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概要編集

原作:久部緑郎、作画:河合単

商社マンの藤本浩平がラーメン店を経営する話。

ラーメンそのもの以外にも経営の問題などにもフォーカスするなど異色の展開を見せた。コミックスは全26巻。

完結後、久部・河合コンビにより、本作の続編『らーめん才遊記』が2009年から2014年まで『ビッグコミックスペリオール』にて連載され、さらに続編となる『らーめん再遊記』が2020年2月より『ビッグコミックスペリオール』で連載中。


登場人物編集

藤本浩平

主人公。ダイユウ商事に勤務するグータラサラリーマン

独立してラーメン屋になるため公園で屋台のラーメンをこっそり経営している。

ラーメンの知識、調理の能力は高いが経営の方にはイマイチ頭が回らず芹沢達也に小ばかにされることが多いが、彼からマウントを取られることで徐々に経営の知識もついてくことになる。

芹沢との関係に代表されるように、たとえ嫌い・苦手な相手であっても尊敬すべき点は尊敬することができる素直さを持ち合わせている。

終盤、ついに芹沢を正面対決で負かし、脱サラして念願のラーメン店を開く。

続編である「ラーメン才遊記」には本人は登場しないが、最終回のワンシーンで店が登場し、芹沢から短いが最大級の賛辞を贈られている。


佐倉祥子

ヒロイン。ダイユウ商事に勤務するOL

藤本の副業を偶然知ってからは彼の相棒的立場につくことになる。ラーメン好き。

連載中盤ごろから藤本への好意を自覚し始めるが、煮え切らない藤本の態度や、自分自身も踏み込み切れないことで折に触れてやきもきすることになる。

終盤、ついに意を決して藤本に思いを伝え、ラーメン屋を開くために会社を辞めた彼についていった。


芹沢達也

「らあめん清流房」の店主兼フードコーディネーター。

読者からは通称ラーメンハゲと呼ばれる人気キャラクター。

藤本のライバルポジションだがかつての自分のような熱意を持つ藤本を気に入ってる節があり、イヤミったらしく藤本の「ラーメン屋」として足りない視点を講釈する。

自身も高い理想を持つ凄腕ラーメン職人でありながら、常に「シビアな飲食店経営者の視点」をもつキャラであり、グルメ漫画にありがちな「採算性や再現性を考えると、店には出せそうにない芸術作品的メニュー」「専門家にしか良さがわからない高難度メニュー」の類をバッサリと切り捨てる。

それは、目標を「自分の店をもつこと」に掲げつつも「極めてハイレベルなアマチュア」でしかなかった藤本を「理想と現実を両立させられるプロのラーメン職人」として徐々に成長させていくことになる。

最終回では藤本に心の中で「師匠」と呼ばれ、今までの感謝を伝えられた。


主人公ではないのにその圧倒的な存在感とカリスマ性から、主人公の藤本よりもキャラが立っており、滅茶苦茶この作品を象徴するくらい人気のお方(作品を読んだことは無くてもこの人は知ってるというくらいの知名度)。

大百科にこの人だけ、記事がある時点でお察し


四谷匡史

藤本たちの上司。営業一課の課長。

ぼんやりしているようでかなりの切れ者であり、物語のエピソードの多くは、彼が「会社の仕事」でありつつも「ラーメン職人としての経験」にもなるような話を、藤本に振ることで始まる。

常に笑顔を絶やさない穏やかな人物だが、九州男児で豚骨ラーメン至上主義者であり、豚骨ラーメン関連の話題にだけは別人のような食いつきを見せる。



辻井信一

営業一課の係長で、藤本の直属の上司。

いわゆる富井副部長ポジで、グータラ社員の藤本をイビり、また調子に乗りやすい言行のせいで色々なトラブルを起こす。

もっとも富井副部長よりはだいぶ常識の範囲で振る舞うため、良くも悪くも彼をスケールダウンしたようなキャラであり、そのためか物語中盤で異動となってしまいフェードアウトする。

