概要
映画『シン・ウルトラマン』に登場する組織。同作における防衛チームの役割を担っている。
正式名称は「防災庁大臣官房禍威獣特設対策室専従班」。
英文正式名称は「S-class Species Suppression Protocol (Enforcement Unit)」であり、和訳すると「S級種抑制プロトコル執行ユニット」といった意味になる。
英文略称はSSSP。
出現が相次ぐ巨大不明生物「禍威獣」による災害への対策を目的として設置された、防災庁の専従組織。
本編開始までに既に2体の禍威獣の駆除に貢献しており、禍威獣第7号「ネロンガ」との戦闘中に出現した巨大人型生物「ウルトラマン」への対応も担うことになる。
メンバーのほとんどは警察庁、公安調査庁、文部科学省、防衛省といった他官庁から出向してきた者である。
霞が関(作中に登場した防災庁の住所は、実在する中央合同庁舎第4号館のもの)の防災庁本庁に、本部および専従班室を置く。
メンバーの1人曰く「霞が関の独立愚連隊」。
マークは『ウルトラマン』に登場する科学特捜隊のものによく似た、いわゆる「流星マーク」であり、このマークをモチーフにしたマスコットキャラクター「KATO太くん」も存在している。
従来の防衛チームのようなユニフォームは存在せず、国家公務員らしくスーツやコートなどを着用していることが主だが、任務によっては防護服なども着用する(この禍威獣への対処のため)。
身分を示すものとしては、「流星マーク」を象ったバッジと「SSSP」の文字をあしらったオレンジ色の腕章を身に付けている。
『シン・ゴジラ』の巨大不明生物特設災害対策本部については、組織の設置経緯や行政各部の所管する事務を調整するシーンがふんだんに描かれたが、本作においてはそういったことが行われたであろう時期の出来事は冒頭のダイジェストでのみ描かれ、基本的には省略されている。あちらのように会議や昇任を経る必要も無く、少人数で現場に踏み込んでは挨拶一つで指揮監督権が移管されるというスピーディさである。
ただし、これについては巨災対に比べて「軽い」だとか「リアリティがない」だとかとは一概にも言いきれず、「禍威獣災害対策基本法」なる法律の存在や現場の自衛官たちとのやり取りなどから、関係法令と制度が既にしっかり整備されているらしいことが窺える。言うなれば、この組織は「ゴジラ以降にも巨大不明生物が立て続けに現れたことで、法令を整備し事態対処の機能を強化して発展改組した巨災対」のような位置付けにある。
あくまでも彼らは「どのように禍威獣を倒すかを考える組織」であり、禍威獣に攻撃を行うのはほぼ自衛隊の役割である。
勿論、メンバーの不自然なまでの少なさ(※)や政府内部における立ち位置の不透明さ、加えてトップ以外のメンバー全員が現場に出たり、あまつさえ全員がわざわざ最前線まで出て現場の指揮を執ることの非効率さなどなど、おそらくは従来の防衛チームの形に近づけるために意図的にリアリティや説明を削ったのであろう部分は随所に見られるが、本作はそもそも『シン・ゴジラ』のようにリアリティに拘った作品ではないので、ウルトラシリーズの防衛チームらしい在り方やウルトラマンとのドラマを重視した作風自体は当然の判断だろう。
組織の扱う情報は最重要機密で、かつ「禍威獣は日本にしか出現しない」がために諸外国に対しても独自性の極めて高いものであるため、持ち出し対策としてデータのバックアップは禁止されているらしい。
※ただし、本記事で述べているのはあくまでも専従班についてである。禍威獣特設対策室に専従班以外の班が設置されている可能性は極めて高いだろう。実際、現場指揮所を映したシーンをよく見てみると、制服姿の自衛官以外にも、「防災庁」と印字されている防災服を着用した防災庁職員らしき人員がちらほらいる。
メンバー
保有装備
近年のウルトラシリーズの防衛チームと比較してより現代的・現実的な装備を運用している。
ただし、禍威獣を直接攻撃できるような強力な武器は持っておらず、攻撃や現場への移動といった場面では自衛隊や在日米軍などの他機関の協力を受けている。
作中では、陸上自衛隊のUH-60JAや高機動車、CH-47JAなどに禍特対メンバーが搭乗するシーンがある。
- 禍特対専用車
