概要
シチマジムンとも呼ばれる沖縄県や奄美大島の喜界島の伝承に伝わる妖怪。
難産で死んだ女性の幽霊、あるいは妖怪化した存在だといわれており、その姿は天と地を繋ぐような黒い円柱、または姿形の見えない雲や風、あるいはぼんやりとした霊体のようなものといわれている。
琉球における最も恐ろしい魔物ともいわれており、天まで届いたり地面いっぱいに広がったりする得体のしれない存在である為、出会ったら最後、絶体に逃げることは不可能とされ、道の辻に潜み、人に取り憑いて道に迷わし、時には数十kmも離れた所まで歩かせたり、出会った人物に赤飯と白飯を選ばせる振る舞いをして、赤飯を選んだ者には赤土を、白飯を選んだものには海岸の波の飛沫しぶきを食らわせるとされる。
また、走ると風のように水面を駆け回り、隙間さえあれば板戸の穴のような小さな隙間からも家の中に侵入できるとされ、山道を1人で歩いているときに出現して道いっぱいに広がり先へと進めなくさせたり、人に危害を加えない代わりに墓穴に数週間閉じ込めてしまう場合もあるという。
夜道を歩く際に櫛を髪に挿して歩いたり、筵を持って歩いているとシチに連れ去られるともいわれており、もしもシチに出会ったら、男は褌を外して鉢巻をし、女性の場合は腰巻や袴を頭に被るか打ち振れば被害を受けることは無いとされ、もしもそのようなものがない場合は地面に伏して草木に明け方の鶏が鳴くまで待っていれば自然に離れて行くといわれている。