概要
巨大不明生物の上陸とそれによる多大な被害を目の当たりにした日本政府は、来るべき再上陸に備えるために内閣官房副長官・矢口蘭堂に命じて対策本部を設置する。矢口は、盟友の保守第一党政調副会長・泉修一の協力を得て各省庁から様々な分野のエキスパートを集結させ、巨大不明生物特設災害対策本部を編成した。
かくして集結した面々は“首を斜めに振らない”と形容される骨太の連中……といえば聞こえはいいが、その実はそもそも出世に無縁な霞ヶ関のはぐれ者、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児など、ドがつくほどの曲者揃いであった。
しかし、彼らは上下関係も所属も関係ない一つ屋根の下に集うことで各々のポテンシャルを最大限に発揮し、やがて巨大不明生物=ゴジラから日本を守る中心的存在となっていく。
曲者同士を集めると懸念されるのが内部での対立であるが、劇中では特に衝突する様子はなかった。
(唯一、安田が尾頭に『冗談ポイ』と言ったが、尾頭が正しかったことが分かると自分から詫びている)
劇中では、僅かなサンプルと牧悟郎の残したデータからゴジラの体内原子炉器官の冷却システムの原理を早い段階で理解し、そのシステムを強制停止させることがゴジラを倒せる手段であるとの結論に至った。
他にも国内外のコネを総動員し、
・ゴジラの生体組織の解析
・ゴジラの原子炉停止に必要な薬剤の生産とその輸送手配
・ゴジラへの薬剤投与=ヤシオリ作戦実行に必要な重機集め(ホイールローダ、高圧ポンプ車など)の確保
といった作業を進めたのも、彼らである。
なお、東京におけるゴジラの暴走により、この組織の人員にも大きな被害が出た。立川予備施設で再集合した時には、総数の半分近くにまで減っている(下記の主要メンバーはほぼ無事だったが)。
そして、最終作戦時は立川予備施設からの中継で作戦の成否を見守った。
(矢口など一部は前線指揮に出ている)
構成員
初期メンバー
演:長谷川博己
内閣官房副長官 兼 巨大不明生物特設災害対策本部事務局長。後に内閣府特命担当大臣。
巨災対のリーダーとして皆をまとめる。
「諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう。」
演:津田寛治
厚生労働省医政局研究開発振興課長。
霞ヶ関の逸れ者。サブリーダー的存在として皆に発破をかける。
「では、仕事にかかろう。」
演:高良健吾
内閣官房副長官秘書官(防衛省)。
元々矢口の部下で、彼のサポートを務めたほか、独自のコネで牧教授の情報を集めた。
理系の専門知識はないはずだが、重要なブレイクスルーのヒントになった発言も。
「水と空気があれば生きていけるって、霞を食ってる仙人みたいだ…」
演:市川実日子
環境省自然環境局野生生物課課長補佐。一匹狼。
無口で無愛想。会話する時も、他人と目をほとんど合わせない。口を開けば、捲し立てるような早口で喋る。冷静にゴジラを分析する。
「ゴジラより怖いのは、私たち人間ね。」
演:野間口徹
資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長。変わり者。
所管官庁らしく、ゴジラのエネルギー源に着目していた。
「立川です」
演:高橋一生
文部科学省研究振興局基礎研究振興課長。オタク。
ゴジラ分析に奔走する。
「冗談ポイですよ、尾頭さん。」
演:三輪江一
外務省統合外交政策局局長。問題児。
外交裏情報を一見不真面目な口調でサラッとばらす。
「間に合いますか!?」
演:小松利昌
国土交通省危機管理監・運輸安全政策審議官。鼻つまみ者。
「竹尾でーす」
演:谷口翔太
官邸内統幕運用第一課長。厄介者。
「具体的な方法は朝霞で立案します。」
演:塚本晋也
国立城北大学大学院生物圏科学研究科准教授。学界の異端児。
肩掛けタオルがトレードマークの初老の男性。
生物学者ならではの見識でゴジラの生態を探る。
「冷えてないんだ…」
途中からの合流メンバー
演:黒田大輔
原子力規制庁監視情報課長。最初は矢口の問い合わせに応じて東京のモニタリングポストに放射線異常があることを報告。その後赤坂にゴジラから検出された物質に未知の放射性同位体が存在する事を報告。その後はすんなりと巨災対の一員に収まっていた。
「ごごでづがう゛ん゛でずがぁ゛!」
演:吉田ウーロン太
経済産業省製造産業局局長。
ゴジラ打倒のため、作戦の下準備に追われる。
電話の先の相手に頭を下げる。
「フランスはどうだ?原子力推進国だ。ゴジラの体内原子炉には興味津々だと思う!」
上記の他にも多数の構成員が存在しており、それぞれの分野で活躍する。
#巨災対の日常
Twitter上で流行しているハッシュタグ。
劇中では不眠不休の勢いで一つの目的のために総力を注ぐ姿しか見られなかった巨災対にも、画面外ではちょっとした息抜きの時間があったのではないか……という着想から、転じて『シン・ゴジラ』登場人物のプライベートにまつわる妄想ネタ全般を扱うタグとなった。
カヨコと交流する尾頭、尾頭の意外な一面を目の当たりにして悶絶する安田など、比較的尾頭と安田に絡めたネタが多い傾向にある。
商業的な影響
本組織はいわゆる「防衛軍」の類ですらなく、あくまで自衛隊等の既存の部隊にを中心とした人員に科学的アドバイスをする会議室である。
そうした地味な側面のためか、公開当初はあくまでグッズ展開のメインはゴジラであり、巨災対に関するグッズは全くと言っていいほど存在していなかった。
しかし、実際に公開されると、普通の人間(それも厄介者やオタク)が寄せ集めで活躍していく姿が話題となり、巨災対そのものの人気も過熱。
徐々に巨災対をモチーフとしたグッズも後追いで展開されていった。
こうしたグッズは劇中で登場したものに限らず、そこから発想を広げた巨災対で実際に支給・使用されている備品というコンセプトでグッズオリジナルのものも多数展開される。
この評判を受けてか、過去のゴジラ作品の防衛組織をはじめとした「架空の組織の備品」というジャンルが活性化し多数商品化されていく火付け役となっている。
この影響を受けてか、続くシン・ウルトラマンにおいては劇場公開当初から禍特対にモチーフのグッズが多数ラインナップされている。
余談
初代ゴジラにもゴジラに対処する為の「特設災害対策本部」があり、巨災対の正式名称はそのオマージュである可能性が高い。
彼らが活動するシーンでは劇場版『ヱヴァンゲリヲン』シリーズでも使用されていた「EM20」という楽曲(本作では状況が進展するごとに使用パートが増えるという仕様)が流されるというエヴァファン刮目の演出となっている。
『ゴジラS.P』第11話にオオタキファクトリーを訪ねてきた政府関係者として安田、尾頭、竹尾の三人がカメオ出演している。