概要
炭水化物(たんすいかぶつ)は単糖を構成成分とする有機化合物の総称。
栄養学では炭水化物から人間の消化酵素で分解できない食物繊維を除いたものを糖質(とうしつ)と呼んでいる。
天然に存在する有機化合物の中で量が最も多く、多くの生物(人間も含む)にとって重要な栄養素であり、たんぱく質、脂肪と共に「三大栄養素」と呼ばれている。
色々な炭水化物
デンプン➡ (C6H10O5)n
多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子化合物で、植物が光合成によって体内に貯蔵する。
グリコーゲン➡ (C6H10O5)n
多数のα-D-グルコース(ブドウ糖)分子がグリコシド結合によって重合し、枝分かれの非常に多い構造になった高分子。動物が貯蔵する多糖で「動物デンプン」とも呼ばれる。
グルコース➡ C6H12O6
血糖として動物の血液中を循環している単純な糖(単糖)でブドウ糖とも呼ばれる。
フルクトース➡ C6H12O6
蜂蜜やフルーツなどに含まれる単糖で、グルコースの異性体。果糖とも呼ばれる。天然に存在する糖の中で最も甘く、最も多く水に溶ける。
ラクトース➡ C12H22O11
ガラクトースとグルコースが結合した二糖類。乳糖とも呼ばれ、哺乳類の母乳に含まれている。
セルロース➡ (C6H10O5)n
多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然に存在する高分子(ベータグルカン)で、天然の植物質の1/3を占め地球上で最も多く存在する炭水化物。多くの人が「食物繊維」と聞いて思い浮かべるのはセルロースであろう。
人間のエネルギー源としての炭水化物
主要なエネルギー源ではあるが、過剰な炭水化物の摂取はインスリンの大量分泌による血糖値の乱高下を引き起こして低血糖症の原因となり、更に低血糖症は精神の不安定や情緒不安難度の精神面での不調の引き金となる。(いわゆる「糖質を取り過ぎるとイライラしてキレやすくなる」というのはこれのこと)
また、主に小麦や米などの穀物においてはその他の栄養素が脱穀の過程でほとんどが取り除かれているため糖質の純度が高く、必然的に血糖値の乱高下も引き起こしやすくなる。更にこうした精製された炭水化物は、エネルギーとして消費する過程で大量のビタミンを消費するため、おかずや野菜をきちんとあわせてとらないと、栄養失調の原因となる。
いくら主要なエネルギーであっても摂取の仕方がまずければ体にとって害になるのは、炭水化物に限らず他の栄養にも言えることである。どのようなものをどのように食べるのかがよいのかをきちんと学び、理解した上で、食を心から楽しむ姿勢も交えた健康的な食生活を満喫しよう。
食べてはいけないのではなく、食べ過ぎが良くないのである。