概要
四川料理(川菜)は、山東料理(北京料理を含む、魯菜)、広東料理(粤菜)、江蘇料理(上海料理を含む、蘇菜)とともに、中国四大料理(中国四大菜系)の一つとされる。
その最大の特徴は唐辛子と花椒(山椒の近縁種)を多用した「麻辣」が際立つ味付けにある。かつては辛い料理になじみのなかった上海市などでも四川料理店が軒を並べるようになり、近年の中国で最も支持を集めている料理である。ただし、伝統的な四川料理には辛くない料理も少なくはない。
代表的な四川料理
日本における四川料理の父「陳建民」
現在でこそ非常に多彩なバリエーションが知られている中華料理ではあるが、陳建民が日本に来るまでは、日本における中華料理は、華僑が持ち込んだ福建省・広東省の料理(長崎・横浜・神戸の中華街の中華料理は、この系統)や東北部(満洲)由来の東北系に偏っていた(九州など一部地域では、台湾経由で入ってきた福建系の料理もよく食べられていたが)。しかし、陳建民がNHKの料理番組で「麻婆豆腐」を紹介したことで状況は一変。四川料理が一気に広まる形となった。
また、陳建民が日本における中華料理に与えた影響は数多く、中でも回鍋肉にピーマンを入れるようになったのは、陳建民が日本で思いついたアイディアである。また、本場の四川料理の辛さは日本人には馴染みにくい事を考慮してトマトケチャップを使う発想でエビチリを編み出したのも彼である。
アメリカ風中華料理
元は四川料理であるとされる青椒肉絲は、広東風の味付けになって現在に至る。
インド・中東での中華料理
インドや中東での中華料理店(と言っても現地向けにローカライズされたもの)のメニューの中には「四川風」が語源と思われる「シュエズワン○○」(例:シェズワン・フィッシュ→魚のフライ・四川風ソース)という料理が有る。ただし、地域にもよるが、唐辛子の辛味は強いが、四川料理の特徴である花椒由来の麻味(しびれる辛味)は少ない。
チベット・ネパール料理
中華料理とインド料理の両方の影響を受けているため、チキンチリのような四川料理風のメニューも存在する。