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陰陽屋へようこそ

おんみょうやへようこそ

天野頌子の娯楽小説。 正式には“『よろず占い処 陰陽屋』シリーズ”と呼称される。 元ホストのイケメン陰陽師(もどき)とヘタレ化け狐(本物)の少年の凸凹コンビによる活躍を描く。 2013年秋に関西テレビにてドラマ化。
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陰陽屋へようこそとは、天野頌子による娯楽小説である。


概説

2007年ポプラ社より発行。


ホスト占い屋「陰陽屋」の主のイケメン陰陽師と、人の世に紛れて生きるアルバイト化け狐の少年のコンビが、店に舞い込んでくる奇天烈な以来の数々に挑む。


ジャンル的には、謎解き要素が強いため推理小説と言えるが、一方で狐少年の学生生活を軸にしているため、青春ドラマとしての側面も強い。


各巻・各章ごとに区切られたオムニバス形式を採ることが多いが、後半になるにつれて一巻そのままを使い切ってストーリーが展開されることも多くなった。



あらすじ

東京都北区王子稲荷神社のお膝元、王子稲荷商店街の雑居ビルの地下1階に、「よろず占い処 陰陽屋」という小さな占い屋が店を構えていた。


沢崎瞬太は担任からの臨時の進路相談を終え、母・みどりと共に商店街を歩く中で、陰陽屋の看板を発見する。陰陽師ファンの母に推されて入店すると、店主イケメン眼鏡の陰陽師安倍祥明が顔を出した。

「不幸続きで何かに憑かれているのでは」と相談するみどりに、祥明は占いを用いて進言するが、祥明が相談料として2万円を請求してきたのを聞いて、瞬太は我慢できずに祥明をぶん殴ってしまう。

そして自分が化け狐であることを明かし、彼の占いがトリックであることを理由に請求を拒否。

しかし流石に祥明も黙ってはおれず、相談内容から見えた沢崎家の問題を容赦なく突き付け、理路整然と喝破する。

さらに瞬太に殴られて壊された眼鏡の代金5万円の請求の代わりに、瞬太をアルバイトとして陰陽屋に通わせるよう要求するのだった。


画してここに、イケメン陰陽師(もどき)と化け狐少年の凸凹コンビが誕生する。

そしてこの日以来、二人の前に珍妙な依頼の数々が舞い込んでくるのだった。


登場人物

「陰陽屋」

王子稲荷商店街にある雑居ビルの地下1階にある占い屋。

薄暗く陰陽道にまつわる古書と専門書、占い道具がひしめき合う店で、奥の応接間で相談に乗る。

各種占い、命名相談、心霊相談、霊障相談、加持祈禱など、陰陽術に関連する占時を取り扱う。

またお守りなども販売している。

祥明目当てにくる女性客が多い。


沢崎瞬太(さわざき しゅんた)

瞬ちゃん!

茶褐色の髪がトレードマークの小柄な少年。本作の主人公

上項のいきさつから陰陽屋にアルバイトとして転がり込むことになる。仕事は式神役(要するにマスコット)兼雑用係(掃除・お茶汲み)。

実は本物の化け狐であり、赤ん坊のころに王子稲荷神社の境内で遺棄されていたのをみどりに拾われ、そのまま沢崎家の一人息子として育てられた。

制服として仕事中は水干童子姿で、自前の狐耳と尻尾を出したままにしている。

普段、耳と尻尾は隠しているが、驚いたり動揺したりするとすぐ出そうになる。妖術として狐火が使えるが、ピンポン球大のものしか出せず、懐中電灯くらいにしか役に立たない。

性格は一言でいうとアホの子。極度のお人好しの粗忽者であるため、周囲からも容赦なく天然ボケ能天気などと断じられてしまう。オマケに意思が弱く自堕落で、追い詰められると後先見ずに逃げ出す癖がある。食べ物の誘惑にも弱い

狐の夜行性体質からなのか、学校でも無遠慮に昼寝をするため、成績は常に地の底を張っている。

しかしお稲荷様の加護と形容されるほどの強運も持ち合わせており、この運のお陰でどうにかこんにちまで平穏に過ごせている。人の好さから縁にも恵まれている。


安倍祥明(あべのしょうめい)

陰陽屋へようこそ

陰陽屋の店主。本作の探偵役でもう一人の主人公

本名は姓名ともに漢字そのままで、「アベ ヨシアキ」という。

歳は20代後半で、流れるような長い黒髪に銀縁眼鏡が似合うイケメン

占いや陰陽道は我流の陰陽師もどきでしかないのだが、知識に関してはそこらのにわか陰陽師よりも造形は深い。陰陽道だけでなく、卜占タロットカード・人相・手相など、大方占いと呼ばれるものはひとしきりおこなえる。

実はホストで、近在では伝説といわれたNo.1イケメンホストだった。さらに実家は裕福な学者の家系で、陰陽道に興味を持った際にはプロの陰陽師に弟子入りしたことさえあった。