禍特対メンバーの移動に用いられるSUV。
車種は黒のランドクルーザー200で、側面に禍特対および防災庁のマークが描かれている点以外は大がかりな改造などはされていない模様。
何台か存在するようで、それぞれ「01」「02」といったマーキングが施されている。
ザラブの潜伏先に赴く際に浅見が用いている他、メフィラスと接触中の神永の元に禍特対メンバーが急行した際にも持ち出されている。
なお、神永は自前の乗用車(車種はレクサス・IS)も業務に用いている他、本編には登場しないものの、レッドカーペットイベントには禍特対専用車に準じた仕様のW204が姿を見せている。
- 移動コンテナラボ
コンテナを改造したコンパクトな研究室で、現場に持ち込んでの調査・研究に用いられる。自走能力は持たない。
メフィラスと禍特対メンバーの初接触の場となった。
因みに、この手のコンテナ改造移動式ラボスペースには、何の因果か「betabox」という製品名のものが実在している。
- 無人偵察機
禍威獣災害の現場を上空から観測する際に用いられる。
作中に登場するのは撮影した映像のみだが、モニターの表示から、市販品と同種のクアッドコプター型ドローンであることが読み取れる。
ネロンガ戦およびガボラ戦で使用された。
- 拳銃(仮称)
神永がグロック26と思われる自動拳銃を携行しており、ザラブに対して突き付けている。
また、田村も何らかの拳銃を携行しているようだが、姿は登場せず種類などは不明。
- 電動丸鋸(仮称)
ザラブの潜伏先に突入する際、浅見が障害物除去のために使用している。
- タフブック
現場での情報収集・分析などに用いられているPanasonic製ノートPC。
その頑強さ故に自衛隊や各国軍などでも使用されている他、過去作ではGUYSが用いた実績もある。
余談
原典と言える『ウルトラマン』の防衛チームは「科学特捜隊」という名称であり、その略称「科特隊(かとくたい)」が禍特対の名の由来と思われる。科特隊の英称である「Science Special Search Party」も「SSSP」と略され、これも踏襲されている。マークも同じく流星を模している。
出動シーンに「科学特捜隊(特捜隊のテーマ)」が流れるなど、活躍中のBGMも科特隊のものが複数使われている。また、オフィス内の電話機の着信音も科特隊基地で使われていた無線のコール音と同じものが使われている(元々はキングギドラの鳴き声)。
公開3日目の5月16日、『シン・ウルトラマン』公式twitterに科特隊の5人の集合写真と、それと全く同じ構図で撮られた禍特対の5人の写真が投稿された(ツイート)。それによれば、
ということになるらしい(もちろん、キャラクターが一対一に対応するわけではないが)。
名前の由来は全員企画・脚本・プロデューサーを担当した庵野秀明氏の妻の安野モヨコ氏の漫画『働きマン』の登場人物から取り入れられている。
『働きマン』自体がウルトラマンへの世間一般のイメージへのパロディ漫画であると同時に、映画『仁義なき戦い』に出演していた俳優の名前をもじっている為、さながらダブルパロディと言ったところである。
(庵野氏の作品に安野モヨコ氏の要素が登場するのは本作に限ったことではなかったりする)
演者に男性アイドルグループと女性アイドルグループのメンバー(正確には後者は卒業生だが)が同時にいるのはシリーズ初となる。
関連項目
巨災対 - 禍特対と同様に、巨大不明生物対策のために各府省庁から選抜された者達が集まった組織。
科学警備隊 W.I.N.R. 怪獣特捜隊 UPG - 禍特対と同様に、科特隊の「流星マーク」をモチーフにしたマークを持つ防衛チーム。
ZAT - 霞が関に本部を置く防衛チーム繋がり。
BCST - 『ウルトラマン』のリメイクを意図した作品の防衛チーム繋がり。日本の行政機関の内部組織である点、現実的な装備を運用している点などが共通している。
気特対 - 禍特対と同様に、科特隊を捩った組織名を持つ防衛チーム。日本の行政機関の内部組織である点、直接的な武力攻撃手段を持たず、情報分析や作戦立案を主な任務とする点などが共通している。
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