆発に巻き込まれ爆沈した。
地球連邦軍勝利の立役者となった本艦は後にガンダム同様「勝利の象徴」という意味合いを持つようになり、後年にも本艦のコンセプトを踏襲した艦が開発されている。
3番艦 ホワイトベースjr.(ホワイトベースⅡ)
『MSV』、漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』等に登場。
一年戦争中は慣熟訓練を行うのみで実戦には参加しなかったとされるが、建造中にジャブロー攻略作戦に巻き込まれ、船台上から「修羅の双星」等のジオン軍部隊へ応戦を加えたともいわれる。
戦後はサイド3駐留艦隊に所属し、デラーズ・フリート追撃に参加するも、MS部隊の壊滅を受け撤退している。また、終戦直後の一時期には旧ホワイトベース隊の人員によって運用されていたという。
設定の原型は小説版『機動戦士ガンダム』に登場したホワイトベース級2番艦「ペガサスジュニア」であり、こちらはテキサスコロニー付近で撃沈された1番艦「ペガサス」(アニメ版のホワイトベースに相当)から乗員を引き継ぎ、チェンバロ作戦(小説版ではソロモンではなくア・バオア・クー攻略作戦)等に参加。戦争を生き延びている。
4番艦 サラブレッド
『MSV』、ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…』『機動戦士ガンダム戦記』等に登場。
元々はペガサス級強襲揚陸艦4番艦として設計予定だったが、本艦を隠密機動戦を主眼にした仕様にシフトした事で、艦種は「改ペガサス級(又はサラブレッド級)」に変更された。そのため本艦は厳密には「ペガサス級」には分類されない(ペガサス級準同型艦と称される事もある)。
本艦はミノフスキー粒子を一定区画に散布し、擬似的なジャマーフィールドを形成する事で敵に気取られずに撃破する戦法を得意とした。
一年戦争ではキルスティン・ロンバート大佐が艦長を勤め、第16独立戦隊旗艦として配備。ガンダム4号機とガンダム5号機、ガンキャノン隊を擁し作戦に従事している。終戦直前にはジオン公国首相ダルシア・バハロ首相の護衛を受け持っている。
戦後はジオン軍残党の1つであるインビジブル・ナイツ隊が悲願とする「水天の涙」作戦を阻止すべく独立遊撃部隊ファントムスイープ隊の母艦として作戦を行った
5番艦 グレイファントム
アニメ『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』等に登場。
一年戦争末期のサイド6に駐留していた。ホワイトベースと比較するとかなりシャープに洗練されたデザインであり、より実戦向けに改修されている。サラブレッドと同じくこちらも「改ペガサス級」に属する。
ジム・スナイパーⅡや量産型ガンキャノン等を配備しているMS部隊、通称「スカーレット隊」を持つが、サイド6に潜入したケンプファーとの戦闘でスカーレット隊は壊滅している。
戦後はU.C.0083の連邦艦隊観艦式に参列し、その後ガンダム試作2号機による核攻撃で轟沈したとの未確認情報もある。一方で実は撃沈を免れており、経緯は不明だが本艦の残骸が地上のジオン残党軍の拠点として機能しているとする情報もある。
5番艦 ブランリヴァル
アトラクション『GUNDAM_THE_RIDE』、ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』、漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』等に登場。
こちらは「ペガサス級強襲揚陸艦」に分類される艦。作品により「ブランディバル」とするものもある。一見ホワイトベースに酷似しているが、メガ粒子砲の位置や細部が異なる。艦載機としてガンダム6号機が配備されており、ジオン軍の部隊である「闇夜のフェンリル隊」と度々交戦している。
ブランリヴァルとは「白い対抗馬」という意味であり、ホワイトベースの改修艦に相当すると思われる。
ジャブローに停泊していた所を前述の「闇夜のフェンリル隊」による襲撃を受け損傷。大破までは行かなかったが修理に時間が掛かり、チェンバロ作戦には参加出来なかった。
星一号作戦では戦線に加わったものの目立った活躍こそ無かったが、敵襲を受けて沈んだフジ級輸送艦(サラミス改フジ級輸送艦)スルガから脱出した避難民の乗ったランチを回収・保護した。この時搭載していた機体はG-3ガンダム、ジムスナイパーⅡ、量産型ガンキャノン。
U.C.0089にはゴップ議長の思惑によりイングリット0と彼女専用に近代化改修されたヘビーガンダム、ナイトイェーガー隊隊長のヴァースキ大尉、その部下のカワセ、バレンスタインら専用にジェガン用パーツ等を継ぎ接ぎして改修されたジム・ナイトシーカーⅡが配備されている。
なお、本艦の艦長であるココノエ大佐は自身の言葉から一年戦争より本艦の艦長を務めている事が分かり、ガンダム6号機についても知っている模様。