相談者の前では終始爽やか美青年を演じるが、本性は自堕落で冷淡。割と気が短く、よく内心で毒づいている。ただ勉学好きなのは本当で、暇さえあれば陰陽道の専門書を読み漁っている。自己中心的ではあるが、親しい間柄には非情に徹しきれず義理に弱い面もある。

ときに依頼人の欠陥を正確かつ容赦なく抉り出し、そこから理路整然と相手を言い負かしてしまう。だがかえって事件解決につながることも多い。

仕事中は狩衣姿だが、外出時はホスト時代の派手なスーツを着こなす。

複雑な経歴の持ち主だが、この原因は彼の母親にある。


沢崎家

瞬太の育った家。

核家族世帯で、祖父母は離れて暮らしている。

家族仲は大変良く、一家揃って瞬太に対しかなり過保護な傾向にある。


沢崎みどり

瞬太の母。

看護士だが、祥明のアドレスを受けて現職に復帰した。

瞬太を「瞬ちゃん」と呼んで愛情を注いでいるが、瞬太は年頃から少し煙たがっている。

子宝に恵まれず悩んでいたところに瞬太を拾ったため、粗忽な息子の行き先を心配しつつ暖かく成長を見守っている。

愛情もバイタリティーも人一倍で、家族をぐいぐい引っ張っていく面も強い。


沢崎吾郎

瞬太の父。

40代半ばで勤務先が倒産して求職中だったが、祥明のアドバイスをもらったみどりの提案から主夫に転向する。

手先が器用で、プラモデル作りで賞を取ってきたり、オークションに出したプラモデルが高額で競り落とされたりとかなりの腕前の持ち主。

料理上手でもあり、主夫に転向してからは趣味の一環にまで高じて、食卓を豊かにしている。

お人好しで押しの弱い性格だが、つい突っ走りがちなみどりをそれとなく制したり、思い悩むことが多くなった瞬太にそっと助言したりと、家族の輪を取り持つ良き家人である。


沢崎初衣(-はつえ)

吾郎の母、つまり瞬太の父方の祖母。

普段は谷中(やなか)の家で暮らしており、三味線教室を開いている。

一時は脳内出血で左半身が麻痺したものの、みどりが祥明のアドバイスで主夫なった吾郎に介護を任せてからは一人暮らしに戻れるほどに回復した。

矍鑠とした気の強い女性。


安倍家

古くからある学者の家系で、男衆が揃って学者肌という学術一家。

祥明の実家。

古今を問わず希少な資料を多数所有している。

一家全員が変わり者の集まり。


安倍優貴子(-ゆきこ)

祥明の母。そして作中において最凶の存在

極度の親バカで、もはやヤンデレレベルの息子依存症。

子離れがまったくが出来ず、祥明の興味があるものすべてを排除しようと暴走する。

そのせいで祥明は数々の被害を被っており、祥明に恋人が出来た時にはゴキブリのおもちゃを彼女のケーキに仕込み、学者になるための論文のデータがあるパソコンを台無しにし、家出先でカリスマホストになると店に甚大な被害を出すほど暴れ回るなど、祥明にとっては生けるトラウマと化している。

挙句に瞬太が化け狐と分かると、捕獲して研究室送りにしてしまおうと襲いかかった事さえあった。

どうしてこうなった……。


安倍憲顕(-のりあき)

祥明の父。大学教授で国文学者。

婿養子で、安倍家の蔵書に目が眩み、打算半分で優貴子と結婚した。

もちろん優貴子への愛はあるが、それ以上に祥明絡みで暴走する優貴子に手を焼くことが多い。


安倍祥一郎(-しょういちろう)

優貴子の父で、祥明の祖父。

有名な民俗学者であり、こちらも安倍家の蔵書に釣られて婿養子になった。

かつて化け狐の知人がおり、親交があった。

その縁から、瞬太にも親しげに接して可愛がっている。


学校関係

高坂史尋(こうさか ふみひろ)

瞬太の同級生で親友。

眼鏡をかけた爽やかな好青年で、容姿・頭脳共に優良。

中学時代に学級委員長を任されていたため「委員長」と呼ばれ、高校に上がってもあだ名として定着している。

ジャーナリスト志望で新聞部に所属し、記事のネタ探しに余念がない。高校に新聞部がないとわかると、友人たちの名義を借りてまで部を設立したりと、かなり行動的な一面を持つ。

内容も他者を誹謗中傷すような、品の無い記事は書かない主義を通している。

瞬太が化け狐であることを知っているが、友誼を尊重して記事にしたことはない。それどころか、彼を誹謗中傷するような噂に対しては、憤りを見せたこともあった。

祥明からは、鋭い直感と明晰な知能で自分の上っ面を見透かしてくるとして、苦手意識を持たれている。


江本直希(えもと なおき)

