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山岡、お前はクビだ!

アニメ版CV:加藤治


アニメ版では富井清一という名に変更されている。

原作やアニメ版でも長らく下の名が明確に表記されなかったので、読者や視聴者層から一般的には富井副部長(部長代理)と呼ばれる事が多い。


ギャグ要員でもあるとはいえ、そのダメっぷりで『美味しんぼ』を代表するキャラクターの一人。

東西新聞の社員で、山岡士郎栗田ゆう子の上司。

当初は文化部副部長だったが、後に部長代理という文化部専任ではトップに昇進した。


上司にはゴマをすり、部下はいびるという典型的な中間管理職キャラだが、明るくおっちょこちょいなお調子者で、涙もろく人情深いという、どこか憎めない性格をしている。


しかし、いつも何かしらの問題を起こし、山岡に助けられるというダメ上司として描かれることが大半。

特に酒癖の悪さが問題で、そのせいで度々昇進を逃すどころか解雇になりかけたことさえある。酔うと絡み酒になりやすく、特に小泉局長がその被害に遭う率が高く、しまいには大原社主に絡んで無理やり酒を飲ませるという現実でやらかしてしまえば、その場で問答無用にクビを切られても文句を言えない程の愚行をしでかした事さえある。


初期はイヤミなのと味音痴(というかダメ出しされる側の料理だろうが、美味い美味いと言って食べる)くらいしか目立った欠点は無かったのだが、次第に常軌を逸する程の間抜けぶりと、それが原因で仕事中にしでかした数々のしくじりが段々目立ち始め、今では彼が犯したヘマで会社自体が存亡の危機に立たされることもしばしばである。


・「キムチの精神」では、韓国の出版社の重役との会食の席で緊張のあまり喫煙してしまい(作中では「韓国では目上の人の前でタバコを堂々と吸うのは非礼」であると説明されているが、それ以前に取引先との会食の席で喫煙する事自体、喫煙が現在ほど厳格に規制されていなかった同話の連載当時(1987年)の基準で見ても失礼千万な事である)、その上次々と礼に欠く言動を連発して出版社を激怒させる。

・「舌禍事件!」では、ゴルフコンペでまぐれで優勝し、その後のパーティーでの優勝スピーチで、(すでに泥酔していたこともあり)最後まで競っていたライバルの帝都新聞の幹部に対し「『究極のメニュー』をパクった」などと暴言を吐いて公衆の面前で侮辱して揉め事を起こし、激怒した帝都新聞が東西新聞社を文化記者クラブからの追放を訴えるほどまでに発展する。

・「タイ米の味」では、タイ人(しかもタイ政府とも関係のある名家の人間)のいる場で、タイ米の事を「あんな不味いもの人間に食えだなんて無理な注文だよ」等と暴言を連発して怒らせてしまい、東西新聞社どころか日本とタイの国交すら危うくしかけた(他の文化部部員も暴言を吐いており、山岡や栗田も暴言には加わらなかったが止めなかった点に責任を感じていた)。

・「牛肉の未来」では、居酒屋にて例によって泥酔してBSE問題について論じている識者達の前で『子牛音頭』と称して暴れまわってテーブルの上にあった料理を撒き散らして識者達から反感を買った挙げ句、その一部始終を偶然居合わせていた帝都新聞の記者に記事にされてしまう


これら以外にも大小様々な規模で会社や部下・上司にも災厄を振りまく程の厄介事を引き起こしてきている美味しんぼ随一のトラブルメーカー

物語的には山岡の出番を作るためにそういう役回りになっているという面もあり、その意味では割を食っている立場と言えなくもない。

ただし父の事業が失敗したせいで幼少時代は貧乏であり、結構な苦労人。

最初は中国で生まれて幼少時に昭和20年に満州(奉天市・現在の遼寧省瀋陽市)から引き揚げたという設定で、その関係で「黒い刺身」(9巻4話)でその絡みが語られる話があったが、長期連載の関係からか無かった事にされた(実は原作者の雁屋哲自身が中国・北京出身で、幼少時に引き揚げていた)。


アニメでは、せっかくのいい雰囲気をつまらぬ悪い冗談で場を冷かしたり、明らかに自分に非があるのにそれを他人事のように振る舞う言動が目立つ。


・「醤油の神秘」では、大手メーカーと手造りメーカーの醤油と比較して解らないと言っておきながら真実を聞かされた途端「我々は偽物の醤油を買わされた」などと手のひらを反すような発言をしたり、三谷と花村の交際について「煎餅は割れやすいものですからねえ」とデリカシーのない発言