5番艦 トロイホース
『MSV』に登場。
こちらも「改ペガサス級」に属する艦で、ハンガーデッキの拡張や主砲の撤廃などが行われている。
星一号作戦に参加こそしたが、戦闘に加わること無く物資輸送の任などについていた。
なお、『機動戦士ガンダム0080』の企画段階では、上述のグレイファントムの艦名が「トロイホース」とされる予定だったため、両者が混同・同一視される事がある。
6番艦 スタリオン
『MSV』『機動戦士ガンダム0083』等に登場。
一年戦争時に建造が開始された艦であるが、ジャブローに寄港したホワイトベースの修理に充てられたため、一時建造中止になっていた。戦後に建造が再開し、コンペイトウでの観艦式に参列するも核攻撃で轟沈した模様。
なお、『MSV』の時点では艦名は未定とされ設定されていなかった。
7番艦 アルビオン
『機動戦士ガンダム0083』等に登場。
初期のペガサス級とはかなりデザインが異なり、様々な改修を受けている。ほぼ新規設計の新造戦艦であり、ガンダム試作1号機、ガンダム試作2号機をトリントン基地へ搬入した。
その後、2号機が強奪された事でエイパー・シナプス大佐が指揮を執り追撃に向かう。
後に「デラーズ紛争」と呼ばれる紛争の幕開けから終結までを戦い抜いた戦艦であり、その後は一連の連邦の不祥事を隠匿する為に廃艦処分になった、もしくはティターンズへ配備されたともいわれる。
他作品のペガサス級
スパルタン
漫画・アニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場するペガサス級強襲揚陸艦。船籍番号は不明。
艦長はビンセント・パイク大佐。
後述する作戦に際し、連邦軍統合参謀本部よりモニカ・ハンフリー大佐も同乗する。
一年戦争末期にフルアーマーガンダム、ムーア同胞団艦隊を単機で殲滅したサイコ・ザクの復活を目論むジオン残党軍と南洋同盟らの「サイコ・ザク」の復活阻止、及び彼らが保有する全ての大量破壊兵器を連邦の管理下に置く作戦、コードネーム「サンダーボルト作戦」の遂行の為に建造された。
配備するMSには陸戦型ガンダム、や水中型ボールなど多機種を配備し、「サンダーボルト作戦」への切り札であるアトラスガンダムが配備されている。
配属された人員には一年戦争を開戦から終戦までを経験したベテランも多く、ビアンカ・カーライル少尉はア・バオア・クー戦にて乗機のジムでビグロを含む計8機を撃墜している。
艦内の設備は最新鋭の物を取り揃えており、バーやライブ会場などの娯楽施設も設けられている上に教会まである。イオやビアンカ等の音楽経験者はよく非番にライブに参加し演奏している。
本艦特有の機構として変形システムが採用されており、大気圏突入形態と巡航及び本格戦闘を前提にした巡航飛行形態(別称フォートレスモード)がある。
更にMSカタパルト上部には計4つの小型可変揚陸艇が配備されており、周辺警戒と索敵に利用されている。この揚陸艇にもある程度のMS運用設備があり、有事の際にはMSによる迎撃も可能。
これら揚陸艇をスパルタン両舷に配置、更に上空に偵察機を据える事でスパルタンのほぼ全周囲に警戒態勢を維持する事が可能となる。
南洋同盟の本拠地であるタール火山を襲撃するも、ダリル・ローレンツの駆るサイコ・ザクMk-Ⅱによりブリッジを叩き潰され、艦首をヒートホークでズタズタに切り刻まれた事が原因で大破。乗員の7割が戦死し、放棄された残骸は無人となった火山基地に墜落し核爆発を起こして島ごと消滅した。
トリビューン
漫画『アウターガンダム』に登場。連邦軍第七艦隊旗艦。
グレイファントムと同型の改ペガサス級だが、作中では「ペガサス級戦闘空母」と呼ばれている。
指揮官としてJ・T・アルハイム准将が座乗しているが、彼が艦長なのか艦隊司令なのかは不明。
来るべき星一号作戦のための艦隊集結を妨害するジオン軍部隊と交戦しており、その後はソロモン攻略戦に参加している。なお、その途上でホワイトベース隊と邂逅し、僅かな時間ではあったが後述のゼファーガンダムと、RX-78-2ガンダムが敬礼を交わすというシーンが描かれた。
「ファントムシステム」によるAI制御の試作機であるゼファーガンダムが配備されており、開発元であるUAI社の人員もファントムシステムの調整を行う為に乗艦していた。
ゼファーはソロモン戦の際に失われている。
ペガサスベース
ガンプラ(組み立て式玩具)「元祖SDガンダム」で設定された機体。
ペガサス級をダウンサイジングしたかのような形状のガンダム(RX-78-2)の支援メカ。「木馬型ベース“ペガサス”」とも呼ばれる。
ガンダム用に開発された増加ウェポンシステムを取り付ける事も可能で、パーフェクトガンダムの物を装着した「パーフェクトペガサス」やフルアーマーガンダムの物を装着した「フルアーマーペガサス」等の形態がある。