概要
沖縄で伝承されるマジムンの一種で、ウワーグワーマジムンやウアーグアーマジムンなどとも表記される。
夜道に現われる豚の変化したマジムンで、これに股をくぐられると魂(マブイ)を取られて死んでしまうとされる。
また沖縄では、夜の野で男女が三線を演奏するなどして遊ぶ「毛遊び(もうあしび)」というものがあり、そこに見慣れぬ者が飛び入りで参加してきたときに、「ウワーンタ、グーグーンタ(豚武太、グーグー武太)」と囃すと逃げ出す者は豚のマジムンなのだという。
豚が怪異として扱われるのは、中国文化の影響が大きかった琉球王国では豚肉を消費する伝統が古くからあり、歴史的に本州よりも早い段階で豚が飼育されていたために身近な存在であったからだといわれる。
なお沖縄本島だけでは無く周辺の島々にも豚の怪異がいくつもおり、ユナワ(夜の豚)やジーワーワ(地豚)、奄美諸島の肉体的欠損があるミンキラウワ(耳無豚)、カタキラウワ(片耳豚)、ムィティチゴロ(片目豚)、ザヒモン/チリモヌといった股下を潜られた者は、やはり死ぬか腑抜けになるものが伝わっている。(ハギキラウヮークヮのように四肢が無いが無害なものもいる。)
余談
股下を潜られると死ぬという伝承は、豚の先祖であるイノシシや雄豚の口から生える牙(近代の養豚では子豚の時に切除する)が、ちょうど天敵である人間の股下にある太い血管を貫き切断するように進化しているためで、多くの者が犠牲になったという経験則の影響があると考察される。