概要
日本では佐渡島に次ぐ大きさを持つ島で、また人口でも離島の中では沖縄本島についで多い。鹿児島県奄美群島の主島である。行政区分的には奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町の各自治体から構成される。
主要産業等
サトウキビやパイナップルなどの農業、マグロ、 カツオ、タコなどの漁業、大島紬や黒糖焼酎醸造などの製造業が盛ん。黒糖焼酎に関しては奄美群島でしか生産できない特産品である。
また、マングローブ林などの豊かな自然や亜熱帯の美しい海、飛行機でいけるアクセスの良さから観光業も盛んで、ダイビング、サーフィン、ホエールウォッチングで訪れる人も多い。
歴史と文化
出土品には、九州産や瀬戸内海産と見られる土器が出ており、また九州の各地からも奄美産と思われる土器が出ていることから、日本本土とは、弥生時代から交易があったと思われる。
10世紀頃、日本本土では女真族や新羅などの海賊が日本沿岸を荒らしていた記録があるが、その記録の中に「南蛮賊」「奄美島人」の記述があり、奄美の海賊も同時期に日本の沿岸を襲撃していたとの説がある。これら南蛮の海賊を討伐する命令が、太宰府から「貴駕島」に発せられている。「貴駕島」は喜界島の事であり、喜界島は当時からすでに、奄美の他の島と違って、日本の支配領域になっていたと思われる。
奄美群島は中世には琉球王国に支配されていたことがあり、一方で平家の落人伝説が残るなど、日本本土との交流も続いていた。また、17世紀の薩摩藩による琉球侵攻が起こると、奄美大島を含む奄美群島は、一部を除いて薩摩の直轄地となった。こういった歴史的経緯から琉球文化と薩摩文化が交錯する。
第二次世界大戦の末期には、奄美にもアメリカ軍の上陸の可能性があったことから、大勢が本土に疎開した。奄美群島への連合国軍上陸は無かったものの、終戦後はアメリカの統治下に置かれた。奄美ではアメリカの占領直後から、激しい日本復帰運動が盛んに行われ、1950年に選挙で選ばれた知事も、日本復帰を公約とした中江実孝である。
これに不満を感じたアメリカ軍は、奄美政府の権限を縮小し、さらにアメリカは戦争で疲弊した沖縄本島の復興を優先して資本を集中させ、奄美は後回しにされたことから、食糧不足が発生。奄美諸島の住民は日本復帰運動を激化させ、日本復帰を願う署名運動では、小学生まで含め、住民の98%が署名した。この激しさに、アメリカは奄美支配を諦め、サンフランシスコ講和条約の発効と同時に、奄美は日本施政下に復帰した。
三線の演奏でうたわれる島唄など、沖縄に似ているようでいてまた異なる、独自の文化が息づいている。ちなみに「島唄」は、本来は沖縄民謡ではなく奄美民謡を指すのだが、沖縄音階を使ったTHE BOOMの同名の曲がヒットしてから両者が混同されることが多くなっている。また、沖縄の島唄に明るい雰囲気があるのに対し、奄美の島唄は長く他国に支配されてきた歴史からかどこか物悲しいメロディである。
交通
本土との交通機関はフェリーと飛行機になる。
フェリー
マルエーフェリーとマリックスラインがそれぞれ隔日交代で鹿児島港から奄美群島の各港を経由して那覇港まで運航。
飛行機
鹿児島、那覇、福岡、伊丹、関空、羽田、成田の各都市へ1日1便以上往復で運航している。
また、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島と群島内の各空港へも運航。
そのため、奄美空港は離島空港であるにもかかわらずお盆や正月に大変混雑する空港である。
海上タクシー
最南端の瀬戸内町、古仁屋港からは加計呂麻島、請島、与路島へのフェリーの他、海上タクシーも運航している。
ご当地ナンバー
自動車ナンバーは奄美群島については鹿児島ナンバーから独立し、奄美ナンバーが用いられている。対象者が日本で一番少ないレアナンバーである。
ゆるキャラ
奄美市のゆるキャラとして「コクトくん」というかわいらしいアマミノクロウサギをモチーフにしたキャラクターがいる。「黒糖+黒兎」が名前の由来。
しかし、このコクトくん、公式で黒すぎる設定を持っている。
奄美大島では観光客が車で黒兎をひき逃げしてしまう事故があとを立たない。そのため、コクトくんも車に引かれて重傷を負っており、身に付けている白い服のようなものは実は包帯である。
観光の際は奄美の自然への配慮をどうぞよろしくお願いいたします。
観光地
- 北部は田中一村記念美術館。
- 中部は「奄美海洋展示館」という小さな水族館。
- 南部は「ほのほし海岸」。砂浜の石が丸く、不思議な音が出る。
イベント
- 船漕ぎ大会
奄美大島夏の最大イベント。島内の企業や行政がそれぞれチームを作り、船でレースを行う。
チームは地元の企業や学校等が圧倒的に強く、島外から来ている人が多い行政機関(ハローワークや税務署など)や大企業の奄美支所のチームなどは非常に弱い。このことを、実況に野次られる。もう一度言うが、観客ではなく実況に野次られる。実況の口の悪さが目立つ大会として、ある種の風物詩になっている。イモトアヤコが番組の企画で参加したこともある。
生態系
最も有名なアマミノクロウサギなどの固有種が存在する事で知られる。
また、意外と海獣との関連性も強く、過去には世界のジュゴンの分布の北限でもあり、ミナミハンドウイルカが種として登録された場所であり、絶滅寸前とされるセミクジラの近代における東シナ海でのすべての記録が奄美大島に由来している。
固有種
世界遺産への登録
登録申請と見送り
2018年、世界自然遺産登録を目指していた奄美大島・徳之島・沖縄本島北部であるが、残念ながら延期の勧告が為されて18年中の登録は断念せざるを得なくなった。
いくつかの問題が指摘されているが、中でも地域が分断され過ぎているという点は頷かざるを得ない。奄美・徳之島に加えて沖縄を入れるとすれば、その間にある沖永良部島と与論島が不自然に飛んでいるようにも見える。
次回の登録が認められるよういっそうの整備が進み、また島民も自ら魅力を発信していけるようにしたい。
一年越しの登録勧告
環境省は10日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が世界自然遺産への登録を勧告したと発表した。7月に開かれる同委員会で正式決定される見通しである。奄美大島独自の自然環境を守るためにも、環境破壊につながらない観光客の受け入れが大事であろう。奄美大島には是非とも自然と上手く共存し、発展していって欲しい。
そして遂に…7月26日に登録された。
伝承
その他
人口は7万人ほど。規模の小さな離島のイメージがあるが、特に中心部である名瀬の屋仁川通は意外と都会的であり、鹿児島県下では天文館通に次ぐ第二の繁華街とも言われる。
また、ファミリーマート、モスバーガー、TSUTAYA、GEO、AEON(元ダイエーの最南端店舗)など全国チェーンの支店が普通に存在。残念ながら閉店してしまったが、以前はケンタッキーフライドチキンやゴーゴーカレーもあった。カラオケや映画館などの娯楽施設も一通り揃っている。税務署やハローワークなどの国の機関、県の出先もあり、単なる観光地ではなく、住む場所として生活に不自由することはほとんどないと思われる。