童謡
ヘイヨーヘイヨーヘイヨーヘイ
ヘイヨーヘイヨー 泣かんど
大村御殿(うふむらうどぅん)ぬ 角(かどぅ)なかい
耳切坊主(みみちりぼーじ)ぬ 立っちょんど
幾人幾人(いくたいいくたい) 立っちょがや
三人四人(みっちゃいゆったい) 立っちょんど
鎌(イラナ)ん小刀(シーグ)ん 持(む)っちょんど
泣ちゅる童(わらべ) 耳グスグス
へイヨーへイヨー 泣かんど
へイヨーへイヨー 泣かんど
概要
琉球の昔話や童謡で唄われる悪霊。
手には鎌や小刀などの刃物を持っている。泣きやまない子がいると刃物で「耳ぐすぐす(耳を切り取って)」してしまうという。
生前は肌が黒いために黒金座主(クルガニザーシ)と呼ばれる高僧であったが、妖術を使って女を惑わし犯していた。
それを知った尚貞王により、北谷(チャタン)王子が誅殺するように命ぜられる。黒金座主は福耳を、北谷王子は士族である証の髷を賭け、囲碁で勝負をすることになった。
勝負は王子が優勢だったので、黒金座主は得意の妖術を使って眠らせようとしたが、何故か王子には効かず(王子が舌に針を刺して妖術対策をしていたという話もある)に、宝刀治金丸で耳を切り落とされた。
黒金座主はその時の傷が元で死に、悪霊となって王子の一族に祟りをなしたため、大村御殿には何代も跡継ぎの男子が生まれなかったといわれる。
そのためか沖縄では、男の子が生まれると耳が狙われるといわれ、どちらが生まれても「ウフーイナグ(大きな女の子)の生まれたんどオ」と唄う風習ができたという。
余談
- 18世紀初頭、実際にあった政争が元になった昔話であるともいわれる。
- モデルとなったといわれる盛海上人が無実の罪で殺された可能性も指摘されており、歴史学的には、薩摩侵攻による煽りを受けて財政難を被った王国と仏教勢力の確執があったともされている。
- 真実は不明であるが、童謡で怨霊が3体から4体も登場するのは、坊主だけではなく共に殺された小坊主たちがいたのではないかとも考えられている。
- この凄惨な話が歌われる童謡は、沖縄の子供たちにとってトラウマであるという。
- 2000年には同名のロックバンドが結成されている。