・「ペンションの名物」では、ペンションの名物になるほうとうを開発したおばあちゃんに対して放蕩呼ばわり。周囲が白ける中本人は自画自賛。

・「キムチの精神」では、招待した韓国人に対して「キムチは辛いのが当たり前」と頭ごなしに相手の文化を否定しておきながら、「我々はキムチに対して何も知らなかった」等と発言(山岡が本当のキムチの味を紹介してからの発言である。本来ならば失言した張本人が「私は~」と言うべきところを他を巻き込んでおり、明らかに責任転嫁と言える)。


これらのこともあり、まず彼に対して良い評価は得られないだろう。

山岡らが何だかんだと富井に助け舟を出していることや、四六時中問題を起こしつつも副部長から降格していないあたり、決して悪人や単なる無能ではないとも取れるが、有能な富井が描かれることがほとんどない(山岡抜きで他の新聞社と争って人気作家の連載を勝ち取ったエピソードがある程度)ため、なぜずっと副部長で居られるのか分からない人物と化している。寧ろ2022年にTBS系で放送された「オールスター後夜祭」で富井がやっていない失態を答える問題があった程(「魯山人の茶碗を落として割る」(これが正解)、かき氷の食べ過ぎで倒れる(11巻「真夏の氷」)、法事で泥酔して暴れる(83巻「禁酒の差し入れ」)、「広告主の会社の会長の首を絞める(91巻「”究極”で名誉挽回」)」)。


部長、これがぼくの家族構成です編集

  • 小麦粉のグルテンからガムを作るエピソードに、終戦後に中国から引き上げてきた父(故人)と、弟の富井修が登場。富井が大学進学したのに対し弟は進学を諦めざるをえず父と兄を嫌っていたが、山岡の働きで無事に和解。進学していないと言ってもそれなりの規模の建設会社の社長になって社員たちからも慕われており、むしろ有能な人物である。その建設会社が不景気で一度倒産しかけ、社員にお別れ会を実施するまでになるが、奇跡的に仕事の発注を受けられ持ち直した。

  • 富井副部長の家族でメインになるのは奥さんと、息子のヒトシ君であり、二人のエピソードはかなり多い。愛妻家の富井副部長は彼女を甘やかしまくり、家事も全部自分がする(大原大蔵社主にも知れている)。一方、奥さんの実家で行われた法事で酒乱癖を炸裂させた時には散々叱られて禁酒を命じられる。貧乏時代におかずを分けて食べたりと苦労した話もあり、単なる恐妻家ではないことも分かる。家族構成は全員で6人というから、子供が少なくとも3人以上存在することになる。

  • ヒトシ君は、蝶ネクタイと刈り上げのお坊ちゃまスタイルで「貴公子」と呼ばれ、父のお調子者な性格を引き継いでいる。基本的に生意気なガキキャラだが、彼のエピソードは時としていじめ学級問題などシリアスなものがあり、その時には自らがいじめを放置したことを反省し、いじめの解決のためにいつもはいじる対象である山岡に対してキチンと礼儀を正して協力を仰ぐしっかり者。また、父の暴走を諌めるなど大人びた小学生でもある。

  • なお、奥さんは前述の法事の際や「布団の中に潜り込みながらそのまま旦那を手を振って見送る」などでチラッと姿を見せるものの、顔などが一度も描かれていない(大原社主・小泉局長・谷村部長の奥さんは普通に顔が描かれて登場している)。法事の際に初めて声を出し(怒って)たシーンが描かれた。

こら、山岡。タグぐらい貼らんか、バカたれ!!編集

美味しんぼ 富井副部長 山岡士郎 栗田ゆう子 谷村秀夫

三枚目 愛すべき馬鹿 名脇役


デスク…新聞社では取材の指揮や原稿のチェックなどを行うポジションとして置かれる職域。1巻で「うちのデスクは頭が固い」などと文化部社員が語っているが、本作で主に山岡らの原稿をチェックしているのは富井であり、このデスクとは富井本人のことを指す可能性もあるが、一方で部長-副部長-デスク数人という構造の可能性もあり(一般的に大手新聞社のデスクは部毎に複数人存在する)、富井より下の人事関係ははっきりしていない。なお富井の昇進に伴い副部長に昇格した荒川絹江がそういうポジションなのかの言及も無い。


トリヤマ・ジュウキチ…流石に富井程酷くはないが、『小うるさくてドジなトラブルメーカーながら憎めない中間管理職』という共通点のある人物。

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