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オッタル

おったる

北欧神話に登場する男性。女神フレイヤの愛人である若者と、カワウソに化ける漁師の逸話がある。ラノベのキャラクターについては『オッタル(ダンまち)』を参照。
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曖昧さ回避編集

  1. 北欧神話に登場する男性。本項にて解説。
  2. ライトノベル『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のキャラクター。⇒ オッタル(ダンまち)

概要編集

オッタル(Ottar)は北欧神話や英雄譚を集成する『古エッダ』に登場する男性。

『エッダ』は元は13世紀アイスランドの詩人スノッリによる詩学書の名だが、1643年に発見された写本が編纂者を誤認され『セームンドのエッダ』と呼ばれたことから、前者を『新エッダ』、後者を『古エッダ』として区別するようになった。

19世紀以降には、アイスランドの学者セームンドは『古エッダ』とは無関係だとされている。


『古エッダ』でのオッタルは、『ヒュンドラの歌』では女神フレイヤの愛人である若者として、『レギンの歌』ではカワウソに化ける漁師として、別人がそれぞれの逸話に登場している。


ヒュンドラの歌編集

オッタルは短絡的で猪突猛進する人間の若者だが、愛の女神フレイヤの数多の愛人のうちの一人であり、彼女がこよなく愛する相手として語られる。


あらすじ編集

インステインとフレーディースの息子であるオッタルは、アンガンチュールと言い争いになり、連綿と続く先祖の名を交互に暗唱する賭けに挑むはめになる。

後先を考えずにオッタルが自身の全財産を賭けてしまったために、フレイヤから万事手助けをされる。


オッタルはフレイヤによって金毛の猪に姿を変えられ、アンガンチュールに打ち勝つのに必要な『記憶の麦酒』を得るべく、彼女の指図で知識と記憶の達士たる女巨人ヒュンドラの住む洞穴へと赴く。

フレイヤはあの手この手でヒュンドラを丸め込み、オッタルの膨大な家系を語らせる。

ヒュンドラからは度々「愚かなオッタル」と揶揄されるものの、後述の『レギンの歌』と関わりの深い英雄シグルズも一族に連なっていることなど、仔細にオッタルの血筋を列挙していく。

ところが恋多きフレイヤが気に食わないヒュンドラが記憶の麦酒だけはオッタルに渡すのを拒んだせいで、小馬鹿にされたフレイヤはヒュンドラに炎を放って思い知らせてしまう。

そうして記憶の麦酒を手に入れると、フレイヤはオッタルを祝福するようにアースガルズの神々に加護を乞う。


フレイヤが騎乗する猪のヒルディスヴィーニ(またはヒルディスヴィーン)が、しばしばオッタルの変身した姿とされるのは、上述の猪がオッタルだと見破ったヒュンドラに偽りの名前を教えたことに由来する。

また、同じくヒュンドラとの会話の中で、オッタルを指して『夫』という言葉が使われることから、フレイヤの夫オーズの別名として捉える説もあるが、一方でオーズは神族だとされており両者には相違も見られる。

オーズに関してはフレイヤの伴侶であること以外、詳細は明らかになっていない。


レギンの歌編集

『レギンの歌』は英雄シグルズの生涯を歌う詩篇の一つで、その冒頭にフレイズマルの次男オト(Otr)が登場する。和訳によっては『r』が省略されず、オートル、オッテル、オッタルなどと表記される。

父のフレイズマルもフレイドマール、後述する兄のファーヴニルファフニール等の別表記があるが、いずれも音写の際に生じる差異や読み方の言語の違いによるもので、特に正誤はない。

『古エッダ』と『新エッダ』では、同一人物の名称の綴りに相違も生じている。


あらすじ編集

名うての漁師であるオトは日中カワウソに化けて漁をしており、いつものように滝で取り立ての鮭を食していると、そこへ世界を旅する途中のオーディンヘーニルロキの一行が通りかかる。

カワウソが仮の姿だとは知らないロキに投石されて、オトは呆気なく命を落とす。

なお古ノルド語ではオトは水に棲む生き物、すなわちカワウソを意味する名である。


これ以降に生前のオトの描写はないが、神々が宿を借りた先の主人フレイズマルが、礼にと差し出されたカワウソの正体は我が子だと告げたため、思わぬ事態に発展していく。

怒りに駆られたフレイズマルは、長男のファーヴニルと三男のレギンに来訪者を捕らえるよう命じる。

実は魔術が使えるフレイズマルには、神々の力を封じて拘束するのも容易かった。

しかしオーディンに交渉されて、強欲なフレイズマルは息子の仇を討つよりも、大量の黄金で賠償を払わせる手を思いつく。

剥いだカワウソの皮の中をすべて満たし、外側もすっかり覆い尽くせるほどの黄金。ロキがそれを持ち帰るまでは、オーディンとヘーニルが人質となることが決まった。

やがてロキは約束どおりの黄金を携えて戻るが、フレイズマルに渡されたのは小人族のアンドヴァリから奪った品であり、その中には恨みを呪いに変えて込めた腕輪(または指輪)も含まれていた。

持ち主に破滅をもたらすとアンドヴァリの呪詛がかけられた腕輪によって、フレイズマルと息子たちは次々と身を滅ぼしてしまう。


この『レギンの歌』の顛末は『ファーヴニルの歌』へと続いていく。これらは中世ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』と共通の題材となっている。

スノッリの著作『エッダ』の第二部『詩語法』(または『詩人のことば』)にも、『レギンの歌』と同じ大要の詩篇がある。


関連タグ編集

北欧神話 フレイヤ

ファフニール シグルド

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