CV:渡部猛
演:伊東四朗(テレビドラマ初代)、北村総一朗(同2代目)、財津一郎(映画版)
概要
京都の豪商。
「なんちゅうもんを食わせてくれたんや」のAAで有名な人。
山岡士郎・ゆう子夫妻にとっては良き理解者・支援者の一人で、温厚そうな見た目と裏腹に、一代で現在の財を成した商人である事から、懐の深い性格で、自分が心から信頼を置いた相手には、損得なしに投資や協力を惜しまない人情家である。
悪徳商売を働いているということは全くないが、裏社会との人脈もあるようで、東西新聞社が金上鋭によってピンチに陥った時はそこから情報を集めて事態解明に協力した。
「なんちゅうもんを食わせてくれたんや」のAAも、四万十川の鮎を食べた京極を描いたものである。
食に関する感性は本物であり、ご飯を食べて米の出処迄当てるなど優れた味覚を持っている。
また、ご飯やみそ汁、ポトフといった一見粗末な食事が本物の美味であることを見抜き絶賛するなど、値段や見た目に踊らされない味覚を持っている。その食に関する感性は雄山からも認められ、美食倶楽部の会員にして、『究極のメニュー』『至高のメニュー』の対決の審査員も務めている。
反面、「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」(雄山と山岡の料理対決の際に審査員として雄山の料理を評価した際の発言で、先述の「なんちゅうもんを食わせてくれたんや」から続く台詞)など初期の頃は何気にひどい発言が目立っていた。
また、初登場の際には接待先の高級料亭で養殖鮎や瓶詰の蓴菜を出されただけで、腹を立てて絵画の賃借契約を反故にしようとするなど、雄山程ではないが結構面倒くさい人として描かれていた…とはいえ彼だけに限らず、美味しんぼに登場する芸術家や文芸家、大富豪などは大抵食べ物に関して変にこだわりが強く、それが原因で些細な不手際から子供じみた癇癪を起こしたり、山岡に煽られて本気で怒りを顕にする困った性分の人間が多い。
初期に見られたそういった側面もやがて鳴りを潜め、すっかり温厚な人情家としての人物像が定着し、谷村部長、中川料理長に並ぶ、『美味しんぼ』の登場人物では数少ない良識人の1人に数えられている。山岡と雄山の和解を望んでいた一人でもあり、事故に遭った雄山の代わりに美食俱楽部の調理場の指揮を執った山岡の姿を喜んでいた。
家族
娘が二人いるが、作中での登場は僅か二回。また二度目の登場回はコミックス未収録。
二人は仲が良いのだが、つまらないことですぐに喧嘩をしては元の鞘に収まるのを繰り返すため、京極に先を心配されている。
余談
生い立ちについて
京極は京都を拠点に活動している豪商であるが、出身地は高知県の四万十川沿いの村である。そのため、普段は京言葉(京都弁)で話すが、アニメ版では時折土佐弁(高知弁)で話すことがある(尚、京極の声を演じた渡部猛は高知県出身のため、土佐弁も自然なものとなっている)。
生家は貧しく、一旗あげようと関西に単身で出て米問屋に丁稚奉公し、戦前の米相場での稼ぎを元手に一代で億万長者に上り詰めた。ところが、高知には長年帰郷していなかったため、海原雄山から四万十川産の鮎を出されて食した際に、幼少期を思い出し、感極まって涙ながらに出てきた台詞が「なんちゅうもんを食わしてくれたんや…(中略)旨い、旨い、ほんま旨い…これに比べると山岡さんの鮎はカスや」であった。
鮎をめぐる発言について
ただ、この「山岡さんの鮎はカスや」という発言は当時ですら毒が強すぎる発言と見られていたようで、アニメでは「山岡さんの鮎は比べ物にならへん」というマイルドな言い方に修正されている。さらに「山岡はんの鮎も十分うまかったですよ。すまんことでした、折角ご馳走してもろたんに」と山岡に謝罪していた。
作中における活躍
実は作中で初めて、山岡の正体や、彼と雄山の関係に気付き、音信不通だった2人を引き合わせるきっかけを作った人物だったりする(岡星と良三に山岡が雄山の息子である事を教えたのもこの人)。
「海原はんとこの家出しはった息子さんに、よう似とるけどなぁ……」とつぶやいていた。
ただし、京極は山岡とは久しく会っておらず、彼の幼い頃の顔しか記憶になかったこと、苗字が海原ではなく山岡(士郎の母の旧姓)になっていたことから、「海原はんとこの家出息子」と「山岡士郎」が同一人物とわかるまでには時間を要した。