概要
CO(NH₂)₂と表される有機化合物。カルバミドとも言う。
無色無臭の水溶性結晶で、毒性は低い。
毒性の強いアンモニアを弱毒化するために尿素回路(オルニチン回路)によって作られる物質で、哺乳類や両生類の尿に含まれている。
加熱すると分解しアンモニア、ビウレット、シアヌル酸に変わる。
世界で初めて無機化合物から合成された有機化合物としても有名。(フリードリヒ・ヴェーラーによる。)
アンモニアと二酸化炭素を原料として120℃、150気圧以上で合成する。
2NH₃ + CO₂ → CO(NH₂)₂ + H₂O
用途
保湿クリーム・肥料などとして広く使われており、ホルムアルデヒドと反応させることで尿素樹脂も得られる。水と混ぜると吸熱効果が現れるので、保冷剤にも使われている。
またディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置に尿素水を用いるものがある。日産ディーゼルがトラック向けに実用化した尿素SCRシステムがそれで、尿素をディーゼルエンジンの排熱で分解し、放出されるアンモニアガスと排気中に含まれる窒素酸化物を化学反応させ、水と窒素に還元させている。