瞬太の同級生。

自称「恋愛スペシャリスト」を豪語するお調子者だが、実際には雑誌や流言飛語で知識を増やしているだけで、当人はほとんどモテたためしがない。

瞬太や委員長、航平らとよくつるんでいる。

名義上、新聞部の一員でもある。


岡島航平(おかじま こうへい)

瞬太の同級生。

食いしん坊の大食いで、特にラーメンが大好物。

ラーメン愛好家を自称しており、兎角ラーメンにはうるさい。

直希同様、新聞部の一員として名義貸しをしている。


三井春奈(みつい はるな)

瞬太の同級生であり、片思い相手の少女。

ミディアムヘアーの可憐な少女で、明るく温和な性格をしている。

父子家庭で登山家の父と、兄がいる。

瞬太の学校生活の基軸そのものであり、彼女と一緒にいたいがために奮起することがほとんど。

ただ瞬太自身はヘタレのため、まともに好意を伝えられたためしがない。

三井家の問題を解決した一件以降、祥明に淡い想いを寄せていたことが判明した。


倉橋怜(くらはし れい)

瞬太の同級生で、春奈の親友。

温和な春奈とは打って変わり、気の強いしっかり者。

剣道部のエースで、大会でも好成績を出す実力者。

一方で上に二人の兄がおり、家では彼らに手厚く世話を焼かれている。

瞬太が春奈に片想いしていること、春奈が祥明に片想いしているを察しており、それをどちらも快く思ってはいない。そして瞬太を守ろうとする委員長とも、互いに牽制し合っている。


遠藤茉奈(えんどう まな)

瞬太の同級生。

普段は影が薄く、人付き合いも苦手なうえに神出鬼没。性格もどちらかといえば根暗。

一時期、瞬太の周囲に付きまとっているように思われたが、実は委員長のストーカーで、好意的に思っていても言い出せず、ずっと付きまとっていた。

現在では委員長の外部協力者として、草の者のように動いては情報をかき集めてくれる。


浅田真哉(あさだ しんや)

瞬太の同級生で、委員長を一方的にライバル視している。

パソコン部所属。

嫌味で横柄な小物であり、委員長のみならず瞬太たちも一絡げに笑い者にしてくる。

委員長が新聞部を立ち上げて以降は、新聞部に対してたびたび対決を仕掛けてくる。だが大体は大口を叩いて自分を追い込み、そのまま自滅して終わっている。それでもまったく懲りる気配がない。

性根は劣等感の塊であり、委員長への執拗な当てこすりも、裏を返せば彼の能力を羨んでのこと。


「陰陽屋」の常連

槇原秀行(まきはら ひでゆき)

祥明の幼馴染。

常に擦り切れたジーンズに半袖という、分かりやすいくらいに体育会系の青年。

豪快かつ気さくな人物で、祥明を本名の「ヨシアキ」で呼ぶ。

近所の空手道場の講師のほか、いくつかのバイトを掛け持ちして生活している。

陰陽屋に来る際は、常にコンビニのビニール袋に缶コーヒーを入れて持ってくる。

たまに陰陽屋に顔を出しては、依頼を持ってくる。


金井江美子(かない えみこ)

商店街の中華飯店「上海亭」の女将さん。

祥明のファンで、彼のイケメンを拝むためにほぼ毎週通う上客の一人となっている。

おしゃべりが大好きなおばちゃんだが、同時に商店街内の雑多な噂にも詳しく、事件解決の際には情報源となっている面もある。


仲条律子(なかじょう りつこ)

「失せ物探し(1巻)」に登場した、宮内夏央の伯母。

当初は遺言状探しの妨害や、瞬太を自分の孫と勘違いして引き取ろうとするなどトラブルメーカーであったが、現在では瞬太を気に入って陰陽屋の常連となった。

瞬太を見に来るときは手作りのプリンを持ってくるため、瞬太からは「プリンのばあちゃん」と呼ばれている。


化け狐

葛城(かつらぎ)

祥明が務めていたホストクラブの後輩。

月村颯子の付き人でもあり、彼女との連絡経路を持っている。

自身の身の上をごまかすために、たまに台湾や香港に出奔することがある。


月村颯子(つきむら さつこ)

日本の化け狐界でも名の知れた女性。

旅好きで急に旅に出て連絡が付かなくなることが多く、出先でよくケータイを壊すため、音信不通になることも多々。

長らく瞬太の出生についてカギを握っていると目され、捜索が続いたが、8巻「陰陽屋 恋のサンセットビーチ」にて、瞬太の修学旅行先のハワイで観光ガイド「キャスリーン」として暮らしていたことが発覚し、ようやく話し合いの席を持つことが出来るようになった。



ドラマ

祥明くんオタオメ!

2013年10月からの同年末まで、関西テレビのドラマとして放送された。

主演は安倍祥明役の錦戸亮。沢崎瞬太役はHey!Say!JUMP知念侑李

基本は原作に沿っているが、オリジナルキャストや独自設定も多く、最終回はドラマオリジナルとなっている。


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