以降は、この少し前から登場していた葉月玲(下記)が後釜として係長に昇進、直属上司となるが……



葉月玲

藤本の上司で主任。後に係長。

仕事は出来るキャリアウーマンだが他人の事については割り切る通り越してボロクソにこき下ろすなど性格が悪い。

理不尽なヒステリーを起こしては部下に暴力を振るうなど典型的なパワハラ上司。

妹がいるが、姉からキャリアを差し引いて暴力性と理不尽性を増したような面倒かつ下品なキャラ。

物語上の役割である「トラブルを起こす上司」という意味でも辻井係長の後任であるが、辻井係長に足りなかった「非常識さ」が(恐らくは意識的に)強まっている一方、彼に比べると「愛すべきバカ」要素がないため、身勝手さ、ドギツさが非常に目立ってしまう残念なキャラとなっている。


小池

「ラーメン小池」の店主。

ラーメンに情熱を捧げ、材料にも気をつかっている。

脱サラしてラーメン屋になったため同じく脱サララーメン屋志望の藤本に助言をすることも。

藤本が挑むラーメン対決の場においては、会社に隠れて副業をしている故に表舞台に出られない彼に代わり「作ったのは小池」という建前で身代わりを演じることが多い。

名前から分かる通り、外見はラーメンキャラのレジェンドのオマージュ。


有栖涼

著名なラーメン評論家。たらこ唇にひっつめ髪の巨漢。

いわゆる「解説者役・審判役」であり、次作「才遊記」次々作「再遊記」にも登場する、シリーズのレギュラーキャラ。

物腰が丁寧でおだやかな、作中でも屈指の人格者で、特にうまいラーメンを食べたときは「大仏顔」と呼ばれる至福の表情を見せ、これが作中での「美味なラーメン」を評価する際の定番演出となっている。

一方、ラーメンを不当に貶すものに対しては大魔神の表情となって暴れまわる、という設定があるが、こちらは作中で披露した回数は少ない。

ただのラーメン通にとどまらずラーメン史などを体系的に分析してもおり、次々作「再遊記」ではそれが実を結んで大学に籍をもつ学者となっている。


鋭敏な舌とラーメンに限らず様々な食材や製法の膨大な知識を有しており、且つその味を詩的に且つ大胆に冷静に客観的に万人に表現できる語彙力と判断力を持つ。

俗にいう「審査員というあくまで中立の立場」を絶対に崩さない姿勢も相まって芹沢達也に続く人気キャラクターとなっている。



武田剛三

「らーめん厨房どきゅん」の店主。

有栖と同じく、シリーズ通して登場するレギュラーキャラ。

一言でいうと「野蛮人」そのものな粗野な人物だが、建前抜きで好き放題にやらかすその蛮行は、しばしば主人公たちに重要なヒントを与えたりもする。

また粗野なキャラは素でもある一方、意識して作っている部分もあり、ときにそれを逆手に取った小細工を弄することもあるなど、一筋縄ではいかない人物。

経営者としての腕は確からしく「才遊記」以降では見事に自身のラーメングループを築き上げているが、シリーズ一作目である本作では、まだラーメン屋として駆け出し直後の、いくらか自信なさげな彼を見ることもできる。


余談編集

この作品の登場人物では「らあめん清流房」の店長芹沢達也(通称:ラーメンハゲ)が特に有名で、リアリストな彼から発せられる「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食っている」「いいか?行列店にわざわざクレームをつけてくるようなヤツは無能ゆえにヒマを持て余していて、そのくせ無暗にプライドだけは高く、嫉妬深いクズのような人間だ。」などの名言をSNSで見かけたという人もいるのではないだろうか。

実際に先入観などの情報で味や感想が変わるというのは往々にしてよくある事であり、味気ない料理名と擬音を交えたお洒落目な料理名にした料理(無論、内容は両方同じである)を客に出した所、後者の方が美味しいと感じたもある。(そもそも料理の味とは味覚だけでなく、視覚、嗅覚で得られた情報を加算した結果の事である。)

サブカル面で言うなら「アニメ漫画に全く興味がなかったが、巷で流行っている作品世界的に有名なクリエイターの作品と聞いてつい劇場に足を運んだり、単行本を購入してしまった」事例もそうだろうか。(ハロー効果も参照)


関連タグ編集

久部緑郎 河合単 ラーメン ビッグコミックスペリオール

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